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軽
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かろ
ふりがな文庫
“
軽
(
かろ
)” の例文
旧字:
輕
膝の下の隠れるばかり、甲斐々々しく、水色
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の腰巻で、
手拭
(
てぬぐい
)
を肩に当て、縄からげにして巻いた
茣蓙
(
ござ
)
を
軽
(
かろ
)
げに
荷
(
にな
)
った、
商
(
あきない
)
帰り。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
マアこの節はそのゴム人形も立派な国民と
成
(
なっ
)
て学問もすれば商工業も働き、兵士にすれば一命を
軽
(
かろ
)
んじて国の
為
(
た
)
めに水火にも飛込む。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
毎日
馴染
(
なじ
)
みの家をぐるぐる
回
(
まわ
)
って歩いているうちには、背中の荷がだんだん
軽
(
かろ
)
くなって、しまいに
紺
(
こん
)
の
風呂敷
(
ふろしき
)
と
真田紐
(
さなだひも
)
だけが残る。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
このインド娘は、なにかしら空気のように
軽
(
かろ
)
やかでしたが、それでいて、ぴちぴちとした、ゆたかなからだつきをしていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
好きでないこともないといふのは、旅の空想を私は屡々するし、空想の旅は、一種の解放であるから、心おのづから
軽
(
かろ
)
やかならざるを得ぬ。
旅の苦労
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
▼ もっと見る
お前は気が高くてねえさんたちを
軽
(
かろ
)
く見ていると言っておこっていたよ。それにお前が打ち明けないのが気に入らないのだよ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
長い廊下の果に、主人の
花紋
(
くわもん
)
を
印
(
いん
)
した
上衣
(
うはぎ
)
の後影が隠れた。上衣の裾は
軽
(
かろ
)
く廊下の大理石の上を曳いて、跡には
麝香
(
じやかう
)
と
竜涎香
(
りうえんかう
)
との匂を残した。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
白
(
しろ
)
い
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
がくずれたころ、この
列
(
れつ
)
は、
広々
(
ひろびろ
)
とした
病院
(
びょういん
)
の
門
(
もん
)
を
入
(
はい
)
って、
小砂利
(
こじゃり
)
の
上
(
うえ
)
へ
軽
(
かろ
)
やかなくつ
音
(
おと
)
をたてたのであります。
少女と老兵士
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
にもかかわらず、高祖に亡ぼされたのは勇をたのんで、智を
軽
(
かろ
)
んじたせいです。それと、高祖の隠忍がよく最後の勝ちを制したものと思います
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よござんすよ」と、吉里は
軽
(
かろ
)
く受けて、「遊んでいて下さいよ。勘定なんか心配しないで、今晩も遊んでいて下さいよ。これはよござんすよ」
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
又
鎧潟
(
よろひがた
)
に近き
横戸
(
よこと
)
村の長徳寺、
谷根
(
たにね
)
村の行光寺も
怪力
(
くわいりよく
)
のきこえたかし。此人々はいづれも
独
(
ひとり
)
して
鐘
(
つりがね
)
を
軽
(
かろ
)
く
掛
(
かけ
)
はづしするほどの力は有し人々なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そればかりでなく、十年前までは、兄弟同様に
賭場
(
とば
)
から賭場を、一緒に漂浪して歩いた忠次までが、何時となく、自分を
軽
(
かろ
)
んじている事を知った。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
さらば往きて
汝
(
なんぢ
)
の陥りし
淵
(
ふち
)
に沈まん。沈まば
諸共
(
もろとも
)
と、彼は宮が
屍
(
かばね
)
を引起して
背
(
うしろ
)
に負へば、その
軽
(
かろ
)
きこと
一片
(
ひとひら
)
の紙に
等
(
ひと
)
し。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「ヘエ、ヘヘヘヘヘ」と彼は
軽
(
かろ
)
く笑ったが「イヤなまじすこしばかり見えるのもよくございません、欲が出ましてな」
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
太祖の
言
(
ことば
)
に、
吾
(
われ
)
は乱世を治めたれば、刑重からざるを得ざりき、
汝
(
なんじ
)
は平世を治むるなれば、刑おのずから
当
(
まさ
)
に
軽
(
かろ
)
うすべし、とありしも当時の事なり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
苦
(
くるしみ
)
を
軽
(
かろ
)
んずるとか、
何
(
なん
)
にでも
満足
(
まんぞく
)
しているとか、どんなことにも
驚
(
おどろ
)
かんと
云
(
い
)
うようになるのには、あれです、ああ
云
(
い
)
う
状態
(
ざま
)
