トップ
>
自
>
おのづか
ふりがな文庫
“
自
(
おのづか
)” の例文
六月十二日、予は独り新富座に
赴
(
おもむ
)
けり。去年今月今日、予が手に
仆
(
たふ
)
れたる犠牲を思へば、予は観劇中も
自
(
おのづか
)
ら会心の微笑を禁ぜざりき。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
馬
(
むま
)
に
角
(
つの
)
なく
鹿
(
しか
)
に
※
(
たてがみ
)
なく
犬
(
いぬ
)
は
※
(
にやん
)
と
啼
(
な
)
いてじやれず
猫
(
ねこ
)
はワンと
吠
(
ほ
)
えて
夜
(
よ
)
を
守
(
まも
)
らず、
然
(
しか
)
れども
自
(
おのづか
)
ら
馬
(
むま
)
なり
鹿
(
しか
)
なり
犬
(
いぬ
)
なり
猫
(
ねこ
)
なるを
妨
(
さまた
)
けず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
その或る者は労少なくして
酬
(
むくい
)
多く、而して其の功も亦た多し、
斯
(
かく
)
の如きものに対しては、志願者の数も
自
(
おのづか
)
ら多からざるを得ず。
主のつとめ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
然し吾々は人の家を
訪
(
と
)
うた時、座敷の床の間に其の家伝来の書画を見れば何となく奥床しく
自
(
おのづか
)
ら主人に対して敬意を深くする。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
財
(
かね
)
の有る奴で評判の
好
(
え
)
えものは一人も無い、その通じやが。お前は学者ぢやから
自
(
おのづか
)
ら心持も違うて、
財
(
かね
)
などをさう
貴
(
たつと
)
いものに思うてをらん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
さうして真の礼儀と規律とが君の現在の禁慾的生活に
自
(
おのづか
)
らなる良き整形を為す。かうして此の愛の詩集が生れたのである。
愛の詩集:02 愛の詩集のはじめに
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
さうして真の礼儀と規律とが君の現在の禁慾的生活に
自
(
おのづか
)
らなる良き整形を為す。かうして此の愛の詩集が生れたのである。
愛の詩集:03 愛の詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
野狐は遠い闇の中に鳴き、数千の不吉な物の響は、沈黙の中から
自
(
おのづか
)
ら生れて来る。遂にセラピオンの鶴嘴は、柩を打つた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
また諸〻の自然のみ、
自
(
おのづか
)
ら完き
意
(
こゝろ
)
の中に
齊
(
とゝのへ
)
らるゝにあらずして、かれらとともにその安寧もまた
然
(
しか
)
せらる 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
勿論その若僧は彼自身も買手であるといふ共同の利益の爲に
自
(
おのづか
)
ら義憤を發したのであらう。けれども自分に取つては彼の一言は手痛く胸に響いた。
貝殻追放:011 購書美談
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
今まで一筋の道をのみ走りし知識は、
自
(
おのづか
)
ら綜括的になりて、同郷の留学生などの大かたは、夢にも知らぬ境地に到りぬ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
が、このひとゝきは、
自
(
おのづか
)
ら生じた何故とも知らぬ深い大きい溜息で破られ、彼の魂に不快な暗い陰影が生じて来た。
二人の男
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
何に驚きてか、垣根の蟲、
礑
(
はた
)
と泣き止みて、空に
時雨
(
しぐ
)
るゝ落葉
散
(
ち
)
る響だにせず。
良
(
やゝ
)
ありて瀧口、顏色
和
(
やは
)
らぎて握りし拳も
自
(
おのづか
)
ら緩み、只〻
太息
(
といき
)
のみ深し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
(三六)
亢
(
かう
)
を
批
(
う
)
ち
虚
(
きよ
)
を
擣
(
つ
)
き、
(三七)
形
(
かたち
)
格
(
そむ
)
き
勢
(
いきほひ
)
禁
(
きん
)
ずれば、
則
(
すなは
)
ち
自
(
おのづか
)
ら
爲
(
た
)
めに
解
(
と
)
けん
耳
(
のみ
)
。
今
(
いま
)
梁
(
りやう
)
・
趙
(
てう
)
・
相攻
(
あひせ
)
む。
輕兵
(
けいへい
)
鋭卒
(
えいそつ
)
、
必
(
かなら
)
ず
外
(
そと
)
に
竭
(
つ
)
き、
(三八)
老弱
(
らうじやく
)
内
(
うち
)
に
罷
(
つか
)
れん。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
われはその
自
(
おのづか
)
ら感動するを
以爲
(
おも
)
へり。夫人は呼吸の安からざるを覺えけん、
領
(
えり
)
のめぐりなる紐一つ解きたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼の狂暴ないら立たしい心持は、この家へ移つて来て後は、
漸
(
やうや
)
く、彼から去つたやうであつた。さうして秋近くなつた今日では、彼の気分も
自
(
おのづか
)
ら平静であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
つくろひなき
正
(
しよう
)
の
處
(
ところ
)
こ〻もとに
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
