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支
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つ
ふりがな文庫
“
支
(
つ
)” の例文
何かしらカーッと頭に上って来るものを感じた平馬は又も両手を畳に
支
(
つ
)
いた。それを見ると一柳斎は急に顔色を柔らげて盃をさした。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると、軽く膝を
支
(
つ
)
いて、
蒲団
(
ふとん
)
をずらして、すらりと向うへ、……
扉
(
ひらき
)
の前。——
此方
(
こなた
)
に劣らず
杯
(
さかずき
)
は重ねたのに、
衣
(
きぬ
)
の
薫
(
かおり
)
も
冷
(
ひや
)
りとした。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを突破して逃げる程のそれだけの勇気も出せぬので、お綾は縁側に手を
支
(
つ
)
いたまま、モジモジして控えるのであった。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
と
抜刀
(
ぬきみ
)
を
鞘
(
さや
)
に納め、
樫棒
(
かしぼう
)
を持ちまして文治の
脊中
(
せなか
)
を二つ
三
(
み
)
つ打ちましたが、文治は少しも動く
気色
(
けしき
)
もなく、両手を
支
(
つ
)
いたまゝ暫く考えて居りました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし一学はまだ、膝一つ地に
支
(
つ
)
いていなかった。左の小手のあたりに薄い掠り傷が一点見えるだけにすぎない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
揉上
(
もみあ
)
げの心持ち長い女の顔はぽきぽきしていた。
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しの
頭髪
(
あたま
)
に、白い
櫛
(
くし
)
を
揷
(
さ
)
して、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の帯をしめていたが、笹村のそこへ突っ立った姿を見ると、
笑顔
(
えがお
)
で少し
前
(
すす
)
み出て叮寧に両手を
支
(
つ
)
いた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
畳に両手
支
(
つ
)
きたるまゝ、声は
震
(
ふる
)
へて
口籠
(
くちごも
)
りぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
というが
疾
(
はや
)
いか、段に片足を上げて両手を
支
(
つ
)
く、裾を引いて、ばったり
俯向
(
うつむけ
)
に
転
(
のめ
)
った綺麗な体は、
結
(
ゆわ
)
えつけられたように階子に寝た。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その玄関に打ち違えた国旗と青年会旗の下に、男とも女とも附かぬ奇妙な
恰好
(
かっこう
)
の人間が、両手を
支
(
つ
)
いて土下座している。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と感付きましたから、又々銭を出してやりますと、島人は両手を
支
(
つ
)
き、頭を下げて喜んで
居
(
お
)
りまする。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
支
(
つ
)
いている
手裡
(
しゅり
)
にかくしてつかんでいます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ、お千世さん、肖たってのはその事なの。……じゃ、やっぱり、気の迷だったんだよ。」とうっかりしたように色傘を
支
(
つ
)
く。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
万平は
上框
(
あがりかまち
)
へヘタヘタと両手を
支
(
つ
)
いた。奥から一パイ飲んだらしい
中禿
(
ちゅうはげ
)
の親方が、真赤な顔をして出て来た。青い筋が額にモリモリと浮上っていた。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と両手を
支
(
つ
)
いて居ります。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
五ツ紋の
青年
(
わかもの
)
は、
先刻
(
さっき
)
門内から左に見えた、縁側づきの六畳に
畏
(
かしこま
)
って、
件
(
くだん
)
の葭戸を見返るなどの不作法はせず、
恭
(
うやうや
)
しく手を
支
(
つ
)
いて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ヘエ」と云いながら私は手を
支
(
つ
)
いて黙って見ておりますとうしろからその地方の富豪でBという人が、「C未亡人の処に素敵な俊寛の面がある」と耳打ちをしました。
所感
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、早瀬は人間が変ったほど、落着いて座に返って、
徐
(
おもむろ
)
に
巻莨
(
まきたばこ
)
を取って、まだ吸いつけないで、ぴたりと片手を膝に
支
(
つ
)
いた、肩が
聳
(
そび
)
えた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔色が真青になって、唇の色まで無くなった……と見るうちに、眼を一パイに見開いて、私の顔を
凝視
(
みつ
)
めながら、よろよろと、うしろに
退
(
さが
)
って寝台の上に両手を
支
(
つ
)
いた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と疲れた
状
(
さま
)
にぐたりと賽銭箱の
縁
(
へり
)
に両手を
支
(
つ
)
いて、両の耳に、すくすくと毛のかぶさった、小さな頭をがっくりと下げながら
