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千断
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ちぎ
ふりがな文庫
“
千断
(
ちぎ
)” の例文
山下へ出た時は、手も足も寒さに
凍
(
こご
)
えて
千断
(
ちぎ
)
れそうな気がしたので、とある居酒屋が見つかったのを幸い、そっと
暖簾
(
のれん
)
をくぐった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
それは、
色褪
(
いろあ
)
せた
古金襴
(
こきんらん
)
の袋に入っている。糸はつづれ、
紐
(
ひも
)
も
千断
(
ちぎ
)
れているが、
古雅
(
こが
)
なにおいと共に、中の笛までが、ゆかしく
偲
(
しの
)
ばれる。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
食い物もろくに食わずに、土間に立詰めだ。
指頭
(
ゆびさき
)
の
千断
(
ちぎ
)
れるような寒中、炭を
挽
(
ひ
)
かされる時なんざ、
真実
(
ほんと
)
に泣いっちまうぜ。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寒い寒い朝、耳朶が
千断
(
ちぎ
)
れそうで、靴の裏が
路上
(
じべた
)
に凍着くのでした。此寒い寒い朝だのに、停車場はもう一杯の人でした。
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
よれよれの単衣に、
千断
(
ちぎ
)
れかかった三尺をしめた、もう六十を越えた男だ。無帽の頭は五分刈で、まっ白い。草履はとっくに脱ぎすてて、必死で走っている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
▼ もっと見る
その(ふわ、)がね、何の事アねえ、鼠の穴から古綿が
千断
(
ちぎ
)
れて出たようだ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足が一本
千断
(
ちぎ
)
れた疼痛が、ハッキリ老人を蘇生へ導いてくれたのであった。
仲々死なぬ彼奴
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
入れて呉れるだって! 彼は腕を振り
千断
(
ちぎ
)
られないのが切めてもの仕合せであった。五分間のうちに、彼はもう何の気兼ねもなくなっていた。これほど誠意の籠った歓迎はまたと見られまい。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
岩は
千断
(
ちぎ
)
れ
書割
(
かきわり
)
は裂ける。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そしてたちまち一陣のつむじを吹きおこし、風は空へ
翔
(
か
)
け揚ッて、黒雲へ
挑
(
いど
)
み、高廉をつつむ妖雲をむしり
千断
(
ちぎ
)
ッた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨はやまず、風は休まず、彼女の
蓑
(
みの
)
もやがて
千断
(
ちぎ
)
れ果てて手も胸も肩も、ただ雨と泥にまみれるばかりだった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、駕屋の眼にも触れないように、門の土塀に這っている夕顔の
蔓
(
つる
)
を、そっと
千断
(
ちぎ
)
って、袂へ入れた。
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この野郎ッ」
喚
(
わめ
)
いて、
輦
(
くるま
)
のそばへ、寄ってきたかと思うと、腕をのばして、藤色の
縁
(
ふち
)
に朱の
絹房
(
きぬふさ
)
の垂れているそこの
簾
(
すだれ
)
を、ぱりっと、力にまかせて、引き
千断
(
ちぎ
)
った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤土の肌の崩れている土塀には、夕顔の
蔓
(
つる
)
がいちめんに這って、白い花が無数に
宵
(
よい
)
の微風に息づいていた。彼女の側にも、浪人の体にもその弱々しい蔓や白い花が、
千断
(
ちぎ
)
れて落ちた。
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お蝶の思案は後ろから来る空ッ風に、
千断
(
ちぎ
)
れ千断れに飛んで行く。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千
常用漢字
小1
部首:⼗
3画
断
常用漢字
小5
部首:⽄
11画
“千”で始まる語句
千住
千切
千々
千種
千
千尋
千歳
千曲川
千鳥
千代