)” の例文
寶鼎はうてい金虎きんこそんし、芝田しでん白鴉はくあやしなふ。一瓢いつぺう造化ざうくわざうし、三尺さんじやく妖邪えうじやり、逡巡しゆんじゆんさけつくることをかいし、また頃刻けいこくはなひらかしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「おいおい、あれを見ろ。あのとおり、腕をひききやがった。一度りつけただけでは足りないで、三筋みすじも四筋も斬りつけてある」
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
若松屋惣七が、しんから愉快そうに笑い出すと、磯五は、野犬がほえるようにわめいて、いきなり、若松屋惣七へりつけていった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
竹童ちくどうみたいな小僧こぞうにはりまくられ、旅僧たびそうににらまれればすぐげだすなんて、いくら町人ちょうにんにしても、あまり度胸どきょうがなさすぎるね」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから上野がられて犬のようにころがるだけでなく、もう少し恐怖と狼狽ろうばいとを示す簡潔で有力な幾コマかをフラッシュで見せたい。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかしチユウヤは、勇敢に戦つて、捕手を二人ふたりり殺した。けれども、とうとう多勢たぜい無勢ぶぜいで、捕手のために逮捕されてしまつた。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
倭文子が飛びしさったのももっともだ。これよりむごたらしく殺しようはないと思われる程、残酷にりさいなまれた、死人の写真なのだ。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
『と仰しゃるとつまり、その時はみんなが往来で相手かまわずって捨ててもいいわけですね?』と聞き返すといった調子だった。
イオーヌィチ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「この野郎!」そう思いながら、脇差わきざしつかを、左の手で、グッと握りしめた。もう、一言云って見ろ、抜打ちにってやろうと思った。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「紀久ちゃんが寝床の中へ入ってるところへ、蔦が短刀でりつけてくるようにするんだから、寝床の中へ入っていてくれったら」
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
かねてから勝負の時には第一撃に敵をってしまわねば勝てるものではない、それには互いに抜き合って身構えてからではおそい。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
四十男のヒポコンデリイ患者がね、八つになる男の子が食事のたんびに浴びせる嘲弄ちょうろうに堪え兼ねて、その子供をり殺したという話さ。
「ここから走っていって、あの竹を二つにり割るのだ、拙者がやってみせるから見ろ」みんな眸子ひとみを凝らして見まもっている。
薯粥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
竹腰はそう云い云い己に向って来たわかい近侍の一人をたおして、ひらりと庭に飛びおり、池の傍から崖の木立の方へ逃げて姿を消した。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その出会いがしらに、思いもかけぬ経蔵の裏の闇から、僧形そうぎょうの人の姿が現われて、妙に鷹揚おうよう太刀たちづかいで先登の者をっててました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
政教子曰く、日本にて斬髪所に入るもの、斬髪師に命じて曰く、わが天窓あたまれと。斬髪師その命のごとく頭を斬らばいかん。
欧米各国 政教日記 (新字新仮名) / 井上円了(著)
((莊賈ノ使者))すでき、いまかへるにおよばず。((穰苴))ここおいつひ莊賈さうかり、もつて三ぐんとなふ。三ぐんみな(一九)振慄しんりつせり。
王騎射もっとくわし、追う者王をるをあえてせずして、王の射て殺すところとなる多し。適々たまたま高煦こうこう華衆かしゅう等を率いて至り、追兵を撃退して去る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昔は京都ではこの木を獄舎の門にえてあって、罪人の首をってこれにけたことが、『源平盛衰記』その他の軍書に何箇所も見えている。
アテヌキという地名 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
けれども王さまはお聞き入れにならないで、ぜひともつれて来い、それが出来ないなら、この場でお前をってしまうとお言いになりました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
野呂勘兵衛が小栗美作みまさかを討つため、日雲閣へりこんだのも、やはり月見の宴の折だったそうな。総じてやかたの討入りには、順法と逆法がある。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あたかも利刃をふるって泥土をるに等しい何らの手答えのない葛藤を何年か続けた後に、二葉亭は終に力負けこん負けがして草臥くたびれてしまった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ったったの境に甲野さんを置いて、ははあ、こんな人かと合点がてんするようでは親子といえどもいまだしである。兄弟といえども他人である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
足音は襖の前に止ったが、襖はすべりよくむしろ何気なく開いたような様子だった。女は肩さきをられたように驚いて、冷汗をいて仰向あおむいた。
三階の家 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
首をられる時なぞも、尋常に斬られる。女は尋常に服従したそうだ。無論小川君の好嫖致はおぴやおちな所も、女の諦念あきらめを容易ならしめたには相違ないさ。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その時私は脇差わきざしを一本して居たから、追付おいつかるようになれば後向うしろむいすすんるよりほか仕方しかたがない。きっては誠に不味まずい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
