事情じじやう)” の例文
ところ厚利こうりづるものなるに、これくに名高めいかうもつてせば、すなは無心むしんにして事情じじやうとほしとせられ、かなら(六三)をさめられざらん。
かれ色々いろ/\事情じじやう綜合そうがふしてかんがへたうへ、まあ大丈夫だいぢやうぶだらうとはらなかめた。さうしてつめさきかる鐵瓶てつびんふちたゝいた。其時そのとき座敷ざしき
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしそのとき周圍しうゐ事情じじやうは、病人びやうにんをKうちかしてことゆるさないので、ぐに何處どこへか入院にふゐんさせなければならなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
諸外國しよぐわいこく事情じじやうこと/″\あたまなかれてかんがへなければならぬのであつて、もつと見通みとほしのにくいものである。それでつね商賣人しやうばいにんるゐきたすものである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
一日いちにちすみやかに日本につぽんかへりたいのは山々やま/\だが、前後ぜんご事情じじやうさつすると、いま此人このひとむかつて、其樣そん我儘わがまゝはれぬのである。
未開社會みかいしやくわいに於いては事情じじやう大にことなり、食物の不要部はすべて自家の物捨て塲、或は共同の物捨て塲に捨てらるるなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
いまうへにはにくくし剛慾がうよくもの事情じじやうあくまでりぬきながららずがほ烟草たばこふか/\あやまりあればこそたゝみひたひほりうづめて歎願たんぐわん吹出ふきいだすけむりして
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
檢死けんしおこなはれない事情じじやうがあつて、死體したい菰包こもづつみのまゝ十日とをかちかくもころがしてあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
道子みちこはそのへん蕎麦屋そばやさそひ、くはしくいろ/\の事情じじやうをきいた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
かん金解禁きんかいきん計畫けいくわくをしたのは一さいとゞまらなかつたが、種々しゆ/″\事情じじやうめに實現じつげん出來できなかつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
それがある事情じじやうめに明言めいげんすること出來できず、さりとて主家しゆか大難だいなんらぬかほ打※うちすぎるにもしのびで、かくは縁起話えんぎばなし托言かこつけて、その出發しゆつぱつとゞめたのかもれぬ。とかたつた。
ひらいてると、約束やくそくどほ一所いつしよかへつもりでゐたが、すこ事情じじやうがあつてさきたなければならないことになつたからとことわりべたすゑに、いづ京都きやうとゆつくりはうといてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
申子しんし(一二五)卑卑ひひ(一二六)これ名實めいじつほどこす。韓子かんし(一二七)繩墨じようぼくいて事情じじやうせつに、是非ぜひあきらかにす、きはめて(一二八)慘礉さんかくにしておんすくなし。みな道徳だうとくもとづく。
それでなくてさへ隨分ずゐぶん出入でいりものなどをりて、わたしもとまであやしいつかものなどをよこして、ういふ事情じじやうひど難儀なんぎをしてります、此裁判このさいばん判決次第はんけつしだい生死しやうしりますなどゝつて
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しか其時期そのじきるべくすみやかこれ決行けつかうせざるをぬと決心けつしんしたのはみぎ事情じじやうによるからであつたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
いま前後ぜんご事情じじやうよりかんがへ、またきみ人物じんぶつしんずるので、し、きみ確固くわくこたる約束やくそくがあるならば、今日こんにちおいて、この大秘密だいひみつを、きみ明言めいげんしてことの、むし得策とくさくなるをしんずるのです。
うつまへに、機會きくわいだから一寸ちよつと東京とうきやうまでたいものだとかんがへてゐるうちに、今度こんど色々いろ/\事情じじやうせいせられて、ついそれ遂行すゐかうせずに、矢張やはくだ列車れつしやはしかた自己じこ運命うんめいたくした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ときなるかな松澤まつざははさるとし商法上しやうはふじやう都合つがふ新田につたより一時いちじれし二千許にせんばかりかねことしはすで期限きげんながら一兩年いちりやうねんひきつゞきての不景氣ふけいき流石さすが老舖しにせ手元てもとゆたかならずこと織元おりもとそのほかにも仕拂しはらふべきかねいとおほければ新田につた親族しんぞく間柄あひだがらなりかつ是迄これまでかたよりたてかへしぶんすくなからねばよもや事情じじやううちあけて延期えんき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)