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手際
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てぎは
ふりがな文庫
“
手際
(
てぎは
)” の例文
頬邊
(
ほつぺた
)
は、
可
(
い
)
い
鹽梅
(
あんばい
)
に
掠
(
かす
)
つたばかりなんですけれども、ぴしり/\
酷
(
ひど
)
いのが
來
(
き
)
ましたよ。
又
(
また
)
うまいんだ、
貴女
(
あなた
)
、
其
(
そ
)
の
石
(
いし
)
を
投
(
な
)
げる
手際
(
てぎは
)
が。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ベシー・リイは確かに生まれつきよい才能をもつた娘だつた。何をしても
手際
(
てぎは
)
よくやつたし、また話を面白く聞かせる
骨
(
こつ
)
をも心得てゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
書替
(
かきかへ
)
だの、手形に願ふのと、急所を
衝
(
つ
)
く
手際
(
てぎは
)
の
婉曲
(
えんきよく
)
に巧妙な具合と来たら、実に魔薬でも用ゐて人の心を
痿
(
なや
)
すかと思ふばかりだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
手際
(
てぎは
)
から云つても敬服の至である。諸事明瞭に出来上てゐる。よし子の
描
(
か
)
いた柿の木の比ではない。——と三四郎には思はれた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
クラリモンドは花のやうな快楽を味ひでもするやうに、わしを見戍りながら、さも自分の
手際
(
てぎは
)
に満足するらしく思はれた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
▼ もっと見る
では言水の特色は何かと云へば、それは彼が十七字の内に、
万人
(
ばんにん
)
が知らぬ一種の
鬼気
(
きき
)
を
盛
(
も
)
りこんだ
手際
(
てぎは
)
にあると思ふ。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「曲者が——その女が、
匕首
(
あひくち
)
を拔いたまゝ、袖の中に隱して、この男の側に寄つた時、いきなり脇腹をゑぐつたのでせう。心の臟まで突き上げた
手際
(
てぎは
)
は大したもので」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金匁
(
きんせん
)
を
論
(
ろん
)
ぜず、ことさらに
手際
(
てぎは
)
をみせて名をとらばやとて、
績
(
うみ
)
はじめより人の手をからず、
丹精
(
たんせい
)
の
日数
(
ひかず
)
を
歴
(
へ
)
て見事に織おろしたるを、さらしやより母が持きたりしときゝて
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
『えらい遲い
御參詣
(
ごさんけい
)
だしたな。』と、女は鍋を
焜爐
(
こんろ
)
にかけて、
手際
(
てぎは
)
よく
煑始
(
にはじ
)
めた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
張
(
は
)
る
印刷局
(
いんさつきよく
)
の
貴婦人
(
レデイ
)
に到るまで
随喜
(
ずゐき
)
渇仰
(
かつがう
)
せしむる
手際
(
てぎは
)
開闢以来
(
かいびやくいらい
)
の
大出来
(
おほでき
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
さあ、手品師、
手際
(
てぎは
)
の鮮やかなところを見せておくれよ。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
承知して居ながら
其節
(
そのせつ
)
確
(
しか
)
と申上べきの處
只今
(
たゞいま
)
迄
(
まで
)
打捨
(
うちすて
)
置
(
おき
)
し段
不埓
(
ふらち
)
の至りなり
追々
(
おひ/\
)
呼出し長庵と
對決
(
たいけつ
)
申付るなりと一
先
(
まづ
)
歸宅
(
きたく
)
させられたり偖て越前守殿此一件は
容易
(
ようい
)
ならずと内々にて
探索
(
たんさく
)
有りし所
隱
(
かく
)
るゝより
顯
(
あら
)
はるゝはなしとの
古語
(
こご
)
の如く彼の札の辻の人殺しは
全
(
まつた
)
く長庵の
仕業
(
しわざ
)
に相違なきこと世上の
取沙汰
(
とりさた
)
もあるにより大岡殿は
新役
(
しんやく
)
の
手際
(
てぎは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
細
(
ほそ
)
い
竹
(
たけ
)
を
袖
(
そで
)
に
通
(
とほ
)
して、
落
(
お
)
ちない
樣
(
やう
)
に、
扇骨木
(
かなめ
)
の
枝
(
えだ
)
に
寄
(
よ
)
せ
掛
(
か
)
けた
手際
(
てぎは
)
が、
如何
(
いか
)
にも
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
の
所作
(
しよさ
)
らしく
殊勝
(
しゆしよう
)
に
思
(
おも
)
はれた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日の今朝まで何年が間と云ふもの
秘隠
(
ひしかくし
)
に隠し通してゐらしつたお
手際
(
てぎは
)
には私実に驚入つて
一言
(
いちごん
)
も御座いません。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
すた/\と
入
(
はひ
)
つて
来
(
く
)
ると、
棚
(
たな
)
を
視
(
なが
)
め、
席
(
せき
)
を
窺
(
うかゞ
)
ひ、
大鞄
(
おほかばん
)
と、
空気枕
(
くうきまくら
)
を、
手際
(
てぎは
)
よく
取
(
と
)
つて
担
(
かつ
)
いで、アルコールの
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
を、
靴
(
くつ
)
で
半輪
(
はんわ
)
に
廻
(
まは
)
つて、
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
くとて——
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
親父
(
おやぢ
)
にも、
倅
(
せがれ
)
にも、風景にも、
朴
(
ぼく
)
