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湯気
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ゆげ
ふりがな文庫
“
湯気
(
ゆげ
)” の例文
旧字:
湯氣
(雷と夕立はをんさいのからくり也)雲は
地中
(
ちちゆう
)
の
温気
(
をんき
)
より
生
(
しやう
)
ずる物ゆゑに其
起
(
おこ
)
る
形
(
かたち
)
は
湯気
(
ゆげ
)
のごとし、水を
沸
(
わかし
)
て
湯気
(
ゆげ
)
の
起
(
たつ
)
と同じ事也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
一
度
(
ど
)
、いったところであるから、
道
(
みち
)
を
迷
(
まよ
)
う
心配
(
しんぱい
)
もなかった。二
羽
(
わ
)
のすずめは、
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
えて、
湯気
(
ゆげ
)
の
立
(
た
)
ち
上
(
のぼ
)
る
温泉
(
おんせん
)
へついたのでした。
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかも、そこには、おなかにスモモやリンゴをつめて焼いたガチョウが、ほかほかと、おいしそうな
湯気
(
ゆげ
)
を立てているではありませんか。
マッチ売りの少女
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
半ば眠れる馬の
鬣
(
たてがみ
)
よりは
雨滴
(
しずく
)
重く
滴
(
したた
)
り、その背よりは
湯気
(
ゆげ
)
立ちのぼり、
家鶏
(
にわとり
)
は荷車の陰に隠れて
羽翼
(
はね
)
振るうさまの
鬱陶
(
うっとう
)
しげなる
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
家々では大
提燈
(
ちょうちん
)
を出して店の灯を明るくした。酒屋はせわしげで、
蕎麦屋
(
そばや
)
は火をおこし、おでんの屋台はさかんに
湯気
(
ゆげ
)
をたてた。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
山中の茶店などであろうか、蒸し上った饅頭の
湯気
(
ゆげ
)
が、濛々と春日の空へ
立騰
(
たちのぼ
)
る、あたりに桜が咲いている、という光景である。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
先生はこの日あたりの
好
(
い
)
い
室
(
へや
)
の中へ大きな火鉢を置いて、
五徳
(
ごとく
)
の上に懸けた
金盥
(
かなだらい
)
から立ち
上
(
あが
)
る
湯気
(
ゆげ
)
で、
呼吸
(
いき
)
の苦しくなるのを防いでいた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
といっているとき、部屋の中からは、一人の役人が、頭から
湯気
(
ゆげ
)
を立てて、まるで
茹
(
う
)
で
蛸
(
だこ
)
のような真赤な顔で飛び出してきた。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手許
(
てもと
)
の
火鉢
(
ひばち
)
に
載
(
の
)
せた
薬罐
(
やかん
)
からたぎる
湯気
(
ゆげ
)
を、千
切
(
ぎ
)
れた
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の
片脚
(
かたあし
)
のように、
頬
(
ほほ
)
を
引
(
ひ
)
ッつらせながら、
夢中
(
むちゅう
)
で
吸
(
す
)
い
続
(
つづ
)
けていたのは
春重
(
はるしげ
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
懐
(
ふところ
)
に抱いて
温
(
ぬく
)
めたがそれでも容易に温もらず佐助の胸がかえって冷え切ってしまうのであった入浴の時は
湯殿
(
ゆどの
)
に
湯気
(
ゆげ
)
が
籠
(
こも
)
らぬように冬でも窓を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そしてそのままじっと鉄びんから立つ
湯気
(
ゆげ
)
が電燈の光の中に多様な
渦紋
(
かもん
)
を描いては消え描いては消えするのを見つめていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
まん中の大きな
釜
(
かま
)
からは
湯気
(
ゆげ
)
が
盛
(
さか
)
んにたち、農夫たちはもう
食事
(
しょくじ
)
もすんで、
脚絆
(
きゃはん
)
を
巻
(
ま
)
いたり
藁沓
(
わらぐつ
)
をはいたり、はたらきに出る
支度
(
したく
)
をしていました。
耕耘部の時計
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
つまり紙の上に載っていた緑茶の精気が、紙を透した
湯気
(
ゆげ
)
に
蒸
(
む
)
されて、白湯の中に浸み込んでいるのだそうですが……。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから三日目、はじめて弁当をもって本校へゆく松江は、
納戸
(
なんど
)
にねている母親に注意されながら、
湯気
(
ゆげ
)
の出ている御飯を釜から弁当箱につめた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
小桶からは
湯気
(
ゆげ
)
が立ち
升
(
のぼ
)
っている。
縁側
(
えんがわ
)
を戸口まで忍び寄って障子を開く時、持って来た小桶を下に置いたのであろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
燈
(
ひ
)
も
夢
(
ゆめ
)
を
照
(
て
)
らすやうな、
朦朧
(
まうろう
)
とした、
車室
(
しやしつ
)
の
床
(
ゆか
)
に、
