言譯いひわけ)” の例文
新字:言訳
それはひどい非難を受けて然るべきだ。それは言譯いひわけが立たないやうに見える。七十七度まで人をゆるすことが人間の義務なのだと云つても。
わたくしじつ貴方あなた御氣おきどくで」とせつなさうに言譯いひわけ半分はんぶんして、またそれなりだまつて仕舞しまつた。洋燈らんぷ何時いつものやうとこうへゑてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はらたずか言譯いひわけしながら後刻のち後刻のちにと行過ゆきすぎるあとを、一寸ちよつと舌打したうちしながら見送みおくつてのちにもいもんだもないくせ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あそすごしてつかすてしとは合點がてんゆかねど其方が打叩うちたゝかれても一言の言譯いひわけさへもせざりしゆゑ如何成いかなる天魔てんまみいりしかと今が今迄思ひ居たるに全く若旦那の引負を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『イヤそう眞面目まじめはれてはこまる。ぼく小兒こどもとき回想くわいさうして當時たうじ學校がくかうなつかしくおもふだけの意味いみつたのです』とハーバードはつみのない微笑びせううかべて言譯いひわけした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ヂュリ いきれてはれぬとやるほどなら、いきれてゐぬはずぢゃ。なんのかのと言譯いひわけしてゐやるのが肝腎かんじん一言ひとことよりながいわいの。これ、きつか、きょうか? はやや。
あゝ、馬鹿ばかことをした/\。わたくし失策しくじりで、貴方あなた日出雄少年ひでをせうねんころしたとなつては大佐閣下たいさかくか言譯いひわけがない、このびにはるか、らぬか、ひと命懸いのちがけで猛獸まうじうども追拂おつぱらつてるのだ。
店賃たなちん言譯いひわけばかり研究けんきうをしてないで、一生いつしやうに一自分じぶんいへへ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まア。うまい言譯いひわけをおつしやるのね」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
安井やすゐくろかみあぶらつて、目立めだほど奇麗きれいあたまけてゐた。さうしていま床屋とこやつてところだと言譯いひわけらしいことつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
言譯いひわけきくみゝはなし家賃やちんをさめるかたなけるかみちふたつぞ何方どちらにでもなされとぽんとはたくその煙管きせるうちわつてやりたいつらがまち目的もくてきなしに今日けふまでと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
決して恨んでたもるまい此場にのぞんで左右どうかう言譯いひわけするも大人氣おとなげなし永き苦しみさせるのも猶々不便が彌増いやませばと再度ふたゝび大刀だんびら振上ふりあげていざ/\覺悟と切付るやいばの下に鰭伏ひれふして兩手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かゝる孤島はなれじまことだから、御馳走ごちさういがと大佐たいさ言譯いひわけだが、それでも、料理方れうりかた水兵すいへい大奮發だいふんぱつよしで、海鼈すつぽん卵子たまご蒸燒むしやきや、牡蠣かき鹽煑しほにや、俗名ぞくめう「イワガモ」とかいふこのしま澤山たくさんかも
「いや御覽ごらんごと亂雜らんざつ有樣ありさまで」と言譯いひわけらしい返事へんじをしたが、それをいとくちに、子供こども世話せわけて、おびただしくかゝことなどを色々いろ/\宗助そうすけはなしてかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なんなりとおつしやれ、言譯いひわけのちにしまするとてりてけば彌次馬やぢうまがうるさいとをつける、うなり勝手かつてはせませう、此方こちら此方こちら人中ひとなかけてともなひぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かたり取しに相違無し言譯いひわけなさに此打擲ちやうちやくかたりめ/\奸賊かんぞくめと大音じやうのゝしれば長庵増々ます/\いかりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はれるにつけてなん言譯いひわけ理由りゆうもなく、口惜くやしきかかなしきかはづかしきか無茶苦茶むちやくちやいてかほもあげぬを、おたみなほも何事なにごとをかいはんとするをりかどにとまるれいくるまおと
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きつはなして急催促きふさいそく言譯いひわけすべきほどもなくたちま表向おもてむきの訴訟沙汰そしようざたとはれりけるもと松澤まつざは數代すだい家柄いへがら信用しんようあつければ僅々きん/\せん二千にせんかね何方いづかたにても調達てうたつ出來得できうべしと世人せじんおもふは反對うらうへにて玉子たまご四角しかくまだ萬國博覽曾ばんこくはくらんくわいにも陳列ちんれつ沙汰さた
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)