三日みっか)” の例文
だが、般若丸の名刀が、さやだっしようとしたしゅんかんに、はッと気がついたのは(を見るなかれ)という御岳みたけ三日みっか神誓ちかいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう云う鼠を狩るために鼠を一匹とらえたものには一日の上陸を許すと云う副長の命令の下ったのは碇泊後三日みっかにならない頃だった。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「うちへおかえり! 馬は、つけてあげない。三日みっかたったら、あたしが、自分でおまえのとこへとどけてあげるよ」と言いました。
そのくるも、また、ひどい吹雪ふぶきでありました。五つのあかいそりが出発しゅつぱつしてから、三日みっかめに、やっとそらは、からりとあかるくれました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき諭吉ゆきちは、しろ門番もんばんをするつとめがありました。三日みっかに一どは、そのばんがまわってきます。そのだけは、ひるはうつすことができません。
ハーモニカなどを教室へ持って来る学生なんかあるのだから、やり切れない。二十日、二十一、二十二と、三日みっか学校へかよったら、もういやになった。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そのうちでもつめほうは、三日みっかなけりゃ目立めだってびる代物しろものだ。——ゆびかずで三百ぽん糠袋ぬかぶくろれてざっと半分はんぶんよ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「なあに、馴れていますから——それに毎日は越しません。三日みっかに一ぺん、ことによると四日目よっかめくらいになります」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから三日みっかほど後に、芝の愛宕下で湯屋ゆうやをしている熊蔵が神田三河町の半七の家へ顔を出した。熊蔵が半七の子分であることは読者も知っている筈である。
半七捕物帳:45 三つの声 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
喧嘩事件で留めおきをくってから三日みっか目だ。堀口生は二日ふつかつづけて休んで今日きょうまた顔を出したのである。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
はじめの一にち二日ふつかは、むすめもおかあさんのお仕事しごとをしているそばでおとなしくあそんでおりましたが、三日みっか四日よっかとなると、そろそろおとうさんがこいしくなりました。
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
三日みっかも、四日よっかも ごはんを たべないで、じっと がくもんを して いることが ありました。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
三日みっか目には私はあによめのためにふるいなじみの人を四方木屋よもぎやの二階に集めて、森さんのおかあさんやお菊婆さんの手料理で、みんなと一緒に久しぶりの酒でもくみかわしたいと思った。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二人ふたりが一緒になってから二か月目に、葉子は突然失踪しっそうして、父の親友で、いわゆる物事のよくわかる高山たかやまという医者の病室に閉じこもらしてもらって、三日みっかばかりは食う物も食わずに
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
細君が指輪ゆびわをなくしたので、此頃勝手元の手伝てつだいに来る隣字となりあざのおすずに頼み、きちさんに見てもらったら、母家おもやいぬい方角ほうがく高い処にのって居る、三日みっか稲荷様いなりさまを信心すると出て来る、と云うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ふつたち、三日みっかとなっても、有朋は顔さえみせなかった。
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
三日みっかめのあさのことでありました。太陽たいようは、うつくしくなみあいだからのぼりました。そして、しろ燈台とうだい建物たてものよろこばしそうにかがやきました。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、あきになってまもない九がつ十日とおかごろ、おかあさんから、九がつ三日みっかにいさんがなくなったから、すぐかえってくるようにとのらせがありました。
「なにないことがあるものか。三日みっかにあげず三枚橋まいばし横丁よこちょう売女やまねこいにかけてるじゃないか。——はながまともにいてるのが、いっそ不思議ふしぎなくらいなものだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あれほどの大鷲おおわしが、一ぱつたまでおちてくるはずはない。さすれば、女はたにへふりおとされ、二ツの生命いのちきずつけることになる。これも、御岳みたけ三日みっか神文しんもんやくまもればこそ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またあるとき太子たいし天子てんしさまの御前ごぜんで、勝鬘経しょうまんきょうというおきょう講釈こうしゃくをおはじめになって、ちょうど三日みっかめにおきょうがすむと、そらの上から三じゃくはばのあるきれいな蓮花れんげって
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
第二に死後三日みっかている。第三に脚は腐っている。そんな莫迦ばかげたことのあるはずはない。現に彼の脚はこの通り、——彼は脚を早めるが早いか、思わずあっと大声を出した。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
