正直しやうぢき)” の例文
騙詐かたり世渡よわた上手じやうず正直しやうぢき無気力漢いくぢなし無法むはう活溌くわつぱつ謹直きんちよく愚図ぐづ泥亀すつぽんてんとんびふちをどる、さりとは不思議ふしぎづくめのなかぞかし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
勿論もちろんあま正直しやうぢきにはつとめなかつたが、年金ねんきんなどふものは、縱令たとひ正直しやうぢきらうが、からうが、すべつとめたものけべきでる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さづたまふ所ならん然るに久八は養父五兵衞につかふることむかしまさりて孝行をつくみせの者勝手元の下男に至る迄あはれみをかけ正直しやうぢき實義じつぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つてるわよ、わたしたまごべたわ、眞箇ほんとうよ』ときはめて正直しやうぢきあいちやんがひました、『ちひさなをんなだつてへびのやうに矢張やツぱりたまごべるわ、けど』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
では、如何いかんだらいゝかとへば、これも、多少たせうひとつてちがふかもれないが、かく何者なにものにもわづらはされずに、正直しやうぢき態度たいどむがいゝ。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その所謂いはれくと、子路しろをとこは、ひとなにをすはつて、それをまだおこなはないうちに、またあたらしいことくとにするほど正直しやうぢきだからだつてふんです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
以上いじやうあまりに正直しやうぢきぎた白状はくじやうかもれぬ。けれども、正直しやうぢきぎた自白じはくうちには、多少たせう諷刺ふうしこもつてるつもりだ。
このぢいやのおほきなさむくなると、あかぎれれて、まるで膏藥かうやくだらけのザラ/\としたをしてましたが、でもそのこゝろ正直しやうぢきな、そしてやさしい老人らうじんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
けつして不眞面目ふまじめではなかつた。かれ實際じつさいまつ正直しやうぢきに「天子樣てんしさま御奉公ごほうこうする」つもりで軍務ぐんむ勉強べんきやうしてゐたのである。が、かれうまれつきはどうすること出來できなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
半纏はんてんえりに、明山閣めいざんかくめたのを片手かたてたゝいて、飯坂いひざかぢやあ、いゝ宿やどだよと、正直しやうぢきつたし。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄竹げんちくべんちやらが大嫌だいきらひでござりますで、正直しやうぢきなところ、殿樣とのさまほどのお奉行樣ぶぎやうさまむかしからございません。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
『お前はね、よく阿母さんの言ふ事をお聞き。なんぼ貧乏な生活くらしをしても心は正直しやうぢきに持つんですよ。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
夫婦ふうふこゝろ正直しやうぢきにしておやにも孝心かうしんなる者ゆゑ、人これをあはれみまづしばらくが家にるべしなどすゝむ富農ふのうもありけるが、われ/\は奴僕ぬぼくわざをなしてもおんむくゆべきが
かけすゞり此處こゝへとおくよりばれて、最早もはや此時このときわがいのちもの大旦那おほだんな御目通おめどほりにてはじめよりのことを申、御新造ごしんぞ無情むじやうそのまゝにふてのけ、じゆつもなしはうもなし正直しやうぢき我身わがみまも
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
シロクシナスは正直しやうぢきの人だから、シ
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
正直しやうぢきかうべかみ宿やどる——いやな思をしてかせぐよりは正直しやうぢきあそんでくらすが人間にんげん自然しぜんにしていのらずとてもかみまもらん。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
取らん事思ひもらず今云事のいつはりにもあるまじしうの爲の出來心にて盜みに來りしと正直しやうぢきに云ふ事の憫然あはれなれば此金を汝に與へん間主人しゆじん難儀なんぎすくひ妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夫婦ふうふこゝろ正直しやうぢきにしておやにも孝心かうしんなる者ゆゑ、人これをあはれみまづしばらくが家にるべしなどすゝむ富農ふのうもありけるが、われ/\は奴僕ぬぼくわざをなしてもおんむくゆべきが
アウエリヤヌヰチはドクトルの廉潔れんけつで、正直しやうぢきるのはかねてもつてゐたが、しかれにしても、二萬ゑんぐらゐたしか所有もつてゐることゝのみおもふてゐたのに、くといては
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「いゝえ、いの」と正直しやうぢきこたへたが、おもしたやうに、「つて頂戴ちやうだいるかもれないわ」とひながらがる拍子ひやうしに、よこにあつた炭取すみとり退けて、袋戸棚ふくろとだなけた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
んとツても駄目だめだア。子供位こどもくら正直しやうぢきものはねえからね』とむかふではいふ。
引拔ひきぬきふかく掘りてひそかに其下へうづめける爰に駕籠舁かごかきの善六といふは神奈川宿にて正直しやうぢきの名をとりし者なり昨日龜屋へ一宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いへ引取ひきとつた小六ころくさへはらそこではあに敬意けいいはらつてゐなかつた。二人ふたり東京とうきやうたてには、單純たんじゆん小供こどもあたまから、正直しやうぢき御米およねにくんでゐた。御米およねにも宗助そうすけにもそれがわかつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
和殿わどの正直しやうぢききこえある人なれば幽霊いうれいの証人にたのみ申也、これも人の為也といふ。