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音
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ね
ふりがな文庫
“
音
(
ね
)” の例文
子供
(
こども
)
らは、はじめのうちは、おじいさんの
弾
(
ひ
)
くバイオリンの
音
(
ね
)
を
珍
(
めずら
)
しいものに
思
(
おも
)
って、みんなそのまわりに
集
(
あつ
)
まって
聞
(
き
)
いていました。
海のかなた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さうして、時々声に出して
誦
(
じゆ
)
する経文が、物の
音
(
ね
)
に譬へやうもなく、さやかに人の耳に響いた。聞く人自身の耳を疑ふばかりだつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
人
(
じん
)
、
馬
(
ば
)
、時々
飛々
(
とびとび
)
に数えるほどで、自動車の音は高く立ちながら、鳴く
音
(
ね
)
はもとより、ともすると、驚いて飛ぶ鳥の羽音が聞こえた。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それならお兄様……あの鐘の
音
(
ね
)
はもうお聴きにならなくてもいいのですか……お兄様……ききたいとはお思いにならないのですか」
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
今
(
いま
)
まで
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
で
頻
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いていた
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
が、
絶
(
た
)
えがちに
細
(
ほそ
)
ったのは、
雨戸
(
あまど
)
から
差
(
さ
)
す
陽
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りに、おのずと
怯
(
おび
)
えてしまったに
相違
(
そうい
)
ない。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
角海老
(
かどゑび
)
が時計の響きもそぞろ哀れの
音
(
ね
)
を伝へるやうに成れば、四季絶間なき
日暮里
(
につぽり
)
の火の光りもあれが人を焼く
烟
(
けぶ
)
りかとうら悲しく
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、恐怖だけは、迷いとべつに、尼の神経を冴えさせるばかりだった。山音、風の歩み、雨のようなこおろぎの啼く
音
(
ね
)
も
援
(
たす
)
けて。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
音
(
ね
)
といつたら美しい女の
啜
(
すゝ
)
り泣きをするやうな調子で、
聴衆
(
ききて
)
は誰一人今日までこんな美しい音楽を耳にした事はないらしかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
庭の
桔梗
(
ききょう
)
の紫
揺
(
うご
)
き、
雁来紅
(
けいとう
)
の葉の紅
戦
(
そよ
)
ぎ、
撫子
(
なでしこ
)
の淡紅
靡
(
なび
)
き、
向日葵
(
ひまわり
)
の黄
頷
(
うなず
)
き、夏萩の
臙脂
(
えんじ
)
乱れ、蝉の声、虫の
音
(
ね
)
も風につれて
震
(
ふる
)
えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
木枯
(
こがらし
)
凄
(
すさ
)
まじく鐘の
音
(
ね
)
氷るようなって来る辛き冬をば
愉快
(
こころよ
)
いものかなんぞに心得らるれど、その茶室の
床板
(
とこいた
)
削りに
鉋
(
かんな
)
礪
(
と
)
ぐ手の冷えわたり
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
たしかにお聞きになったのですね? ところで手太鼓の音に混って鈴の
音
(
ね
)
が聞えはしませんでしたか? これは大事なことですがね
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雨夜
(
あまよ
)
の月に
啼
(
な
)
く
時鳥
(
ほととぎす
)
、
時雨
(
しぐれ
)
に散る秋の
木
(
こ
)
の葉、落花の風にかすれ行く鐘の
音
(
ね
)
、行き暮るる
山路
(
やまじ
)
の雪、およそ
果敢
(
はか
)
なく頼りなく望みなく
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
若僧 (迹りて)そのような物の
音
(
ね
)
ではございませぬ。やっぱり女人の長い髪が、重そうに葉の上を流れて行く音でございました。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
補佐役の
青木主膳
(
あおきしゅぜん
)
という侍から「あれは
寄手
(
よせて
)
が追い
崩
(
くず
)
される物音です」とか、「今度は味方が門内に引き揚げる合図の
貝
(
かい
)
の
音
(
ね
)
です」
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
秋風の
音
(
ね
)
にも虫の声にも帝が悲しみを覚えておいでになる時、
弘徽殿
(
こきでん
)
の
女御
(
にょご
)
はもう久しく夜の
御殿
(
おとど
)
の
宿直
(
とのい
)
にもお上がりせずにいて
源氏物語:01 桐壺
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
勿論、おれもその鶯を江戸まで持って帰ろうとは思わぬが、鳴く