になってしまわんければ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
我儕
(
われら
)
の主は、わが軛は易くわが荷は
軽
(
かろ
)
しと
宣
(
のたま
)
ひて、そのつとめの易く、その荷の軽く、その我儕に為さしむるところの極めて簡易なるを示したまへり。
主のつとめ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
すぐ下の道を、
軽
(
かろ
)
やかな灰色がかった服を着て、バラ色のパラソルを
肩
(
かた
)
にして、急ぎ足でジナイーダが歩いていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
とても役にたつまいと
軽
(
かろ
)
しめられていた、宮内はそうした批評が、自分に下されていることを、勿論
覚
(
さと
)
っていた。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
稚い時からの恋の
最後
(
をはり
)
を、其時、二人は人知れず語つたのだ。……此
追憶
(
おもひで
)
は、流石に信吾の心を
軽
(
かろ
)
くはしない。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
待つ間
稍々
(
やゝ
)
久しくして
主人
(
あるじ
)
は扉を排して出で来りぬ、でつぷり
肥
(
ふと
)
りたる五十前後の
頑丈造
(
ぐわんぢやうづく
)
り、牧師が
椅子
(
いす
)
を離れての
慇懃
(
いんぎん
)
なる
挨拶
(
あいさつ
)
を、
軽
(
かろ
)
くも
顋
(
あご
)
に受け流しつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
十八日に
新嘉坡
(
シンガポウル
)
を
出
(
い
)
で、二十三日に
香港
(
ホンコン
)
に
入
(
い
)
り
候
(
さふらふ
)
迄また私は
甲板
(
かふばん
)
を
覗
(
のぞ
)
かんともせず
候
(
さふら
)
ひき。気候は次第に
冷
(
ひやゝか
)
になりセルさへ
軽
(
かろ
)
きに過ぐる心地する
夜
(
よ
)
もあり
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
多くの人に知られないような神仏のごときをもなおかつ
軽
(
かろ
)
んずることをしない。しかも一度それを信奉した上は、
頑
(
がん
)
としてその誓いを変えないほどの高慢さだ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
強て忍ぶも呼吸は
促迫
(
そくはく
)
し、尚忍ぶ時は涙と鼻汁とは多く流れ出で、両肩の疼み次第に増すを以て、両手を
後
(
うしろ
)
にまわし叺の底を持ちあげて肩の重きを
軽
(
かろ
)
くするなり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
イタリー風の歌い手だが、かなり強烈な特殊性があり、その
軽
(
かろ
)
やかで乙なところが一般人に向くだろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
近村で問いましても
正当
(
しょうとう
)
潔白という事、是は巡査様も御存じだから先ず
軽
(
かろ
)
く済みましたが、向山に居りました橋本幸三郎、岡村由兵衞は
混雑
(
ごたすた
)
が出来て面白くもない
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
五百の兄栄次郎も、姉
安
(
やす
)
の夫宗右衛門も、聖堂に学んだ男である。もし五百が尋常の商人を夫としたら、五百の意志は山内氏にも長尾氏にも
軽
(
かろ
)
んぜられるであろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
近世の武人などは、主君長上に対して不満のある場合に、無謀に生命を
軽
(
かろ
)
んじ死を急ぎ、さらば
討死
(
うちじに
)
をして殿様に御損を掛け申すべしと、いったような話が多かった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
茶室において草ぶきの屋根、細い柱の弱々しさ、竹のささえの
軽
(
かろ
)
やかさ、さてはありふれた材料を用いて一見いかにも
無頓着
(
むとんじゃく
)
らしいところにも世の無常が感ぜられる。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
そしていつもの
軽
(
かろ
)
らかな足取と違つた地響のする歩き振をして返つて来る。年の寄つた奴隷と物を言はぬ
童
(
わらべ
)
とが土の上にすわつてゐて主人の足音のする度に身を
竦
(
すく
)
める。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
室外の空気に頭を
晒
(
さら
)
していた
所為
(
せい
)
か、重かった頭も大分に
軽
(
かろ
)
く
清
(
すず
)
しくなって、胸も
余
(
よ
)
ほど
寛
(
くつろ
)
いで来たから、そのまま枕に就いて
一霎時
(
ひとしきり
)
うとうとと眠ったかと思う間もなく
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「なにがおかしい、義に当面すれば、身命を
鴻毛
(
こうもう
)
よりも
軽
(
かろ
)
しとするのが、侍の本分ではないか」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
われ
家
(
いえ
)
を継ぎいくばくもなくして妓を妻とす。家名を
辱
(
はずか
)
しむるの罪元より
軽
(
かろ
)
きにあらざれど、如何にせんこの妓心ざま
素直
(
すなお
)
にて唯我に
事
(
つか
)
へて過ちあらんことをのみ
憂
(
うれ
)
ふるを。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「やはりな」とまずもって
