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扱帶
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しごき
ふりがな文庫
“
扱帶
(
しごき
)” の例文
新字:
扱帯
「勘兵衞の足袋の底は何うなんです。わざ/\自分の赤い
扱帶
(
しごき
)
で殺して、死骸の雪駄を片つ方だけ自分の家へ持つて來たんですかい」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呀
(
やあ
)
?
衣
(
きぬ
)
も
扱帶
(
しごき
)
も
上
(
うへ
)
へ
摺
(
ず
)
つて、するりと
白
(
しろ
)
い
顏
(
かほ
)
が
襟
(
えり
)
に
埋
(
うま
)
つた、
紫
(
むらさき
)
と
萌黄
(
もえぎ
)
の、
緋
(
ひ
)
を
流
(
なが
)
るゝやうに
宙
(
ちう
)
に
掛
(
か
)
けて、
紳士
(
しんし
)
は
大跨
(
おほまた
)
にづかり/\。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
扱帶
(
しごき
)
は
踊
(
をどり
)
の
手
(
て
)
を
描
(
ゑが
)
く
度
(
たび
)
毎
(
ごと
)
に
袂
(
たもと
)
と
共
(
とも
)
にゆらり/\と
搖
(
ゆ
)
れる。
男
(
をとこ
)
は
少
(
すこ
)
し
亂暴
(
らんばう
)
に
女
(
をんな
)
の
身體
(
からだ
)
にこすりつきながら
踊
(
をど
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
噫、病院の窓! 梅野とモ一人の看護婦が、寢衣に着換へて薄紅色の
扱帶
(
しごき
)
をした所で、足下には燃える樣な赤い裏を
引覆
(
ひつくらか
)
へした、まだ身の温りのありさうな衣服! そして、白い脛が! 白い脛!
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「紐が太いから助かつた——とお醫者もさう言ひます。お勝手に投り込んであつた洗濯物の中から、私の
扱帶
(
しごき
)
を持出して締めました」
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
朱鷺色
(
ときいろ
)
の
扱帶
(
しごき
)
と
云
(
い
)
ふので、
件
(
くだん
)
の
黒髯
(
くろひげ
)
の
大
(
おほ
)
きな
膝
(
ひざ
)
に、かよわく、なよ/\と
引
(
ひき
)
つけられて、
白
(
しろ
)
い
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
蔓草
(
つるくさ
)
のやうに
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
た。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二人は遂に
扱帶
(
しごき
)
と兵兒帶とをとりやりして型の如き關係が結ばれてしまつた。若い女の多くは男に執念くつけまはされゝばそこは落花流水の深い仲に陷るのである。
芋掘り
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
人混みを掻き分けて入ると、龜澤町のとある路地に、紅い
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の
扱帶
(
しごき
)
で首を絞められた若い男が
虚空
(
こくう
)
を掴んで死んで居るのでした。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
妻
(
つま
)
の
皓體
(
かうたい
)
が
氣懸
(
きがか
)
りさに、
大盡
(
だいじん
)
ましぐらに
奧
(
おく
)
の
室
(
ま
)
へ
駈込
(
かけこ
)
むと、
漸
(
やつ
)
と
颯
(
さつ
)
と
赤
(
あか
)
く
成
(
な
)
つて、
扱帶
(
しごき
)
を
捲
(
ま
)
いて
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
。
物狂
(
ものくる
)
はしく
取
(
と
)
つて
返
(
かへ
)
せば、
畫師
(
ゑし
)
も
其
(
そ
)
の
畫
(
ゑ
)
も
何處
(
どこ
)
へやら。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さうしては
其
(
そ
)
の
踊
(
をどり
)
の
手
(
て
)
を
反覆
(
はんぷく
)
しつゝ
徐
(
おもむ
)
ろに
太鼓
(
たいこ
)
の
周圍
(
しうゐ
)
を
廻
(
めぐ
)
る。
女
(
をんな
)
は
袖
(
そで
)
を
長
(
なが
)
く
見
(
み
)
せる
爲
(
ため
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
を
折
(
を
)
つて
兩方
(
りやうはう
)
の
袂
(
たもと
)
の
先
(
さき
)
へ
縫
(
ぬひ
)
つけて、それから
扱帶
(
しごき
)
を
襷
(
たすき
)
にして
結
(
むす
)
