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尻尾
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しつぽ
ふりがな文庫
“
尻尾
(
しつぽ
)” の例文
で泥坊は、そつと山羊の頭をなでながら、その綱を切つて、首の鈴を驢馬の
尻尾
(
しつぽ
)
にゆはひつけて、山羊だけを盗んでいつてしまつた。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その男のいふのでは、牛程人間の役に立つものは
鮮
(
すくな
)
い。田を
耕
(
たが
)
へし、荷車を
曳
(
ひ
)
き、頭から
尻尾
(
しつぽ
)
の
尖
(
さき
)
まで何一つ捨てるところも無い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一
片
(
ぺん
)
の
宣言書
(
せんげんしよ
)
==其は頭から
尻尾
(
しつぽ
)
まで、
爆發
(
ばくはつ
)
した感情の
表彰
(
へうしやう
)
で、
激越
(
げきえつ
)
を
極
(
きは
)
め、所謂阿父の
横
(
よこ
)
ツ
頬
(
つら
)
へ
叩
(
たゝ
)
き付けた意味のものであツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「今晩はもう遲い、明日の朝早く出かけるとしよう。それだけ
巧
(
たく
)
んだ仕事なら、早く行つたからつて
尻尾
(
しつぽ
)
を掴めるとも限るめえ」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
燕
(
つばめ
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうに
父
(
とう
)
さんを
見
(
み
)
て
尻尾
(
しつぽ
)
の
羽
(
はね
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふり
)
ながら、
遠
(
とほ
)
い
空
(
そら
)
から
漸
(
やうや
)
くこの
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へ
着
(
つ
)
いたといふ
話
(
はなし
)
でもするらしいのでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
舟をおりようとして、旅人がひよいと見ますと、へさきに立つてゐる子どもの
尻
(
しり
)
べたから、長い
尻尾
(
しつぽ
)
が垂れてゐました。
狐の渡
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
それから五日程して、よく沼岸の砂地にあそびにくる、
尻尾
(
しつぽ
)
の短い赤い小鳥が姉さんの居処をしらしてくれました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
おれがね、お前は一体何物だと、頭に向つて尋ねたら、
私
(
わたし
)
は
山椒魚
(
さんせううを
)
ですよと、
尻尾
(
しつぽ
)
がおれに返事をしたぜ。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ぴゆツと一とふり
尻尾
(
しつぽ
)
をふると、びちやりと
大
(
おほ
)
きな
腹
(
はら
)
の
上
(
うへ
)
で、めちやめちやに
潰
(
つぶ
)
れて
死
(
し
)
んでしまひました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
然し三十分もふんばつてゐて、カラ/\に乾いた鼠の
尻尾
(
しつぽ
)
程の糞が二切れほどしか出なかつた。
一九二八年三月十五日
(旧字旧仮名)
/
小林多喜二
(著)
云ふもンぢやない。加野は加野だ。君があんな風にしむけた罪があるンだ。女は誰にでも
尻尾
(
しつぽ
)
を
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
引寄
(
ひきよ
)
せても
遁
(
に
)
げないから、
密
(
そつ
)
と
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れると、
尻尾
(
しつぽ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
ひねつて、二つも三つも
指
(
ゆび
)
のさきをチヨ、チヨツと
突
(
つゝ
)
く。
此奴
(
こいつ
)
と、ぐつと
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れると、スイと
掌
(
てのひら
)
に
入
(
はい
)
つて
来
(
く
)
る。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
し
骨董
(
こつとう
)
と
名
(
な
)
のつく
程
(
ほど
)
のものは、
一
(
ひと
)
つもない
樣
(
やう
)
であつた。ひとり
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
大
(
おほ
)
きな
龜
(
かめ
)
の
甲
(
かふ
)
が、
眞向
(
まむかふ
)
に
釣
(
つ
)
るしてあつて、
其下
(
そのした
)
から
長
(
なが
)
い
黄
(
き
)
ばんだ
拂子
(
ほつす
)
が
尻尾
(
しつぽ
)
の
樣
(
やう
)
に
出
(
で
)
てゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてフロッコオトの長い
尻尾
(
しつぽ
)
をぴくぴく
顫
(
ふる
)
はせて、立ちすくんでしまつた。何分かが
喧囂
(
けんがう
)
の内に過ぎた。血走つた先生の凹んだ眼には、その時涙さへ
