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みぶる
ふりがな文庫
“
身震
(
みぶる
)” の例文
膝からともすれば
襦袢
(
じゅばん
)
がハミ出しますが、
酣酔
(
かんすい
)
が水をブッかけられたように
醒
(
さ
)
めて、後から後から引っきりなしに
身震
(
みぶる
)
いが襲います。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
両眼
(
りょうがん
)
をカッと見開き、この一見意味のない
台辞
(
せりふ
)
を
嘔
(
は
)
きちらしていたが
軈
(
やが
)
てブルブルと
身震
(
みぶる
)
いをすると、パッと身を
飜
(
ひるがえ
)
して駈け出した。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
年少
(
としわか
)
くて
屈竟
(
くつきやう
)
な
其
(
そ
)
の
客
(
きやく
)
は、
身震
(
みぶる
)
ひして、すつくと
立
(
た
)
つて、
内中
(
うちぢう
)
で
止
(
と
)
めるのも
肯
(
き
)
かないで、タン、ド、ドン!と
其
(
そ
)
の、
其處
(
そこ
)
の
蔀
(
しとみ
)
を
開
(
あ
)
けた。——
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それをきくと私は、子供の私は、
身震
(
みぶる
)
いするのを感じた。そこに行くには
八幡様
(
はちまんさま
)
の森の大樹の下を通らねばならない。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
吾輩はこの際限なき談話を中途で聞き棄てて、
布団
(
ふとん
)
をすべり落ちて椽側から飛び下りた時、八万八千八百八十本の毛髪を一度にたてて
身震
(
みぶる
)
いをした。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そよ風が暗い
木立
(
こだち
)
の中でざわざわと
身震
(
みぶる
)
いして、どこか地平のはるかな
彼方
(
かなた
)
では、まるで
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のように、
雷
(
かみなり
)
が腹立たしげな
鈍
(
にぶ
)
い声でぶつぶつ言っていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ちょうど、
悪寒
(
おかん
)
に
襲
(
おそ
)
われた
患者
(
かんじゃ
)
のように、
常磐木
(
ときわぎ
)
は、その
黒
(
くろ
)
い
姿
(
すがた
)
を
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
で、しきりに
身震
(
みぶる
)
いしていました。
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
神谷はその物音に、ゾッと
身震
(
みぶる
)
いしたが、見まいとしても見ぬわけにはいかぬ。再び眼をひらくと、すでに檻の扉はひらかれていた。弘子が掛金をはずしたのだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
くやしさに
鬼
(
をに
)
のやうな
顏
(
かほ
)
がいよいよ
鬼
(
をに
)
のやうに
醜
(
みにく
)
く、まつ
赤
(
か
)
になりました。ぶるぶると
身震
(
みぶる
)
ひしながら「うむむ、うむむ」と
何
(
なに
)
か
言
(
い
)
はうとしても
言
(
い
)
へないで
悶
(
もだ
)
えてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
海岸から
一側
(
ひとかわ
)
裏の通りだったその青い街燈は、よく見ると、波の音に時折
身震
(
みぶる
)
いをしていた。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白は思わず
身震
(
みぶる
)
いをしました。この声は白の心の中へ、あの恐ろしい黒の最後をもう一度はっきり浮ばせたのです。白は目をつぶったまま、元来た方へ逃げ出そうとしました。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして
格別
(
かくべつ
)
の
味
(
あぢ
)
だと
言
(
い
)
はんばかりに
喉
(
のど
)
を
鳴
(
な
)
らした。
寒
(
さむ
)
さも
寒
(
さむ
)
さだが、
自分
(
じぶん
)
の
眼玉
(
めだま
)
がたべられるなんて
聞
(
き
)
いたので、
思
(
おも
)
わずブルルッと
身震
(
みぶる
)
ひしたペンペは、さつそく
片方
(
かたほう
)
の
眼玉
(
めだま
)
をたべてみた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
身震
(
みぶる
)
ひするやうな恐怖に續いて、激しい
哀
(
かな
)
しみの戰慄が全身を走つた。そして、一つの願ひが生れた——私は、ヘレンに
會
(
あ
)
はなければならない。そこで、私は彼女の寢かされてゐる室を
訪
(
たづ
)
ねた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
變
(
かは
)
れば
現在
(
げんざい
)
、
夫
(
をつと
)
の
見
(
み
)
る
前
(
まへ
)
。
婦人
(
ふじん
)
は
身震
(
みぶる
)
ひして
飛退
