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契
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ちぎ
ふりがな文庫
“
契
(
ちぎ
)” の例文
大納言の首は月のない夜、姫君の首の恋する人の首のふりをして忍んで行って
契
(
ちぎ
)
りを結びます。契りの後に姫君の首が気がつきます。
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「これは助命の願いではございません。どんな
罪科
(
つみとが
)
がありましょうとも、小三郎は私の許婚、二世を
契
(
ちぎ
)
った方に違いはございません」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おっしゃってるじゃありませんか? どれもこれもみんな「さるべき
契
(
ちぎ
)
り」なのだと思って
諦
(
あきら
)
めてしまえば別に悲しいこともないわ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
そして、後醍醐ご自身は、ここより車を南に
回
(
かえ
)
し、奈良へ落ちん、というお計りなのである。——南都も深く宮方に
契
(
ちぎ
)
りおるもの。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六郷川の中洲の蘆間にただ一度の
契
(
ちぎ
)
りから、海賊の娘と旗本の若殿との間に、
業病
(
ごうびょう
)
の感染。
悪因縁
(
あくいんねん
)
の
怨
(
うらみ
)
は今も
仰々子
(
ぎょうぎょうし
)
が語り伝えている。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
▼ もっと見る
用いずば器は美しくならない。器は用いられて美しく、美しくなるが故に人は更にそれを用いる。人と器と、そこには主従の
契
(
ちぎ
)
りがある。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
黄金色
(
わうごんいろ
)
の
金盞花
(
きんせんくわ
)
、男の夢に
通
(
かよ
)
つてこれと
契
(
ちぎ
)
る
魑魅
(
すだま
)
のもの
凄
(
すご
)
い
艶
(
あで
)
やかさ、これはまた
惑星
(
わくせい
)
にもみえる、或は悲しい「夢」の愁の髮に燃える火。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
つまりは
契
(
ちぎ
)
りを
籠
(
こ
)
めた
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
の若者に
縋
(
すが
)
って、純なる夫婦のかたらいを持続する力の無い、あわれなる者という意味にほかならぬのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
主人が
偕老同穴
(
かいろうどうけつ
)
を
契
(
ちぎ
)
った夫人の脳天の真中には
真丸
(
まんまる
)
な大きな
禿
(
はげ
)
がある。しかもその禿が暖かい日光を反射して、今や時を得顔に輝いている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さればとてまた、誰と
契
(
ちぎ
)
らんと願うにもあらず、ただ、わが身の年若く、美しき事のみなげかれ、
徒
(
いたず
)
らなる思に身を
焦
(
こが
)
すなり
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「どちらへおいでになったのですか、御冷遇を受けますね。『秋を
契
(
ちぎ
)
れる』はただ私をおからかいになっただけなのですか」
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
夫人
(
ふじん
)
と
少年
(
せうねん
)
とを
其
(
その
)
船室
(
キヤビン
)
に
送
(
おく
)
つて、
明朝
(
めうてう
)
を
契
(
ちぎ
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
船室
(
へや
)
に
歸
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
、
八點鐘
(
はつてんしよう
)
の
號鐘
(
がうしよう
)
はいと
澄渡
(
すみわた
)
つて
甲板
(
かんぱん
)
に
聽
(
きこ
)
えた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
好し、さらば一時間の後の事にすべければ、こゝにて我が來んを待てと
契
(
ちぎ
)
り置きて、我は岸邊に往き、舟を雇ひて、何處をあてともなく漕ぎ行かせつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
異にして我は其夜靜岡に泊り待つと告來し大坂の友には今年の秋と
契
(
ちぎ
)
り翌日また滊車にて根岸の古巣へ飛び歸りぬ
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
飯島の
遺書
(
かきおき
)
をば取る手おそしと読み下しまするに、孝助とは一旦
主従
(
しゅうじゅう
)
の
契
(
ちぎ
)
りを結びしなれども
敵
(
かたき
)
同士であったること、孝助の忠実に
愛
(
め
)
で、孝心の深きに感じ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
渝
(
かは
)
らぬ
契
(
ちぎ
)
りの
誰
(
た
)
れなれや
千年
(
せんねん
)
の
松風
(
しようふう
)
颯々
(
さつ/\
)
として
血汐
(
ちしほ
)
は
殘
(
のこ
)
らぬ
草葉
(
くさば
)
の
緑
(
みどり
)
と
枯
(
か
)
れわたる
霜
(
しも
)
の
色
(
いろ
)
かなしく
照
(
て
)
らし
出
(
い
)
だす
月
(
つき
)
一片
(
いつぺん
)
何
(
なん
