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ふさ
ふりがな文庫
“
房
(
ふさ
)” の例文
何かキラキラと光る花かんざしや、金モールの
房
(
ふさ
)
のある幕の端がだらだらとぶら下って、安い
更紗
(
サラサ
)
模様のバックが引廻わされている。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
十月になるとわたしは川の牧草地にブドウ採りに出かけ、
食
(
た
)
べ
料
(
りょう
)
というよりはその美しさと香りの点で珍重すべき
房
(
ふさ
)
をしょってきた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
着ているのは、ふわりとした
薄
(
うす
)
い
紗
(
しゃ
)
の服で、
淡青
(
うすあお
)
い
唐草模様
(
からくさもよう
)
がついていた。
髪
(
かみ
)
はイギリス風に、長い
房
(
ふさ
)
をなして両の
頬
(
ほお
)
に
垂
(
た
)
れかかっていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
女中の
房
(
ふさ
)
は手早く
燗瓶
(
かんびん
)
を
銅壺
(
どうこ
)
に入れ、食卓の布を
除
(
と
)
つた。そして
更
(
さら
)
に卓上の
食品
(
くひもの
)
を
彼所
(
かしこ
)
此処
(
こゝ
)
と置き直して心配さうに主人の様子をうかがつた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
結び上げた
総角
(
あげまき
)
(組み紐の結んだ
塊
(
かたまり
)
)の
房
(
ふさ
)
が
御簾
(
みす
)
の端から、
几帳
(
きちょう
)
のほころびをとおして見えたので、薫はそれとうなずいた。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
多すぎる髪は、眼のところまでたれていて、首筋のところでは
髻
(
もとどり
)
のようになり、かたい一
房
(
ふさ
)
の毛は後ろへ巻き上がっていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
はらりと
沈
(
しず
)
んだ
衣
(
きぬ
)
の音で、
早
(
はや
)
入口へちゃんと両手を。肩がしなやかに袂の
尖
(
さき
)
、
揺
(
ゆ
)
れつつ
畳
(
たたみ
)
に敷いたのは、
藤
(
ふじ
)
の
房
(
ふさ
)
の
丈長
(
たけなが
)
く
末濃
(
すえご
)
に
靡
(
なび
)
いた
装
(
よそおい
)
である。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まだ三十がらみの壮者だが、顔いちめんの
青痣
(
あおあざ
)
へもってきて赤いまだら
髯
(
ひげ
)
を
無性
(
ぶしょう
)
に生やし、
房
(
ふさ
)
付きの
范陽
(
はんよう
)
笠を背にかけて、地色もわからぬ
旅袍
(
たびごろも
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ネクタイ屋の看板にしては、これはすこし
物騒
(
ぶっそう
)
すぎる。聖公教会の門のところに、まるで
葡萄
(
ぶどう
)
の
房
(
ふさ
)
みたいに
一塊
(
ひとかたま
)
りに、
乞食
(
こじき
)
どもがかたまっている。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
『大変うまい葡萄だな、これは!』クイックシルヴァは、一つ一つむしってたべながらそう言いましたが、一向
房
(
ふさ
)
は小さくもならないようでした。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
あまり煙の少ないときは、コルク抜きの形にもなり、煙も重いガスがまじれば、煙突の口から
房
(
ふさ
)
になって、一方ないし四方におちることもあります。
グスコーブドリの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
金色
(
こんじき
)
の髪はひろい黒色のフェルト帽の下に深ぶかとした
房
(
ふさ
)
をみせ、その帽子の上には白い羽が物好きのようにいろいろの形に取り付けてありました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
「だらしがねえなア、
房
(
ふさ
)
が思はせ振りにハミ出して居る上に、十手の小尻が脇の下に突つ張つて居るぢやないか」
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『平民の娘』お
房
(
ふさ
)
は、
單
(
たん
)
にモデルとして彼の
眼
(
め
)
に
映
(
うつ
)
ツてゐるのでは
無
(
な
)
い。お房は彼の眼よりも
心
(
こゝろ
)
に
能
(
よ
)
く映ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それは決して結ぶということはないので、その帯の先の
織出
(
おりだ
)
しの糸が
房
(
ふさ
)
のようになって居りまして、くるくると巻付けて
端切
(
はしきれ
)
を中へ
挾
(
はさ
)
み込んで置くのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
林檎の木よ、
發情期
(
はつじやうき
)
の壓迫で、身の内が
熱
(
ほて
)
つて重くなつた
爛醉
(
らんすゐ
)
、
情
(
なさけ
)
の
實
(
み
)
の
房
(
ふさ
)
、
粒
(
つぶ
)
の
熟
(
じゆく
)
した葡萄の
實
(
み
)
、
寛
(
ゆる
)
んだ帶の
金具
(
かなぐ
)
、花を飾つた酒樽、葡萄色の蜂の
飮水場
(
みづのみば