んだ
長
(
なが
)
い
端
(
はし
)
を
後
(
うしろ
)
へだらりと
垂
(
た
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
平次はお萬の部屋の
箪笥
(
たんす
)
の中から、隣の部屋でお縫の手を後ろに縛つてあつたといふ、
鬱金
(
うこん
)
の
扱帶
(
しごき
)
と全く同じ品を見付け出したのです。
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小春時
(
こはるどき
)
の
一枚小袖
(
いちまいこそで
)
、
藍
(
あゐ
)
と
紺
(
こん
)
の
小辨慶
(
こべんけい
)
、
黒繻子
(
くろじゆす
)
の
帶
(
おび
)
に、
又
(
また
)
緋
(
ひ
)
の
扱帶
(
しごき
)
……
髷
(
まげ
)
に
水色
(
みづいろ
)
の
絞
(
しぼ
)
りの
手絡
(
てがら
)
。
艷
(
つや
)
の
雫
(
しづく
)
のしたゝる
鬢
(
びん
)
に、ほんのりとした
耳
(
みゝ
)
のあたり、
頸許
(
えりもと
)
の
美
(
うつく
)
しさ。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お品の口を
塞
(
ふさ
)
ぐと、
扱帶
(
しごき
)
を解いてキリキリと縛り上げました。柄に似ぬ非凡の力で、お品などは
羽搏
(
はばたき
)
もさせることではありません。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
震聲
(
ふるへごゑ
)
で、
慌
(
あわ
)
てて、むつちりした
乳
(
ちゝ
)
の
下
(
した
)
へ、
扱帶
(
しごき
)
を
取
(
と
)
つて
卷
(
ま
)
きつけながら、
身體
(
からだ
)
ごとくる/\と
顛倒
(
てんだう
)
して
𢌞
(
まは
)
る
處
(
ところ
)
へ、づかと
出
(
で
)
た
母親
(
はゝおや
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
白晝
(
まつぴるま
)
の
茜木綿
(
あかねもめん
)
、それも
膝
(
ひざ
)
から
上
(
うへ
)
ばかり。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
掛り人の貧しい
扱帶
(
しごき
)
で、それは赤い模樣こそ入つて居りますが、太くて
逞
(
たくま
)
しい木綿物で丈夫な代りに、喉佛は無事だつたわけです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たとひ
膚身
(
はだみ
)
は
汚
(
けが
)
さずとも、
夫
(
をつと
)
の
目
(
め
)
に
觸
(
ふ
)
れた、と
云
(
い
)
ひ、
恥
(
はづか
)
しいのと、
口惜
(
くやし
)
いのと、
淺
(
あさ
)
ましいので、かツと
一途
(
いちづ
)
に
取逆上
(
とりのぼ
)
せて、お
艷
(
つや
)
は
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
、
兩親
(
りやうしん
)
たち、
夫
(
をつと
)
のまだ
歸
(
かへ
)
らぬ
内
(
うち
)
に、
扱帶
(
しごき
)
にさがつて
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「馬鹿だね、其雪駄の片つ方はお倉の家にあつたのさ、
扱帶
(
しごき
)
がお倉のだといふ丈ぢや、三輪の萬七ともあらう者が、女を縛るわけはねえ」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
裾
(
すそ
)
の
方
(
はう
)
がくすぐつたいとか、
何
(
なん
)
とかで、
娘
(
むすめ
)
が
騷
(
さわ
)
いで、まづ
二枚折
(
にまいをり
)
の
屏風
(
びやうぶ
)
で
圍
(
かこ
)
つたが、
尚
(
なほ
)
隙
(
すき
)
があいて、
燈
(
ひ
)
が
漏
(
も
)
れさうだから、
淡紅色
(
ときいろ
)
の
長
(
なが
)
じゆばんを
衣桁
(
いかう
)
からはづして、
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
の
扱帶
(
しごき
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
端座して喉を切つても、反つくり返るのが自然で、兩膝を帶か
扱帶
(
しごき
)
で縛つて自害をするのは、女のたしなみとされて居たのです。
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ゆるき
扱帶
(
しごき
)
も
身
(
み
)
に
入
(
し
)
むや、
遠
(
とほ
)
き
山
(
やま
)
、
近
(
ちか
)
き
水
(
みづ
)
。
待人
(
まちびと
)
來
(
きた
)
れ、
初雁
(
はつかり
)
の
渡
(
わた
)
るなり。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いきなり障子を開けると、正面の
長押
(
なげし
)
にブラ下がつた、
絢爛
(
けんらん
)
たるもの、それは娘のお葉が、自分の