染
(
にじ
)
んで來たのである。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
間拔
(
まぬけ
)
に
背
(
せ
)
のたかい
大人
(
おとな
)
のやうな
面
(
つら
)
をして
居
(
ゐ
)
る
團子屋
(
だんごや
)
の
頓馬
(
とんま
)
が、
頭
(
かしら
)
もあるものか
尻尾
(
しつぽ
)
だ
尻尾
(
しつぽ
)
だ、
豚
(
ぶた
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
だなんて
惡口
(
あくこう
)
を
言
(
い
)
つたとさ、
己
(
お
)
らあ
其時
(
そのとき
)
千
束樣
(
ぞくさま
)
へねり
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
たもんだから
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
乳酪の猫がまだ夢みるやうにその光つた
尻尾
(
しつぽ
)
の尖の細かな緑色の痙攣を
凝視
(
みつ
)
めてゐる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
俺も外の奴には恐い顔をして随分
啖付
(
くらひつ
)
きさうな素振をして嚇かしたが、此正直な神野霜兵衛さんには何時でも
尻尾
(
しつぽ
)
を掉つて愛想をしたから、一度は
麺包
(
パン
)
のお土産を頂戴したことがあつた。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
それから、ちよつとした荷物をこしらへて、それを
尻尾
(
しつぽ
)
のさきにつゝかけ、えつちやら、おつちやら、お伽の国境までやつて来ました。すると、ちやうど、そこに雲がむく/\と起つて来ました。
虹猫の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
するどい
眼
(
め
)
をして、ひげが二いろまつ白な、せなかのまがつた大将が、
尻尾
(
しつぽ
)
が
箒
(
はうき
)
のかたちになつて、うしろにぴんとのびてゐる
白馬
(
はくば
)
に乗つて先頭に立ち、大きな剣を空にあげ、声高々と歌つてゐる。
北守将軍と三人兄弟の医者
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
うすぐらい
尻尾
(
しつぽ
)
の先を曳きずつて歩きまはる。
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
海豚
(
いるか
)
が
背後
(
うしろ
)
で、
尻尾
(
しつぽ
)
を
踏
(
ふ
)
むに。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
尻尾
(
しつぽ
)
の裂けた気まぐれ者さ。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それから、小さな
尻尾
(
しつぽ
)
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「どうにもかうにも保ちさうもなかつたら、その邊で詰め込んで歸るとしようよ。魚の
尻尾
(
しつぽ
)
を噛つてゐる犬なんか見て、淺ましい心を起しちやならねエ」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
炎天
(
えんてん
)
にさらされて、
行
(
ゆ
)
くこともならず、
還
(
かへ
)
りもされず、むなしく、
馬
(
うま
)
はのんだくれ の
何時
(
いつ
)
だか
知
(
し
)
れない
眼覺
(
めざ
)
めをまつて
尻尾
(
しつぽ
)
で
虻
(
あぶ
)
や
蠅
(
はひ
)
とたわむれながら、
考
(
かんが
)
へました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
父
(
とう
)
さんはめつたにその
蛇
(
へび
)
を
見
(
み
)
ませんでしたが、どうかすると
日
(
ひ
)
の
映
(
あた
)
つた
土藏
(
どざう
)
の
石垣
(
いしがき
)
の
間
(
あひだ
)
に
身體
(
からだ
)
だけ
出
(
だ
)
しまして、
頭
(
あたま
)
も
尻尾
(
しつぽ
)
も
隱
(
かく
)
しながら
日向
(
ひなた
)
ぼつこをして
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
かけました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
間抜に背のたかい大人のやうな面をしてゐる団子屋の
頓馬
(
とんま
)
が、
頭
(
かしら
)
もあるものか
尻尾
(
しつぽ
)
だ尻尾だ、豚の尻尾だなんて
悪口
(
あくこう
)
を言つたとさ、己らあその時
千束様
(
せんぞくさま
)
へねり込んでゐたもんだから
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
驢馬の
尻尾
(
しつぽ
)
で鈴がなつてるものだから、百姓は何にも気がつかなかつたんだよ。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
さすが
目
(
め
)
に
見
(
み
)
せて、
尖
(
とが
)
つた
面
(
つら
)
、
長
(
なが
)
い
尻尾
(
しつぽ
)
は
出
(
だ
)
さぬけれど、さて
然
(
さ
)
うして
見
(
み
)
た
日
(
ひ
)
には、
足代
(
あじろ
)
を
組
(
く
)
んで
四手
(
よつで
)
を
沈
(
しづ
)
めて、
身体
(
からだ
)
を
張
(
は
)
つて、
体
(
てい
)
よく
賃無
(
ちんな
)
しで
雇
(
やと
