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素振
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そぶり
ふりがな文庫
“
素振
(
そぶり
)” の例文
この頃光子さんの綿貫に対する態度だんだん焼け
糞
(
くそ
)
になって来なさって、どないなとなれいうような
素振
(
そぶり
)
見せなさるもんですさかい
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ
懐
(
ふところ
)
から縄を出して
扱
(
しご
)
くような
素振
(
そぶり
)
をしたり、またそこらにあったものを引き寄せるような仕事をしているうちに、寝ていた幸内が
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すぐ
夫
(
をつと
)
は
傍
(
そば
)
から
松葉
(
まつば
)
を
拾
(
ひろ
)
ひ
上
(
あ
)
げて
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
をつつ
突
(
つ
)
いた。と、
蜂
(
はち
)
はあわてて
穴
(
あな
)
から
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たが、
忽
(
たちま
)
ち
松葉
(
まつば
)
に
向
(
むか
)
つて
威嚇的
(
ゐかくてき
)
な
素振
(
そぶり
)
を
見
(
み
)
せた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
またそういう
素振
(
そぶり
)
も見えなかった。我は我が本分を守って仏教を伝えたが為に罪ありとして殺されるならばぜひもないことである
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しかし
後
(
あと
)
になるとやっぱり私に感心したような
素振
(
そぶり
)
を見せます。実を云うと、私の方が兄さんにやり込められて感心するだけなのですが。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
先刻
(
さつき
)
から、
出入
(
ではひ
)
りのお
秋
(
あき
)
の
素振
(
そぶり
)
に、
目
(
め
)
を
着
(
つ
)
けた、
爐邊
(
ろべり
)
に
煮
(
に
)
ものをして
居
(
ゐ
)
た
母親
(
はゝおや
)
が、
戸外
(
おもて
)
に
手間
(
てま
)
が
取
(
と
)
れるのに、フト
心着
(
こゝろづ
)
いて
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
でも私は主人を疑う様な
素振
(
そぶり
)
は、これっぽっちも見せないでいました。ああして病気までしているのを見ると、気の毒で仕様がなかったのです
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、色々試してゐるうち、孔雀の世間馴れた
素振
(
そぶり
)
が、これまで
初心
(
うぶ
)
な
生娘
(
きむすめ
)
でなかつた事を証拠立てて来た。草人は不安さうな目付をして
訊
(
たづ
)
ねた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
並背
(
なみぜい
)
にていが
栗
(
ぐり
)
の
頭髮
(
つむり
)
も
思
(
おも
)
ひなしか
俗
(
ぞく
)
とは
變
(
かは
)
りて、
藤本信如
(
ふぢもとのぶゆき
)
と
訓
(
よみ
)
にてすませど、
何處
(
どこ
)
やら
釋
(
しやく
)
といひたげの
素振
(
そぶり
)
なり。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
穂積の親類は
勿論
(
もちろん
)
、知らぬ人まで
讃
(
ほ
)
めて、
羨
(
うらや
)
んで、
妬
(
ねた
)
んで、騒いでいる中に、ただ清吉爺いさん一人は、若い主人の
素振
(
そぶり
)
が
腑
(
ふ
)
に落ちないように思った。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一生懸命でもう一度声をかけたが、何の
甲斐
(
かい
)
もなかった。子供達の
素振
(
そぶり
)
には、馬鹿にし切っている色が
明
(
あきら
)
かだった。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
U氏もYの罪を免しつつもその態度にはマダ
慊
(
あきた
)
らないものがあったのであろう。「君には何にも話さなかったかい? 変った
素振
(
そぶり
)
は見えなかったかい?」
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
其
(
そ
)
れにも
係
(
かゝは
)
らず、自分の母親のお
豊
(
とよ
)
はあまり
好
(
よ
)
くは思つてゐない
様子
(
やうす
)
で、
盆暮
(
ぼんくれ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もほんの義理一
遍
(
ぺん
)
らしい事を
構
(
かま
)
はず
素振
(
そぶり
)
に
現
(
あらは
)
してゐた事さへあつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
頭に物を載せてあゆみ自らこれを知らざる人、
他
(
ほか
)
の人々の
素振
(
そぶり
)
をみてはじめて
異
(
あやしみ
)
の心をおこせば 一二七—一二九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
世間のことなら何もかも知りぬいていながら、飽きて退屈するような
素振
(
そぶり
)
は少しも表に現わさない。それだけに老いてもくずおれるということがなかった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
そして又、靜子の吉野に對する
素振
(
そぶり
)
