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さかん
ふりがな文庫
“
壮
(
さかん
)” の例文
旧字:
壯
鰒
(
ふぐ
)
は多し、また
壮
(
さかん
)
に
膳
(
ぜん
)
に上す国で、魚市は言うにも及ばず、市内到る処の魚屋の店に、春となると、この
怪
(
あやし
)
い
魚
(
うお
)
を
鬻
(
ひさ
)
がない処はない。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
故に仏を奉ずる者の、三先生に応酬するが
如
(
ごと
)
き、
本
(
もと
)
是
(
これ
)
弁じ
易
(
やす
)
きの事たり。
膽
(
たん
)
を張り目を怒らし、手を
戟
(
ほこ
)
にし気を
壮
(
さかん
)
にするを要せず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
岡は国へ帰りたくないというような思い屈したものばかりでなく、何時でも血気
壮
(
さかん
)
な若々しいものを一緒に岸本の
許
(
もと
)
へ持って来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
第三、不尽の高く
壮
(
さかん
)
なる様を詠まんとならば、今少し力強き歌ならざるべからず、この歌の姿弱くして到底不尽に
副
(
そ
)
ひ申さず候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
こういう失敗は、良き教訓です。君はいま御年も
壮
(
さかん
)
なために、ともすれば血気強暴にはやり給い、呉の諸君は、為にみな、しばしば、心を
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
どう云ふ事情か、君が話してくれんから知れんけれど、君の躯は十分自重して、社会に立つて
壮
(
さかん
)
なる
働
(
はたらき
)
を
作
(
な
)
して欲いのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
われには少しもこの夜の送別会に加わらん心あらず、深き
事情
(
こころ
)
も知らでただ
壮
(
さかん
)
なる言葉放ち酒飲みかわして、宮本君がこの
行
(
こう
)
を送ると叫ぶも何かせん。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
松島海軍大佐をして愛妓花吉を待つに堪へざらしめたる湖月亭の宴会とは、
何某
(
なにがし
)
と言へる雑誌記者の、欧米漫遊を
壮
(
さかん
)
にする同業知人等の送別会なりけり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それから暫く山口の高等学校にいたが、遂に四高の独語教師となって十年の歳月を過した。金沢にいた十年間は私の心身共に
壮
(
さかん
)
な、人生の最もよき時であった。
或教授の退職の辞
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
人より先に登って来た南日君と私とは、杖に
凭
(
もた
)
れて雪の上に立ち停った。息を継ぐ間もあらせず「君、
壮
(
さかん
)
だな」と南日君がいう、「壮だな」と
鸚鵡
(
おうむ
)
返しに答える。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
初は
甚
(
ひど
)
く
吃驚
(
びっくり
)
したが、
能
(
よ
)
く研究して見ると、なに、父の
鼾
(
いびき
)
なので、
漸
(
やっ
)
と安心して、其儘再び眠ろうとしたが、
壮
(
さかん
)
なゴウゴウスウスウが耳に附いて中々
眠付
(
ねつか
)
れない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「忽得凶音読復疑。秋前猶有寄兄詞。」
田能村竹田
(
たのむらちくでん
)
が
杏坪
(
きやうへい
)
の老いて益
壮
(
さかん
)
なる状を記したのは此年である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
老いて益々
壮
(
さかん
)
なるものが在るのを一瞥の
裡
(
うち
)
に看取し合って、意を強うし合っているらしい。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
子あるまゝを塩引にしたるを
子籠
(
ここも
)
りといふ、古へのすはよりといひしも是ならんか。本草に
鮏
(
さけ
)
味
(
あぢ
)
はひ
甘
(
うま
)
く
微温
(
やはらか
)
毒
(
どく
)
なし、
主治
(
きゝみち
)
中
(
うち
)
を
温
(
あたゝ
)
め
気
(
き
)
を
壮
(
さかん
)
にす、多く
喰
(
くら
)
へば
痰
(
たん
)
を
発
(
おこ
)
すといへり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
世界を家とし老いて
益
(
ます/\
)
壮
(
さかん
)
なカアタア君は僕等の理想的老人だと告げたら、彼はエエス、エエスと云つて喜んで居た。彼は日本酒に酔ひ
乍
(
なが
)
ら卓上演説をなし、又明快な声で長篇の詩を朗詠した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「休むさ。学校なんか」と
擲
(
たた
)
きつけるように云ったのは
壮
(
さかん
)
なものだった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
壮
(
さかん
)
なるかなや、故国の運命を
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この図を
視
(
み
)
ながら、ちょんぼり
髯
(
ひげ
)
の亭主が、「えへへ、ご
壮
(
さかん
)
な
事
(
こつ
)
だい。」
勢
(
いきおい
)
の趣くところ、とうとう袴を
穿
(
は
)
いて、辻の角の(
安旅籠
(
やすはたご
)
)へ
