ちぎ)” の例文
新字:
と、巨人は其て居る金色の雲をちぎり斷つて、昔ツオイスの神が身をした樣な、黄金の雨を二人の上に降らせ始めた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
げにおん身のきぬほころびたりといへば、ジエンナロ手もてその破れたる處をつまみ、この端のちぎれたるはいばらにかゝりて跡に殘りぬ、われは直ちに心附きぬれど、奈何いかんともすること能はざりき
赤くきんをかすつたちぎれ雲が
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
虚空みそらちぎれの細葉ほそば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
黒いチユウツケちぎれたつばさ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
村役場と駐在所が中央なか程に向合つてゐて、役場の隣が作右衞門店、萬荒物から酢醤油石油莨、罎詰の酒もあれば、前掛半襟にする布帛もある。箸でちぎれぬ程堅い豆腐も賣る。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ともづなを解きてカプリに向ふ程に、天を覆ひたりし紗は次第にちぎれて輕雲となり、大氣は見渡す限澄み透りて、水面には一波の起るをだに認めず。美しきアマルフイイは巖のあなたに隱れぬ。