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柔
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やわらか
ふりがな文庫
“
柔
(
やわらか
)” の例文
この混ぜ方が少しむずかしいので、パラパラと振りかけておいて、今のササラか
箸
(
はし
)
で極く軽く
柔
(
やわらか
)
にホンの
欺
(
だま
)
すような
心持
(
こころもち
)
で混ぜます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
御骨は、沼の縁に
柔
(
やわらか
)
な泥の中にありましたって、どこも不足しないで、手足も頭も
繋
(
つなが
)
って、膝を
屈
(
かが
)
めるようにしていたんだそうです。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾年となく散りつもった木の葉はそのまま土になって
柔
(
やわらか
)
に爪先をうずめ、
踵
(
かかと
)
は餌をねらう獣のそれのようにすこしの音もたてない。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「待て、王は爾の兄である。盃を王に返せ。」と卑弥呼はいって、彼女は差し出している反絵の手から、
柔
(
やわらか
)
にその盃を取り戻した。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
色のまっ黒な、眼の大きい、
柔
(
やわらか
)
な
口髭
(
くちひげ
)
のあるミスラ君は、テエブルの上にある石油ランプの
心
(
しん
)
を
撚
(
ねじ
)
りながら、元気よく私に
挨拶
(
あいさつ
)
しました。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
起居
(
たちい
)
のおとなしい、何をしても物に
柔
(
やわらか
)
に当るお玉と比べて見られるのだから、田舎から出たばかりの女中こそ
好
(
い
)
い迷惑である。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
演
(
のぶ
)
る口上に
樸厚
(
すなお
)
なる
山家
(
やまが
)
育ちのたのもしき所見えて
室香
(
むろか
)
嬉敷
(
うれしく
)
、重き
頭
(
かしら
)
をあげてよき程に
挨拶
(
あいさつ
)
すれば、女心の
柔
(
やわらか
)
なる
情
(
なさけ
)
ふかく。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
柔
(
やわらか
)
な女の
足端
(
あしさき
)
がその右の足首にふわりと
触
(
さわ
)
っていた。謙作はその足をのけるのが惜しいように思われた。謙作はそうして鉢の花に眼をやった。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ここら、岩も
柔
(
やわらか
)
いようだな。」と云いながらすなおに私たちに貸し、自分はまた
上流
(
じょうりゅう
)
の
波
(
なみ
)
の
荒
(
あら
)
いところに
集
(
あつま
)
っている
子供
(
こども
)
らの方へ行きました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
こんな
出鱈目
(
でたらめ
)
な色刷でも
無聊
(
ぶりょう
)
な壁を
慰
(
なぐさ
)
めるものだ。灯が
柔
(
やわらか
)
いせいか、濡れているように海の色などは青々と眼にしみた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
柔
(
やわらか
)
な
温
(
ぬく
)
よかな心持、浴槽の
縁
(
ふち
)
へ頭を
載
(
の
)
せ足を投げ出していると、今朝出立して来た田原の宿、頂上の白雲、急峻な裏山などは夢のようになってしまう。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
第九
食物
(
しよくもつ
)
も
衣服
(
いふく
)
の
如
(
ごと
)
く
分限
(
ぶんげん
)
によるは
勿論
(
もちろん
)
なれど、
肉食
(
にくしよく
)
は
鮮
(
あざら
)
けく
新
(
あた
)
らしき
品
(
しな
)
、
野菜
(
やさい
)
は
稚
(
わか
)
き
柔
(
やわらか
)
なる
品
(
しな
)
を
擇
(
えら
)
ぶべし。よく
烹熟
(
にたき
)
して、
五穀
(
ごこく
)
に
交
(
まじ
)
へ
喰
(
くら
)
ふをよしとする
事
(
こと
)
。
養生心得草
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
岸本は人知れず自分の顔を
紅
(
あか
)
めずにはいられなかった。もしあの
河岸
(
かし
)
の柳並木のかげを往来した未知の青年のような
柔
(
やわらか
)
い心をもった人が、自分の行いを知ったなら。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
柔
(
やわらか
)
い毛の大きな
刷毛
(
はけ
)
で、なんどもこすり、次に、白い粉をふりかけ、それを白ネルの
布
(
きれ
)
で
拭
(
ふ
)
き、それから、また白い粉をふりかけたり、刷毛でこすったりして、さいごに
市郎の店
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
お母さんなどは、「ほんとにお父さんにも困るね。いつも土いじりばかりなすって、堅い手をしていらっしゃる。きれいな
柔
(
やわらか
)
い手を、人はお医者のようだという位なのに」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
ところが、この春
猿若勘三郎
(
さるわかかんざぶろう
)
の芝居見物に店中の者が揃って出かけた時、お竹はお内儀のお供で、初めて
白粉
(
おしろい
)
というものを塗り、借物ながら
柔
(
やわらか
)
い物を身に着けてきました。
奇談クラブ〔戦後版〕:15 お竹大日如来
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