)
の
恨
(
うら
)
みや
吊
(
とぶら
)
ふらん
此處
(
こゝ
)
鴛鴦
(
ゑんあう
)
の
塚
(
つか
)
の
上
(
うへ
)
に。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
御息所は敦忠と
契
(
ちぎ
)
るようになり、敦忠は限りもなく此のお方をいとしい人に思ったのであったが、或る時
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
下界の人間と
契
(
ちぎ
)
ったが最後天狗の宮の岩の上から深い谷底へ投げ下ろされ必ず
生命
(
いのち
)
を失うのだからな
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
途中
(
とちゆう
)
より、としてお
浦
(
うら
)
の
名
(
な
)
で、
二人
(
ふたり
)
が
結婚
(
けつこん
)
を
為
(
し
)
ない
前
(
まへ
)
から、
契
(
ちぎ
)
りを
交
(
か
)
はした
少年
(
せうねん
)
の
学生
(
がくせい
)
が
一人
(
ひとり
)
ある。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
村の若い娘と
契
(
ちぎ
)
り、かえって娘の情に引かされて、
大武岬
(
だいぶみさき
)
の鼻というのから身投げをして、心中を遂げてしまったということから、どうもその子孫の狐が
嫉
(
ねた
)
み
心
(
ごころ
)
が強くて
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ親友として永久に変わらじと
契
(
ちぎ
)
り合ったに過ぎない(枕草紙、にげなきもの。「頭弁」)。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
実
(
げ
)
に人生の悲しみは
頑是
(
ぐわんぜ
)
なき愛児を手離すより悲しきはなきものを、それをすら
強
(
し
)
ひて堪へねばならぬとは、是れも
偏
(
ひとへ
)
に秘密を
契
(
ちぎ
)
りし罪悪の罰ならんと、吾れと心を取り
直
(
なほ
)
して
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
牛頭山前よりは共にと
契
(
ちぎ
)
りたる
寒月
(
かんげつ
)
子と打連れ立ちて、竹屋の渡りより浅草にかかる。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これもと
我
(
わが
)
なしたる
罪
(
つみ
)
なれば、人はしらずとも
余処目
(
よそめ
)
に見んはそらおそろしく、命をかけて
契
(
ちぎ
)
りたることばにもたがへりとおもふから、むすめごの
命
(
いのち
)
に
代
(
かは
)
りて神に御
罰
(
ばつ
)
を
詫
(
わび
)
候はん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
おうらみしたら、何というわけのわからない女と、おさげすみをうけるかも知れない——いかに何だと言うて、これほどまでに、かたくかたく言葉を
契
(
ちぎ
)
ってくだされた雪之丞どの
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「あたし、あのウなんですノ、昨夜は、ちょっと外泊したんですが……」と、彼女は行末を
契
(
ちぎ
)
ったNという青年と、多摩川の岸にあるH風呂へ泊りに行ったことを、真直ぐに告白した。
ネオン横丁殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
村上天皇の第七子
具平親王
(
ともひらしんのう
)
六
世皇孫
(
せいのこうそん
)
である俊寛が、南蛮の女と
契
(
ちぎ
)
るなどは、何事であろうと考えた。彼は、
主
(
あるじ
)
が流人になったため、心までが畜生道に陥ちたのではないかと嘆き悲しんだ。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
汝の心と
契
(
ちぎ
)
る
恩惠
(
めぐみ
)
、今までふさはしく汝の口を
啓
(
ひら
)
けるがゆゑに 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
能
(
よく
)
し
讀書
(
よみかき
)
も
拙
(
つた
)
なからず料理人の女房に
成
(
なし
)
置
(
おく
)
は
勿體
(
もつたい
)
無きなどと見る人
毎
(
ごと
)
に
言合
(
いひあへ
)
る程成ば吉兵衞は一方成ず思ひ
偕老同穴
(
かいらうどうけつ
)
の
契
(
ちぎ
)
り
淺
(
あさ
)
からず
暫時
(
しばらく
)
連添
(
つれそふ
)
内
(
うち
)
姙娠
(
にんしん
)
なし元祿二年四月廿八日
玉
(
たま
)
の如く
成
(
なる
)
男子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし別離の
夢魔
(
むま
)
から呼び起され——
契
(
ちぎ
)
りの樂園に呼び込まれ——私は、たゞ飮めとなみ/\注がれた祝福のみに、心を奪はれてゐた。繰り返し/\彼は「うれしい、ジエィン?」と云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
他の人はいざ
知
(
し
)
らず、
余
(
よ
)
が日本の婦人を妻とする理由は男女同権論とか財産権が
如何
(
どう
)
とか、こういう
水臭
(
みずくさ
)
い関係より
偕老
(
かいろう
)
の
契
(
ちぎ
)
りを結べるにあらず、夫婦間の関係は法律以外に属するものが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
時の流れるままに、彼は近づきになり、
契
(
ちぎ
)
りをむすび、さて別れただけの話で、恋をしたことはただの一度もなかった。ほかのものなら何から何までそろっていたけれど、ただ恋だけはなかった。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そこにおいでの御中﨟は、町方にいてお糸といっていられた頃、