(
とびの
)
かうとするのであつたが、
輕
(
かる
)
く
撓柔
(
しなやか
)
に
背
(
せ
)
にかかつた
手
(
て
)
が、
千曳
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
の
如
(
ごと
)
く、
千筋
(
ちすぢ
)
の
絲
(
いと
)
に
似
(
に
)
て、
袖
(
そで
)
も
襟
(
えり
)
も
動
(
うご
)
かばこそ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ジナイーダのキスの
感触
(
かんしょく
)
も、顔一面にありありと残っていたので、わたしは興奮に
身震
(
みぶる
)
いしながら彼女の言葉を一つ一つ思い浮べたり、自分の思いがけない幸福を
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
は、
悲
(
かな
)
しい
歌
(
うた
)
をうたって
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
を
吹
(
ふ
)
いて、
木々
(
きぎ
)
のこずえは
身震
(
みぶる
)
いをしました。
永久
(
えいきゅう
)
に
静
(
しず
)
かな
北
(
きた
)
の
国
(
くに
)
の
野原
(
のはら
)
には、ただ
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
が
遠
(
とお
)
く
聞
(
き
)
こえてくるばかりでありました。
宝石商
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何とも云いようのない、——わたしはあの眼を思い出すと、今でも
身震
(
みぶる
)
いが出ずにはいられません。口さえ
一言
(
いちごん
)
も
利
(
き
)
けない夫は、その
刹那
(
せつな
)
の眼の中に、一切の心を伝えたのです。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの
猜疑心
(
さいぎしん
)
、あの執念、あの残虐、それらが悉く私の
執拗
(
しつよう
)
なる復讐心から生れたものだと知ったなら、私の読者達は恐らく、そこに
籠
(
こも
)
る妖気に
身震
(
みぶる
)
いを禁じ得なかったであろう。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わかった! とする大衆の
応
(
こた
)
えが、
鬨
(
とき
)
の声をなして、全山をどっと
身震
(
みぶる
)
いさせた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なにもこれに
対
(
たい
)
して、いうことができなかったのでした。そして、すぎの
木
(
き
)
のいうように、
今夜
(
こんや
)
にも、すさまじい
嵐
(
あらし
)
が
吹
(
ふ
)
きはしないかと
身震
(
みぶる
)
いしながら、
空
(
そら
)
を
仰
(
あお
)
いでいました。
雪くる前の高原の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
ひやうのない、——わたしはあの
眼
(
め
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すと、
今
(
いま
)
でも
身震
(
みぶる
)
ひが
出
(
で
)
ずにはゐられません。
口
(
くち
)
さへ
一言
(
ひとこと
)
も
利
(
き
)
けない
夫
(
をつと
)
は、その
刹那
(
せつな
)
の
眼
(
め
)
の
中
(
なか
)
に、一
切
(
さい
)
の
心
(
こころ
)
を
傳
(
つた
)
へたのです。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は眼に見えぬ
妖魔
(
ようま
)
を払いのけるように、ブルンと一つ
身震
(
みぶる
)
いして立ち上がった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そよ風かと思えば、そよ風でもない。さりとて、
身震
(
みぶる
)
いでもなく、いわばそれは何かの
息吹
(
いぶ
)
きか、それとも誰かが近づいてくる気配とでも言うか、そんな感じであった。……わたしは視線を落した。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
急
(
きふ
)
に
何
(
なん
)
だか
寂
(
さび
)
しく
成
(
な
)
つて、
酔
(
ゑひ
)
ざめのやうな
身震
(
みぶる
)
ひが
出
(
で
)
た。
急
(
いそ
)
いで、
燈火
(
ともしび
)
を
当
(
あて
)
に
駆下
(
かけお
)
りる、と
思
(
おも
)
ひがけず、
往
(
ゆき
)
には
覚
(
おぼ
)
えもない
石壇
(
いしだん
)
があつて、
其
(
それ
)
を
下切
(
おりき
)
つた
処
(
ところ
)
が
宿
(
やど
)
の
横
(
よこ
)
を
流
(
なが
)
れる
矢
(
や
)
を
射
(
ゐ
)
るやうな
谿河
(
たにがは
)
だつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
通
(
とお
)
りかかる
人々
(
ひとびと
)
は、
姉
(
あね
)
の
目
(
め
)
の
色
(
いろ
)
が
光
(
ひか
)
るのを
見
(
み
)
て、
思
(
おも
)
わずなんと
考
(
かんが
)
えてか、
近寄
(
ちかよ
)
ると
