痴戯ちぎ)” の例文
さあそれからは、ここを痴戯ちぎの池として、鴛鴦えんおうの濡れ遊ばない日はなかった。西門慶も熱々あつあつに通ってくるが、むしろ金蓮こそ今は盲目といっていい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕ハイツモ彼女ガいやガッテイルトコロノ悪戯ノ数々、———彼女ニ云ワセレバ執拗イ、恥カシイ、イヤラシイ、オーソドックスデナイトコロノ痴戯ちぎノ数々ヲ
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なぜなら、まだ昼中なのに、几帳きちょうのうちではご主君が女を抱いていたのである。それもあらわな枕絵まくらえ痴戯ちぎそのままなかたちで、こっちを振りむいているのであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼間木村と演じた痴戯ちぎの一つ一つを、そのままもう一度夫を相手に演じてみせ、彼と木村とがどういう点でどういう風に違うかを味わい分けることに興味を感じていたのであったが
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ほとぼりがさめるとまた、王婆の奥に入りびたって、金蓮相手に、したい三昧ざんまい痴戯ちぎふけった。——女も今では、誰におどおどすることもない。晩になってもせかせか帰る灯はないのだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)