参宮がえりさんぐうがえり
明治五年比の晩春の夕方、伊良湖岬の手前の磯に寄せて来た漁船があった。それは参宮帰りの客を乗せたもので、五十前後に見える父親と、二十歳位になる忰の二人伴であった。 舟は波のうねりのすくない岩陰に繋がれて …