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
私は甘いものの好きな与一のために、五銭のキャラメルと、バナナの
房
(
ふさ
)
を新聞に包んで持たせてやった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
八犬伝の全体の女主人公になっておられる
伏姫
(
ふせひめ
)
様が夫と立てておられる
八
(
や
)
つ
房
(
ふさ
)
という犬に身を触れずにみごもられた……というお話の処まで読んでしまいました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髮にも亦
琥珀色
(
こはくいろ
)
の花をつけてゐらつしやいましたが、それが捲毛の眞黒な
房
(
ふさ
)
によく引き立つてゐました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そのなかで、
十
(
とお
)
になる長女は、泥棒が台所から
這入
(
はい
)
ったのも、泥棒がみしみし
縁側
(
えんがわ
)
を歩いたのも、すっかり知っていると云った。あらまあとお
房
(
ふさ
)
さんが驚いている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ヴェニス
提灯
(
ちょうちん
)
ほどもある大きな葡萄の
房
(
ふさ
)
が互いに触れあってチリン・カリンと鳴っているのである。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
女たちの中にお
房
(
ふさ
)
というのがいた、
茂吉
(
もきち
)
という男の妻でいちばん年若く、そのとき二十三四だった。
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ふすまの引き手の
房
(
ふさ
)
が、ゆらりとゆれた。細目にあいた
隙
(
すき
)
から、次の間の伊吹大作の顔が現われて
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そこには、大きなブドウの
房
(
ふさ
)
が、おもたそうにたれさがっていて、気候はじつにおだやかで、山々は、ここではとうてい見られないような、すばらしい色をしていると。
眠りの精
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夏
(
なつ
)
ならば、すいと
飛
(
と
)
びだす
迷
(
まよ
)
い
蛍
(
ほたる
)
を、あれさ
待
(
ま
)
ちなと、
団扇
(
うちわ
)
で
追
(
お
)
い
寄
(
よ
)
るしなやかな
手
(
て
)
も
見
(
み
)
られるであろうが、はや
秋
(
あき
)
の
声
(
こえ
)
聞
(
き
)
く
垣根
(
かきね
)
の
外
(
そと
)
には、
朝日
(
あさひ
)
を
受
(
う
)
けた
小葡萄
(
こぶどう
)
の
房
(
ふさ
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その花束を垂直でなしに横に置き、各火花の先に小銃弾や猟銃
霰弾
(
さんだん
)
やビスカイヤン銃弾があって、その
房
(
ふさ
)
のような雷電の下に死を振るい出していると想像してみるがいい。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
『梅見船』第一巻「お
房
(
ふさ
)
寄場
(
よせば
)
に物の本を読む所」と題したる挿絵もまた妓家の二階にして、「火の用心」と「男女共無用の者二階へ
上
(
あが
)
るべからず」と張紙したる
傍
(
かたわら
)
の窓下には
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
紅
(
あか
)
みがかった、
光沢
(
こうたく
)
のある
葉
(
は
)
がついていたのであろうけれど、ほとんど
落
(
お
)
ちてしまい、また、
美
(
うつく
)
しい、ぬれたさんご
珠
(
じゅ
)
のような
実
(
み
)
のかたまった
房
(
ふさ
)
が、ついていたのだろうけれど
おじいさんが捨てたら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一郎君がそれにつられて、笑顔になって言いますと、保君はボートの底から白い布の袋のようなものを取出し、その中から、大きなバナナの
房
(
ふさ
)
をニューッとさし出して見せました。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ほう、そりや大変ぢやね。それから、あの、……お
房
(
ふさ
)
さんはどうしたかね。」
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
伏姫の小波は納まつたが(大助は自分)犬の八ツ
房
(
ふさ
)
に成る思案が納まらない。
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ぶだうは
棚
(
たな
)
の上に
房
(
ふさ
)
々と実り出した。だが、
妻
(
つま
)
は日日
床
(
とこ
)
の中から私にいつた。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
ぐずぐずせずと酒もて来い、
蝋燭
(
ろうそく
)
いじってそれが食えるか、
鈍痴
(
どじ
)
め
肴
(
さかな
)
で酒が飲めるか、
小兼
(
こかね
)
春吉
(
はるきち
)
お
房
(
ふさ
)
蝶子
(
ちょうこ
)
四の五の云わせず掴んで来い、
臑
(
すね
)
の達者な若い衆頼も、
我家
(
うち
)
へ行て清、仙、鉄、政
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして着替える
隙
(
ひま
)
もなく、その籠を彼の
田舎
(
いなか
)