すてゝかへる
事
(
こと
)
のをしくをしく、
別
(
わか
)
れては
顏
(
かほ
)
も
見
(
み
)
がたき
後
(
のち
)
を
思
(
おも
)
へば、
今
(
いま
)
より
胸
(
むね
)
の
中
(
なか
)
もやくやとして
自
(
おのづか
)
ら
氣
(
き
)
もふさぐべき
種
(
たね
)
なり。
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其
(
その
)
扉
(
とびら
)
は
自然
(
しぜん
)
に
閉
(
と
)
ぢ、
艇
(
てい
)
の
再
(
ふたゝ
)
び
海面
(
かいめん
)
に
浮
(
うか
)
ばんとするや、
其
(
その
)
扉
(
とびら
)
は
忽然
(
こつぜん
)
として
自
(
おのづか
)
ら
開
(
ひら
)
くやうになつて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何だかいつもと違つた
雰囲気
(
ふんゐき
)
の中へ、一人で飛び込んだやうな気さへした。いつもは連中の顔さへ見れば、
自
(
おのづか
)
ら機智がほどけて来る唇さへ、何となく閉ざされてあつた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
(
嫌
(
いや
)
ですことねえ、)と
何
(
なに
)
とも
着
(
つ
)
かぬことを
謂
(
い
)
つたのであるが、
其間
(
そのかん
)
の
消息
(
せうそく
)
自
(
おのづか
)
ら
神契
(
しんけい
)
默會
(
もくくわい
)
。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
魚沼郡の内にて縮をいだす事一様ならず、村によりて
出
(
いだ
)
す
品
(
しな
)
にさだめあり。こは
自
(
おのづか
)
らむかしより其
品
(
しな
)
にのみ
熟練
(
じゆくれん
)
して
他
(
ほか
)
の
品
(
しな
)
に
移
(
うつ
)
らざるゆゑ也。其所その品を
産
(
いだ
)
す事左のごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
〔譯〕
堯舜
(
げうしゆん
)
文王は、其の
遺
(
のこ
)
す所の
典謨
(
てんぼ
)
訓誥
(
くんかう
)
、皆以て萬世の法と爲す可し。何の
遺命
(
いめい
)
か之に
如
(
し
)
かん。
成
(
せい
)
王の
顧命
(
こめい
)
、
曾
(
そう
)
子の善言に至つては、賢人の
分
(
ぶん
)
上
自
(
おのづか
)
ら
當
(
まさ
)
に此の如くなるべきのみ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
此書
(
これ
)
は
有名
(
いうめい
)
なレウィス、キァロルと
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
の
筆
(
ふで
)
に
成
(
な
)
つた『アリス、アドヴェンチュアス、イン、ワンダーランド』を
譯
(
やく
)
したものです。
邪氣
(
あどけ
)
なき一
少女
(
せうぢよ
)
の
夢物語
(
ゆめものがたり
)
、
滑稽
(
こつけい
)
の
中
(
うち
)
自
(
おのづか
)
ら
教訓
(
けうくん
)
あり。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あとは人間が勝手に泳いで、
自
(
おのづか
)
ら
波瀾
(
はらん
)
が出来るだらうと思ふ、さうかうしてゐるうちに読者も作者も
此
(
この
)
空気にかぶれて
是等
(
これら
)
の人間を知る様になる事と信ずる、もしかぶれ
甲斐
(
がひ
)
のしない空気で
『三四郎』予告
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今交通の事を述へたる後に
熟考
(
じゆくかう
)
するに、一部落と他部落との間には、人々の多く
徃來
(
わうらい
)
する所、即ち多くの人に
蹈
(
ふ
)
まれて
自
(
おのづか
)
ら定まりたる道路の形を成せる所有りしならんとは推知せらるるなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
自分で動かさうと思つて動かしたのではないけれど、
押石
(
おもし
)
をとれば
接木
(
つぎき
)
の枝が
刎
(
は
)
ねかへる様に、俺の感情も押石の理智が除かれたから、
自
(
おのづか
)
ら刎ねかへつて、その
恣
(
ほしいまま
)
な活動を起して来たのである。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
従つて
其
(
その
)
絵は
万花鏡
(
ばんくわきやう
)
を
覗
(
のぞ
)
く如く、活動写真を観た
後
(
あと
)
の心象の如く、大顕微鏡下に水中の有機体を
検
(
けみ
)
する如く、雑多な印象が
剪綵
(
せんさい
)
せられずに
其儘
(
そのまゝ
)
並べられて居るが、印象には
自
(
おのづか
)
ら強弱と明暗があるから
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ランプにむかへば
自
(
おのづか
)
ら合さる手と手
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
春雨椿自落 春雨 椿
自
(
おのづか
)
ら落ち
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
何とはなしに
自
(
おのづか
)
ら耳を澄せば
遠方
(
をちかた
)
に
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
心をとめて窺へば花
自
(
おのづか
)
ら教あり。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
教
(
をし
)
へずして
自
(
おのづか
)
ら
法
(
はふ
