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主
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しゅ
ふりがな文庫
“
主
(
しゅ
)” の例文
『
荘子
(
そうじ
)
』に「名は
実
(
じつ
)
の
賓
(
ひん
)
なり」とあるごとく、
実
(
じつ
)
は
主
(
しゅ
)
にして
名
(
な
)
は
客
(
かく
)
である。言葉も同じく考えの
賓
(
ひん
)
、思想の
客
(
かく
)
なりといいうると思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
有難う。屋敷の名も申さず、定めし無礼な奴と思うであろうが、何事もお
主
(
しゅ
)
のため、——この私に免じて許して下され。早速悪者を
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう思うと、われわれの
平生
(
へいぜい
)
は、ただ
方便
(
ほうべん
)
を
主
(
しゅ
)
とすることばかりおおくて、かえってこの花前に
気恥
(
きは
)
ずかしいような感じもする。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
主客
(
しゅかく
)
は一である。
主
(
しゅ
)
を離れて
客
(
かく
)
なく、客を離れて主はない。吾々が主客の別を立てて
物我
(
ぶつが
)
の
境
(
きょう
)
を判然と
分劃
(
ぶんかく
)
するのは生存上の
便宜
(
べんぎ
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恁
(
かか
)
る折から、地方巡業の新劇団、女優を
主
(
しゅ
)
とした帝都の有名なる
大一座
(
おおいちざ
)
が、此の土地に
七日間
(
なのかかん
)
の興行して、全市の湧くが如き人気を博した。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
最初
(
さいしょ
)
彼女
(
かのじょ
)
に
起
(
おこ
)
った
現象
(
げんしょう
)
は
主
(
しゅ
)
として
霊視
(
れいし
)
で、それは
殆
(
ほと
)
んど
申分
(
もうしぶん
)
なきまでに
的確
(
てきかく
)
明瞭
(
めいりょう
)
、よく
顕幽
(
けんゆう
)
を
突破
(
とっぱ
)
し、
又
(
また
)
遠近
(
えんきん
)
を
突破
(
とっぱ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
女
(
おんな
)
が
鏡
(
かがみ
)
を
命
(
いのち
)
のごとく、たっとんだのは、わかっているが、
主
(
しゅ
)
として
結婚
(
けっこん
)
してからのことで、
婚約
(
こんやく
)
に
鏡
(
かがみ
)
をおくったかどうか、よくわからない。
うずめられた鏡
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「夕方知らずして、
主
(
しゅ
)
の坊が Wife とともに湯の小さきに親しみて(?)入れるを見て、突然のことに気の毒にもまた
面喰
(
めんくら
)
はされつ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
主
(
しゅ
)
の勝久は若年でまだ二十六歳。その下の孤忠の臣たり一代の侠骨鹿之介幸盛は、三十九歳の
稜々
(
りょうりょう
)
たる
骨
(
こつ
)
がらの持主であった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いよいよ出かけるまえ、まず墓地へいって、おとうさんのお墓におまいりして、
主
(
しゅ
)
のお祈をとなえてから、こういいました。
旅なかま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
打ち
拉
(
ひし
)
がれて戦いより出る。おのれの敗北を賛美し、おのれの範囲を了解し、
主
(
しゅ
)
より指定された領分において、主の意志を果たさんと努力する。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
キリストだって、時われに利あらずと見るや、「かくして
主
(
しゅ
)
は、のがれ去り給えり」という事になっているではないか。
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
(中略)故に百家の書読まざるべきものなく、さすれば人間一生の内になし得がたき
大業
(
たいぎょう
)
に似たれども、其内
主
(
しゅ
)
とする所の書を
専
(
もっぱ
)
ら読むを緊務とす。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
又
下
(
しも
)
の者を頼みきって疑わぬところ、アア、人の
主
(
しゅ
)
たるものは
然様
(
そう
)
無
(
の
)
うては叶わぬ、主に取りたいほどの器量よし。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「気味の悪い奴よのう! その方は今宵いぶかしいことばかり致しおる。尋ねているのはそちでない。門七じゃ。林田!
