各々おの/\)” の例文
居室へやかへつてると、ちやんと整頓かたづいる。とき書物しよもつやら反古ほごやら亂雜らんざつきはまつてたのが、もの各々おの/\ところしづかにぼくまつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かれさへあらずば無事ぶじなるべきにと、各々おの/\わがいのちをしあまりに、そのほつするにいたるまで、怨恨うらみ骨髓こつずゐてつして、法華僧ほつけそうにくへり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
𤍠あついところからさむ地方ちほうくにつれて、そこに生育せいいくしてゐる樹木じゆもく種類しゆるいおよ森林しんりんかたち各々おの/\ことなつてゐる、とはいまはおはなししました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
なさばつひには首をも失はんされば汝等に此金を三百兩づつつかはし殘り五百兩は我が物となし此盜賊を止め此金子をもつて各々おの/\金堅氣かねかたぎたつき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
文「やア大分風が静かになって来た、これで天気になったらば、また助ける風も吹くであろう、死ぬも生きるも約束だ、各々おの/\しっかりしろよ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
各々おの/\してその術を人に伝へざるに、おなじ時おなじ村つゞきにておなじ火浣布の奇工きこうたるも一奇事なり、是文政四五年の間の事なりき。
し、ひと各々おの/\その仕事しごと專念せんねんなるときは』と公爵夫人こうしやくふじん咳嗄しわがれた銅鑼聲どらごゑつて、『世界せかいつねよりもすみやかに回轉くわいてんします』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
鎌倉行き、売る、売り物、三題話のやうな各々おの/\の生活——土地を売つた以上は郷里の妻子のところに帰るほかない。人間墳墓の地を忘れてはならない。
椎の若葉 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
此等これら樣々さま/″\化物思想ばけものしさう具體化ぐたいくわするのにどういふ方法はうはふもつてしてるかといふに、ときにより、くにによつて各々おの/\ことなつてゐて、一がい斷定だんていすること出來できない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
各々おの/\博物館はくぶつかんにはそれ/″\の特色とくしよくがあり、ものがわりあひに粗末そまつでも、陳列品ちんれつひんすぐれたものがおほいとか、陳列ちんれつ方法ほう/\いとか、いろ/\の事情じじようがあつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
各々おの/\つてゐるだらう、御城與力おしろよりき同心どうしんは、御城代ごじやうだい勤役中きんやくちうあづけおく、といふ上意じやういだが、町奉行まちぶぎやうへは與力よりき同心どうしん勤役中きんやくちうくだされおくといふ上意じやういになつてる。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
石斧製造いしおのせいざう必要ひつえうなる砂及び水は各々おの/\適宜てきたうなる大さの土器中にたくはへられしものと想像さうざうせらる。(續出)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
その夜二人ふたりは、各々おの/\の心のなかに響く子供の聲に、幾度となく目覺めて耳をすました。そしてあけやすい夏の空が白んだと思ふと、巍は飛び起きて部屋の戸をあけはなした。
(旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
各々おの/\も各々の意志によりたい。
傾ける殿堂 (新字旧仮名) / 上里春生(著)
各々おの/\してその術を人に伝へざるに、おなじ時おなじ村つゞきにておなじ火浣布の奇工きこうたるも一奇事なり、是文政四五年の間の事なりき。
いや、ところいた、……なんにせい、うへ各々おの/\らずに人頼ひとだのみぢや。たのむには、成程なるほどへんであらうかな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其の勢いに驚きのくらいの力かと安田はとてかなわぬと思って抜刀ぬきみを持ってばら/\にげると、弥次馬に、農業を仕掛けて居た百姓衆が各々おの/\すきくわを持って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しか各々おの/\臥所ふしどに入たりけるさて翌日よくじつにも成ければ武藏屋長兵衞并に長八は後藤先生へ尋ね行んと思ひ主人あるじの長兵衞へ何ぞ土産みやげをと相談さうだんしけるに長兵衞は遠方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御城與力おしろよりきは、御城代ごじやうだいあづかものだが町奉行まちぶぎやう與力よりき同心どうしんもらつたのだ。まり各々おの/\今日けふから、この但馬たじまもらものだ。もらものだから、かさうところさうと但馬たじま勝手かつてだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
きよ!』女王樣ぢよわうさまするどおほきなこゑまをされました。三にん園丁等えんていらたゞちにき、王樣わうさまと、女王樣ぢちわうさまと、皇子方わうじがたと、それから其他そのたものとに、各々おの/\辭儀じぎをしはじめました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
つまり樹木じゆもく各々おの/\いちばんてきする場所ばしよにあつてはじめて完全かんぜん繁殖はんしよくすることが出來できるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
各々おの/\その題目だいもくについてほか先生方せんせいがたはなされることになつてをりますから、わたし第一だいゝち美術びじゆつ歴史れきし考古こうこかんする博物館はくぶつかんうち、たゞ考古學こうこがくかんする博物館はくぶつかんのおはなしをこれからいたしませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
八右衞門きゝてなる程勘太郎とやらんうたがしきものなれども屹度きつと隱居を殺したりとも定難さだめがたし併し御吟味を願はゞ何か惡事有る者ならんが各々おの/\證人にならるゝとも此事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
喜「成程、それがよろしゅうござろう、各々おの/\文治殿には見知られぬよう気を付けてやって下さい」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
遠方ゑんぱうまでわざ/\出迎でむかへをけて、大儀たいぎであつた。何分なにぶん新役しんやくのことだから、萬事ばんじよろしくたのむ。しかしかうして、奉行ぶぎやうとなつてれば、各々おの/\與力よりき同心どうしんは、のやうにおもふ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そこ彼等かれらあいちやんに爭論さうろん繰返くりかへしてかせました、みんながのこらず各々おの/\一時いちじはなすので、それを一々いち/\正確せいかくることは、あいちやんにとつて非常ひじよう困難こんなんでありました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、各々おの/\その懷中くわいちうたいして、憤懣ふんまん不平ふへい勃々ぼつ/\たるものがある。したがつて氣焔きえんおびたゞしい。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴重きちよう尊用そんようはさら也、極品ごくひん誂物あつらへものは其しなよくじゆくしたる上手をえらび、何方いづく誰々たれ/\ゆびにをらるゝゆゑ、そのかずに入らばやとて各々おの/\わざはげむ事也。かゝる辛苦しんくわづかあたひため他人たにんにする辛苦しんく也。
今日はお蘭さんがおいでなすったを独りで寝かして、斯うやって大夫が各々おの/\と一所にうまい酒を呑もうと云うのに何の事だ、周玄さんお前なんざア是迄さんざ新造を瞞着して来たのだから、いゝや