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見ると彼女は
蛇紋石
(
じゃもんせき
)
の流し場に片手を
支
(
つ
)
いたまま、横坐りをして、唇をシッカリと噛んでいた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
文金
(
ぶんきん
)
の
高髷
(
たかまげ
)
ふっくりした
前髪
(
まえがみ
)
で、
白茶地
(
しらちゃじ
)
に秋の野を織出した
繻珍
(
しゅちん
)
の丸帯、薄手にしめた帯腰
柔
(
やわらか
)
に、
膝
(
ひざ
)
を入口に
支
(
つ
)
いて
会釈
(
えしゃく
)
した。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
利三郎氏も内心翁を一介の田舎能楽師と思っていたらしいが、無事に一調が済んでお次の間に退くと利三郎氏は余程驚いたものと見えて、直ぐさま翁の前に両手を
支
(
つ
)
いて
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
と云うと、のめずって、低い縁へ、
片肱
(
かたひじ
)
かけたなり尻餅を
支
(
つ
)
いたが、……月明りで見るせいではござらん、顔の色、
真蒼
(
まっさお
)
でな。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
万平は進み寄って、警官の前の机に両手を
支
(
つ
)
いて繰返し繰返しお辞儀をしては汗を拭った。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、すぐその障子の影へ入れる、とすぐ靴の紐を
縷
(
かが
)
っていた洋装のが、ガチリと釣銭を
衣兜
(
かくし
)
へ
掴込
(
つかみこ
)
んで、がっしりした
洋傘
(
こうもり
)
を
支
(
つ
)
いて出て行く。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ハイ。すっかり……」と妻木君は女のように、しとやかに三つ指を
支
(
つ
)
いた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……おしめも
褌
(
ふんどし
)
も一所に掛けた、路地の
物干棹
(
ものほしざお
)
を
引
(
ひっ
)
ぱずすと、
途端
(
みちばた
)
の与五郎の
裾
(
すそ
)
を
狙
(
ねら
)
って、青小僧、
蹈出
(
ふみだ
)
す足と
支
(
つ
)
く足の
真中
(
まんなか
)
へスッと差した。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれどもゴンクール氏は遂に口を利く事が出来なかった。ただ、片手で髪毛を掻き乱し、頬を撫でて犬のように舌をわななかしたと思うと、それっきり両手を
支
(
つ
)
いてぐったりとうなだれてしまった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
汀のお珊は、
褄
(
つま
)
をすらりと足をちょいと踏替えた。
奴島田
(
やっこしまだ
)
は、
洋傘
(
こうもり
)
を畳んで
支
(
つ
)
いて、直ぐ目の下を、前髪に
手庇
(
てびさし
)
して
覗込
(
のぞきこ
)
む。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云ううちに私は立上って、
卓子
(
テーブル
)
の端に両手を
支
(
つ
)
いてお辞儀をした。しかし正木博士は平気でいた。お辞儀を返そうともしないまま悠々と椅子に
踏反
(
ふんぞ
)
り返って、葉巻の煙を思い切り高々と吹上げた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
両手を
支
(
つ
)
いたまま、がッくりと
頷
(
うなず
)
くと、糸を引いて、ばたりと畳へ、
衾
(
ふすま
)
にかくれて取乱した、
衣紋
(
えもん
)
をこぼれてはらりと開く。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
筆者は上り框へ両手を
支
(
つ
)
いた。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
円い
透硝子
(
すきがらす
)
の笠のかかった、背の高い竹台の
洋燈
(
ランプ
)
を、杖に
支
(
つ
)
く形に持って、
母様
(
かあさん
)
の
居室
(
いま
)
から、
衝
(
つ
)
と立ちざまの
容子
(
ようす
)
であった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爰
(
こゝ
)
に
於
(
おい
)
て
其
(
そ
)
の
隱
(
かく
)
し
終
(
おほ
)
すべきにあらざるを
知
(
し
)
つて、
衝
(
つ
)
と
膝
(
ひざ
)
を
支
(
つ
)
いて、
前夫
(
ぜんぷ
)
の
飛脚
(
ひきやく
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
曳出
(
ひきだ
)
すとともに、
夫
(
をつと
)
の
足許
(
あしもと
)
に
跪
(
ひざまづ
)
いて、
哀求
(
あいきう
)
す。
曰
(
いは
)
く
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と女房は正面へ居直って、膝にちゃんと手を
支
(
つ
)
いて、わざと目を円くしながら、円々ちい
括頤
(
くくりあご
)
で、
頷
(
うなず
)
くように襟を
圧
(
おさ
)
えて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう船が岩の間を出たと思うと、尖った
舳
(
へさき
)
がするりと
辷
(
すべ
)
って、波の上へ乗ったから、ひやりとして、胴の
間
(
ま
)
へ手を
支
(
つ
)
いた。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さまで重荷ではないそうで、唐草模様の
天鵝絨
(
びろうど
)
の
革鞄
(
かばん
)
に信玄袋を
引搦
(
ひきから
)
めて、こいつを片手。片手に
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