急
(
きゅう
)
に
水
(
みず
)
を
浴
(
あ
)
びたように
身震
(
みぶる
)
いをしました。
姉
(
あね
)
の
通
(
とお
)
るところには
冬
(
ふゆ
)
のような
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いたのです。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
階下の
輪転機
(
りんてんき
)
のまわり出す度にちょうど
小蒸汽
(
こじょうき
)
の船室のようにがたがた
身震
(
みぶる
)
いをする二階である。まだ
一高
(
いちこう
)
の生徒だった僕は寄宿舎の晩飯をすませた
後
(
のち
)
、度たびこの二階へ遊びに行った。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
敏感な人々は、たちまち事の真相を悟って
身震
(
みぶる
)
いを禁じ得なかった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
聞
(
き
)
くうちに、
坂上
(
さかがみ
)
は、ぶる/\と
身震
(
みぶる
)
ひした。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
どこを
見
(
み
)
ても
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
な
雪
(
ゆき
)
が
積
(
つ
)
もっていました。そして、
絶
(
た
)
えず
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、
身震
(
みぶる
)
いせずにはいられなかったのです。
夜
(
よる
)
になると、
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
がものすごく
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
を
照
(
て
)
らしました。
春がくる前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
保吉は突然
身震
(
みぶる
)
いをしながら、クッションの上に身を起した。今もまたトンネルを通り抜けた汽車は苦しそうに煙を吹きかけ吹きかけ、
雨交
(
あめまじ
)
りの風に
戦
(
そよ
)
ぎ渡った
青芒
(
あおすすき
)
の
山峡
(
やまかい
)
を走っている。……
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
引
(
ひ
)
き
息
(
いき
)
で
身震
(
みぶる
)
ひした。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
木立
(
こだち
)
は、それを
聞
(
き
)
くと、
自分
(
じぶん
)
も、じつに
寒
(
さむ
)
くなったように
身震
(
みぶる
)
いをしました。
美しく生まれたばかりに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それからほんの一瞬間、玄関の先に
佇
(
たたず
)
んでいた。が、
身震
(
みぶる
)
いを一つすると、ちょうど馬の
嘶
(
いなな
)
きに似た、気味の悪い声を残しながら、往来を
罩
(
こ
)
めた
黄塵
(
こうじん
)
の中へまっしぐらに走って行ってしまった。……
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これを
見
(
み
)
ると、
残忍
(
ざんにん
)
な
姉
(
あね
)
は、あまりのうれしさに
身震
(
みぶる
)
いがしたのです。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、その血塊は
身震
(
みぶる
)
いをすると、突然人間のように大声を挙げた。
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
不意
(
ふい
)
に、こう
呼
(
よ
)
びかけられたので、
太郎
(
たろう
)
は
思
(
おも
)
わず
身震
(
みぶる
)
いしました。
薬売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、あなたほど
美
(
うつく
)
しいとは
思
(
おも
)
いませんでした。
私
(
わたし
)
はどうなることかと
身震
(
みぶる
)
いをしていますと、『なんだ、こんなつまらないちょうか。』といって、その
人間
(
にんげん
)
は
私
(
わたし
)
をふたたび
自由
(
じゆう
)
にしてくれました。
ちょうと怒濤
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
広野
(
こうや
)
に
眠
(
ねむ
)
っている
遠近
(
おちこち
)
の
木立
(
こだち
)
は、みんな
身震
(
みぶる
)
いをしました。
角笛吹く子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
古
(
ふる
)
い
大
(
おお
)
きなひのきの
木
(
き
)
は
身震
(
みぶる
)
いをしました。
あらしの前の木と鳥の会話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
震
常用漢字
中学
部首:⾬
15画
“身”で始まる語句
身体
身
身上
身装
身扮
身體
身動
身長
身代
身悶