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焦
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こが
ふりがな文庫
“
焦
(
こが
)” の例文
空
(
そら
)
を
焦
(
こが
)
す
狼火
(
のろし
)
……そして
最後
(
さいご
)
に
武運
(
ぶうん
)
いよいよ
尽
(
つ
)
きてのあの
落城
(
らくじょう
)
……四百
年後
(
ねんご
)
の
今日
(
こんにち
)
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
してみる
丈
(
だけ
)
でも
気
(
き
)
が
滅入
(
めい
)
るように
感
(
かん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あの日、雪子と悦子とが大急ぎで突堤へ
駈
(
か
)
け付けると、シュトルツ父子はもうさっきから甲板に出て待ち
焦
(
こが
)
れていたところであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
待ち
焦
(
こが
)
るる人はここに来た、けれどもあんまり
突飛
(
とっぴ
)
です。夜の丑の刻に屋根伝いにここへ来るとは、お松の眼には、これも夢以上。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
カンテラは桟橋を
焦
(
こが
)
し、炭煙は桟橋に立ちこめている。ボーラ吠え、石炭かつぎ
呶鳴
(
どな
)
り、波止場人足さけび、かんかん虫夜業にたたく。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある時は天を
焦
(
こが
)
す
焔
(
ほのお
)
の中に無数の悪魔が
群
(
むらが
)
りて我家を焼いて居る処を夢見て居る。ある時は万感一時に胸に
塞
(
ふさ
)
がって涙は
淵
(
ふち
)
を為して居る。
恋
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
彼の姿絵を、床の下に敷きながら、
焦
(
こが
)
れ死んだ娘や、彼に対する恋の
叶
(
かな
)
わぬ悲しみから、
清水
(
きよみず
)
の舞台から身を投げた女さえない事はない。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一向
(
ひたぶる
)
に名声
赫々
(
かくかく
)
の豪傑を
良人
(
おっと
)
に持ちし思いにて、その以後は毎日公判廷に
出
(
い
)
づるを楽しみ、かの人を待ち
焦
(
こが
)
れしぞかつは怪しき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
お
品
(
しな
)
にのみ
焦
(
こが
)
れて
居
(
ゐ
)
たのであるが、
段々
(
だん/\
)
日數
(
ひかず
)
が
經
(
た
)
つて
不自由
(
ふじいう
)
を
感
(
かん
)
ずると
共
(
とも
)
に
耳
(
みゝ
)
を
聳
(
そばだ
)
てゝさういふ
噺
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くやうに
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
言ひ聽せてやり度えのは、井筒屋の主人の方だよ。本家が
零落
(
れいらく
)
したから附き合はねえといふのも不人情だが、そんなに
焦
(
こが
)
れて居る娘の許婚を
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「頭領の
焦
(
こが
)
れている
阿婆擦
(
あばず
)
れだ、とっ捉まえて連れて行き、うんとこさ褒美にあずかろうぜ!」……で妾を取り巻いたものさ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今日という日はその為めに待ち
焦
(
こが
)
れていた日ではないか。彼はそう思いながら、ひとりでにジャネットの丸い肩に手をかけた。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さればとてまた、誰と
契
(
ちぎ
)
らんと願うにもあらず、ただ、わが身の年若く、美しき事のみなげかれ、
徒
(
いたず
)
らなる思に身を
焦
(
こが
)
すなり
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今までここの女に
焦
(
こが
)
れていればこそ馬鹿にされ放題馬鹿になっていたが、こう見えても丹波や丹後の山の中から出て来た人間とは人が違うんだ
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
二条の院の
女王
(
にょおう
)
は起き上がることもできないほどの衝撃を受けたのである。
焦
(
こが
)
れて泣く女王を女房たちはなだめかねて心細い思いをしていた。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
暗
(
やみ
)
に乗じて山里を逃亡いたしました、その晩あたりは何も知らないお幸が私の来るのを待ち
焦
(
こが
)
れていたのに違いありません。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
他の者に見られないようにそっと、私はそれを火の中に投げこんだ。燃え
焦
(
こが
)
れた暗号書の灰の中に、それは見えなくなった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
變りし世は
隨意
(
まゝ
)
ならで、
指
(
さ
)
せる都には得も行き給はず、心にもあらぬ落髮を
逐
(
と
)
げてだに、相見んと