を
支
(
つ
)
きながら
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若手代は、膝へ手を
支
(
つ
)
いたなり、中腰でね、こう困ったらしく
俯向
(
うつむ
)
いたッきり。女連は、芝居に身が
入
(
い
)
って
言
(
ことば
)
も掛けず。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、横へ取ったは
白鬼
(
はっき
)
の面。端麗にして威厳あり、眉美しく、目の優しき、その
顔
(
かんばせ
)
を
差俯向
(
さしうつむ
)
け、しとやかに手を
支
(
つ
)
いた。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
産
(
う
)
んで下すった礼を言うのに、
唯
(
ただ
)
御機嫌
好
(
よ
)
うとさえ言えば
可
(
い
)
いと、父から言いつかって、
枕頭
(
まくらもと
)
に手を
支
(
つ
)
いて、
其処
(
そこ
)
へ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫人、するりと膝をずらして、後へ身を引き、座蒲団の外へ手の指を
反
(
そら
)
して
支
(
つ
)
くと、膝を
辷
(
すべ
)
った桃色の絹のはんけちが、
褄
(
つま
)
の
折端
(
おりはし
)
へはらりと
溢
(
こぼ
)
れた。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
地蔵尊
(
ぢざうそん
)
が、
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
から
錫杖
(
しやくぢやう
)
を
支
(
つ
)
いたなりで、
後
(
うしろ
)
に
続
(
つゞ
)
いた
私
(
わたし
)
と
擦違
(
すれちが
)
つて、
黙
(
だま
)
つて
坂
(
さか
)
の
方
(
はう
)
へ
戻
(
もど
)
つて
行
(
ゆ
)
かるゝ……と
案山子
(
かゝし
)
もぞろ/\と
引返
(
ひきかへ
)
すんです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
沢は思はず、
跪
(
ひざまず
)
いて両手を
支
(
つ
)
いた。やがて
門生
(
もんせい
)
たらむとする師なる君の著述を続刊する、皆名作の集なのであつた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夢
(
ゆめ
)
から
覺
(
さ
)
めた
思
(
おも
)
ひで、
厚
(
あつ
)
ぼつたかつた
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でた、
其
(
そ
)
の
掌
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
に
支
(
つ
)
いて、
氣
(
き
)
も
判然
(
はつきり
)
と
向直
(
むきなほ
)
つた
時
(
とき
)
、
彼
(
かれ
)
は
今
(
いま
)
までの
想像
(
さうざう
)
の
餘
(
あま
)
りな
癡
(
たは
)
けさに
又
(
また
)
獨
(
ひと
)
りで
笑
(
わら
)
つた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
果
(
はて
)
は丘のごとく、葉を
累
(
かさ
)
ねた芭蕉の上に、全身緑の露を浴び、白刃に青き
雫
(
しずく
)
を流して、
逆手
(
さかて
)
に
支
(
つ
)
いてほっと息する。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時に、
妙法蓮華経薬草諭品
(
みょうほうれんげきょうやくそうゆほん
)
、
第五偈
(
だいごげ
)
の
半
(
なかば
)
を開いたのを左の
掌
(
たなそこ
)
に
捧
(
ささ
)
げていたが、
右手
(
めて
)
に
支
(
つ
)
いた
力杖
(
ステッキ
)
を小脇に
掻上
(
かいあ
)
げ
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
和尚
(
をしやう
)
が、
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ
腰
(
こし
)
を
屈
(
かゞ
)
めて、
支
(
つ
)
いた
藜
(
あかざ
)
を
頤杖
(
あごづゑ
)
にして、
白
(
しろ
)
い
髯
(
ひげ
)
を
泳
(
およ
)
がせ
泳
(
およ
)
がせ、
口
(
くち
)
も
利
(
き
)
かないで、
身體中
(
からだぢう
)
をじろ/\と
覗込
(
のぞきこ
)
むではござんせんか。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、琴曲の看板を見て、例のごとく、帽子も
被
(
かぶ
)
らず、
洋傘
(
こうもり
)
を
支
(
つ
)
いて、
据腰
(
すえごし
)
に与五郎老人、うかうかと通りかかる。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聞きも果てず、満面に活気を帯び
来
(
きた
)
った竜田は、
飜然
(
ひらり
)
と躍込み、二人の
間
(
なか
)
へ
衝
(
つ
)
と立って、
卓子
(
テイブル
)
に手を
支
(
つ
)
いたが、解けかかる毛糸の襟巻の端を
背後
(
うしろ
)
へ
撥
(
は
)
ねて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と柳の眉の、
面
(
おもて
)
正しく、見迎えてちょっと立直る。片手も
細
(
ほっそ
)
り、色傘を重そうに
支
(
つ
)
いて、片手に
白塩瀬
(
しろしおぜ
)
に
翁格子
(
おきなごうし
)
、薄紫の裏の着いた、銀貨入を持っていた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
支
常用漢字
小5
部首:⽀
4画
“支”を含む語句
支那人
支那
支障
支柱
突支棒
支流
差支
支配人
一支
支棒
支度
御差支
気支
突支
切支丹宗
支出
支那海
支那街
切支丹
干支
...