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第三、不尽の高く
壮
(
さかん
)
なる
様
(
さま
)
を詠まんとならば今少し力強き歌ならざるべからず、この歌の姿弱くして到底不尽に
副
(
そ
)
い申さず候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
江
乃
(
すなわ
)
ち兵を率いて
滹沱
(
こだ
)
を渡り、
旗幟
(
きし
)
を張り、
火炬
(
かきょ
)
を挙げ、
大
(
おおい
)
に軍容を
壮
(
さかん
)
にして安と戦う。安の軍敗れ、安
還
(
かえ
)
って真定に走る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
慕蓉は兵を鼓舞するために、自身、城外の
鼓楼
(
ころう
)
へ
床几
(
しょうぎ
)
を移して、兵一人
宛
(
あ
)
てに酒三杯、肉まんじゅう二箇ずつを供与して、その
行
(
こう
)
を
壮
(
さかん
)
にした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれが支店の南洋にあるを知れる友らはかれ自らその所有の船に乗りて南洋に
赴
(
おもむ
)
くを怪しまぬも
理
(
ことわり
)
ならずや。ただひたすらその決行を
壮
(
さかん
)
なりと思えるがごとし。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
人並に血気は
壮
(
さかん
)
だったから、我より先に生れた者が、十年二十年世の塩を踏むと、百人が九十九人まで、
皆
(
みんな
)
じめじめと
所帯染
(
しょたいじ
)
みて了うのを見て、
意久地
(
いくじ
)
の無い奴等だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
貸座敷の高楼大厦とその
中
(
うち
)
にある
奴婢
(
ぬひ
)
臧獲
(
ぞうかく
)
とは、おいらんを奉承し装飾する
所以
(
ゆえん
)
の具で、貸座敷の主人はいかに色を
壮
(
さかん
)
にし威を振うとも
此等
(
これら
)
の雑輩に長たるものに過ぎない。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は
己
(
おのれ
)
が与へし男の不幸よりも、
添
(
そは
)
れぬ女の
悲
(
かなしみ
)
よりも、
先
(
ま
)
づその娘が意気の
壮
(
さかん
)
なるに感じて、あはれ、世にはかかる切なる恋の
焚
(
もゆ
)
る如き誠もあるよ、と
頭
(
かしら
)
は
熱
(
ねつ
)
し胸は
轟
(
とどろ
)
くなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『藤原温泉記行』に高倉山とあるものは、大方このタケクラを間違えた
誤
(
あやまり
)
であろうと思う。クラは上州殊に山地の方言で巌又は岩壁を意味している。タケは
壮
(
さかん
)
なる貌をいうのであろう。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
又
此
(
この
)
月は
仕合
(
しあは
)
せな事に二人の老
大家
(
だいか
)
の新作に接することが出来る。ルノワアル翁は既に
其
(
その
)
新作
許
(
ばか
)
りをジユラン・リユイルの店の数室に
陳
(
なら
)
べて居るが、何よりも
先
(
ま
)
づ老いて
益
(
ます/\
)
精力の
壮
(
さかん
)
なのに驚く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
と小宮山は友人の
情婦
(
いろ
)
ではあり、煩っているのが可哀そうでもあり、殊には血気
壮
(
さかん
)
なものの好奇心も手伝って、異議なく承知を致しました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
○いはゆる詩人といふ漢詩を作る仲間で、送別の詩などを大勢の人から貰ふてその行色を
壮
(
さかん
)
にするとかいふて喜んで居る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
驍将
(
ぎょうしょう
)
張球は、もっとも
壮
(
さかん
)
な軽兵五千をひっさげて、湖口より攻めかかり、背には沢山の投げ
炬火
(
たいまつ
)
を負わせて行った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
学を好み
経
(
けい
)
を治め、
其
(
そ
)
の家居するや
恂々
(
じゅんじゅん
)
として儒者の如く、
而
(
しか
)
も甲を
擐
(
ぬ
)
き馬に
騎
(
の
)
り
槊
(
ほこ
)
を横たえて陣に臨むや、
踔厲
(
たくれい
)
風発、大敵に
遇
(
あ
)
いて
益
(
ますます
)
壮
(
さかん
)
に、年十九より軍に従いて
数々
(
しばしば
)
偉功を立て
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
友
(
フレンド
)
が僕の身を
念
(
おも
)
うてくれて、社会へ打つて出て
壮
(
さかん
)
に働け、
一臂
(
いつぴ
)
の力を仮さうと言うのであつたら、僕は
如何
(
いか
)
に嬉からう! 世間に最も喜ぶべき者は
友
(
フレンド
)
、最も
悪
(
にく
)
むべき者は高利貸ぢや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其面
(
そのかお
)
を見ると、私は急に元気づいて、
例
(
いつ
)
になく
壮
(
さかん
)
に
饒舌
(
しゃべ
)
った。何だか皆が私の挙動に注目しているように思われてならなかった。無論友達は
家
(
うち
)
で
立際
(
たちぎわ
)
に私の泣いたことを知る筈はないから……
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
気懸
(
きがかり
)
なのはこればかり。
若干
(
いくら
)
か、お
銭
(
あし
)
にするだろう、と眼光
炬
(
きょ
)
のごとく、
賭物
(
かけもの
)
の天丼を照らした意気の
壮
(
さかん
