即座そくざ)” の例文
神事じんじをはれば人々離散りさんして普光寺に入り、はじめ棄置すておきたる衣類いるゐ懐中くわいちゆう物をるに鼻帋はながみ一枚だにうする事なし、かすむれば即座そくざ神罰しんばつあるゆゑなり。
命令が出たので、隊員は反対するのを即座そくざにやめた。そして厳重警戒のもとに、戸口を開いて、かの疑問の月人を艇内にいれた。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
誰が何と解釈したって異説の出ようはずがない。こんな明白なのは即座そくざに校長が処分してしまえばいいに。随分ずいぶん決断のない事だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それで、正坊まさぼうは、まさしくこのひとだとおもいましたから、そのおとこのすすめるままに、いってみようと、即座そくざ決心けっしんしました。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それをしたら、即座そくざに彼女の魅力の膝下しっかに踏まえられて、せっかく、固持して来た覚悟を苦もなくさらって行かれそうな予感が彼を警戒さしたのであろう。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
次郎は、田沼先生が、二月二十六日の事変後に組織された内閣ないかくに入閣の交渉こうしょうをうけたのを、即座そくざ拒絶きょぜつした、という新聞記事を見たのをふと思いおこした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
普通の人についてもその真価は即座そくざに決することは出来ぬ。まずは七、八年はかかる。むかしの人のいったごとく人生はかんおおうて始めて定まるものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
縁臺えんだいがめいんで、つち三尺さんじやくばかり掘下ほりさがつたとふのである。女房にようばう即座そくざえて、のきはなかゞやいた。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暫しがあひだあづかり呉よと言けるに爰の主個あるじも此話しは朧氣おぼろげながら聞ゐたればかく即座そくざ落着らくちやくせしを喜びすこし異議いぎはあらずして三にんを奧の座敷へ通しぬ扨忠兵衞は和吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
えらい商売を始めたものやと思っているうちに、酒屋への支払いなどもとどこおり勝ちになり、結局、やめるにかずと、その旨柳吉に言うと、柳吉は即座そくざに同意した。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
民部みんぶ即座そくざ矢立やたてをとりよせ、筆をとって、サラサラ八ぎょうを書き、みずから梅雪ばいせつの手もとへ返した。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
園絵をこっそり帯屋小路の家へつれて来て、久しぶりに喬之助に会わせてやろうと、思い立つと、何でも即座そくざに実行しないと気の済まない喧嘩渡世人だ。よかろう。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
證據しやうこやある』と王樣わうさままをされました、『おそれることはない、はやへ、さもなければ即座そくざ死刑しけいだ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「ここに美玉あり。ひつおさめてかくさんか。善賈ぜんかを求めてらんか。」と子貢が言った時、孔子は即座そくざに、「これを沽らんかな。これを沽らん哉。我はあたいを待つものなり。」
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
さてその返答をどうしたものかと、彼も即座そくざの思案に迷っていると、吉五郎はさとすように云った。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたくし懐剣かいけん何卒どうぞこのままわたくしと一しょかんなかおさめていただきとうございますが……。』するとはは即座そくざわたくしねがいれて、『そのとおりにしてあげますから安心あんしんするように……。』
即座そくざにちっぽけに見る事もできましたし、孫たちがよちよち歩きで庭に出て来るのを見るにつけ、そのおい先を考えると、ワン、ツー、スリー、拡大のガラスからのぞきさえすれば
また落着いたしゃがれ声にかえり「しかし、実際女の選手ってだらしがねエな」と村川をかえりみれば、村川も即座そくざに、「じッせえ、女流選手っていうのは、なっちゃいないね」と合槌あいづちを打ちます。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
私の自尊心は、間違つた非難できずつけられたので即座そくざに答へた。「今まででも、そんなことで泣きなんかしませんわ。私は馬車で出かけるのは嫌ひです、私は、私が可哀さうで泣いてるの。」
眞暗まつくらになつて、あだか墜道とんねるのやうに物淋ものさびしいみちを、武村兵曹たけむらへいそう即座そくざてんじた球燈きゆうとうひかりてらして、みぎれ、ひだりてんじて、およそ百四五十ヤードもすゝむと、岩石がんぜきまへうしろはなれて、けうをなし
即座そくざに、室の隅のほうで五万ミルという声がしたが、カムポスはふり向きもしない。それから、五万五千、六万と小刻みにいって七万ミルまでくると、そこで声がハタとなくなってしまった。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