)
はれた
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
の
番人
(
ばんにん
)
同然
(
どうぜん
)
、
寐酒
(
ねざけ
)
にも
成
(
な
)
らず
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「取りあへずあなたに頂きたいのは、
火酒
(
ウオツカ
)
と
鯡
(
にしん
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
です。」と云ふ。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
化猫
(
ばけねこ
)
、
雉猫
(
きじねこ
)
、かま
鼬
(
いたち
)
、粟が
尻尾
(
しつぽ
)
を黄に垂れた。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
うすぐらい
尻尾
(
しつぽ
)
の先を曳きずつて歩きまはる
青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
尻尾
(
しつぽ
)
を出して逃げちやつた。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
尻尾
(
しつぽ
)
のないやせ犬が
小熊秀雄全集-02:詩集(1)初期詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
下手人がわからなきや、親分は馬の
尻尾
(
しつぽ
)
の仕掛けなんかを、皆んなの前で話すわけはないでせう——あれを
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
似
(
に
)
て、
違
(
ちが
)
ふもの——
蠅
(
はい
)
と
蚋
(
ぶよ
)
。
蠅
(
はい
)
はうるさがられ、
蚋
(
ぶよ
)
は
恐
(
こは
)
がられて
居
(
ゐ
)
ます。
蚋
(
ぶよ
)
は
人
(
ひと
)
をも
馬
(
うま
)
をも
刺
(
さ
)
します。あの
長
(
なが
)
くて
丈夫
(
ぢやうぶ
)
な
馬
(
うま
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
の
房々
(
ふさ/\
)
とした
毛
(
け
)
は、
蚋
(
ぶよ
)
を
追
(
お
)
ひ拂
ふ
(
はら
)
のに
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
入相
(
いりあひ
)
の
鐘
(
かね
)
の
聲
(
こゑ
)
陰
(
いん
)
に
響
(
ひゞ
)
きて
塒
(
ねぐら
)
にいそぐ
友烏
(
ともがらす
)
今宵
(
こよひ
)
の
宿
(
やど
)
りの
侘
(
わび
)
しげなるに
誰
(
た
)
が
空
(
うつ
)
せみの
夢
(
ゆめ
)
の
見初
(
みはじ
)
め、
待合
(
まちあひ
)
の
奧二階
(
おくにかい
)
の
爪彈
(
つめび
)
きの
三下
(
さんさが
)
り
簾
(
すだれ
)
を
洩
(
も
)
るゝ
笑
(
わら
)
ひ
聲
(
ごゑ
)
低
(
ひく
)
く
聞
(
きこ
)
えて
思
(
おも
)
はず
停
(
とま
)
る
行人
(
ゆくひと
)
の
足元
(
あしもと
)
、
狂
(
くる
)
ふ
煩惱
(
ぼんなう
)
の
犬
(
いぬ
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
尻尾
(
しつぽ
)
もふらず、
掌
(
て
)
も
開
(
あ
)
かず
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
自分
(
じぶん
)
が
遣
(
や
)
ると
狐
(
きつね
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
だ。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尻尾
(
しつぽ
)
が出たら何とせう。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
喰はせようと思つて居るうちにドロドロと闇の中に消え込んでしまひましたよ。其邊中探したが、
尻尾
(
しつぽ
)
も見付かりやしません。お月樣が隱れると、坂下の闇はやけに暗い
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひつそりとうつ
尻尾
(
しつぽ
)
の
尖
(
さき
)
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「何が妙なんだ、大膳坊が
尻尾
(
しつぽ
)
でも出したのか」
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あつちの
尻尾
(
しつぽ
)
が
太
(
ふウと
)
いぞ
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雉猫
(
きじねこ
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
を振る
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“尻尾(
尾
)”の解説
動物の構造
尾(お)、別名尻尾(しっぽ)、尾っぽ(おっぽ)は、動物の後部(頭の反対側)である。英語ではtail。特にはっきりとしたしなやかな、体幹の後方部分のことをいう。生物学的なものと、一般的なものでは異なる場合が多々ある。
(出典:Wikipedia)
尻
常用漢字
中学
部首:⼫
5画
尾
常用漢字
中学
部首:⼫
7画
“尻”で始まる語句
尻
尻餅
尻端折
尻目
尻込
尻切
尻馬
尻持
尻眼
尻端