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築
>
つ
ふりがな文庫
“
築
(
つ
)” の例文
「どこへ
行
(
ゆ
)
くだ、辰さん。……長塚の工事は城を
築
(
つ
)
くような騒ぎだぞ。」「まだ通れないのか、そうかなあ。」店の女房も立って出た。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
地勢としての横浜は神奈川より
岸深
(
きしぶか
)
で、海岸にはすでに
波止場
(
はとば
)
も
築
(
つ
)
き
出
(
だ
)
されていたが、いかに言ってもまだ開けたばかりの港だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
城下の鉄砲
鍛冶
(
かじ
)
の
火土捏
(
ほどこ
)
ねをしていたのだ。左官職にひとしい泥だらけな手をして、
筒金
(
つつがね
)
を焼く火土を
築
(
つ
)
いたり
吹鞴
(
ふいご
)
の手伝いなどしていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで後から掃溜を覗いてみますと、玉子焼や重ね蒲鉾の喰い残しのような立派なものが山を
築
(
つ
)
くほど棄てて御座います。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ヘツヒの古名の
築
(
つ
)
き
竈
(
かまど
)
に転用せられたのも、新たに出来た語とは謂えぬが、クドも西日本ではおそらくは新語でなかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
極楽寺
(
ごくがくじ
)
は
光緒
(
くわうしよ
)
十二年に建てた支那の寺院で、山層を利用して幾段にも堂舎を
築
(
つ
)
き上げ、巨額の建築費を要したもの
丈
(
だけ
)
に規模は大きいが、中に安置した釈迦、
観音
(
くわんおん
)
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其西の行きどまりは
築
(
つ
)
き上げた品川堀の
堤
(
つつみ
)
の
藪
(
やぶ
)
だたみになって、其上から遠村近落の
樫
(
かし
)
の森や松原を
根占
(
ねじめ
)
にして、高尾小仏から甲斐東部の連山が隠見出没して居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
良兼の軍は馬も肥え人も勇み、
鎧
(
よろひ
)
の毛もあざやかに、旗指物もいさぎよく、弓矢、刀
薙刀
(
なぎなた
)
、いづれ美〻しく、
掻楯
(
かいだて
)
ひし/\と垣の如く
築
(
つ
)
き立てゝ、勢ひ猛に
壮
(
さか
)
んに見えた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
たとへ
七二
泉下
(
せんか
)
の人となりて、
七三
ありつる世にはあらずとも、其のあとをももとめて
七四
壠
(
つか
)
をも
築
(
つ
)
くべけれと、人々に志を告げて、
五月雨
(
さみだれ
)
のはれ
間
(
ま
)
に
七五
手をわかちて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
廣小路
(
ひろこうぢ
)
より
眺
(
なが
)
むるに、
石段
(
いしだん
)
を
下
(
お
)
り
昇
(
のぼ
)
る
人
(
ひと
)
のさま、さながら
蟻
(
あり
)
の
塔
(
とう
)
を
築
(
つ
)
き
立
(
た
)
つるが
如
(
ごと
)
く、
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
の
花
(
はな
)
に
衣類
(
きもの
)
の
綺羅
(
きら
)
をきそひて、
心
(
こゝろ
)
なく
見
(
み
)
る
目
(
め
)
には
保養
(
ほやう
)
この
上
(
うへ
)
も
無
(
な
)
き
景色
(
けしき
)
なりき
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
叔母の家は山に拠って高く
築
(
つ
)
きあげてありますから山里の暮れゆくのが見下されるのです。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
猪川の家は、石の重い、壁の厚い、支那式の家でありながら、壁に切りあけた窓と、四国の田舎にありそうな、石の
築
(
つ
)
き塀などによって、すぐ支那人の住家とは見分けがついた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
こうしてムクの歩み行く方向を見ると、暗い中でも物を見るに慣らされた眼が、ハッキリと、自分のこしらえた
生田
(
いくた
)
の森の
塀
(
へい
)
と、それから
築
(
つ
)
き出した
逆茂木
(
さかもぎ
)
へと続いて行きました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人足たちの住む
仮小舎
(
かりごや
)
を建て、灰焼場を建て、役所の建物を修繕したあとも、土入れと
地形
(
じぎょう
)
は続けられたし、南の浜の崩れた石垣を
築
(
つ
)
き直すには、もっと暇がかかりそうであった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
日本國は
女人
(
によにん
)
の國といふ國で、天照大神ともふす
女神
(
によしん
)
の
築
(
つ
)
きいだされた
島
(
しま
)
である。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