)
なるに似ず、いいかけて早や物思う。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丁度二十余年前に当って居り、当時文化日に進みて、奢侈の風、月に長じたことは
分明
(
ぶんみょう
)
であり、文時が奢侈を禁ぜんことを請うの条には、方今高堂連閣、貴賎共に其居を
壮
(
さかん
)
にし、麗服美衣
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
身装
(
みなり
)
は構わず、
絞
(
しぼり
)
のなえたので見すぼらしいが、鼻筋の通った、
眦
(
めじり
)
の上った、意気の
壮
(
さかん
)
なることその
眉宇
(
びう
)
の間に
溢
(
あふ
)
れて、ちっともめげぬ立振舞。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえば
他
(
よそ
)
のは老い枯びたる人の肌の如く、これは若く
壮
(
さかん
)
なる人の面の如し。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……えゝ、
尤
(
もつと
)
も、
結核
(
けつかく
)
は、
喉頭
(
かうとう
)
から、もう
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
には
舌
(
した
)
までも
侵
(
をか
)
して
居
(
ゐ
)
たんださうですが。
鬼殻焼
(
おにがらやき
)
……
意気
(
いき
)
が
壮
(
さかん
)
なだけ
何
(
ど
)
うも
悲惨
(
ひさん
)
です。は、はア。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
血も
迸
(
ほとば
)
しらんばかり
壮
(
さかん
)
だった滝太郎の
面
(
おもて
)
を、つくづく見て、またその罪の数を
眗
(
みまわ
)
して、お兼はほっという息を
吐
(
つ
)
いた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浅草寺の鐘の声だと、身投げをすべき処だけれど、凡夫
壮
(
さかん
)
にして
真昼間
(
まっぴるま
)
午後一時、風は吹いても日和はよしと……どうしても両国を
乗越
(
のっこ
)
さないじゃ納まらない。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馴
(
な
)
れない
料理人
(
れうりにん
)
が、むしるのに、
幾
(
い
)
くらか
鎧皮
(
よろひがは
)
が
附着
(
くつゝ
)
いて
居
(
ゐ
)
たでせうか。
一口
(
ひとくち
)
触
(
さは
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
舌
(
した
)
が
切
(
き
)
れたんです。
鬼殻焼
(
おにがらやき
)
を
退治
(
たいぢ
)
ようと
言
(
い
)
ふ、
意気
(
いき
)
が
壮
(
さかん
)
なだけ
実
(
じつ
)
に
悲惨
(
ひさん
)
です。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
病人に代ってその人の意気の
壮
(
さかん
)
なのを語るのは、少くとも病魔退散の
祈祷
(
きとう
)
にもなろうと思う。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だから、面白かったと云うのか。……かったは
寂
(
さみ
)
しい、つまらない。
壮
(
さかん
)
に面白がれ、もっと面白がれ。さあ、糸を手繰れ、上げろ、引張れ。俺が、凧になって、
上
(
あが
)
ってやろう。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だから、面白かつたと云ふのか。……かつたは
寂
(
さみ
)
しい、つまらない。
壮
(
さかん
)
に面白がれ、もつと面白がれ。さあ、糸を
手繰
(
たぐ
)
れ、上げろ、引張れ。俺が、凧に成つて、
上
(
あが
)
つて遣らう。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの
窈窕
(
ようちょう
)
たるものとさしむかいで、野天で餡ものを突きつけるに至っては、刀の
切尖
(
きっさき
)
へ饅頭を貫いて、食え!……といった信長以上の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
です。
貴老
(
あなた
)
も意気が
壮
(
さかん
)
すぎるよ。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人の
児
(
こ
)
の母親で、その燃立つようなのは、ともすると
同一
(
おなじ
)
軍人好みになりたがるが、
垢
(
あか
)
抜けのした、意気の
壮
(
さかん
)
な、色の白いのが着ると、汗ばんだ
木瓜
(
ぼけ
)
の花のように
生暖
(
なまあたたか
)
なものではなく
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
框
(
かまち
)
に人の
跫音
(
あしおと
)
がしたが、
慌
(
あわただ
)
しく奥に来て、
壮
(
さかん
)
な激しい声は、沈んで力強く
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「大分
壮
(
さかん
)
になりましたな、おおん。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
恐
(
おッそ
)
るべく
壮
(
さかん
)
だなあ。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
壮
(
さかん
)
だ、壮だ。」
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
壮
常用漢字
中学
部首:⼠
6画
“壮”を含む語句
壮健
壮観
壮士
壮年
壮佼
壮丁
壮夫
壮漢
少壮
宏壮
悲壮
壮者
強壮
壮厳
御壮健
下冰壮夫
壮麗
勇壮
壮快
壮大
...