ちぎ)” の例文
楢の葉が一枚、引きちぎって捨てた紙片のように、浮いている、自然という無尽蔵は、何物をも、こうして惜しげなく、捨てるのだ、これからの深林もそれだ。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
曇り日に映って、東の方へと折れて、連山の頭へ古い綿を、ポツリポツリとちぎっては投げ出すように、風に吹き飛ばされている、乗鞍岳が濃い藍靛らんてん色に染まって、沈まり返って
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)