適當てきたう)” の例文
新字:適当
しからば如何いかなる種類しゆるゐ食物しよくもつ適當てきたうであるかと具體的ぐたいてき實際問題じつさいもんだいになると、その解決かいけつはなは面倒めんだうになる。熱國ねつこく寒國かんこくではしよく適否てきひちがふ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
それ以外いぐわい品物しなもの爲替回復かはせくわいふく影響えいきやう直接ちよくせつにはけないのであるから、此程度このていど物價ぶつか低落ていらくもつと適當てきたうところであらうとおもはれる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
他人たにんけば適當てきたうひやうといはれやせん別家べつけおなじき新田につたにまではからるゝほど油斷ゆだんのありしはいへうんかたぶときかさるにてもにくきは新田につたむすめなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
としはじめといふので有繋さすがかれいへでも相當さうたうもち饂飩うどん蕎麥そば/\のれいよつそなへられた。やはらかなもち卯平うへい齒齦はぐきには一ばん適當てきたうしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
みづはじいてふたつが一所いつしよあつまつたとふよりも、みづはじかれたいきほひで、まるつた結果けつくわはなれること出來できなくなつたとひやうするはう適當てきたうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だから「下人があめやみを待つてゐた」とふよりも、「雨にふりこめられた下人が、どころがなくて、途方にくれてゐた」と云ふ方が、適當てきたうである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
くうくう」だとか、内部ないぶだとか、外部ぐわいぶだとか、苦痛くつうや、たいする輕蔑けいべつだとか、眞正しんせいなる幸福かうふくだとか、と那麼言草こんないひぐさは、みなロシヤの怠惰者なまけもの適當てきたうしてゐる哲學てつがくです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いまはそれ/″\適當てきたう位置いち配置はいちされて、すでに幾度いくたび作用さようをなした形跡けいせき歴然れきぜんえる。
何方かと謂へば、父子の反目に就いて些とも頓着とんちやくしなかツたといふ方が適當てきたうだ。好く謂ツたら嚴正げんせい中立態度ちうりつないどで、あへて子爵の味方をするのでも無ければ、また周三に同情を寄せるでも無かツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
股引 土偶に據りてコロボツクルの服裝ふくそうを考ふるに、身体の上半は筒袖つつそでの上着を以て覆ひ、下半は股引を以てふ。着服の順序より云へば先づ股引に付いてぶるを適當てきたうとす。此物に二種の別有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
大問題だいもんだいふのはたしかに『なに?』とふことでした。あいちやんは自分じぶん周圍しうゐにあるくさはなのこらずましたが、この場合ばあひべたりんだりしていやうな適當てきたうもの見出みいだすことが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その季節きせつ彼等かれら最後さいご運命うんめいであるまきすみられるやうに一ばん適當てきたうした組織そしき變化へんくわすることを餘儀よぎなくされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
宗助そうすけしたいて茶碗ちやわんいだちやんだだけであつた。なんこたへていゝか、適當てきたう言葉ことば見出みいださなかつたからである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これは勿論もちろん大正たいしやうねんぐわつ十二にち以來いらい實行じつかうせられたるきん輸出禁止ゆしゆつきんし解除かいぢよせられずしたがつ通貨つうくわ適當てきたうなる調節てうせつ物價調節ぶつかてうせつおこなはれざるに原因げんいんするわけではあるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
外國語ぐわいこくごやくして日本語にほんごとするのは勿論もちろん結構けつこうであるが、そのやく適當てきたうでなかつたり、拙劣せつれつであつたり不都合ふつがふなものが隨分ずゐぶんおほい、あらたに日本語にほんごつくるのであるから
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
廿歳はたちといふもいまなるを、さかりすぎてははな甲斐かひなし、適當てきたう聟君むこぎみおむかへ申したきものと、一專心せんしんしうおもふほかなにもし、主人しゆじん大事だいじこゝろらべて世上せじやうひと浮薄ふはく浮佻ふてう
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不足ふそくてん適當てきたう外語ぐわいごもつ補充ほじうするのはつかへないが、ゆゑなく舊來きうらい成語せいごてゝ外國語ぐわいこくご濫用らんようするのは、すなはみづからおのれを侮辱ぶじよくするもので、もつてのほか妄擧まうきよである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
資金しきん相當さうたうたかのぼるときには、適當てきたう方法ほうはふかうじて其資金そのしきん手許てもとにぎるよりほかない。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
豆腐とうふかれ齒齦はぐきもつと適當てきたうした食料しよくれうであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
以上いじやう日本にほん固有名こいうめいこと地名ちめいについて、その理由りいうなく改惡かいあくされることのなるをべたが、ここにさら寒心かんしんすべきは、吾人ごじん日用語にちようごが、適當てきたう理由りいうなくして漫然まんぜん歐米化おうべいくわされつゝあるの事實じじつである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)