音
(
ね
)
が余りに哀れに聞えるので、せめて籠から放してやりたいのだ。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かすかにおとよさんの
呼吸
(
いき
)
の
音
(
ね
)
の聞き取れた時、省作はなんだかにわかに腹のどこかへ焼金を刺されたようにじりじりっと胸に響いた。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
吐息
(
といき
)
とも
呻
(
め
)
き声ともつかぬものうい
音
(
ね
)
をほっと洩らすと共に、彼はまた身を屈めて仕事をし出したが、やがて沈黙はまた破られた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
半鐘の
音
(
ね
)
、
蒸汽
(
じょうき
)
ポンプのサイレンの
響
(
ひびき
)
が、活動街の上を越して伝わって来た。それに混って時々樹上の畸形児の狂喜のうなりが聞えた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「少し気がききすぎているくらいだ。これじゃ
鼓
(
つづみ
)
の
音
(
ね
)
のようにぽんぽんする絵はかけないと自白するはずだ」と広田先生が評した。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だがそのなかにあつて、なほ自然にかもし出される音の世界はそれでもいくらか複雜な
音
(
ね
)
いろを持つてゐたといひうるであらう。
癩
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
軟らかな風がどこからともなしに吹いてきて、笑声が聞え、その笑声に交って笛や
簫
(
しょう
)
の
音
(
ね
)
が聞えてきた。毅は不審に思って外の方を見た。
柳毅伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
樹々を震はせ………………………弱り弱ツた名残の
音
(
ね
)
が、見えざる光となツて、今猶、或は、世界の
奈辺
(
どこ
)
かにさまよふて居るかも知れぬ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
道庵が、そこで足を洗いにかかると、この宿の楼上で三味線の
音
(
ね
)
がします。そこで道庵が、またも足を洗う手を休めてしまって
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
月光散りしく城内
遥
(
はる
)
かの広場の中を騎馬の一隊に先陣させた藩兵達の大部隊が軍鼓を鳴らし、
法螺
(
ほら
)
の
音
(
ね
)
を空高く吹き鳴らし乍ら
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
何故
(
なぜ
)
お前の
弾
(
ひ
)
いた糸の
音
(
ね
)
が丁度
石瓦
(
いしかわら
)
の中に
埋
(
う
)
められていた花のように、意識の底に隠れている心の世界を掻き乱してくれたのか。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
続いて「へい、何か一枚
御贔屓様
(
ごひいきさま
)
を」と云った。二階にしていた三味線の
音
(
ね
)
が止まって、女中が
手摩
(
てすり
)
に
掴
(
つか
)
まって何か言っている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
蟲の
音
(
ね
)
亙
(
わた
)
りて月高く、いづれも哀れは秋の夕、
憂
(
う
)
しとても
逃
(
のが
)
れん
術
(
すべ
)
なき
己
(
おの
)
が影を踏みながら、
腕
(
うで
)
叉
(
こまぬ
)
きて小松殿の
門
(
かど
)
を立ち出でし瀧口時頼。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
次は高く風を受けてもただ琴の
音
(
ね
)
に通うといわるるいわゆる
松風
(
まつかぜ
)
すなわちいわゆる
松籟
(
しょうらい
)
があるばかりで毫も動ぜぬその枝葉です。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
わたしの笛の
音
(
ね
)
で魅せられたようにスズキの類のパーチはあたりをさまよい、森の残骸が肋骨のようにばらまかれた水底を月はわたった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
越前永平寺
(
えちぜんえいへいじ
)
に
奕堂
(
えきどう
)
という名高い
和尚
(
おしょう
)
がいたが、ある朝、しずかに眼をとじて、
鐘楼
(
しょうろう
)
からきこえて来る
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
に耳をすましていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「そら見たことかい、それでやっとお前さんにも、女の底力がわかったというもんさ!」と、例の小百姓が頓狂な
音
(
ね
)
をあげた。
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
ふふみ
音
(
ね
)
の、まだなづむ
音
(
ね
)
の、うぐひすの鳴まねびをる。頬白のふりまねびをる。しづ
枝
(
え
)
ゆり、ゆり遊びをる。移り飛びをる。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一頃
(
ひところ
)
の熱狂に比べると、町もシーンとして来た、小諸停車場の前で吹く
喇叭
(
らつぱ
)
の
音
(
ね
)
が町の空に響き渡つた。入営するものを寄せ集めの
相図
(
あひづ
)
だ。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
Sサナトリウムを囲み、森を奏でるような
