)” の例文
牧之ぼくしおもへらく、鎮守府将軍ちんじゆふしやうぐん平の惟茂これもち四代の后胤かういん奥山おくやま太郎の孫じやうの鬼九郎資国すけくに嫡男ちやくなん城の太郎資長すけながの代まで越後高田のほとり鳥坂とりさか山に城をかまへ一国にふるひしが
けれども、次第しだい畜生ちくしやう横領わうりやうふるつて、よひうちからちよろりとさらふ、すなどあとからめてく……る/\手網であみ網代あじろうへで、こし周囲まはりから引奪ひつたくる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自身の居る窓の下に旅人の煙草たばこの吸殻を捨てさせるなどとは憐むべきである、絶東ぜつとう米何こめなにだけのをもよう張らないのであると米何こめなには思つて居るかも知れません。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
其後そののち田常でんじやう簡公かんこうころすにおよんで、ことごと高子かうし國子こくしぞくほろぼす。じやう曾孫そうそんいたりて(三三)自立じりふし、いんせい威王ゐわうる。へいもちおこなふ、おほい穰苴じやうしよはふ(三四)ならへり。
そのこゑ距離きよりとほいので、はげしく宗助そうすけ鼓膜こまくほどつよくはひゞかなかつたけれども、たしかに精一杯せいいつぱいふるつたものであつた。さうしてたゞ一人いちにん咽喉のどから個人こじん特色とくしよくびてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
らずらずの間に、私の想像力がたくましうして、無中むちゆういうを生じた処も無いには限らない。しかし大体の上から、私はかう云ふことが出来ると信ずる。私の予想は私を欺かなかつた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
卷上れば天一坊はあつたけからざる容體ようだいに着座す其出立には鼠色ねずみいろ琥珀こはく小袖こそでの上に顯紋紗けんもんしや十徳じつとくを着法眼袴はふげんはかま穿はきたり後の方には黒七子くろなゝこの小袖に同じ羽織茶宇ちやうはかま穿はき紫縮緬むらさきちりめん服紗ふくさにて小脇差こわきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みかきのはこれもとりて、割據かつきよつくえうへりかゝつて、いままで洋書ようしよひもとゐたは年頃としごろ二十歳はたちあまり三とはるまじ、丸頭まるあたまの五がりにてかほながからずかくならず、眉毛まゆげくて黒目くろめがちに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その空虚な茶色の眼には何等のもないのであつた。
霜毫しやうがうあり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
口許くちもととともに人品じんぴんくづさないでがある……かほだちがおびよりも、きりゝと細腰ほそごしめてた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
高々とかけ嚴重げんぢうなる白洲しらすてい左右には夫々の役人居ならび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
神はうやまふによりてをますとはむべなるかな
しかものあるエエの字は
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かたへに一ぽんえのきゆ、年經としふ大樹たいじゆ鬱蒼うつさう繁茂しげりて、ひるふくろふたすけてからすねぐらさず、夜陰やいんひとしづまりて一陣いちぢんかぜえだはらへば、愁然しうぜんたるこゑありておうおうとうめくがごとし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見れば上段のみすの前にかしら半白はんぱくにして有てたけからぬ一人のさふら堂々だう/\として控へたり是ぞ山内伊賀亮いがのすけなり次は未壯年さうねんにして骨柄こつがらいやしからぬ形相ぎやうさうの侍ひ二人是ぞ赤川大膳だいぜんと藤井左京さきやうにて何れも大家の家老職と云ともはづかしからざる人品じんぴんにて威儀ゐぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忿怒ふんぬ面相めんさう、しかしあつてたけからず、大閻魔だいえんままをすより、くちをくわつと、唐辛子たうがらしいた關羽くわんうてゐる。したがつて古色蒼然こしよくさうぜんたる脇立わきだち青鬼あをおに赤鬼あかおにも、蛇矛じやぼう長槍ちやうさう張飛ちやうひ趙雲てううんがいのないことはない。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまかげにやゝうすれて、すごくもやさしい、あつて、うつくしい、薄桃色うすもゝいろると同時どうじに、中天ちうてんそびえた番町小學校ばんちやうせうがくかう鐵柱てつちうの、火柱ひばしらごとえたのさへ、ふとむらさきにかはつたので、すにみづのない劫火ごふくわ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)