焦
(
こが
)
れ給ふ妻子の恩愛は如何に深かるべきぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
畑のものも、田のものも、林のものも、園のものも、虫も、牛馬も、犬猫も、人も、あらゆる生きものは皆雨を待ち
焦
(
こが
)
れた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
殊に、自分は世の塵の深きに
泥
(
まみ
)
れ、久しく自然の美しさに
焦
(
こが
)
れた身、それが今思ふさまその自然の美を占める事が出来る身となつたではないか。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
何でも才
拙
(
つた
)
なく学浅くして
貌
(
かたち
)
さへ醜くき男が万づに勝れて賢き美はしき乙女に
焦
(
こが
)
れて
迚
(
とて
)
も協はざる恋路にやつるゝ憐れさを
嘆
(
かこ
)
つたものださうな。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
雪之丞は、ひたむきに、恋に
焦
(
こが
)
れ、ひとすじに、父親の愛情にすがろうとする、浅はかな女の心根が、
不憫
(
ふびん
)
にも思われる。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
思ふにフェートンがその手綱を棄てし時(天これによりて今も見ゆるごとく
焦
(
こが
)
れぬ)または幸なきイカーロが 一〇六—
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
火のような雲が空を飛んで、焼けるような強い日が朝から晩まで照りつけた。それに
焦
(
こが
)
された都の土は大地震のあとのように白く裂けてしまった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ぐるぐる
廻
(
まわ
)
りながら、その夜明を待ち
焦
(
こが
)
れた私は、永久に暗い夜が続くのではなかろうかという思いに悩まされました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ロレ
祖師
(
そし
)
フランシス
上人
(
しゃうにん
)
! こりゃまた
何
(
なん
)
たる
變
(
かは
)
りやうぢゃ! あれほどに
戀
(
こ
)
ひ
焦
(
こが
)
れておゐやつたローザラインを
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
自分は初めて現実的な恋愛の感情が我身を
焦
(
こが
)
すのを覚えた。その男と
終
(
つい
)
に結婚した。自分の
齢
(
とし
)
は二十四であった。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
畳の上に焼け
焦
(
こが
)
しをなし、火鉢の灰に
啖
(
たん
)
を吐くなぞ、一挙一動いささかも居室、家具、食器、庭園等の美術に対して、尊敬の意も愛惜の念も何にもない。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
待ち
焦
(
こが
)
れて居た二月
二十日
(
はつか
)
の
謝肉祭
(
キヤルナヷル
)
、その前後
五日
(
いつか
)
に
亘
(
わた
)
つて面白かつた
巴里
(
パリイ
)
の無礼講の
節会
(
せちゑ
)
も済んで
仕舞
(
しま
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
悶
(
もだ
)
え
焦
(
こが
)
れるばかりに身を押揉み、なにやらん不思議なことをせられていられる
態
(
てい
)
、まことに由々しく見えた。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
石灯篭のかげに身をひそめ、頭を長くし、丸く隈取った眼をきょろきょろさせて、懸命に心を
焦
(
こが
)
している。
純情狸
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
こうして一時間おき位に時計を出して見ては、ひたすらに光に
焦
(
こが
)
れながら、思出多い一夜を過して行った。
一ノ倉沢正面の登攀
(新字新仮名)
/
小川登喜男
(著)
われ/\は、
遠
(
とほ
)
い
都
(
みやこ
)
を
離
(
はな
)
れた
地方
(
ちほう
)
の
長
(
なが
)
い
距離
(
きより
)
をば、
焦
(
こが
)
れてやつて
來
(
き
)
た。そして、
今
(
いま
)
この
時
(
とき
)
に
氣
(
き
)
がつくと、この
明石
(
あかし
)
の
海峽
(
かいきよう
)
から
内
(
うち
)
らに、
畿内
(
きない
)
の
山々
(
やま/\
)
が
見
(
み
)
えてゐる。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
老人、唯今の心地を申さば、炎天に
頭
(
こうべ
)
を
曝
(
さら
)
し、
可恐
(
おそろし
)
い雲を一方の空に
視
(
み
)
て、果てしもない、この野原を、足を
焦
(
こが
)
し、手を焼いて、
徘徊
(
さまよ
)
い
歩行
(
ある
)
くと同然でござる。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時ベルナルドオは忽ち聲朗かに歌ひはじめたり。少女は聲をしるべに隣の亭に入りぬ。
衣
(
きぬ
)
の
戰
(
そよ
)
ぎと共に接吻の聲我耳を襲へり。此聲は我心を
焦
(
こが
)
し
爛
(
たゞら
)
かせり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
嫌
(
きら
)
ひ給ふと云事なれば長三郎は
假令
(
たとへ
)
焦
(
こが
)
れて死する迄も是非縁組とは云ざるなれば