主
(
しゅ
)
の命じゃ! 言うてみい!」
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
『
主
(
しゅ
)
憐
(
あわれめ
)
よ、
主
(
しゅ
)
憐
(
あわれめ
)
よ、
主
(
しゅ
)
憐
(
あわれめ
)
よ!』と、
敬虔
(
けいけん
)
なるセルゲイ、セルゲイチは
云
(
い
)
いながら。ピカピカと
磨上
(
みがきあ
)
げた
靴
(
くつ
)
を
汚
(
よご
)
すまいと、
庭
(
にわ
)
の
水溜
(
みずたまり
)
を
避
(
よ
)
け
避
(
よ
)
け
溜息
(
ためいき
)
をする。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「云ううわごとはそれっきりでね、——だがクリスチァンじゃあねえな、エホバとも
主
(
しゅ
)
とも云わねえんです、ホワットエバー・ゴッズとは多神教でしょう」
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
勧
(
すす
)
めて、承諾も待たずにもう
跪
(
ひざまず
)
いた。私は今更仕方がなく、占部さんの後について口真似をした。今考えて見ると
主
(
しゅ
)
の祈りだった。大体申分なかったが
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
有王は、その小屋で、
主
(
しゅ
)
に生き写しの二人の男の子と三人の女の子を見た。俊寛は、長男の頭を
擦
(
さす
)
りながら、これが
徳寿丸
(
とくじゅまる
)
であるといって、有王に引き合せた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
酒さえすすまぬ
案山子
(
かかし
)
のような姿で夜ごと曙の里あたりを
徘徊
(
はいかい
)
するのが見られたが、
主
(
しゅ
)
を失った鉄斎道場の門は固くしまって弥生のゆくえはどことも知れなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
主
(
しゅ
)
よこの
僕
(
しもべ
)
を見守りたまえ——僕はあなたを愛して以来断じて他の異性に心を動かさなかった事を。この誠意があなたによって認められないわけはないと思います。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
町では天秤棒を生活の要具としていたのは、今までは
八百屋
(
やおや
)
と
肴屋
(
さかなや
)
とが
主
(
しゅ
)
であった。配給の時代には問題はなかったが、その前にもすでに八百屋は車になっていた。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
信ずる者よ来れ
主
(
しゅ
)
のみもと……遠くで救世軍の楽隊が聞えていた。何が信ずるものでござんすかだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
お菊はその夜主人又四郎の寝間へ忍び込んで、剃刀で彼が
咽喉
(
のど
)
を少しばかり傷つけたと云うので
主
(
しゅ
)
殺しの
科人
(
とがにん
)
として厳重の吟味を受けた。お菊は心中であると申し立てた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人王
(
じんおう
)
九十五代ニ当ツテ、天下一
度
(
たび
)
乱レテ而テ
主
(
しゅ
)
安
(
やす
)
カラズ。此時
東魚
(
とうぎょ
)
来
(
きたり
)
テ四海ヲ呑ム。
日
(
ひ
)
西天ニ没スルコト三百七十余箇日。西鳥来テ東魚ヲ食ウ。其後海内一ニ帰スルコト三年。
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
死をもって迫られて尚
主
(
しゅ
)
を
棄
(
す
)
てなかった婦人達。私の安易な婦人観とはだいぶん違った人達であった。私には、これらの婦人と現実の婦人たちとの
関聯
(
かんれん
)
や類似がはっきりしない。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「おやいけねえ。いくら
主
(
しゅ
)
と
家来
(
けらい
)
でも、あっしにばかり、
罪
(
つみ
)
をなするなひどうげしょう」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
下ノ者はこの乞食男が
斯様
(
かよう
)
に美事な筆さばきをしたのを見て、
主
(
しゅ
)
のむかしの縁ある人も尊き宮人にちがいなかったであろうと、改まった
鄭重
(
ていちょう
)
さで、畳紙をおしいただいていった。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「俺は誰にも悪いことをした覚えはないぞ。何の罪でこの俺を殺すんだ。おおお、おお、
主
(
しゅ
)
よ! おお、我に先んじて十字架を負い給える主よ。お願いです、お救い下さい。……」
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
あの善人をご存じないとは! あの方はまるで
蝋
(
ろう
)
のような方でがす……
主
(
しゅ
)
のお顔の前の蝋でがす、まるで蝋のように溶けてしまいなさるので……閣下は一部始終を聞き取りなさると
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「まだるい話だな——じゃ、お蘭さんの奴、色男に手引をして、お
主
(
しゅ
)
を討たせた上に、手に手をとって、今頃は泊り泊りの宿で、誰はばからずうじゃついているという寸法なんだな——畜生!」
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この始末を聞いた
治修
(
はるなが
)
は三右衛門を目通りへ召すように命じた。命じたのは必ずしも偶然ではない。第一に治修は
聡明
(
そうめい
)
の
主
(
しゅ
)
である。聡明の主だけに何ごとによらず、
家来任
(
けらいまか
)
せということをしない。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
領主
暫時
(
しばらく
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
口
(
くち
)
を
閉
(
と
)
ぢよ、
先
(
ま
)
づ
此
(
この
)
疑惑
(
ぎわく
)
を
明
(
あきら
)
かにして
其
(
その
)
源流
(
げんりう
)
を
取調
(
とりしら
)
べん。