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
く
立
(
た
)
ち、
颯
(
さつ
)
と
青
(
あを
)
く
伏
(
ふさ
)
つて、
湯気
(
ゆげ
)
をふいて、ひら/\と
燃
(
も
)
えるのを
凝然
(
じつ
)
と
視
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ると、
何
(
ど
)
うも
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この
両個
(
ふたつ
)
は毎日、頭から
湯気
(
ゆげ
)
を出して——これは形容ではない、文字通り、その時は湯気を出していたのでしょう——高さにおいての競争で際限がない。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、彼女等は、擂鉢の底の
湯気
(
ゆげ
)
の中を、バチャバチャと跳ね廻りながら、あののどかな歌を合唱するのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と
良人
(
をつと
)
も自分に云つて居た。マカロニが
湯気
(
ゆげ
)
を立てて来た。星が
踊場
(
をどりば
)
の
灯
(
ひ
)
のやうに上に白く数多く輝いて居る。そしてそれの余り遠いのを笑止に思つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
といって、
置
(
お
)
いて行きました。
小僧
(
こぞう
)
はふろしき
包
(
づつ
)
みを
持
(
も
)
ち
上
(
あ
)
げてみますと、中から
温
(
あたた
)
かそうな
湯気
(
ゆげ
)
が
立
(
た
)
って、ぷんとおいしそうな
匂
(
にお
)
いがしました。
小僧
(
こぞう
)
は
和尚さんと小僧
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そのとなりで、赤くゆであげられた
海老
(
えび
)
のようなものが威勢よく
鋏
(
はさみ
)
をのばし、
山蘭
(
やまらん
)
の花をうかせたどろりとしたスープが
手
(
て
)
コップの中で
湯気
(
ゆげ
)
をあげている。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこへ客か何か来たのであろう、
鶴
(
つる
)
よりも年上の女中が一人、
湯気
(
ゆげ
)
の立ちこめた
硝子障子
(
ガラスしょうじ
)
をあけると、
石鹸
(
せっけん
)
だらけになっていた父へ
旦那様
(
だんなさま
)
何とかと声をかけた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
横腹は破れ、殺されて
間
(
ま
)
もなきにや、そこよりはまだ
湯気
(
ゆげ
)
立てり。祖父の曰く、これは狼が食いたるなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
さて、これまで申したことは、ついこないだ、それこそ
湯気
(
ゆげ
)
の立つほやほやの口からきいたお話ですよ。
ブレーメンの町楽隊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そこでわたしは
褌
(
ふんどし
)
ひとつになって仕切りのガラス戸を明けると、窓が閉めきってあるから
湯気
(
ゆげ
)
が立ちこめていて、陽射しがもやもやした縞模様をつくっていました。
浴槽
(新字新仮名)
/
大坪砂男
(著)
テーブルの上には
湯気
(
ゆげ
)
が立つスープ、コーンビーフ、小鳥やき、チーズ、ゼリー、水をわったぶどう酒などがある。一同は腹がはちきれるまで食べたり飲んだりした。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
へとへとになった馬のからだからも、
熱
(
あつ
)
い
息
(
いき
)
をはく馬の
鼻
(
はな
)
からも、こおった
湯気
(
ゆげ
)
がふうふうたっている。かさかさした雪をふみしだく
蹄鉄
(
ていてつ
)
が、
敷石
(
しきいし
)
にあたって
鳴
(
な
)
りわたる。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
その
蓋
(
ふた
)
を開けた時にでも通りかかると、そこら中は
湯気
(
ゆげ
)
で、ちっとも見えません。それくらい量が多いのです。お酉様は早くから参るのですから、前日から支度をします。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
檜谷
(
ひのきだに
)
いちめんの
暗緑色
(
あんりょくしょく
)
な
木立
(
こだち
)
のあいだから、白い
硝煙
(
しょうえん
)
が
湯気
(
ゆげ
)
のようにムクムクと
大気
(
たいき
)
へのぼる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当惑
(
とうわく
)
顔を突き合わせていると、ちょうど湯殿のうらで、
櫺子窓
(
れんじまど
)
の隙間からほのぼのと
湯気
(
ゆげ
)
が逃げて誰か
入浴
(
はい
)
っているようす、ポシャリ、ポシャリ、忍びやかに湯を使う音がする。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
登山してから三日目の夕刻、一同は
唯
(
と
)
ある
大樹
(
たいじゅ
)
の下に
屯
(
たむろ
)
して
夕飯
(
ゆうめし
)
を
焚
(
た
)
く。で、もう
好
(
よ
)
い頃と一人が釜の
蓋
(
ふた
)
を明けると、
濛々
(
もうもう
)
と
颺
(
あが
)
る
湯気
(
ゆげ
)
の白き
中
(
なか
)
から、
真蒼
(
まっさお
)
な人間の首がぬツと出た。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
女房が新兵衛と顔を見合わせて笑うようすは、
直覚的
(
ちょっかくてき
)
に自分の満足をそそるのであった。
鉄瓶
(
てつびん
)
の口から
湯気
(
ゆげ
)