腕の裏側から
脇
(
わき
)
の下へかけては、さかなの背と腹との関係のように、急に白く
柔
(
やわらか
)
くなって
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
鳥井青年が、少しためらったあとで、照子の
柔
(
やわらか
)
い肩に手をかけるのを合図の様に、縁側の蝋燭が消えた。たった一つの光線が
失
(
う
)
せると、あとは墨を流した様な真の闇であった。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
競走
(
レース
)
場へ現れた馬の中に
脱糞
(
だっぷん
)
をした馬がいるのを見つけると、あの糞の
柔
(
やわらか
)
さはただごとでない、
昂奮剤
(
こうふんざい
)
のせいだ、あの馬は
今日
(
きょう
)
はやるらしいと、慌てて馬券の売場へ
駈
(
か
)
け出して行く。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
池がこの
旱魃
(
かんばつ
)
で
乾上
(
ひあが
)
って沼みたいになりかかっているところがあるんです。その沼へ踏みこもうという土の
柔
(
やわらか
)
いところに、
格闘
(
かくとう
)
の
痕
(
あと
)
らしいものがあるんです。靴跡が
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れています。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
暫時
(
しばらく
)
立っている間に、浅田はそのまま
柔
(
やわらか
)
い地の底へでも引きこまれてゆきたいような静かな心持になって、足が軽く、そっと墓石の前に立った。——
貴女
(
あなた
)
の長男がお墓詣りに来ましたよ。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
柔
(
やわらか
)
い線で出せば出せるものかなとおもう。
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
快感の
身顫
(
みぶるい
)
。
柔
(
やわらか
)
き接触の
弥増
(
いやまさ
)
る緩き波動。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
暖
(
あたたか
)
い
衾
(
ふすま
)
の
柔
(
やわらか
)
い
下
(
した
)
で
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
……たかだかは人間同士、
夥間
(
なかま
)
うちで、白い
柔
(
やわらか
)
な
膩身
(
あぶらみ
)
を、炎の燃立つ絹に包んで蒸しながら売り渡すのが、峠の関所かと心得ます。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お登和さん、御迷惑でもおついでにモー二ツ三ツ教えて下さいませんか、
章魚
(
たこ
)
を煮たいと思いますがどうしたら
柔
(
やわらか
)
になりましょう
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そうして全体の景色がパノラマのようにどんよりおどんで
霞
(
かす
)
んでいる。せいせいと
柔
(
やわらか
)
に潤いのある眺めである。
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
文箱
(
ふばこ
)
の中から出ましたのは、
艶書
(
ふみ
)
の束です。奥様は
可懐
(
なつかし
)
そうにそれを
柔
(
やわらか
)
な頬に
磨
(
す
)
りあてて、一々
披
(
ひろ
)
げて読返しました。中には草花の色も
褪
(
さ
)
めずに押されたのが入れてある。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕のそばから離れて行ったのか、彼女が
柔
(
やわらか
)
い草を
踏
(
ふ
)
んで向うへ遠ざかるのが頭へ
響
(
ひび
)
いて来た。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そのとき、長羅は反絵の胸を踏みつけて、突然地から湧き出たように起き上った。彼は血の
滴
(
したた
)
る頭髪を振り乱して、
柔
(
やわらか
)
に微笑しながらその
蒼
(
あお
)
ざめた顔を彼女の方へ振り向けた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
武士はあがるのがおっくうになって来た。そのとき武士は踏みだした右の
下駄
(
げた
)
で、枯木のようなそれで
柔
(
やわらか
)
なぐびりとしたものを踏みつけた。武士は不思議に思って
一足
(
ひとあし
)
すさった。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何の罪なく眠れるものを、ただ
一打
(
ひとうち
)
ととびかかり、
鋭
(
するど
)
い
爪
(
つめ
)
でその
柔
(
やわらか
)
な
身体
(
からだ
)
をちぎる、鳥は声さえよう発てぬ、こちらはそれを
嘲笑
(
あざわら
)
いつつ、引き裂くじゃ。何たるあわれのことじゃ。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
扨
(
さて
)
は迷惑、一生
可愛
(
かわゆ
)
がって
居様
(
いよう
)
と思う男に。アレ
嘘
(
うそ
)
、後先
揃
(
そろ
)
わぬ御言葉、どうでも殿御は口上手と、締りなく
睨
(
にら
)
んで
打
(
ぶ
)
つ真似にちょいとあぐる、
繊麗
(
きゃしゃ
)
な手首
緊
(
しっか
)
りと
捉
(
とらえ
)
て
柔
(
やわらか
)
に握りながら。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
第八
衣服
(
いふく
)
の
精粗美惡
(
よしあし
)
は
人
(
ひと
)
の
分限
(
ぶんげん
)
に
依
(
よ
)
ると
雖
(
いへど
)
も、
肌着
(
はだぎ
)
は
木綿
(
もめん
)
フラン子ルを
良
(
よし
)
とす。
蒲團
(
ふとん
)
の
中心
(
なかわた
)
は
新
(
