扯断ちぎ)” の例文
旧字:扯斷
一ツ残りし耳までも扯断ちぎらむばかりに猛風の呼吸さへ為せず吹きかくるに、思はず一足退きしが屈せず奮つて立出でつ、欄をつかむで屹とにらめばそら五月さつきの闇より黒く
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
我等を囚へし慈にん岩窟いはやは我が神力にて扯断ちぎり棄てたり崩潰くづれさしたり、汝等暴れよ今こそ暴れよ、何十年の恨の毒気を彼等に返せ一時に返せ、彼等が驕慢ほこりの臭さを鉄囲山外てつゐさんげつかんで捨てよ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)