茶色ちやいろ)” の例文
ドカリ——洗面所せんめんじよかたなる、どあつた、茶色ちやいろかほが、ひよいと立留たちどまつてぐいと見込みこむと、ちや外套ぐわいたうう、かたはすつたとおもふと
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卯平うへいもとより親方おやかたからうち容子ようすやおつぎの成人せいじんしたことや、隣近所となりきんじよのこともちくかされた。卯平うへいくぼんだ茶色ちやいろあたゝかなひかりたたへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
君勇きみゆう』とか『秀香ひでか』とか、みやこ歌妓うたひめめた茶色ちやいろみじか暖簾のれんが、のきわたされて、緋毛氈ひまうせん床几しようぎ背後うしろに、赤前垂あかまへだれをんなが、甲高かんだかこゑしぼつてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
にはとりとうさんをかけるたび挨拶あいさつします。ときにはにはとりはお友達ともだちのしるしにとつて、しろはね茶色ちやいろはねけたのをとうさんにいてつてれることもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こたへて、茶色ちやいろのスエエタアをた、まるまるふとつたからだをよちよちさせながら、敏樹としきべつちひさなまりげた。が、見當けんたうはづれて、それはをつとよこへそれてしまつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
素燒すやきでありますけれども、くろずんだ茶色ちやいろいぶされたのがおほいのです。そしてそのつちしつこまかいすなや、ときには大粒おほつぶすながまじつてゐるために平均へいきんしてをりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
北海道ほつかいどうくまは、みんなあかぐま種類しゆるい内地ないちんでゐるくまとはちがひます。からだ全體ぜんたいくろかほだけが茶色ちやいろのや、かたからむねしろまだらのあるのもゐます。木登きのぼりも水泳みづおよぎも非常ひじよう上手じようずです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
わたしうち近所きんじよに、それは綺麗きれいいぬてよ、おまへせてやりたいわ!可愛かあいすゞしいをした獵犬かりいぬよ、つてゝ、こんなにながちゞれた茶色ちやいろの!なんでもげてやるとつててよ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
奇麗きれい茶色ちやいろ瓦斯暖爐ガスストーヴにはがまだいてなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しか卯平うへい僅少きんせう厚意こういたいしてくぼんだ茶色ちやいろしがめるやうにして、あらひもせぬから兩端りやうはしちひさなあな穿うがつてすゝるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ちや外套氏ぐわいたうし大欠伸おほあくびをしてきた。口髯くちひげ茶色ちやいろをした、けた人物じんぶつで、ズボンをはだけて、どつかと居直ゐなほつて
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その石器せつきにはあまかはりはありませんが、たゞ石庖丁いしほうちようだとかゑぐりのある石斧せきふなどが、どちらかといふとおほます。これは、まへくろずんだいろ土器どきとはことなつて、たゞの茶色ちやいろ土器どきです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
卯平うへいはさうするとまたのつそりとものうげに身體からだ戸口とぐちまでうごかして與吉よきちわたしてやる。與吉よきちは一さんけて菓子くわしもとめにく。卯平うへいくぼんだ茶色ちやいろあとひとりしがんだやうにるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うら田圃たんぼを、やますそから、あかざつゑいて、畝路あぜみちづたひに、わたし心細こゝろぼそそらくもります、離座敷はなれざしきへ、のそ/\とはひつてました、ひげしろい、あかがほの、たかい、茶色ちやいろ被布ひふ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半纏はんてんいだあとで、ほゝかぶりをつて、ぶらりとげると、すぐに湯氣ゆげとともにしろかたまるこしあひだけて、一個いつこたちまち、ぶくりといた茶色ちやいろあたまつて、そしてばちや/\とねた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
透間すきまいたちがちよろりとのぞくやうに、茶色ちやいろ偏平ひらつたつらしたとうかゞはれるのが、もぞり、がさりとすこしづゝはひつて、ばさ/\とる、とおほきさやがて三俵法師さんだらぼふしかたちたもの、だらけの凝團かたまり
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すきかぜとともに、すつと茶色ちやいろ飛込とびこんだものがある。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ツて、ニヤリと茶色ちやいろせてわらつたさうです……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)