二日ふつか三日みっかも私は寝てばかりいた。まだ半分あの山の上に身を置くような気もしていた。旅の印象は疲れた頭に残って、容易に私から離れなかった。私の目には明るい静かな部屋がある。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その翌日あくるひからHさんの手紙が心待に待ち受けられた。自分は一日いちんち二日ふつか三日みっかと指を折って日取を勘定かんじょうし始めた。けれどもHさんからは何の音信たよりもなかった。絵端書えはがき一枚さえ来なかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
絵島丸が横浜を抜錨ばつびょうしてからもう三日みっかたった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それから 三日みっかめの ことです。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
二日ふつかたっても、三日みっかたっても、せがれのったふねはもどってきませんでした。あるのこと、そのふね破片はへんなみせられて、浜辺はまべがりました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはむりもありません、アルファベット二十六をおぼえてしまうのに、三日みっかもかかったのですから。
この御岳みたけ三日みっかのあいだは、兵を動かすなかれ、を流すなかれ、仇国きゅうこくとの兵火へいかもやめよというおきてもとおこなわれることは、ここにあつまる天下の武門ぶもん百姓ひゃくしょう町人ちょうにんもあまねく知るところ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんでもくなったこの子のおかあさんが、この子のうんがいいようになにかいい名前なまえをつけようと、三日みっか三晩みばんかんがえぬいて、病気びょうきになって、いよいよ目をつぶるというときに、かすかなこえ
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「だからさ、まだ三日みっかもある。そのうちに稽古けいこをしろと言うんだ。」
たね子の憂鬱 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それが三日みっか四日よっかとなった時、少し考えさせられました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ああ、今日きょうは、おんなとおらなかった。」と、かれは、あきらめて、ねむりにつきました。その翌日よくじつも、ついにおんなとおりませんでした。そして三日みっかめのこと
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういうことが三日みっか四日よっかとつづくうち、天子てんしさまのおからだは目にえてよわって、御食事《おしょくじ》もろくろくにがれないし、かんばかりたかぶって、るもおどく御容態ごようだいになりました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
三日みっかめの晩方ばんがた、ちょうは、今日きょうこそは、はな近寄ちかよって、いろいろのおもいをかたろうとおもったのであります。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二日ふつか三日みっか四日よっかとたずねあるいて、どうしてもわからないので、六部ろくぶではありません。五日いつかめにはもうがっかりして、からだこころもくたびれって、とうとう山奥やまおくまよんでしまいました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるまちをあるきまわっていますときに、乞食こじきは、三日みっかばかりまえ自分じぶんがたってきたまちが、すっかり海嘯つなみのためにさらわれてしまった、というようなうわさをきました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
といってさわいでいるうちに、太子たいしはもう大和やまと国原くにばらをはるかあとのこして、信濃しなのくにからこしくにへ、こしくにからさらにひがし国々くにぐにをすっかりおまわりになって、三日みっかのちにまた大和やまとへおかえりになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ところが、三日みっかめのことであります。一人ひとり年老としとった旅僧たびそうが、自分じぶんまえとおりかかりました。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おらあ、三日みっかめしわんとき、たすけてもらったんだ。」と、べつ少年しょうねんがいいました。そして、ここにいるものはみんなまんにめぐみをうけたものばかりだということがわかりました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさん、そんなよわいことをいってはいけない。わたしたちは、おじいさんをてて、どうしてゆくことができよう。二日ふつかでも、三日みっかでも、おじいさんのからだがなおるまでつことにします。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるに、このかねが、二日ふつかも、三日みっからなかったことがありました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三日みっかめのことです。おつは、もうやせおとろえていました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから三日みっかばかりたちました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
がつ三日みっか
ある少年の正月の日記 (新字新仮名) / 小川未明(著)