あたら
)
しく
乾
(
かは
)
きたるものを
貴
(
たつと
)
む
故
(
ゆゑ
)
に、
綿花
(
わた
)
に
限
(
かぎ
)
らず
蒲
(
かま
)
の
穗苗藁
(
ほわら
)
其外
(
そのほか
)
柔
(
やわらか
)
く
乾
(
かは
)
きたるものを
擇
(
えら
)
ぶべし。
養生心得草
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
けっけと
唾
(
つば
)
を
絞
(
しぼ
)
って吐き出したが、最後の一ひらだけは
上顎
(
うわあご
)
の
奥
(
おく
)
に
貼
(
は
)
りついて顎裏のぴよぴよする
柔
(
やわらか
)
いところと一重になってしまって、舌尖で
扱
(
しご
)
いても指先きを
突
(
つ
)
き込んでも除かれなかった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
柔
(
やわらか
)
い其の袖にしがみつきながら泣いた。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
綿かと思う
柔
(
やわらか
)
な背を見物へ
背後
(
うしろ
)
むきに、その
擬
(
こしら
)
えし姿見に向って、筵に坐ると、しなった、細い線を、左の
白脛
(
しらはぎ
)
に引いて片膝を立てた。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
別に人参と
蒟蒻
(
こんにゃく
)
あるいは蕪などを
湯煮
(
ゆで
)
て
漏
(
こぼ
)
して醤油と味淋にて味をつけ、
柔
(
やわらか
)
になるまで煮て、冷めたる時南京豆と和えるなり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
半晴半曇の
柔
(
やわらか
)
い晩春の昼の陽が河の上に光りを反射させている。水ぎわに降りて行った。もう、追いつめられてしまって、どうにもならない気持ちだった。「死ぬッ」千穂子は独りごとを云った。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
私はよく
母親
(
おふくろ
)
の肩を揉せられましたから、その時奥様のうしろへ廻りまして、
柔
(
やわらか
)
な御肩に触ると、急に母親を想出しました。母親の
労働
(
はたら
)
く身体から思えば、奥様を揉む位は、もう造作もないのでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一室は
悉
(
ことごと
)
く目を注いだ、が、淑女は
崩折
(
くずお
)
れもせず、
柔
(
やわらか
)
な
褄
(
つま
)
はずれの、
彩
(
いろ
)
ある横縦の微線さえ、ただ美しく玉に刻まれたもののようである。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
火の加減は強くも弱くもないちょうどカステラの通りでようございますがよく出来ますと軽くって
柔
(
やわらか
)
で何とも言えない上品な味になります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
文金
(
ぶんきん
)
の
高髷
(
たかまげ
)
ふっくりした
前髪
(
まえがみ
)
で、
白茶地
(
しらちゃじ
)
に秋の野を織出した
繻珍
(
しゅちん
)
の丸帯、薄手にしめた帯腰
柔
(
やわらか
)
に、
膝
(
ひざ
)
を入口に
支
(
つ
)
いて
会釈
(
えしゃく
)
した。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ロースの霜降を持って来れば煮ても焼いても
柔
(
やわらか
)
ですがショーランドの霜降を持って来られると硬くって仕方がありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
お珊は
帯留
(
おびどめ
)
の
黄金
(
きん
)
金具、緑の
照々
(
きらきら
)
と輝く玉を、
烏羽玉
(
うばたま
)
の夜の帯から星を手に取るよ、と自魚の指に外ずして、見得もなく、
友染
(
ゆうぜん
)
を
柔
(
やわらか
)
な膝なりに
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼方
(
かなた
)
の席には小山の妻君がお登和嬢と並びし事とて一々料理の説明を聞き「お登和さん、このマルボントースは
柔
(
やわらか
)
で結構ですがどうして
拵
(
こしら
)
えます」
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
気軽なら
一番
(
ひとつ
)
威
(
おど
)
かしても見よう処、姉夫人は少し腰を
屈
(
かが
)
めて、縁から差覗いた、眉の
柔
(
やわらか
)
な笑顔を、綺麗に、小さく畳んだ
手巾
(
ハンケチ
)
で半ば隠しながら
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを二分位の厚みに
截
(
き
)
って湯と一緒に極く少しの塩を入れて
弱火
(
とろび
)
へかけてザット二時間位煮ると肉が
柔
(
やわらか
)
になります。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
黄に
薄藍
(
うすあい
)
の影がさす、
藍田
(
らんでん
)
の珠玉とか、
柔
(
やわらか
)
く刻んで、ほんのりと
暖
(
あたたか
)
いように見えます、障子
越
(
ごし
)
に日が薄く
射
(
さ
)
すんです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お粥ならば米を
炒
(
い
)
って
柔
(
やわらか
)
に
炊
(
た
)
かねばなりません。生のパンもいけません。何でもサラリとしたものが良いのです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
柔
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柔”を含む語句
柔和
柔軟
温柔
柔弱
物柔
柔順
柔術
柔媚
柔々
柔肌
柔道
優柔
柔婉
手柔
柔嫩
柔輭
柔毛
柔手
御柔軟
柔情
...