蜩
(
ひぐらし
)
の
音
(
ね
)
を抜けて、彼は闇に白く浮いた路を歩いていた。その路は、隣りのG——町に続いていた。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
長い間その楽器は皇帝に秘蔵せられていたが、その弦から
妙
(
たえ
)
なる
音
(
ね
)
をひき出そうと名手がかわるがわる努力してもそのかいは全くなかった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
ところが、灰色ネズミたちが
小麦
(
こむぎ
)
を一つぶのみこんだかのみこまないうちに、
中庭
(
なかにわ
)
のほうから、
鋭
(
するど
)
い
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
が、かすかにひびいてきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
水司又市は十方でぶう/\/\/\と吹く
竹螺
(
たけぼら
)
の
音
(
ね
)
を聞きまして、多勢の百姓共に
取捲
(
とりま
)
かれては一大事と思いまして、
何処
(
どこ
)
を何う
潜
(
くゞ
)
ったか
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
カピはたしかに高名になってもいいだけのことはあったけれど、わたしが……わたしが天才だなどとは、どこをおせばそんな
音
(
ね
)
が出るのだ。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
梅野十伍はそのベルの
音
(
ね
)
を聞いた瞬間に必ずや心臓麻痺を起し、徹夜の机の上にぶったおれてあえなくなるに違いないと思っているのである。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は今うとうとと眠りかけたが、ふと向うから馬の鈴の
音
(
ね
)
が聞えて来た。顔をあげると、
燈
(
あか
)
りが一つちらちらと街道を動いて来るのが見える。
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
時には桂大納言に真似て「秋風」と云う曲を琵琶で弾いたりすると松風の
音
(
ね
)
がこれにまるで和する様に聞えてくるのである。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
「どっこい、お品さんは尋常な
音
(
ね
)
をあげる娘さんじゃなかったはずだ。二千両ありゃ当分の暮しに困るまい、
双生児
(
ふたご
)
宗次の女房は悪くないぜ」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
さながら水を掻きゐたる
櫂
(
かひ
)
が、
疲勞
(
つかれ
)
または危き事を避けんため、一の笛の
音
(
ね
)
とともにみな止まる如くなりき 一三三—一三五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
見て
餘所
(
よそ
)
ながらなる
辭別
(
いとまごひ
)
愁然
(
しうぜん
)
として居たる折早くも二
更
(
かう
)
の
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
は
耳元
(
みゝもと
)
近
(
ちか
)
く聞ゆるにぞ
時刻
(
じこく
)
來りと立上り
音
(
おと
)
せぬ樣に
上草履
(
うはざうり
)
を足に
穿
(
うが
)
つて我家を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
思
(
おも
)
って、
待
(
ま
)
っていました。そのうち
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
はだんだん
近
(
ちか
)
くなって、
色
(
いろ
)
の
白
(
しろ
)
い、きれいな
稚児
(
ちご
)
が
歩
(
ある
)
いて
来
(
き
)
ました。
弁慶
(
べんけい
)
は
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
腕たア、
撞木
(
しゅもく
)
の腕のことか。その腕じゃ、ゴーンと
撞
(
つ
)
いても碌な
音
(
ね
)
は出なかろう、何を吐かしやがる。……まア、そんなことはどうでもいいや。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
こんなことを話し合つてゐる中に、千代松は莖ばかりの
雁
(
かり
)
が
音
(
ね
)
といふ煎茶を丁寧に入れて、酒の出るまでと道臣に進めた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
お庭をわたる松風の
音
(
ね
)
と、江戸の町々のどよめきとが、
潮騒
(
しおさい
)
のように遠くかすかに聞こえてくる、ここは、お城の表と大奥との境目——お
錠口
(
じょうぐち
)
。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「そんなあまい手に乗るおれだと思うのか」彼は鼻で笑った、「見ていろ、すぐに化けの皮きれいに
剥
(
は
)
いでやるから、そのとき
音
(
ね
)
をあげるなよ」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“音”の意味
《名詞》
(おと)空気や水等の物質を介して伝わる振動で、人の耳に達して感覚(聴覚)を生ずるもの。
(ね)美しい音や声。
(オン)漢字の読みのうち、漢字が伝わった当時の中国語の発音に基く読み方。音読み。
(出典:Wiktionary)
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
“音”を含む語句
音信
音色
音響
跫音
声音
音声
中音
音問
足音
観音
音楽
高音
顫音
鳴音
轟音
水音
観音堂
大音
知音
觀音
...