庭の方へ
築
(
つ
)
き出してある小さいヴェランダへ出て見ると、庭には一面に、大きい黄いろい
梧桐
(
ごとう
)
の葉と、小さい赤い山もみじの葉とが散らばって、ヴェランダから庭へ降りる石段の上まで
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
相手は
大勢
(
おおぜい
)
、蟠龍軒は
隙
(
すき
)
あらば逃げたいのは山々でござりますが、
四辺
(
あたり
)
は一面土手を
築
(
つ
)
いたる如く
立錐
(
りっすい
)
の余地もなく、石川土佐守殿は忍び姿で御出馬に相成り、与力は其の近辺を警戒して居ります。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
身方の背後に石垣を
築
(
つ
)
いて、相図をすれば打って出る
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
築
(
つ
)
きあまし
一二
誰
(
た
)
にかも依らむ
一三
。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
銅
(
あかゞね
)
の壁
築
(
つ
)
き上げて父の身を
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
路のべに 子らの
築
(
つ
)
きたる
短歌集 日まはり
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
まもりと
築
(
つ
)
きし城なれば
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
赤潮の
剣
(
つるぎ
)
は、炎の稲妻、黒潮の黒い旗は、黒雲の峰を
築
(
つ
)
いて、沖から
摚
(
どう
)
と浴びせたほどに、
一浦
(
ひとうら
)
の津波となって、田畑も家も山へ流いた。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四つの土塚がその境界に
築
(
つ
)
き立てられることになった。あるものは
洞
(
ほら
)
が
根
(
ね
)
先の大石へ見通し、あるものは向こう根の松の木へ見通しというふうに。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
西洞院
(
にしのとういん
)
四条の辻からぞろぞろ出て来た侍たちである。その横には、白壁で
築
(
つ
)
いた長い塀と宏壮な
腕木門
(
うでぎもん
)
があった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
骨
(
ほね
)
をひろひ
壠
(
つか
)
を
築
(
つ
)
きて
九五
塔婆
(
たふば
)
を
営
(
いとな
)
み、僧を迎へて
菩提
(
ぼだい
)
のことねんごろに
弔
(
とぶら
)
ひける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
然し与右衛門さんは
強慾
(
ごうよく
)
であるかわり、彼は
詐
(
うそ
)
を云わぬ。詐は
貨幣
(
かね
)
同様
(
どうよう
)
天下の
通
(
とお
)
り物である。都でも、田舎でも、皆それ/″\に詐をつく。多くの商売は詐に
築
(
つ
)
かれた
蜃気楼
(
しんきろう
)
と云ってもよい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そのお前さんが土や木の
束
(
たば
)
で
隄
(
つつみ
)
を
築
(
つ
)
くのも
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
銅
(
あかがね
)
の壁
築
(
つ
)
き上げて父の身を
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
御諸に
築
(
つ
)
くや
玉垣
(
たまかき
)
一一
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
指
(
ゆびさ
)
して、指の先で、男が
只瞻
(
ひたみは
)
りに瞻った瞳を、沼の片隅に墨で
築
(
つ
)
いた芭蕉の蔭へ、触って瞬かせるまで、動かさせて
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小使いの音吉が来て三尺四方ばかりの炉を新規に
築
(
つ
)
き上げてくれた頃、高瀬は先生の隣屋敷の方からここへ移った。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「なに。——分らんのか、眼に見えないか。信長の襲撃に備え、
塹壕
(
ざんごう
)
を掘り、やぐらを
築
(
つ
)
き、あれ見ろ、百姓どもの老幼まで、
加役
(
かえき
)
に徴発されて、働いておる
状
(
さま
)
を」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勝四郎、翁が
一四〇
高齢
(
よはひ
)
をことぶきて、次に
京
(
みやこ
)
に行きて心ならずも
逗
(
とど
)
まりしより、
前夜
(
さきのよ
)
のあやしきまでを
詳
(
つばら
)
にかたりて、翁が
壠
(
つか
)
を
築
(
つ
)
きて祭り給ふ
恩
(
めぐみ
)
のかたじけなきを告げつつも涙とどめがたし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
翌日は立派に土手が
築
(
つ
)
いてございました。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