娘の敵が判つたら、即座そくざにも斬つてかゝる心算つもりでせう。
神事じんじをはれば人々離散りさんして普光寺に入り、はじめ棄置すておきたる衣類いるゐ懐中くわいちゆう物をるに鼻帋はながみ一枚だにうする事なし、かすむれば即座そくざ神罰しんばつあるゆゑなり。
夫婦が離れゝば離れる程、自分じぶんと三千代はそれ丈接近しなければならないからである。代助は即座そくざ衝動しやうどうごとくに云つた。——
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
従ってピストルの引金を動かないようにおさえていた力がぬけ、即座そくざにズドンとピストルが発射され、その人間をたおす……という中々面白い方法だ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こんなはなしをしているところへ、あちらから、自動車じどうしゃのブウ、ブウーという、警笛けいてきおとがしました。ものぐさな主人しゅじんは、即座そくざにいいことがおもいついたのです。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さあ、身代みがはりは出来できたぞ! 一目ひとめをんなされ、即座そくざ法衣ころもいはつて、一寸いつすんうごけまい、とやみ夜道よみちれたみちぢや、すた/\と小家こやかへつてのけた……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
即座そくざ成敗せいばいされるに決まっている。いっそ師匠を亡きものにして、お常と末長く添い通そうと考えた。また一方の喜平次は、武芸にかけては此の道場でおれに及ぶ者はない。
職人である。おやじの幸兵衛を口説くどき落して誰か然るべき人を立て、正式に申し込んでいけば、即座そくざ落城らくじょうするのはわかり切っている——と思うのだが、おいらも下町ッ児だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ふるつて庄兵衞をうち即座そくざ自害じがいはてんと爲しは上のお手數てかずはぶくの御奉公ごほうこう天晴あつぱれなる擧動ふるまひなり父武左衞門は自儘じまゝなんとする娘を止めそれを引連事柄ことがら委細ゐさいのべ自首じしゆする段法度はつとを重じ上を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ベシーは、朝食堂ブレーク・フアスト・ルームへ行くように、彼を招いて、案内して出た。彼がリード夫人との會見に於て、私を學校へやるように説きつけ、即座そくざにその推薦が採用されたのが、後の出來事によつて推測された。
すぎとし北国より人ありてこぶしの大さの夜光やくわうの玉あり、よく一しつてらす、よきあたひあらばうらんといひしかば、即座そくざに其人にたくしていはく、其玉もとめたし
かれ即座そくざ言葉ことば見出みいだなかつたので、いたづらに、見慣みなれたものゝうへに、さらあたらしくもないゑてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かけるとその神経細胞の中に大きな電流が流れて、神経が焼け切れてしまう。そうなれば、人間は即座そくざに死ぬさ
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
即座そくざに何でも実行しないと気の済まない喧嘩屋夫婦である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「地獄へ行きます。」私は即座そくざに正式の答へをした。
差上しに二條家御感ぎよかんの餘り其まゝ奏聞そうもんなし給へば賤敷いやしき女にもかゝ風流ふうりう有けるよと即座そくざに御うた所へつかはされ歌仙かせんくはへさせられ又北面ほくめん北小路きたこうぢ從五位下東大寺とうだいじ長吏ちやうり若狹守藤原保忠わかさのかみふぢはらやすたゞ 勅使ちよくしとして祇園へいたり 勅使なりと聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると、しょうちゃんは、即座そくざ
僕がかわいがるから (新字新仮名) / 小川未明(著)
すぎとし北国より人ありてこぶしの大さの夜光やくわうの玉あり、よく一しつてらす、よきあたひあらばうらんといひしかば、即座そくざに其人にたくしていはく、其玉もとめたし
山嵐が憤然ふんぜんとやって来て、いよいよ時機が来た、おれは例の計画を断行するつもりだと云うから、そうかそれじゃおれもやろうと、即座そくざに一味徒党に加盟した。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、私は即座そくざに答えた。単に、楽を求めたわけではない。私は、見習技師としてでも何としてでも、この工場にとどまりたかったのであった。それには、一つの望みがあった。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
研究所にやって来た五人の少年は、おそるべき敵のスパイであった。全力をあげて、彼等の行方ゆくえをさがしだせ。万一ていこうしたならば、即座そくざになぐり殺してさしつかえない——
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
知ってりゃ即座そくざにやめるにちがいない。だから君たちは海底都市を襲撃する前に、先ず事情を海底都市へ申し入れるべきだ。及ばずながら僕はその使者の一人となってもいいと思う
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
余は、胸をはって、即座そくざに断った。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)