“ちぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
34.4%
千切21.9%
10.0%
遅疑6.3%
千断5.2%
千木3.3%
地祇3.0%
2.2%
1.5%
痴戯1.1%
1.1%
断切1.1%
1.1%
拗切0.7%
0.7%
0.7%
捩斷0.7%
0.4%
扯断0.4%
断離0.4%
千絶0.4%
寸断0.4%
寸斷0.4%
手切0.4%
手断0.4%
扯斷0.4%
断絶0.4%
智顗0.4%
稚戯0.4%
遲疑0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「これは助命の願いではございません。どんな罪科つみとががありましょうとも、小三郎は私の許婚、二世をちぎった方に違いはございません」
ゴンドラを繋ぐ、理髪屋とこやの標柱のような彩色棒の影が、水の上で、伸びたり縮んだり、千切ちぎれたり附着したりして、一日遊んでいた。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
「二階を下りしなに、何や暗うなって、ふらふらと目がもうて、……まあ、あて、ほんに、あの中へ落ちた事なら手足がちぎれる。」
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
持って押すことだ。攻めるも護るも、これで押徹せばよいのだ。遅疑ちぎ逡巡しゅんじゅんすれば、そこに破綻が生ずる。君がそういう国家の不利益を、この上もたらさないことを望む
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは、色褪いろあせた古金襴こきんらんの袋に入っている。糸はつづれ、ひも千断ちぎれているが、古雅こがなにおいと共に、中の笛までが、ゆかしくしのばれる。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足名椎は彼等夫婦の為に、出雲いづもの須賀へ八広殿やひろどのを建てた。宮は千木ちぎ天雲あまぐもに隠れる程大きな建築であつた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
よこしまなる人はもちろん話をも防ぎ、ただき道に導き奉り、共に天神地祇ちぎの冥助を、永く蒙り給わんことを願い給うべし。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
げにおん身のきぬほころびたりといへば、ジエンナロ手もてその破れたる處をつまみ、この端のちぎれたるはいばらにかゝりて跡に殘りぬ、われは直ちに心附きぬれど、奈何いかんともすること能はざりき
かく引きちぎり、むざむざと歩み棄てけむ。——
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
僕ハイツモ彼女ガいやガッテイルトコロノ悪戯ノ数々、———彼女ニ云ワセレバ執拗イ、恥カシイ、イヤラシイ、オーソドックスデナイトコロノ痴戯ちぎノ数々ヲ
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「正義」の大商人おほあきんどウヰルソン氏なぞ、よく気をけないと、兎のやうな耳朶みゝたぶちぎれる程引張られるかも知れないて。
十歳とおばかりの男の子に手を引かれながら、よぼ/\して遣ってまいり、ぼろ/\した荒布あらめのような衣服きものを着、肩は裂け袖は断切ちぎれ、恐しいなりをして居ります。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かくちぎりて、すなはち詔りたまひしく、「汝は右より𢌞り逢へ、は左より𢌞り逢はむ」とのりたまひて、ちぎへて𢌞りたまふ時に、伊耶那美の命まづ「あなにやし、えをとこを
あめまれにしんみりとつても西風にしかぜあさから一にちあを常緑木ときはぎをもどろなか拗切ちぎつて撒布まきちらすほどつのれば、それだけでつちはもうほとんどかわかされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
曇り日に映って、東の方へと折れて、連山の頭へ古い綿を、ポツリポツリとちぎっては投げ出すように、風に吹き飛ばされている、乗鞍岳が濃い藍靛らんてん色に染まって、沈まり返って
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
「彦、この百合を一つ残らず引っちぎって河へ叩っ込め。」
あくる日になると、義男はみのるの身體に殘つた所々の傷を眺めて斯う云つた。女の軟弱な肉を振り捩斷ちぎるやうに掴み占める時の無殘さが、後になると義男の心に夢の樣に繰り返された。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
その國より科野しなのの國一九に越えまして、科野の坂二〇の神を言向けて、尾張の國に還り來まして、先の日にちぎりおかしし美夜受みやず比賣のもとに入りましき。
すなはちはむと思ほししかども、また還り上りなむ時に婚はむと思ほして、ちぎり定めて、東の國に幸でまして、山河の荒ぶる神又は伏はぬ人どもを、悉にことむやはしたまひき。
一ツ残りし耳までも扯断ちぎらむばかりに猛風の呼吸さへ為せず吹きかくるに、思はず一足退きしが屈せず奮つて立出でつ、欄をつかむで屹とにらめばそら五月さつきの闇より黒く
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
我等を囚へし慈にん岩窟いはやは我が神力にて扯断ちぎり棄てたり崩潰くづれさしたり、汝等暴れよ今こそ暴れよ、何十年の恨の毒気を彼等に返せ一時に返せ、彼等が驕慢ほこりの臭さを鉄囲山外てつゐさんげつかんで捨てよ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
鷲郎は黒衣が首級くびを咬ひ断離ちぎり、血祭よしと喜びて、これをくちひっさげつつ、なほ奥深く辿たどり行くに。忽ち路きわまり山そびえて、進むべき岨道そばみちだになし。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
さきに文角ぶんかくぬしが物語に、聴水ちょうすいといふ狐は、かつてわが父月丸つきまるぬしのために、尾の尖かみ切られてなしと聞きぬ。今彼の狐を見るに、尾の尖断離ちぎれたり。恐らくは聴水ならん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
細かに細かに千絶ちぎれた雲の一つ一つが夕映の光を真面まともに浴びて、紅に紫に青に輝き、その中に、黄金、白銀の糸をさえまじえて、思いもかけぬ、尊い、綾が織りなされるのである。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
今は古綿のごとく此処ここ寸断ちぎ彼所かしこも寸断れて
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
古綿ふるわたのごとく此處こゝ寸斷ちぎ彼所かしこ寸斷ちぎ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふと氣付くと、裏口の柿の木に近所の子供が上つてゐて、まだよく熟してはゐない柿の實を手切ちぎつて落すのを他の子供が掌で受けてゐた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
二人はこのごろT—のところへ届いた枝ごとのバナナを手断ちぎりながら、いろいろの話に耽った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
何しろひやツこくなつた人間ばかり扱ツてゐるせゐか、人間が因業いんごふに一酷に出來てゐて、一度うと謂出したら、首が扯斷ちぎれてもを折はしない。また誰が何んと謂ツても受付けようとはせぬ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
が文三無念で残念で口惜しくて、堪え切れぬ憤怒の気がカッとばかりに激昂げっこうしたのをば無理無体に圧着おしつけた為めに、発しこじれて内攻して胸中に磅礴ほうはく鬱積する、胸板が張裂ける、はらわた断絶ちぎれる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
智者大師はその名を智顗ちぎといって、今から千三百四十年ほど前に亡くなった支那の高僧で、生きているうちには一度も日本へは来たことのなかった人であります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かつての、中野お犬小屋荒しのような稚戯ちぎは、当然、無罪となさねばならぬ。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
〔譯〕靈光れいくわうたいつる時、細大さいだいの事物、遺落ゐらく無く、遲疑ちぎ無し。