ちぎ)” の例文
「嘘ぢやありません。おや、それをちぎりなした。反古ぢやないのですぞい。中に胡瓜の種があるのですに。御覽なさい、みんな無くなつて。」
胡瓜の種 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
かく引きちぎり、むざむざと歩み棄てけむ。——
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
坊ちやんは、もう絵の本にも疾くにお飽きになつて、足を投げ出して、紙箱の蓋をちぎり/\してゐられたが、やがてもう眠くなつたと見えて、せいのない、浮かない顔をしてお出でになる。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
院長の傍に立つて脱脂綿をちぎつて渡してゐる看護婦は、聲で想像したやうに、痩せしなびた淋しさうな女で、白い上着の袖口を赤いリボンをちぎつたやうなもので結んでゐるのが目立つてゐた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
かう言つて麺麭をおちぎりになる。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)