本陣の勝手口の木戸をあけたところに
築
(
つ
)
いてある
土竈
(
どがま
)
からはさかんに枯れ松葉の煙のいぶるような朝が来た。
餅搗
(
もちつ
)
きの時に使う古い
大釜
(
おおがま
)
がそこにかかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そのまま、立直って、
徐々
(
そろそろ
)
と、も一度戻って、五段ばかり石を
築
(
つ
)
いた小高い格子戸の前を行過ぎた。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、薪を積み、釜下を
築
(
つ
)
き、火をつけるばかりにして待っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
實際
(
じつさい
)
、
遠
(
とほ
)
く
是
(
これ
)
を
望
(
のぞ
)
んだ
時
(
とき
)
は——もう
二三日
(
にさんにち
)
、
奧州
(
あうしう
)
の
旅
(
たび
)
に
馴
(
な
)
れて
山
(
やま
)
の
雪
(
ゆき
)
の
珍
(
めづら
)
しくない
身
(
み
)
も、
前途
(
ゆくて
)
に
偶
(
ふ
)
と
土手
(
どて
)
を
築
(
つ
)
いて
怪
(
あや
)
しい
白氣
(
はくき
)
の
伏勢
(
ふせぜい
)
があるやうに
目
(
め
)
を
欹
(
そばだ
)
てたのであつた。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて両村立ち合いの上で、かねて争いの場処である草山に土塚を
築
(
つ
)
き立てる日が来た。半蔵は馬籠の
惣役人
(
そうやくにん
)
と、百姓
小前
(
こまえ
)
のものを連れて、草いきれのする夏山の道をたどった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
可
(
よ
)
し、と
言
(
い
)
はれて、
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
けますと、
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
の
穴
(
あな
)
の
裡
(
うち
)
ではなかつたのです。すつくり
手
(
て
)
を
立
(
た
)
てたやうな
高
(
たか
)
い
峰
(
みね
)
の、
其
(
そ
)
の
上
(
うへ
)
にもう
一
(
ひと
)
つ
塔
(
たふ
)
を
築
(
つ
)
きました
臺
(
だい
)
の
上
(
うへ
)
に
居
(
を
)
りました。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この掘出されたという感じを強く与えるものは、町の往来に高く
築
(
つ
)
き上げてある雪の山だ。屋根から下す多量な雪を、人々が集って積み上げ積み上げするうちに、やがて人家の軒よりも高く成る。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二俣
(
ふたまた
)
の奥、
戸室
(
とむろ
)
の
麓
(
ふもと
)
、岩で城を
築
(
つ
)
いた山寺に、
兇賊
(
きょうぞく
)
籠
(
こも
)
ると知れて、まだ
邏卒
(
らそつ
)
といった時分、
捕方
(
とりかた
)
が
多人数
(
たにんず
)
、
隠家
(
かくれが
)
を取巻いた時、表門の
真只中
(
まっただなか
)
へ、その
親仁
(
おやじ
)
だと言います、六尺一つの
丸裸体
(
まるはだか
)
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これにぞ、気を得て、返す刀、列位の
黒道人
(
くろどうじん
)
に
切附
(
きりつ
)
けると、がさりと
葉尖
(
はさき
)
から崩れて来て、蚊帳を畳んだように落ちる。同時に前へ壁を
築
(
つ
)
いて、すっくと立つ青仙人を、腰車に
斬
(
き
)
って落す。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
根に軽く
築
(
つ
)
いた
草堤
(
くさづつみ
)
の蔭から、黒い髪が、
額
(
ひたい
)
が、鼻が、口が、おお、赤い帯が、おなじように、
揃
(
そろ
)
って、二人出て、
前刻
(
せんこく
)
の
姉妹
(
きょうだい
)
が、黙って……
襟肩
(
えりかた
)
で、少しばかり、極りが悪いか、むずむずしながら
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
踏切がこんもりと、草の中に乾いた川のように、こう高く土手を
築
(
つ
)
いた処で、その、
不性
(
ぶしょう
)
たらしい斑が、急に背筋に
畝
(
うね
)
を打って狂って飛上るんです。何だか
銜
(
くわ
)
えて、がりがり噛りながら狂うんですよ。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暴風雨
(
あらし
)
のために、一夜に出来た
砂堤
(
すなどて
)
なんです。お断りするまでもありませんが、打って寄せる浪の力で砂を
築
(
つ
)
き上げる、川も増水の
勢
(
いきおい
)
で、砂を流し流し、浪に
堰
(
せ
)
かれて、
相逆
(
あいさから
)
ってそこに砂を
装上
(
もりあ
)
げる。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
築
常用漢字
小5
部首:⽵
16画
“築”を含む語句
建築
築地
築土
築造
築墻
築上
築土垣
建築物
築地塀
新築
杵築
築泥
築港
修築
築出
築庭
築洲
築立
築地垣
築垣
...