も、信吾の目に快くはなかつた。總じて年頃の兄が年頃の妹の男に親しまうとするのを見るのは、樂しいものではない。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
光秀は何やら心を割って語りたいような
素振
(
そぶり
)
でもあったが、とかく光春のことばは光秀にそれを吐かしめないのみか、切に、一刻もはやく中国へ出陣して
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脅迫状の噂で心配している時も時、いつにない高野千之の妙な
素振
(
そぶり
)
を見て、志津子の不安は一層強くなった。
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、実際は
存外
(
ぞんぐわい
)
、女の誘惑する場合も……言葉で誘惑しないまでも、
素振
(
そぶり
)
で誘惑する場合が多さうである。
世の中と女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先日も九州でおめにかかりましたが、それほど深いお悩みのあることは、
素振
(
そぶり
)
にもお見せになりませんでした。御主人は太っ腹な、それは気持ちのいい方です。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
軈
(
やが
)
て
今度
(
こんど
)
は、
愛
(
あい
)
ちやんが
其
(
そ
)
の
頭
(
あたま
)
を
下
(
した
)
へやり、
再
(
ふたゝ
)
び
始
(
はじ
)
めやうとすると
針鼠
(
はりねずみ
)
が、
自分
(
じぶん
)
を
仲間外
(
なかまはづ
)
れにしたと
云
(
い
)
つて
大
(
おほい
)
に
怒
(
いか
)
り、
將
(
まさ
)
に
匍
(
は
)
ひ
去
(
さ
)
らうとする
素振
(
そぶり
)
が
見
(
み
)
えました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それに、何よりも、彼に変に思われ出したのは、このごろのお祖父さんやお祖母さんの
素振
(
そぶり
)
に、何か彼にかくし立てをしているようなところが見えることであった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
三造はしばらく女を
睨
(
にら
)
んでいた。女は家にはいりそうな
素振
(
そぶり
)
を見せた。彼はほんとに腹を立てた。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
成るべく丑松を避けるといふ風で、顔を合すまいと勉めて居ることは、いよ/\其
素振
(
そぶり
)
で読めた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
もちろん無切符は表方の方でも見張っているから、それ以上に眼を利かせなければいけないが、
素振
(
そぶり
)
や何かでそれと察すると、ハネるのを待って物蔭へ連れ込んで脅迫する。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
イワン、デミトリチは
初
(
はじ
)
めの
中
(
うち
)
は
院長
(
ゐんちやう
)
が
野心
(
やしん
)
でも
有
(
あ
)
るのでは
無
(
な
)
いかと
疑
(
うたが
)
つて、
彼
(
かれ
)
に
左右
(
とかく
)
遠
(
とほ
)
ざかつて、
不愛想
(
ぶあいさう
)
にしてゐたが、
段々
(
だん/\
)
慣
(
な
)
れて、
遂
(
つひ
)
には
全
(
まつた
)
く
素振
(
そぶり
)
を
變
(
か
)
へたので
有
(
あ
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何
(
なん
)
だか、
隔
(
へだて
)
の
或物
(
あるもの
)
を
撤
(
てつ
)
して、
直接
(
ぢか
)
に
私
(
わたし
)
に
接
(
せつ
)
して
見
(
み
)
やうとする
様子
(
やうす
)
が、
歴々
(
あり/\
)
と
素振
(
そぶり
)
に
見
(
み
)
える。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は舟が
陸
(
おか
)
へ着いた
比
(
ころ
)
からみょうにからまって来た女の
素振
(
そぶり
)
をはっきり心に映していた。眼、
眉
(
まゆ
)
、
脣
(
くちびる
)
、皆意味のあるものであった。彼はどうかして女と二人で話したいと思った。
参宮がえり
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「だがね御坊、變なことを言つたり、妙な
素振
(
そぶり
)
があつたりすると、與吉兄哥は氣が短けえから、お前さんの
法螺貝
(
ほらがひ
)
くらゐぢや驚かないかも知れないぜ。素直に話に乘つたらどうだ」
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
怪
(
あや
)
しいぞと思うのは、恐らく無理ではあるまい。室長のうさんくさい
素振
(
そぶり
)
から、ほんとのことを嗅ぎ出そうと思ったのだ。彼は、彼独特の、あらゆる少年スパイ式
術策
(
じゅつさく
)
をめぐらす。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
肢体の各部で奇妙な
素振
(
そぶり
)
を見せて行く後を追っかけようとしたほどであった。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
靨
(
えくぼ
)
を
見
(
み
)
せないのはまだしも、まるで
別人
(
べつじん
)
のようにせかせかと、
先
(
さき
)
を
急
(
いそ
)
いでの
素気
(
すげ
)
ない
素振
(
そぶり
)
に、一
同
(
どう
)
も
流石
(
さすが
)
におせんの
前
(
まえ
)
へ、
大手
(
おおで
)
をひろげる
勇気
(
ゆうき
)
もないらしく、ただ
口
(
くち
)
だけを
達者
(
たっしゃ
)
に
動
(
うご
)
かして
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
蓮葉に立ち乍ら笑つて、尚ほそのあとを云はうとしたらしかつたが、直ぐ自身の事が噂せられた後だと、
