はげ)” の例文
新字:
他の人に見咎みとがめられなば一大事と二足三足さりかけしが又振返りさしのぞ嗚呼あゝ我ながら未練みれんなりと心で心をはげましつゝ思ひ極めて立去けり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「とても。」私は感じ易い彼の虚榮心を甘やかしたくはなかつたけれど、一度だけ便宜の上から機嫌をとり、はげましさへしたのだつた。
伯父をぢさんの金米糖こんぺいたうはげまされて、とうさんもいしころのおほ山坂やまさかのぼつてきましたが、そのうちにれかゝりさうにつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かれひる寸暇すんかをもをしんで勞働らうどうをするので一つにはれがなべの仕事しごとはげないほど疲勞ひらうおぼえしめてるのでもあるが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そんな事を言ひながらも、言外にはげまし合つて、二人が百本杭へ行き着いたのは、やがて酉刻半むつはん(七時)近い時分でした。
『でも、あのやう澤山たくさんつては端艇たんていしづみませうに。』といふ、我身わがみ危急あやうきをもわすれて、かへつてあだひとうへ氣遣きづかこゝろやさしさ、わたくしこゑはげまして
この時淑女、あたかもあをざめていきはずむ子を、その心をば常にはげます聲をもて、たゞちになだむる母のごとく 四—六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その中で女優ばかりは誰もも評判がよかつた。皆が舞臺監督の云ふ事をよく聞いて稽古をはげんでゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
ともおもまたみづからはげましては、なんわけもなきこと、大英斷だいえいだん庭男にはをとことさへりしわれ此上このうへ出來できごと覺悟かくごまへなり、たゞあやふきは令孃ひめこヽろにて、首尾しゆびよくふみとヾきたりとも
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はじめにアンドレイ、エヒミチは熱心ねつしん其職そのしよくはげみ、毎日まいにちあさからばんまで、診察しんさつをしたり、手術しゆじゆつをしたり、ときには産婆さんばをもたのである、婦人等ふじんらみなかれ非常ひじやうめて名醫めいゝである、こと小兒科せうにくわ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
昌黎しやうれいいろはげましてしかつていはく、かくごときは、そも/\如何いかなることぞと、うばつてこれれば、しな有平糖あるへいたうかけらごとくにして、あらず、うつくしきもゝ花片はなびらなり。たなそこおとせば、ハラハラとひざる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たすたき一心に理も非もなく只々一生懸命に申立けるにぞ越州殿ゑつしうどのには何樣なにさま愍然びんぜんとは思はるれども故意わざと聲をはげまされて成程親の爲に一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は心をはげまして、彼が私の傍へ來たとき、無愛想にたづねた。「一體あなたは、誰と結婚しようと思つていらしたのです?」
そんなイヤなものでないことは、此家こゝに三日も泊つてゐればわかることだ。あしたに武藝をはげみ、ゆふべ孔孟こうまうの教へを聽く、修業の嚴しさも一と通り見て貰ひたい。
しかときあたらしいたはらの一つはつたなはからけて、こめたゝいてもいくらもなかつた。勘次かんじつぎとしにはほとん自分じぶん一人ひとり農事のうじはげまなくてはならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
覺悟かくご今更いまさらなみだ見苦みぐるしゝとはげますはことばばかりれまづはらまぶたつゆえんとするいのちさてもはかなし此處こゝ松澤まつざは新田につた先祖累代せんぞるゐだい墓所ぼしよひるなほくら樹木じゆもくしげみを吹拂ふきはら夜風よかぜいとゞ悲慘ひさんこゑ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何事なにごとらず改革奉行かいかくぶぎやう命令めいれいそむさふらふまじく、いづれも杢殿もくどの手足てあしとなりて、相働あひはたらき、忠勤ちうきんはげ可申候まをすべくさふらふと、澁々しぶ/\血判けつぱんして差上さしあぐれば、御年役おんとしやく一應いちおう御覽ごらんうへ幸豐公ゆきとよぎみまゐらせたまへば、讀過どくくわ一番いちばん
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
波ものかはとはげみたち
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見て赤川大膳は心中に驚き見透みすかされては一大事と氣をはげましいか山内やまのうち狂氣きやうきせしか上にたいし奉つり無禮の過言くわごんいで切捨きりすてんと立よりて刀のつかを掛るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これは一とくせも二た癖もある人間、若い時は隨分放埒はうらつな暮しもしたやうですが、今ではすつかり堅くなつて、兄の佐兵衞を助けて、家業大事にはげんで居ります。
同情のあらはし方が目立めだたないからと言つて、慰めやはげましにならぬといふことはないのです。
おつぎはもう幾年いくねんといふながあひだのことではあるが、それでもきまつた月日つきひ繼續けいぞくして針仕事はりしごとはげ餘裕よゆうがなくやうやについたかとおもふと途中とちうつたりめたりするのでおもやう上達じやうたつはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたしすこしもおまへなら非人ひにんでも乞食こじきでもかまひはない、おやからうが兄弟きやうだいうだらうがひと出世しゆつせをしたらばからう、何故なぜ其樣そん意氣地いくぢなしをおひだとはげませば、れはうしても駄目だめだよ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女は自分をはげますやうにさう言ひながら、それでも少し含羞はにかむ風情で、肌を押し脱がうとしました。
よし/\、それ以上負けさしちや、多賀屋も冥利みやうりが惡からう。お前は思つたより良い男だ、手のんだ人殺しなんかするより、心を入れ替へて商賣でもはげむがよからう。
平次の氣組にはげまされて、八五郎はでつかい身體をドシンと雨戸に叩き付けました。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
恐らく、忠實で利巧なお夏が、陰に陽にはげましてくれたのでせう。
「いえ、生れ付き御病身で、武藝のおはげみはなさいません」