の家へ送るために、母と二人で荷造りを初めた。籠は大粒の
翡翠色
(
ひすいいろ
)
した
葡萄
(
ぶどう
)
の
房
(
ふさ
)
や、包装紙を透けて見える
黄金色
(
こがねいろ
)
のオレンジなどで詰まっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
隠居は
房
(
ふさ
)
さんと云って、一昨年、
本卦返
(
ほんけがえ
)
りをした老人である。
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
緋
(
ひ
)
の
房
(
ふさ
)
の
襖
(
ふすま
)
はかたく閉ざされて今日も寂しく物おもへとや
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
熟
(
う
)
みつはりたるひと
房
(
ふさ
)
を
摘
(
つ
)
みにし
日
(
ひ
)
なり
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
房
(
ふさ
)
と
房
(
ふさ
)
とのからみあひ
薄紗の帳
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
若紫
(
わかむらさき
)
の
房
(
ふさ
)
ながき
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
まっ黒な実が
房
(
ふさ
)
になって重々しく揺いでいた。枯れて散り残った木の葉がおのずから枝を離れて、静まり返ってる沼に一つ一つ落ちていた……。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
銀之助は
静
(
しづ
)
に
分
(
わか
)
れて
最早
(
もう
)
歩くのが
慊
(
いや
)
になり、車を飛ばして
自宅
(
うち
)
に帰つた。遅くなるとか、
閉
(
し
)
めても
可
(
い
)
いとか
房
(
ふさ
)
に言つたのを忘れて
了
(
しま
)
つたのである。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
昔のお前をあんなにもあどけなく見せていた、赤いさくらんぼのついた麦藁帽子もかぶらずに、若い女のように、髪を
葡萄
(
ぶどう
)
の
房
(
ふさ
)
のような
恰好
(
かっこう
)
に編んでいた。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
母親殿
(
おふくろどの
)
は
頬板
(
ほゝツぺた
)
のふくれた、
眦
(
めじり
)
の
下
(
さが
)
つた、
鼻
(
はな
)
の
低
(
ひく
)
い、
俗
(
ぞく
)
にさし
乳
(
ぢゝ
)
といふあの
毒々
(
どく/″\
)
しい
左右
(
さいう
)
の
胸
(
むね
)
の
房
(
ふさ
)
を
含
(
ふく
)
んで、
何
(
ど
)
うして
彼
(
あれ
)
ほど
美
(
うつく
)
しく
育
(
そだ
)
つたものだらうといふ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
足をすくって、カラリと地に落ちた銀の光——短剣かと見えたのは、
房
(
ふさ
)
のつかない尺四、五寸の十手であった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はすぐ手にもった野葡萄の
房
(
ふさ
)
を棄ていっしんに理助について行きました。ところが理助は連れてってやろうかと云っても一向私などは構わなかったのです。
谷
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「女の子はお半、お
房
(
ふさ
)
、お六、お
萩
(
はぎ
)
、
祭
(
まつり
)
——こいつは年の順ですが、二十一から十七まで、それにお
女将
(
かみ
)
のお
余野
(
よの
)
が入るんだから、その賑やかさということは」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兩方の
顳顬
(
こめかみ
)
には、暗い
褐色
(
かつしよく
)
の髮がその時の流行のやうに、——當時は撫でつけて捲いたのや、長い
捲毛
(
まきげ
)
は流行してゐなかつた——丸みをつけた捲毛で
房
(
ふさ
)
になつてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
命ぜられて
頭
(
とうの
)
中将が色の濃い、ことに
房
(
ふさ
)
の長い藤を折って来て源中将の杯の台に置き添えた。源中将は杯を取ったが、酒の
注
(
つ
)
がれる迷惑を顔に現わしている時、大臣は
源氏物語:33 藤のうら葉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私が大学で
教
(
おす
)
わったある西洋人が日本を去る時、私は何か
餞別
(
せんべつ
)
を贈ろうと思って、宅の蔵から
高蒔絵
(
たかまきえ
)
の
緋
(
ひ
)
の
房
(
ふさ
)
の付いた美しい
文箱
(
ふばこ
)
を取り出して来た事も、もう古い昔である。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
房
(
ふさ
)
と下った五色のテープがその魚のひれの様に見えて、楽しげに、楽しげに、小さく、小さく、そして、いつしかほこりの様に
幽
(
かす
)
かになって、果てしれぬ青空の底へと消えて行った。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“房”の意味
《名詞》
(ボウ)二十八宿の一つ。東方の星宿。房宿。そいぼし。
(出典:Wiktionary)
房
常用漢字
中学
部首:⼾
8画
“房”を含む語句
女房
阿房
乳房
厨房
安房
閨房
房々
独房
女房子
監房
煖房
臥房
小房
房子
小女房
房奴
恋女房
寝房
房州
房楊枝
...