の吹くのを見て女房は「今つれて来てあげるからね。」と笑いながらたった。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それは
後悔
(
こうかい
)
でもあり、
自嘲
(
じちょう
)
でもあり、
怒
(
いか
)
りでもあった。かれは浴室に立ちこめた
濃
(
こ
)
い
湯気
(
ゆげ
)
の中にじっと
裸身
(
らしん
)
を
据
(
す
)
え、ながいこと、だれの眼にも見えない
孤独
(
こどく
)
の
狂乱
(
きょうらん
)
を演じていたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
湯気
(
ゆげ
)
を強く吹かせて火を消さうとするときに火を消してしまはない、そして火を細めてから三十分間放置しておくと、鍋の底は少しく
狐
(
きつね
)
こげに焦げて飯は誠に工合よく出来あがるのであつた。
日本媼
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この黒い物を撮み上げた小栓はしばらく眺めている
中
(
うち
)
に自分の命を持って来たような、いうにいわれぬ奇怪な感じがして、恐る恐る二つに割ってみると、黒焦げの皮の中から白い
湯気
(
ゆげ
)
が立ち
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
痩
(
や
)
せた
肩
(
かた
)
に
湯気
(
ゆげ
)
が立つ。ピシ、ピシと
敲
(
たた
)
かれ、悲鳴をあげ、空を
噛
(
か
)
みながら、やっと渡ることができる。それまでの苦労は実に大変だ。
彼
(
かれ
)
は見ていて胸が痛む。轍の音がしばらく耳を
離
(
はな
)
れないのだ。
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
らんの根もとには
卵
(
たまご
)
のからがふせてあって、それに道のほこりがつもって、うそ寒いように見えました。しかし、店の中は、すりガラスでよくは見えませんが、あたたかそうな
湯気
(
ゆげ
)
がたっています。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
まもなく、あたたかいおつけとご
飯
(
はん
)
をおかみさんがもって来てくれました。清造は、なん日目かというより、もういく月目かで、そんなにあたたかい
湯気
(
ゆげ
)
の立つ、おつけのおわんを手にしたのでした。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
雪ふかしここの
谿間
(
たにま
)
の湯の宿の
湯気
(
ゆげ
)
のこもりによくぬくもらむ
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
湯気
(
ゆげ
)
の
籠
(
こも
)
った
狭
(
せま
)
い銭湯の中で、村の人々はこうした
噂
(
うわさ
)
をした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
湯気
(
ゆげ
)
がやはらかに、顔にかかれり。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「みんな
湯気
(
ゆげ
)
になってしまった」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
立ち
昇
(
のぼ
)
る
茶碗
(
ちゃわん
)
の
湯気
(
ゆげ
)
の
紅葉晴
(
もみじばれ
)
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
汽笛の
湯気
(
ゆげ
)
は今いづこ
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
その傍に居る人の衣服がポッポッと
湯気
(
ゆげ
)
を出して乾燥中であるために殆んど飽和状態に近い湿度を記録したのでありましょう。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小
(
ちい
)
さな
火鉢
(
ひばち
)
にわずかばかりの
炭
(
すみ
)
をたいたのでは、
湯気
(
ゆげ
)
を
立
(
た
)
てることすら
不
(
ふ
)
十
分
(
ぶん
)
で、もとより
室
(
しつ
)
を
暖
(
あたた
)
めるだけの
力
(
ちから
)
はなかった。
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
じくじくと考えている彼の眼がきゅうに輝きだして、
湯気
(
ゆげ
)
を立てんばかりな平べったい脂手が、空を切って眼もとまらぬ手真似の
早業
(
はやわざ
)
を演ずる。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そんな、
妙
(
めう
)
な
間
(
ま
)
があつた。それだのに、
媚
(
なま
)
めかしい
湯気
(
ゆげ
)
の
形
(
かたち
)
は、
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
のやうに、
微
(
かすか
)
に
揺
(
ゆす
)
れつゝ
其
(
そ
)
のまゝであつた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その中に
湯気
(
ゆげ
)
のたっているおにぎりが三つと、ハムと、なま卵と、お茶のびんとが、ならべてありました。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そっと
覗
(
のぞ
)
いてみたら食物を
膳
(
ぜん
)
の上にあけて、口をつけて食べていたからというのがあり、また
湯殿
(
ゆどの
)
の
湯気
(
ゆげ
)
の中から、だらりと長い
尻尾
(
しっぽ
)
が見えたからというのもある。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
湯
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“湯気”で始まる語句
湯気出