扱帶
(
しごき
)
で首を
吊
(
つ
)
つて居た姿だつたのです。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
隱
(
かく
)
れましたが、
細
(
ほつそ
)
りした
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
の
透
(
す
)
いた
下
(
した
)
に、ちらりと
結
(
むす
)
び
目
(
め
)
が
見
(
み
)
えました……
扱帶
(
しごき
)
の
端
(
はし
)
ではござりません……
確
(
たし
)
かに
帶
(
おび
)
でござりますね、
月
(
つき
)
も
最
(
も
)
う
餘程
(
よほど
)
らしうござります……
成程
(
なるほど
)
人目
(
ひとめ
)
に
立
(
た
)
ちませう。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「昨日行燈の出てゐた二階に間違ひはありませんよ。
鴨居
(
かもゐ
)
から赤い
扱帶
(
しごき
)
で、女草履が片つ方ブラ下がつてゐるのは不思議ぢやありませんか」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
袂
(
たもと
)
を、はつと
亂
(
みだ
)
すと、お
納戸
(
なんど
)
の
其
(
そ
)
の
扱帶
(
しごき
)
で
留
(
と
)
めた、
前褄
(
まへづま
)
を
絞
(
しぼ
)
るばかり、
淺葱縮緬
(
あさぎちりめん
)
の
蹴出
(
けだし
)
が
搦
(
から
)
んで、
踏出
(
ふみだ
)
す
白脛
(
しらはぎ
)
を、
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
の
尖
(
さき
)
で
危
(
あやふ
)
く
留
(
と
)
めて……と、
吹倒
(
ふきたふ
)
されさうに
撓々
(
たわ/\
)
と
成
(
な
)
つて、
胸
(
むね
)
を
反
(
そ
)
らしながら
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
樣子と丁度反對側の手摺に、長々と
扱帶
(
しごき
)
らしいものが結んであつて、その端つこが、裏側の廊下にブラ下がつて居るのはどうしたことでせう
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……あらゆると
言
(
い
)
つて、「
此
(
これ
)
が
惠比壽
(
ゑびす
)
ビールの、
此
(
これ
)
が
麒麟
(
きりん
)
ビールの、
札幌
(
さつぽろ
)
の
黒
(
くろ
)
ビール、
香竄葡萄
(
かうざんぶだう
)
、
牛久
(
うしく
)
だわよ。
甲斐産
(
かひさん
)
です。」と、
活東
(
くわつとう
)
の
寢
(
ね
)
た
鼻
(
はな
)
へ
押
(
お
)
つつけて、だらりと
結
(
むす
)
んだ
扱帶
(
しごき
)
の
間
(
あひだ
)
からも
出
(
だ
)
せば
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
丁度
誂
(
あつら
)
へたやうな障子の穴があつて其處から見える疊の上に、娘の
扱帶
(
しごき
)
らしい紅鹿の子の紐が一本、長々と眼へ燒きつくではありませんか。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
つまり斯んな具合に縛られて、
扱帶
(
しごき
)
の長い方の一端を引かれて居ると、逃げようとすれば、結び目は益々固く締るわけです。
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この可愛らしい十八娘が、自分の
鬱金
(
うこん
)
の
扱帶
(
しごき
)
を持出して、年上の從姉を縛つて殺すなどといふことは、どう折合つても考へられないことでした。
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
叔母のお常さんを井戸端に縛つた
扱帶
(
しごき
)
の結び目のことでせう——あれは殺されたお紋が解いてやつて、ひどく不思議がつてゐたといふことですよ。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處からは赤い鹿の子絞りの
扱帶
(
しごき
)
が、仕舞ひ忘れた
洗濯物
(
せんたくもの
)
のやうに、朝風にハタハタと動いて居るではありませんか。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お吉はさう言つて、
扱帶
(
しごき
)
にくゝり着けて、帶の間に挾んである巾着の中から、小形の鐵の鍵を出して見せるのでした。
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その上、あの晩何處に居たかはつきり云へないお厩の喜三太の家には、殺されたお茂世の紅鹿の子の
扱帶
(
しごき
)
があつたでせう、
遁
(
のが
)
れつこはありませんや。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さう言へば、最初に、お孃さんの死んで居るのを見付けた時、首に、紅い
扱帶
(
しごき
)