)
を
得
(
え
)
たり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
子を生みし後も宮が色香はつゆ
移
(
うつろ
)
はずして、
自
(
おのづか
)
ら
可悩
(
なやまし
)
き
風情
(
ふぜい
)
の
添
(
そは
)
りたるに、
夫
(
つま
)
が愛護の念は
益
(
ますます
)
深く、
寵
(
ちよう
)
は人目の
見苦
(
みぐるし
)
きばかり
弥
(
いよい
)
よ
加
(
くはは
)
るのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
藝術を愛さば強ひて人をして藝術を解せしめやうとする勿れ。唯だ解せんとするものをして、
自
(
おのづか
)
ら解せしむれば充分である。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
至粋は
自
(
おのづか
)
ら落つるところを撰まず、三保の松原に羽衣を脱ぎたる天人は漁郎の為に天衣を惜みたりしも、なほ駿河遊びの舞の曲を世に伝へけり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
かの
酒燈一穂
(
しゆとういつすゐ
)
、
画楼簾裡
(
ぐわろうれんり
)
に
黯淡
(
あんたん
)
たるの処、本多子爵と予とが
杯
(
はい
)
を含んで、満村を痛罵せし当時を思へば、予は今に至つて
自
(
おのづか
)
ら肉動くの感なきを得ず。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と冒頭の一句が
自
(
おのづか
)
ら示してゐるやうに、「伯爵の釵」も亦物語である。同時に又、あり得べからざる事を、あるが如くに物語る小説なのは勿論の事だ。
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
つくろひなき
正
(
しよう
)
の処ここもとに
唯
(
ただ
)
一人すててかへる事のをしくをしく、別れては顔も見がたき
後
(
のち
)
を思へば、今より胸の中もやくやとして
自
(
おのづか
)
ら気もふさぐべき種なり。
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
月を友なる怨聲は、若しや我が慕ひてし人にもやと思へば、一
期
(
ご
)
の哀れ
自
(
おのづか
)
ら催されて、ありし昔は
流石
(
さすが
)
に
空
(
あだ
)
ならず、あはれ、よりても合はぬ
片絲
(
かたいと
)
の我身の
運
(
うん
)
は是非もなし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
祈祷をしろ、断食をしろ、黙想に耽れ、さうすれば悪魔は
自
(
おのづか
)
ら離れるだらう。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
ダンスとプロレタリア! さう云ふ問題は、又
自
(
おのづか
)
ら別に存するだらう。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
(一七)
李耳
(
りじ
)
は
無爲
(
むゐ
)
にして
自
(
おのづか
)
ら
化
(
くわ
)
す、
清靜
(
せいせい
)
にして
自
(
おのづか
)
ら
正
(
ただ
)
し。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
心をとめて
窺
(
うかが
)
へば花
自
(
おのづか
)
ら教あり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
自
(
おのづか
)
らあたまが垂れる
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
さすがに今は貫一が見る
度
(
たび
)
の
憤
(
いかり
)
も弱りて、待つとにはあらねど、その定りて来る文の
繁
(
しげ
)
きに、
自
(
おのづか
)
ら他の悔い悲める宮在るを忘るる
能
(
あた
)
はずなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ユーモリストに到りては
自
(
おのづか
)
ら其趣を異にすれども、之とても亦た隠約の間に情熱を有するにあらざれば、戯言戯語の
価直
(
かち
)
を越ゆること能はざるべし。
情熱
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
予はかの獣心の巨紳を殺害するの結果、予の親愛なる子爵と明子とが、早晩幸福なる生活に入らんとするを思ひ、
自
(
おのづか
)
ら口辺の微笑を禁ずる事能はず。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
表通りに門戸を張ることの出来ぬ平民は大道と大道との間に
自
(
おのづか
)
ら彼等の棲息に適当した路地を作つたのだ。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
悉皆
(
しつかい
)
あやまりのやうに思はるれど言ふて聞かれぬものぞと
諦
(
あきら
)
めればうら悲しきやうに情なく、友
朋輩
(
ほうばい
)
は変屈者の意地わると目ざせども
自
(
おのづか
)
ら沈みゐる心の底の弱き事
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一月餘
(
ひとつきあまり
)
も過ぎて其年の春も暮れ、青葉の影に
時鳥
(
ほとゝぎす
)
の初聲聞く夏の初めとなりたれども、かゝる有樣の
悛
(
あらた
)
まる色だに見えず、はては十幾年の間、朝夕樂みし弓馬の稽古さえ
自
(
おのづか
)
ら怠り勝になりて
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
“自”を含む語句
自分
自然
自動車
自由
各自
自家
自己
自身
自暴自棄
自白
自然生
自惚
自宅
不自由
乗合自動車
耳面刀自
自若
自然薯
自儘
自鳴鐘
...