只今
(
たゞいま
)
直
(
すぐ
)
に
癲癇
(
てんかん
)
と云る證據を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
はるばるも帰り来しものかな——やがて
亜細亜
(
アジア
)
のメトロポリスへ、汽車は走り込むのだ。半球の旅のおわりと、空を
焦
(
こが
)
す広告塔の灯とが私達を待っているであろう。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一と目三井寺
焦
(
こが
)
るる胸を
主
(
ぬし
)
は察して
晩
(
くれ
)
の鐘と、その
閨
(
ねや
)
に忍んで打ち
口説
(
くど
)
けど聞き入れざるを恨み、青年の袋の内へ銀製の名器を入れ置き、彼わが家宝を盗んだと訴え
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
女としての私に恋
焦
(
こが
)
れておりましたあの兇悪無残の殺人鬼、生蕃小僧が、女性としての私を恋する余りに、それこそ
生命
(
いのち
)
がけで私の罪悪をカバーしてくれましたお蔭で
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これは私たちみんなが、
安息日
(
あんそくび
)
から次の安息日まで、待ち
焦
(
こが
)
れてゐた七日目毎の御馳走であつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼が二年の間一すぢに
焦
(
こが
)
れに焦れ、その焦れが崇拝になり、遂にそれが絶望と定まつた時、次第に熱情的な占有の欲望が静かな諦めの祈りと変り、宗教的あこがれと変じ
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
わが
輩
(
はい
)
は決して道徳問題は、みなみな
無造作
(
むぞうさ
)
に解するものと言うのではない。一生の間には一回二回もしくは数回
腸
(
はらわた
)
を
断
(
た
)
ち、胸を
焦
(
こが
)
すような
争
(
あらそい
)
が心の中に起こることもある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
もっとも、喬之助には琴二郎という小さな弟があるきりで両親はないのだから、親たちといっても伊豆屋の方だけだが、当人同士が恋い
焦
(
こが
)
れていたことは、言うまでもない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
君はもはや鷹につかまった
雀
(
すずめ
)
と同じだ。僕は君が苦しんで、苦しんで、苦しみ抜いて死んで行くところを静にながめたいのだ。思えば、この時機をどんなに待ち
焦
(
こが
)
れたことか。
卑怯な毒殺
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
と思うと、急にさッとドアを開けて、さも待ち
焦
(
こが
)
れてでもいたように、息まではずませて
深夜の客
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
眼前に闇よりもひときわ黒く
釣
(
つ
)
られたる
案山子
(
かかし
)
は焼け
焦
(
こが
)
らされし死骸のごとく、はるかの彼方に隠々として焔えつつ遠くなり近くなりパシパシ火の子のハシる阿園が棺の火は
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
お常はとうと
恋病
(
こひやまひ
)
に取つ憑かれた。徳三郎がお初の似顔絵を
抱
(
だ
)
いたまゝ、
焦
(
こが
)
れ
死
(
じに
)
に死にかゝつた。娘の不心得を
怒
(
いか
)
つた両親も、
末期
(
まつご
)
の哀れさに、
伝手
(
つて
)
をもとめて徳三郎を招いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そろそろと不老不死の術を恋い
焦
(
こが
)
れ、ついに
道士
(
どうし
)
の言に
欺
(
あざむ
)
かれて無益の探求を
企
(
くわだ
)
つるに至ったなどは、いわば
支那
(
シナ
)
古代の小説の一つの型であって、たまたまその中の特に美しく
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「見っともないじゃありませんか? 豊子さん/\って、あんな下品な人に恋い
焦
(
こが
)
れて」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
つてからは、城の内外の
持口々々
(
もちくち/″\
)
に
篝火
(
かゞりび
)
を
焚
(
た
)
き
連
(
つら
)
ねて、
炎焔
(
えん/\
)
天
(
てん
)
を
焦
(
こが
)
すのであつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかしてキリストを知り、その
贖罪
(
あがない
)
を信じ、その再臨を望み、そして自身の復活永世を信じ得るに至るときは、我らもまたヨブと共に叫んで言う「わが心これを望みて
焦
(
こが
)
る」と。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
“焦”の解説
焦(しょう)は、西周時代の諸侯国。
『史記』周本紀によると周の武王は神農氏の末裔を焦(現在の河南省三門峡市陝州区)に封じたとある。
『竹書紀年』の記載によると、周の幽王七年(紀元前775年)焦は虢によって滅亡した。
(出典:Wikipedia)
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
“焦”を含む語句
焦燥
焦慮
焦躁
焦心
焦点
焦立
焦々
焦眉
焦土
焦熱
焼焦
焦死
黒焦
焦茶
日焦
焦茶色
焦臭
焦熱地獄
小焦
麦焦
...