なんか卷いてゐなかつたやうですが」
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「待つてくれ、早合點をしちやならねえ、
縮緬
(
ちりめん
)
の
扱帶
(
しごき
)
を女結びにして、聲も立てさせずに、人が殺せるものかどうか」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「赤い
扱帶
(
しごき
)
を結び合せて、梯子の上の段に縛つて、向う側の欄干から、そつと引つ張つたのさ。梯子は音もなく外れて、新之助は空を踏んでしまつた」
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ところで、もう一つ訊くが、今朝姉さんの死んでゐるのを見た時、首に紅い
扱帶
(
しごき
)
を卷いてあつたか、無かつたか」
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お半は必死の調子でその場を
繕
(
つく
)
ろひますが、土藏の窓に下がつた赤い
扱帶
(
しごき
)
の祕密は、ガラツ八の注意をひしとつかんで容易にわき目を振らうともしません。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに喜三太が本當に娘を殺したのなら、長火鉢や鐵瓶まで引くり返して、その上へこれ見よがしに紅鹿の子の
扱帶
(
しごき
)
を長々と載つけて置く筈もあるまいぢやないか
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
覺悟
(
かくご
)
の身仕舞見事に、兩の膝を
扱帶
(
しごき
)
で結んで、片手に
數珠
(
ずじゆ
)
を掛けたまゝ、母の形見といふ
懷劍
(
くわいけん
)
で、玉のやうな白い喉笛を掻き切らうとして居るではありませんか。
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「紅い
扱帶
(
しごき
)
はその上へ後から卷いただけで、絞め殺したのは丈夫な細引だ、——それからもう一つ、脇差の
蝋塗鞘
(
ろふぬりざや
)
の中程がひどく痛んでゐるのは何ういふわけだ」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「若旦那の方から行かれないんだから、今度はお絹さんが通ふ番ぢやありませんか。合圖をして御覽なさいよ。——
扱帶
(
しごき
)
は私のでも間に合はないことはないでせう」
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「先生の死骸をよく調べて見るが宜い。首にはお近さんの紅い
扱帶
(
しごき
)
か何んか卷いてるけれど、それで殺したのぢやないよ。喉笛には丈夫な細引のあとがあるだらう」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
窓の戸は開いたまゝ、娘お玉は、布團の上に赤い
扱帶
(
しごき
)
で首を絞められて死んでゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに重つ苦しい金絲で縫取りした厚板の帶、芝居に出て來るお姫樣のやうな恰好で、
扱帶
(
しごき
)
を卷きつけて、鏡の前へ立つたところを、濡れ縁から這ひ上がつた曲者に
銭形平次捕物控:279 持参千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いよ/\一と責めする氣になつたものか、燃え立つやうな赤い
扱帶
(
しごき
)
でキリキリと縛り上げ、嫁入道具の
夥
(
おびたゞ
)
しく取散らした中、
箪笥
(
たんす
)
の引手にそれを結へてあつたのです。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「感心してやがる。
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
扱帶
(
しごき
)
で殺して、死骸の裾を直して置くのは、女に未練のある奴の仕業に極まつてるぢやないか。その女の身許や素姓はわかつて居るのか」
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中程で引千切つた
紅
(
べに
)
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
縮緬
(
ちりめん
)
の
扱帶
(
しごき
)
を一本取出し、それを預つてさつさと神田へ引揚げたのです。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
靜かに案内するお玉の後ろ姿、相變らずに美しい線ですが、今日は赤い
扱帶
(
しごき
)
さへ見せぬ淋しさです。
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
寅松は平次に注意するやうに、床の側に置いてあつた、紅い鹿の子絞りの
扱帶
(
しごき
)
を取上げました。
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
扱
常用漢字
中学
部首:⼿
6画
帶
部首:⼱
11画
“扱”で始まる語句
扱
扱帯
扱入
扱所
扱箸
扱落
扱下
扱人
扱使
扱兼