軽
(
かろ
)
らかにいった。「美作殿と左内殿との、父子の関係は別なものとして、親と子は万事が似ているものと見えます。心も似るでござりましょうよ」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あわれ
彼女
(
かれ
)
は死をだに心に任せざりき。今日、今日と待ちし今日は幾たびかむなしく過ぎて、一月あまり経たれば、われにもあらで病やや
間
(
かん
)
に、二月を経てさらに
軽
(
かろ
)
くなりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
言草
(
いひぐさ
)
が皆の気に入つて、帽子の上から
軽
(
かろ
)
く二つほど
喰
(
くら
)
はせて、酒の事はお流れになつた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
ニセコアンの丘陵の裂け目からまっしぐらにこの高原の畑地を目がけて吹きおろして来る風は、割合に粒の大きい
軽
(
かろ
)
やかな初冬の雪片をあおり立てあおり立て横ざまに舞い飛ばした。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
竹杖
軽
(
かろ
)
げに
右手
(
めて
)
に取り直し、血に
渇
(
かっ
)
したる喜三郎の兇刃に接して
一糸一髪
(
いっしいっぱつ
)
を
緩
(
ゆる
)
めず放たず、
冷々
(
れいれい
)
水の如く機先を制し去り、
切々
(
せつせつ
)
氷霜
(
ひょうそう
)
の如く
機後
(
きご
)
を圧し来るに、音に聞えし喜三郎の
業物
(
わざもの
)
も
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その名を
軽
(
かろ
)
んじていることを残念ながら頭に置いて、せんなきことに算えた。
〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
昔の明治時代の学生は、「少年老い
易
(
やす
)
く学成り
難
(
がた
)
し。一寸の光陰
軽
(
かろ
)
んずべからず。」というような文句を、
洋燈
(
ランプ
)
の
笠
(
かさ
)
に書きつけて勉強した。だが彼らの書生は、二重の意味で悲哀であった。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
寝台
(
ねだい
)
の上を見て、最初に目に付いたのは、病人の両手である。両手は着布団の上に出ていて、折々ぴくぴくと動いている。それから顔を見れば
下顎
(
したあご
)
が締りなくたるんで、唇が
軽
(
かろ
)
く明いている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
空
(
むな
)
しく
獄裏
(
ごくり
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
するの不幸に遭遇し、国の安危を
余所
(
よそ
)
に見る悲しさを、儂
固
(
もと
)
より愛国の
丹心
(
たんしん
)
万死を
軽
(
かろ
)
んず、永く牢獄にあるも、敢えて
怨
(
うら
)
むの意なしといえども、
啻
(
ただ
)
国恩に
報酬
(
ほうしゅう
)
する能わずして
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
加
(
くわ
)
ふるに
寒風
(
かんき
)
を以てし天地
将
(
まさ
)
に大に
暴
(
あ
)
れんとす、
嗟呼
(
ああ
)
昨日迄は唯一回の
細雨
(
さいう
)
ありしのみにして、
殆
(
ほとん
)
ど
晴朗
(
せいろう
)
なりし為め終夜
熟睡
(
じゆくすゐ
)
、以て一日の
辛労
(
しんらう
)
を
軽
(
かろ
)
んずるを得たるに、天未だ我一行を
憐
(
あはれ
)
まざるにや
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
世人からはますます
軽
(
かろ
)
しめられ、もし万一その穢れた者が、素性を隠して世間へ紛れ出て、穢れを世間に及ぼすことがあってはならぬという考えから、国法をもって身なりまでも強制的に差別せしめ
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「御母さんに叱られますよ」お島は
軽
(
かろ
)
くあしらいながら歩いた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
早や秋、早稲の穂づらを飛ぶ
禽
(
とり
)
の一羽二羽
軽
(
かろ
)
し
涼風
(
すゞかぜ
)
の
遠
(
をち
)
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一、
我雪
(
わがゆき
)
とおもへば
軽
(
かろ
)
し
笠
(
かさ
)
の上 其角
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
軽
(
かろ
)
く
押
(
おさ
)
へてにこやかにさらば
誰
(
たれ
)
を
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
清水
(
しみず
)
のめば汗
軽
(
かろ
)
らかになりにけり
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
軽
(
かろ
)
やかの
舞踏
(
おどり
)
のうちに——
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
“軽”の解説
軽(かる)は、飛鳥の西郊にあった歴史地名。後世の大和国高市郡大軽村、現在の奈良県橿原市大軽町付近にあった。
(出典:Wikipedia)
軽
常用漢字
小3
部首:⾞
12画
“軽”を含む語句
軽々
軽蔑
剽軽
軽卒
軽佻
軽忽
軽侮
軽率
軽重
軽舸
身軽
軽躁
軽気球
軽井沢
軽挙
軽舟
軽視
軽業的
軽業
軽捷
...