馴合
(
なれあ
)
った踊の朋輩だった。いつか思い思われる仲になり、行末を
契
(
ちぎ
)
ったこともあったが、そのうちに仲絶えて行会えぬようになった。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「此歌モ亦下意アル歟。君ガ恩恵ヲ近ク蒙ルベキ事ハ、
譬
(
たと
)
ヘバ人ノ夕去バ必ラズ逢ハムト
契
(
ちぎ
)
リタラムニ、泊瀬川ノ早キ瀬ヲカラウジテ渡リ来テ其家近ク成タルガ如シトヨメル歟」(代匠記)等と詮索しがちであるが
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
料理との
不二
(
ふに
)
の
契
(
ちぎ
)
りが結ばれるのです。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
辞世 一
諸
(
もろ
)
ともに
契
(
ちぎ
)
りし事は
半
(
なかば
)
にて
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
束の間ももろともにとぞ
契
(
ちぎ
)
りたる
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
友の
契
(
ちぎ
)
りも結ばずに
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
おまけにこの先生ときては、
天晴
(
あっぱれ
)
悟りをひらいて当代の大聖人と仰がれるようになってから、夢に天女と
契
(
ちぎ
)
りをむすんで、夢精した。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「これは助命の願ひではございません。どんな
罪科
(
つみとが
)
がありませうとも、小三郎は私の許婚、二世を
契
(
ちぎ
)
つた方に違ひはございません」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
契
(
ちぎ
)
りは、
比翼
(
ひよく
)
の鳥もおろかと思い、つねに生死と紙一ト重な敵中で、いわば
糟糠
(
そうこう
)
の妻振りを、かたむけつくしていたのである。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そはこの話に
止
(
とどま
)
らず、
安珍
(
あんちん
)
清姫
(
きよひめ
)
の話を翻訳したる「
紀州
(
きしう
)
日高
(
ひだか
)
の女
山伏
(
やまぶし
)
を殺す事」も然り、
葛
(
くず
)
の
葉
(
は
)
の話を翻訳したる、「畜類人と
契
(
ちぎ
)
り
男子
(
をのこ
)
を生む事」
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……故郷の山の中で一生を
契
(
ちぎ
)
り合ったひとと二人っきりで瓜を作る。……いいな。
羨
(
うらやま
)
しい生活だ。幸福な余生だ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
二世
(
にせ
)
の
契
(
ちぎ
)
りと
掟
(
おきて
)
にさえ出ている夫は、二重にも三重にも可愛がってくれるだろう、また可愛がって下さるよと受合われて、住み馴れた
家
(
いえ
)
を今日限りと出た。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それにしても今日の大阪は検校が在りし日の
俤
(
おもかげ
)
をとどめぬまでに変ってしまったがこの二つの墓石のみは今も浅からぬ師弟の
契
(
ちぎ
)
りを語り合っているように見える。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
契
(
ちぎ
)
りは
深
(
ふか
)
き
祖先
(
そせん
)
の
縁
(
えん
)
に
引
(
ひ
)
かれて
樫
(
かし
)
の
實
(
み
)
の
一人子同志
(
ひとりこどうし
)
、いひなづけの
約
(
やく
)
成立
(
なりたち
)
しはお
高
(
たか
)
がみどりの
振分髮
(
ふりわけがみ
)
をお
煙草盆
(
たばこぼん
)
にゆひ
初
(
そ
)
むる
頃
(
ころ
)
なりしとか、さりとては
長
(
なが
)
かりし
年月
(
としつき
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
蛇形
(
じゃぎょう
)
の者と
契
(
ちぎ
)
って、それを悔い恥ずるの心から、箸をほとに突き立てて自殺したという姫の名。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いずれにしたところで彼らみずからの情と
才藻
(
さいそう
)
とは、見いだされまた選択せられる折を失ってしまったのである。いわゆる
仇
(
あだ
)
し
契
(
ちぎ
)
りの結ばれやすかったのも止むを得ない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
実
(
げ
)
に人生の悲しみは
頑是
(
がんぜ
)
なき愛児を手離すより悲しきはなきものを、それをすら
強
(
し
)
いて堪えねばならぬとは、これも
偏
(
ひとえ
)
に秘密を
契
(
ちぎ
)
りし罪悪の罰ならんと、われと心を取り直して
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「部落の長たる自分の娘が宗介天狗のお心持ちに
背
(
そむ
)
き下界の若者と
契
(
ちぎ
)
るさえ言語道断の
曲事
(
くせごと
)
だのに、部落を捨ててどことも知れず姿を隠してしまうとは何んという不心得の女であろう」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
契
常用漢字
中学
部首:⼤
9画
“契”を含む語句
契約
契機
黙契
契丹
契沖
契合
契冲
釈契沖
契情
心契
密契
契約書
道契
桃林契悟禅師
情契
印契
地契
地契廟
若契
秘契
...