出し抜けに船長をったりするやつは、彼も見たことがあったが、口も手も、これほど達者なやつは見たことがなかった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
お銀が逃げて来てからも、始終跡を追っかけまわしていたそこの子息むすこが、このごろ刀でとかく折合いの悪い継母をりつけたとかいう話であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
って捨てるべきじゃ——いや、少くとも」と阿賀妻は云った、「われもまた兵を備えてじゃね、その赤えびすどもに対抗せずばなりますまい」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「帝劇の女優が楽屋から帰り道に、車から引ずりおろされて脚をられたことがあった。犯人はわからずじまいだ。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
丁度首り場のあたりだったというところの柳の木が、はばかりの小窓から見える古帳面屋ふるちょうめんやの友達のうちから帰って来て、あたしが話したつづきからだった。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
佐山のナイフでられたアゴの一文字のキズからふきだした血が、かたまって黒く見える。サツのパスパスパスという音と、どこかで水のしたたる音。
胎内 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
成程舊い道徳どうとくなわでは、親は子供の體を縛ツて家の番人にして置くことが出來るかも知れぬが、藝術の權威を遵奉じゆんぽうする自分の思想は其の繩をぶちる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「しかし」と、それでも子路はなお逆襲ぎゃくしゅうする気力を失わない。南山の竹はめずして自ら直く、ってこれを用うれば犀革さいかくの厚きをも通すと聞いている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
孫はきっと天国で梨の実を盗んでるところを庭師につかまって、首をられたに違いない。ああ、わしはどうして孫をあんな恐ろしい所へったんだろう。
梨の実 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
時々突っ立った太股の林が揺らめくと、射し込んだ夕日が、魚の波頭でりつけた刃のように鱗光りんこうひらめかした。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その注進におどろかされて、おせきの両親は要次郎と一緒にそこへけ着けてみると、おせきは右の肩から袈裟斬けさぎりられて往来のまん中に倒れてゐた。
時に彼三十一歳、その臨終の遺偈いげは、まことにりっぱなものであります。「四大もと主なし。五おん本来空。こうべもって白刃に臨めば、なおし春風をるが如し」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
福鼠ふくねずみ彩色いろどれ』と女王樣ぢよわうさま金切聲かなきりごゑさけばれました。『福鼠ふくねずみれ!福鼠ふくねずみ法廷はふていからせ!それ、おさえよ!そらつねろ!ひげれ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それが私のおかしな意地であったが、とにかく、象牙彫りをやって、それを風呂敷ふろしきに包んで牙商の店頭へ売りに行くなぞは身をられてもいやなことであった。
人形にんぎょうあたらしいものとはおもわれないほどにふるびていましたけれど、ひたいぎわをられてながれたのや、またあおかおをして、くちからあかほのおいているおんなや、また
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
られたのでもなければ、絞殺されたのでもなく、しかも死体が紛失したのですから、先刻も、川上糸子が仮死に陥ったのではないかしらと申しあげたのです。
深夜の電話 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
そのうちにとうとう、一人はバアと音がしてかたから胸からこしへかけてすっぽりとられて、からだがまっ二つに分れ、バランチャンとゆかたおれてしまいました。
八人の野武士も刀を抜き、既に問答無益とばかり、右門と山吹を取りこめて、ここにかしこにり結んだ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぼくがもし身体からだがこんなにチビでなかったら、もう少し腕に力があったら、悪いやつを片っ端からってやりたいと思うことがあります、身体が小さくて貧乏で
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その方がずっと派手で勇ましく、重吉を十倍も強い勇士に仕立てた。田舎小屋の舞台の上で重吉は縦横無尽にあばれ廻り、ただ一人で三十人もの支那兵をり殺した。
何処どこで堀主水の三百余人に、追いつくか知らないが華々しく闘って、骨細者の非力とうたわれた腕から、どのくらいのれ味が出るかを見せつけてやろうと思った。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「橋本とらいは幕にはばかりてったももっともなれども、飯泉いいずみ喜内を斬ったは無益の殺生、それはとまれ喜内を斬るほどでは、回も斬られずとも遠島は免れずと覚悟致し候」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
けれども、今夜吉良邸へりこんだら、それこそ本当に十が十の死だ! 公儀の手に召捕めしとられて、お仕置場しおきばへ引きだされたら、どんなことがあってものがれようはない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
とても何々女史のように一刀両断、バッタバッタと右に左に藁人形わらにんぎょうり倒すように行かない。
インチキ文学ボクメツ雑談 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)