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
、われ
將
(
は
)
た
卿等
(
おんみら
)
の
悲歎
(
なげき
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
敵
(
かたき
)
の
命
(
いのち
)
をも
取遣
(
とりつか
)
はさん。
先
(
ま
)
づそれまでは
悲歎
(
ひたん
)
を
忍
(
しの
)
んで、
此
(
この
)
不祥事
(
ふしゃうじ
)
の
吟味
(
ぎんみ
)
を
主
(
しゅ
)
とせい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
惜むらくは
主
(
しゅ
)
や法王の祝福がおありなさりません。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「使われているうちは主人と
敬
(
あが
)
め奉っていたが、もうこうなれば、
主
(
しゅ
)
でもねえ下僕でもねえ、おれはむかしの天城四郎の手下になってみせるぞ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまり
現世
(
げんせ
)
では
主
(
しゅ
)
として
守護霊
(
しゅごれい
)
、
又
(
また
)
幽界
(
ゆうかい
)
では
主
(
しゅ
)
として
指導霊
(
しどうれい
)
、のお
世話
(
せわ
)
になるものとお
思
(
おも
)
いになれば
宜
(
よろ
)
しうございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
行手を
遮
(
さえぎ
)
るものは
主
(
しゅ
)
でも
斃
(
たお
)
せ、闇吹き散らす鼻嵐を見よ。物凄き音の、物凄き人と馬の影を包んで、あっと見る
睫
(
まつげ
)
の合わぬ間に過ぎ去るばかりじゃ。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……
主
(
しゅ
)
は
宣
(
のたま
)
えり、シオンの娘らは、首を
硬
(
かた
)
くし、眼を動かし、気取りたる小足にて歩み、足の輪を鳴らせばなりと。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それ外より入る者は、
中
(
うち
)
に
主
(
しゅ
)
たる無し、門より入る者は
家珍
(
かちん
)
にあらず。
白
(
さかずき
)
を挙げて
楽
(
たのしみ
)
となす、何ぞ
是
(
こ
)
れ至楽ならん。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お
主
(
しゅ
)
の大事も忘れて、酒ばかり飲んで歩きやがって万一あの娘が死んだら、手前は腹でも切らなきゃア済むめえぜ
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これが
私
(
わし
)
ども、お
主
(
しゅ
)
筋に当りましての。そのお
邸
(
やしき
)
の御用で、東海道の藤沢まで、買物に行ったのでござりました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
☆
普仏戦争
(
ふふつせんそう
)
——一八七〇
年
(
ねん
)
から
翌年
(
よくねん
)
にかけて、プロシアを
主
(
しゅ
)
とする
北
(
きた
)
ドイツとフランスとの
間
(
あいだ
)
におこった
戦争
(
せんそう
)
。
おばあさんとツェッペリン
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
主
(
しゅ
)
よ
願
(
ねが
)
わくは
御
(
おん
)
眸
(
め
)
を
天
(
てん
)
より
垂
(
た
)
れ
給
(
たま
)
え、
爾
(
なんじ
)
が
右手
(
めて
)
もて
植
(
う
)
え
給
(
たま
)
えるこの
葡萄園
(
ぶどうぞの
)
を
見守
(
みまも
)
らせ
給
(
たま
)
え、
訪
(
おとな
)
い
給
(
たま
)
え。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
乃公は目を
瞑
(
つむ
)
って、
主
(
しゅ
)
の祈りをした。獅子は矢張り
旧
(
もと
)
の姿勢である。乃公は主の祈りを五六度した。おやッと思って目を開いて見ると、獅子は乃公の額を
甞
(
な
)
めていた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
またわずかずつの
柴
(
しば
)
や
秣
(
まぐさ
)
までささげていたが、親が教えるのは水汲みが
主
(
しゅ
)
であったとみえて、八つ九つの
小娘
(
こむすめ
)
までが、年に似合ったちいさな
水桶
(
みずおけ
)
をこしらえてもらって
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それで、さんび歌をうたうことも忘れていれば、
主
(
しゅ
)
のお祈をとなえることも忘れていました。
赤いくつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「殿様、そればかりはおゆるしを。こうおちぶれてお
主
(
しゅ
)
のお名を出しますことは——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
犬死と知って切腹するか、浪人して熊本を去るかのほか、しかたがあるまい。だがおれはおれだ。よいわ。武士は
妾
(
めかけ
)
とは違う。
主
(
しゅ
)
の気に入らぬからといって、立場がなくなるはずはない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
農商務省
(
のうしょうむしょう
)
にもでた、
警視庁
(
けいしちょう
)
へもでた。いずれもあまりに
位置
(
いち
)
が
低
(
ひく
)
いので二年とはいられずやめてしまった。そのうち
府下
(
ふか
)
の
牛乳搾取業者
(
ぎゅうにゅうさくしゅぎょうしゃ
)
の一
部
(
ぶ
)
が
主
(
しゅ
)
となって、
畜産衛生会
(
ちくさんえいせいかい
)
というものができた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
立ち離れつゝ、
主
(
しゅ
)
はよみがへりましぬ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
主
常用漢字
小3
部首:⼂
5画
“主”を含む語句
主人
亭主
主婦
主家
女主人
家主
御主
主殺
主題
御亭主
坊主
神主
主翁
主君
領主
主從
主取
救世主
主従
女主人公
...