完全かんぜん)” の例文
このみつつのかたちうたを、のちには、片歌かたうたといつてゐます。これは、うた半分はんぶんといふことでなく、完全かんぜんでないうたといふことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「じつは、先祖せんぞ時代じだいから、もう一つほかにおな仏像ぶつぞうつたわっています。そのほうなら、完全かんぜんでございます。」と、おとこはいいました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その日私たちは完全かんぜんなくるみのも二つ見附みつけたのです。火山礫の層の上には前の水増みずましの時の水が、ぬまのようになって処々たまっていました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もっとも墓場はかばだとか、そのほか場所ばしよ完全かんぜん土器どきうづもれてゐることもありますが、私共わたしども發見はつけんするのはおほくは破片はへんです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
すなは不完全ふかんぜん外輪山がいりんざんであつて、もしそれが完全かんぜんならば中央ちゆうおうにある圓錐状えんすいじよう火山かざん全部ぜんぶ抱擁ほうようするかたちになるのである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
してれば、なんでもみなむなしいことだ、ヴィンナの完全かんぜん大学病院だいがくびょういんでも、我々われわれのこの病院びょういんすこしも差別さべついのだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのうち、シャツがくねくねと気味きみわるく動き、人間にんげんがぬぎすてるようにまるまったと思うと、ぽんとまどぎわになげすてられて、あやしい男は完全かんぜんにその姿すがたしてしまった。
しかし樹木じゆもくによつては氣候きこう急激きゆうげき變化へんかのためまたは、病虫害びようちゆうがい一時いちじおとしたりすると、この生長状態せいちようじようたい例外れいがい出來できて、完全かんぜんあらはれず、半分はんぶんぐらゐでえるのがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ばんこまるのは物質ぶっしつというものの兎角とかくくずやすいことで、いろいろ工夫くふうしてつくってても、みな半途はんとながれてしまい、立派りっぱたましい宿やどになるような、完全かんぜん人体じんたい容易ようい出来上できあがらなかったそうでございます。
わたしはその話を暗唱あんしょうし始めた。わたしはほとんど完全かんぜんおぼえていた。
これで事件じけん完全かんぜん解決かいけつされたといつてよいのであろう。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
けれども、時代じだいさきまをしたようですから、そのおさくも、自然しぜんおもしろさがかたよつてゐて、完全かんぜんなものとはまをげることが出來できません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
なにぶんうすてついたでつくり、これをかはひもむすあはせたものでありますから、いまではぼろ/\にこはれて、完全かんぜんのこつてゐるものはまれであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
その時分じぶんには、すくない品数しなかずは、ますますすくなくなって、完全かんぜんなものとては、だれか、利助りすけ作品さくひんあいしていたごく少数しょうすうひと家庭かていのこされたものか、また
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
苦痛くつううすらげるのはなんためか? 苦痛くつうひと完全かんぜんむかわしむるものとうではいか、また人類じんるいはたして丸薬がんやくや、水薬すいやくで、その苦痛くつううすらぐものなら、宗教しゅうきょう
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いつか校長も黄いろの実習服じっしゅうふくを着て来ていました。そして足あとはもう四つまで完全かんぜんにとられたのです。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
したがつて地震動ぢしんどう性質せいしつ地震ぢしん損傷そんしようしない土木工事どぼくこうじや、建築けんちく仕方しかたとうについての研究けんきゆう非常ひじようすゝみ、木造もくぞうならび西洋風せいようふう家屋かおくにつき耐震構造法たいしんこうぞうほうなどほとんど完全かんぜんいきすゝんだ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
つまり樹木じゆもく各々おの/\いちばんてきする場所ばしよにあつてはじめて完全かんぜん繁殖はんしよくすることが出來できるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
完全かんぜん方法ほうほうだよ。
ほんとうに博物館はくぶつかんいまいつたとほり、品物しなものならかた系統的けいとうてき出來できてゐるうへに、ならべてある品物しなもの目録もくろく完全かんぜんつくられてゐなければなりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
けれども大昔おほむかしには、うたとづくべきものがおほかつたので、そのうち、一番いちばんあと出來できて、一番いちばん完全かんぜんになつたものが、うたといふもつぱらにしたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
こうして、かれは、晩年ばんねんおくりました。そして、高齢こうれいでこのなかからったのであります。かれが、なくなっても、そのさかずきだけは、完全かんぜん姿すがたのちまでのこりました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし櫻島さくらじまのように四合目邊しごうめあたりからつくはじめ、そこから鎔岩ようがんなが慣例かんれいつてゐるものならば、その完全かんぜんにするために、土砂どさばすなどはたらきをする。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
その水力電氣すいりよくでんき水源すいげん森林しんりんによつて、はじめて完全かんぜんやしなふことが出來できるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
これよりちいさなものの形が完全かんぜんに私どもに見えるはずはけっしてないのです。
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしは、利助りすけつくった完全かんぜんなさらがあるなら、どれほどのかねしても、一まいほしいものだ。」
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
豫知問題よちもんだい研究けんきゆうについてもつと大切たいせつ目標もくひようは、地震ぢしん主原因しゆげんいん調査ちようさである。彈藥だんやく完全かんぜん裝填そうてんされてあるか、いなかを調しらべることである。近時きんじ此方面このほうめん研究けんきゆうがわが日本につぽんおいおほいにすゝんでた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それは、もはやひとり、このお人形にんぎょうだけが完全かんぜんだとは、いわれなかったからです。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
明治四十二年めいじしじゆうにねん八月十四日はちがつじゆうよつか姉川大地震あねがはだいぢしんおい倒潰とうかいた、田根小學校たねしようがつこう教場きようじようである。讀者どくしや墜落ついらくした小屋組こやぐみが、其連合そのれんごうちからもつていかに完全かんぜんさゝへられたかをられるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
おとこは、もう一つの完全かんぜんなほうを、ここへってくればかったかとまどいました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
旅館りよかん設備せつび完全かんぜんせるとうるものである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そして、やがて完全かんぜんつくってしまいますと、雌鳥めすについてたまごみました。なつなかばころには、もはやつばめの子供こどもがなくようになりました。太郎たろうはかわいくてたまりませんでした。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
完全かんぜんにうつしてあるのに、むしろびっくりなさいました。
おさらい帳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
完全かんぜん仏像ぶつぞうでありました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)