にして
雅
(
が
)
を破らざること、もろこしの
餅
(
もち
)
の如き味はひありと言ふべし。その
手際
(
てぎは
)
の
鮮
(
あざや
)
かなるは恐らくは九月小説中の第一ならん
乎
(
か
)
。
病牀雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
唐土
(
もろこし
)
の人に年季を入れて教はつたさうで、四文錢を糸で釣つて、五間ぐらゐ離れてその糸を射切つて見せました、——俺のこの
手際
(
てぎは
)
に比べると、御武家の弓自慢などは
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
人間
(
にんげん
)
一人
(
ひとり
)
大學
(
だいがく
)
を
卒業
(
そつげふ
)
させるなんて、
己
(
おれ
)
の
手際
(
てぎは
)
ぢや
到底
(
とても
)
駄目
(
だめ
)
だ」と
宗助
(
そうすけ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
能力丈
(
のうりよくだけ
)
を
明
(
あき
)
らかにした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
面
(
めん
)
も
頭
(
かしら
)
も、お
製作
(
こしら
)
へに
成
(
な
)
つたんですか。……あゝ、いや、
鷺
(
さぎ
)
のお
手際
(
てぎは
)
を
見
(
み
)
たので
分
(
わか
)
る。
軒
(
のき
)
に
振
(
ぶ
)
ら
下
(
さが
)
つた
獅子頭
(
しゝがしら
)
や、
狐
(
きつね
)
の
面
(
めん
)
など、どんな
立派
(
りつぱ
)
なものだつたか
分
(
わか
)
らない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一と突で息の根を止めた
手際
(
てぎは
)
は、大したものでしたよ
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
風「へへへ、この頃の僕の
後曳
(
あとびき
)
の
手際
(
てぎは
)
も知らんで」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
が、お
前様
(
めえさま
)
、
此
(
こ
)
の
手際
(
てぎは
)
では、
昨夜
(
ゆふべ
)
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げて、お
天守
(
てんしゆ
)
へ
持
(
も
)
つてござつた
木像
(
もくざう
)
も、
矢張
(
やつぱり
)
同
(
おな
)
じ
型
(
かた
)
ではねえだか。……
寸法
(
すんぽふ
)
が
同
(
おな
)
じでも
脚
(
あし
)
の
筋
(
すぢ
)
が
釣
(
つ
)
つて
居
(
を
)
らぬか、
其
(
それ
)
では
跛足
(
びつこ
)
ぢや。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
の
手際
(
てぎは
)
では、
室内
(
しつない
)
に
煖爐
(
だんろ
)
を
据
(
す
)
ゑ
付
(
つ
)
ける
設備
(
せつび
)
をする
丈
(
だけ
)
でも
容易
(
ようい
)
ではなかつた。
夫婦
(
ふうふ
)
はわが
時間
(
じかん
)
と
算段
(
さんだん
)
の
許
(
ゆる
)
す
限
(
かぎ
)
りを
盡
(
つく
)
して、
專念
(
せんねん
)
に
赤兒
(
あかご
)
の
命
(
いのち
)
を
護
(
まも
)
つた。けれども
凡
(
すべ
)
ては
徒勞
(
とらう
)
に
歸
(
き
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「恐ろしい
手際
(
てぎは
)
ですね、親分」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手際
(
てぎは
)
なもので、
煽
(
あふ
)
ぐ
内
(
うち
)
に、じり/\と
團子
(
だんご
)
の
色
(
いろ
)
づくのを、
十四五本
(
じふしごほん
)
掬
(
すく
)
ひ
取
(
ど
)
りに、
一掴
(
ひとつか
)
み、
小口
(
こぐち
)
から
串
(
くし
)
を
取
(
と
)
つて、
傍
(
かたはら
)
に
醤油
(
したぢ
)
の
丼
(
どんぶり
)
へ、どぶりと
浸
(
つ
)
けて、
颯
(
さつ
)
と
捌
(
さば
)
いて、すらりと
七輪
(
しちりん
)
へ
又
(
また
)
投
(
な
)
げる。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
代助は
軽
(
かる
)
い
箱
(
はこ
)
が、
軌道
(
レール
)
の
上
(
うへ
)
を、苦もなく
滑
(
すべ
)
つて
行
(
い
)
つては、又
滑
(
すべ
)
つて
帰
(
かへ
)
る迅速な
手際
(
てぎは
)
に、軽快の感じを得た。其代り自分と
同
(
おな
)
じ
路
(
みち
)
を容赦なく
往来
(
ゆきゝ
)
する
外濠線
(
そとぼりせん
)
の
車
(
くるま
)
を、常よりは騒々
敷
(
しく
)
悪
(
にく
)
んだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
豪
(
えら
)
い、
東京
(
とうきやう
)
の
客
(
きやく
)
を
魅
(
だま
)
すのは
豪儀
(
がうぎ
)
だ。ひよい、と
抱
(
だ
)
いて
温泉宿
(
をんせんやど
)
の
屋根越
(
やねごし
)
に
山
(
やま
)
を
一
(
ひと
)
つ、まるで
方角
(
はうがく
)
の
違
(
ちが
)
つた
処
(
ところ
)
へ、
私
(
わたし
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
た
手際
(
てぎは
)
と
云
(
い
)
ふのは
無
(
な
)
い。
何
(
なに
)
か、
此
(
こ
)
の
辺
(
へん
)
に、
有名
(
いうめい
)
な
狐
(
きつね
)
でも
居
(
ゐ
)
るか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不幸にして強制徴兵案の様に自分の想像を事実の上で直接
確
(
たしか
)
めて
呉
(
く
)
れる程の鮮やかな現象が、
仏蘭西
(
フランス
)
ではまだ起つてゐないから、自分は自分の
臆説
(
おくせつ
)
をさう
手際
(
てぎは
)
よく実際に証明する
訳
(
わけ
)
に行かない。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“手際”で始まる語句
手際好
手際善
手際悪