吾等
(
わたしら
)
の
素振
(
そぶり
)
を見て覺つたらしく、笑ふのを半ばではたと止めて、無言にもとの場所に坐つた。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
着代
(
きかへ
)
をすゝむる
情
(
じやう
)
の
素振
(
そぶり
)
よ。
焔の后
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
平気
(
へいき
)
な
素振
(
そぶり
)
をしていました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
さあらぬ
素振
(
そぶり
)
神々
(
かう/\
)
しく
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「僕、どうもこの頃のお前の
素振
(
そぶり
)
腑
(
ふ
)
に落ちんねんけど、何ぞ訳あるのん違うか」いうて、ふと思いついたように
尋
(
た
)
ンねますのんで
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その言葉つきから言っても、
素振
(
そぶり
)
から言っても、以前よりはまた落ちてしまったように見えることが、お松には浅ましくて堪りません。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私の心事について
素振
(
そぶり
)
に対して一点の疑いを
挾
(
はさ
)
むこともなく、かえって
閉口
(
へいこう
)
頓首
(
とんしゅ
)
してその日の中に送り出すようにしてくれたというのは
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
一つや二つの空席は充分ありそうなのが廻って来ても、女は少しも乗る
素振
(
そぶり
)
を見せないので、敬太郎はいよいよ変に思った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
職人はわざと皆に見えるやうに中指を鼻先に持つて来て、
四辺
(
あたり
)
を見越してにやり笑つた。この無作法な
素振
(
そぶり
)
を見て誰一人怒り出さうともしなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
並背
(
なみぜい
)
にていが栗の
頭髪
(
つむり
)
も思ひなしか俗とは変りて、
藤本信如
(
ふぢもとのぶゆき
)
と
訓
(
よみ
)
にてすませど、
何処
(
どこ
)
やら
釈
(
しやく
)
といひたげの
素振
(
そぶり
)
なり。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
蝦蟇法師
(
がまほうし
)
がお通に意あるが如き
素振
(
そぶり
)
を認めたる連中は、これをお通が召使の
老媼
(
おうな
)
に語りて、且つ
戯
(
たわぶ
)
れ、且つ戒めぬ。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
子供をすかすように取りあげて、せかせかと持って行った
素振
(
そぶり
)
を、かの女は、いつになくひがんで見ていた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにもかかわらず、自分の母親のお豊はあまり
好
(
よ
)
くは思っていない様子で、
盆暮
(
ぼんくれ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もほんの義理
一遍
(
いっぺん
)
らしい事を構わず
素振
(
そぶり
)
に
現
(
あらわ
)
していた事さえあった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それに門人中の
老輩
(
らうはい
)
数人と、塾生の一半とが、次第に我々と疎遠になつて、何か我々の知らぬ事を知つてをるらしい
素振
(
そぶり
)
をする。それを
怪
(
あや
)
しいとは
己
(
おれ
)
も思つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
イワン、デミトリチは
初
(
はじ
)
めの
中
(
うち
)
は
院長
(
いんちょう
)
が
野心
(
やしん
)
でもあるのでは
無
(
な
)
いかと
疑
(
うたが
)
って、
彼
(
かれ
)
にとかく
遠
(
とお
)
ざかって、
不愛想
(
ぶあいそう
)
にしていたが、
段々
(
だんだん
)
慣
(
な
)
れて、
遂
(
つい
)
には
全
(
まった
)
く
素振
(
そぶり
)
を
変
(
か
)
えたのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それは祈祷が済むや済まずに引っ込んで往って、二度と顔を見せない長者の
女
(
むすめ
)
のこの
比
(
ごろ
)
の
素振
(
そぶり
)
からでありました。彼は折おり老人の
詞
(
ことば
)
に対して、とんちんかんな返事をしました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「さうでもなからう。庭男の久六は時々變な
素振
(
そぶり
)
を見せるといふぢやないか」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『
後生
(
ごしやう
)
ですから
話
(
はな
)
して
下
(
くだ
)
さい』と
些
(
や
)
や
改
(
あらたま
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんが
云
(
い
)
ひました、
然
(
さ
)
うした
素振
(
そぶり
)
で
話
(
はな
)
しかけても
可
(
い
)
いか
何
(
ど
)
うか
全
(
まつた
)
く
解
(
わか
)
らなかつたので、『
何故
(
なぜ
)
その
猫
(
ねこ
)
は
其麽
(
そんな
)
に
齒
(
は
)
を
露出
(
むきだ
)
してゐるのですか?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素気
素朴
素足
素姓
素破
素裸