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さいぜん
ふりがな文庫
“
最前
(
さいぜん
)” の例文
「
文庫
(
ぶんこ
)
は
御宅
(
おたく
)
のでせうね。
可
(
い
)
いんでせうね」と
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
して、
何
(
な
)
にも
知
(
し
)
らない
下女
(
げぢよ
)
を
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
がらしてゐる
所
(
ところ
)
へ、
最前
(
さいぜん
)
の
仲働
(
なかばたらき
)
が
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私実はもう
最前
(
さいぜん
)
から予期してたもんの、その名アいわれた瞬間に何や電気みたいなものが体じゅうビリビリ伝わるような気イしました。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女はそこの天井から下っている
支那燈籠
(
しなどうろう
)
の光を浴びて、
最前
(
さいぜん
)
よりはさらに子供らしく、それだけ俊助にはさらに美しく見えた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
バルタ
最前
(
さいぜん
)
、
此
(
この
)
水松
(
いちゐ
)
の
蔭
(
かげ
)
で
居眠
(
ゐねむ
)
ってゐますうちに、
夢
(
ゆめ
)
うつゝに、
主人
(
しゅじん
)
とさる
人
(
ひと
)
とが
戰
(
たゝか
)
うて、
主人
(
しゅじん
)
が
其人
(
そのひと
)
をば
殺
(
ころ
)
したと
見
(
み
)
ました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
最前
(
さいぜん
)
から、その松千代にちがいないが? ——とは見ているのだが——。はて、その松千代がいかにしてなお世にあるのか。松千代の首を
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
見遣られ
相良領
(
さがらりやう
)
の百姓三五郎とやら
愚僧
(
ぐそう
)
へ如何なる用事あつて參りしぞと尋ねらるゝにぞ三五郎はハツと答へ
最前
(
さいぜん
)
より無禮の儀ども申上しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
道しるべの古びた石の立っている
榎
(
えのき
)
の木蔭。曼珠沙華の真赤に咲いている道のとある曲角に、
最前
(
さいぜん
)
から荷をおろして休んでいた一人の婆さんがある。
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
最前
(
さいぜん
)
はただ
杉
(
すぎ
)
檜
(
ひのき
)
の
指物
(
さしもの
)
膳箱
(
ぜんばこ
)
などを製し、
元結
(
もとゆい
)
の
紙糸
(
かみいと
)
を
捻
(
よ
)
る等に過ぎざりしもの、次第にその仕事の種類を増し、
下駄
(
げた
)
傘
(
からかさ
)
を作る者あり、
提灯
(
ちょうちん
)
を張る者あり
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と鍋焼饂飩と立派な男と連れ立って
往
(
ゆ
)
きます。
此方
(
こなた
)
に
最前
(
さいぜん
)
から
図
(
はか
)
らず立聞きを致しております清次は驚きました。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は、ここでしばらく憩い、
最前
(
さいぜん
)
から解き切れない謎を、どうにかして、ここで解いてしまうつもりであった。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
明智は、物置のがらくた道具の間にたたずんでいた、
最前
(
さいぜん
)
の黒マントの俳優に声をかけた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
最前
(
さいぜん
)
より
黙々
(
もくもく
)
として、話をきいていたゴルドンは、このときはじめて口を開いた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
宗任の書く『我が国の梅の花とは……』は、
最前
(
さいぜん
)
お馴染みでよく分かった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
私
(
わたくし
)
が
深
(
ふか
)
い
統一
(
とういつ
)
から
覚
(
さ
)
めた
時
(
とき
)
に、
思
(
おも
)
いも
寄
(
よ
)
らず
最前
(
さいぜん
)
からそこに
控
(
ひか
)
えて
待
(
ま
)
っていたのは、
数間
(
かずま
)
の
爺
(
じい
)
やでございました。
爺
(
じい
)
やは
今日
(
きょう
)
の
鎮座祭
(
ちんざさい
)
の
慶
(
よろこ
)
びを
述
(
の
)
べた
後
(
あと
)
で、
突然
(
とつぜん
)
斯
(
こ
)
んなことを
言
(
い
)
い
出
(
だ
)
しました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
殊更
最前
(
さいぜん
)
も云うた通りぞっこん
善女
(
ぜんにょ
)
と感じて居る
御前
(
おまえ
)
の
憂目
(
うきめ
)
を
余所
(
よそ
)
にするは一寸の虫にも五分の意地が承知せぬ、御前の云わぬ訳も
先後
(
あとさき
)
を考えて大方は分って居るから
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も私の
云事
(
いうこと
)
に
付
(
つい
)
たがよい
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かの
商人
(
あきびと
)
も
立寄
(
たちより
)
見れば、
最前
(
さいぜん
)
焼飯
(
やきめし
)
を
売
(
うり
)
たる農夫なりしとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
女はようやく首斬り台を
探
(
さぐ
)
り当てて両の手をかける。唇がむずむずと動く。
最前
(
さいぜん
)
男の子にダッドレーの紋章を説明した時と
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
わぬ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「魯粛。そちは
最前
(
さいぜん
)
、別に意見があるといったが、ここでならいえるであろう。そちの考えではどうか」と、親しく訊ねた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すれば、
嬉
(
うれ
)
しいことばかり、
予
(
わし
)
ゃ
何
(
なん
)
で
泣
(
な
)
くのぢゃ?
最前
(
さいぜん
)
聞
(
き
)
いた
一言
(
ひとこと
)
が、その
一言
(
ひとこと
)
が、チッバルトが
死
(
し
)
にゃったよりも
悲
(
かな
)
しいのぢゃ。
辛
(
つら
)
い、
忘
(
わす
)
れたい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
と
最前
(
さいぜん
)
預かり証書は
饂飩粉
(
うどんこ
)
の中へ隠しましたゆえ平気になり、
衣物
(
きもの
)
をぼん/\取って
振
(
ふる
)
い、
下帯
(
したおび
)
一つになって。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小西屋へやりテレメンテーナの事を言せ
俄
(
にはか
)
に
破談
(
はだん
)
に成たる事是等は絶て知ざりしが
最前
(
さいぜん
)
和吉と云る小僧が
隣
(
となり
)
のお金の
許
(
もと
)
へ來り聞に參し其
節
(
をり
)
に
箇樣々々
(
かやう/\
)
の事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その襖の向うでは
最前
(
さいぜん
)
こそこそ着物着換えてるらしい物音がしてましたのに、もうその時分にはしーんと静まり返ってしもてて、こっちの話に一所懸命耳を澄ましてるようでしたが
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「私
最前
(
さいぜん
)
養源寺の前であなたにお逢いしましたのよ」夫人はおかし相にいった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そちは
最前
(
さいぜん
)
は依怙は致さぬ、致す
訣
(
わけ
)
もないと申したようじゃが、……」
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かの
商人
(
あきびと
)
も
立寄
(
たちより
)
見れば、
最前
(
さいぜん
)
焼飯
(
やきめし
)
を
売
(
うり
)
たる農夫なりしとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
襖
(
ふすま
)
の蔭では
最前
(
さいぜん
)
から細君と雪江さんがくすくす笑っている。主人は
飽
(
あ
)
くまでももったいぶって「そうさな」を繰り返している。なかなか面白い。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
退
(
しりぞ
)
き
投首
(
なげくび
)
なし五日の中に善惡二つを身一つにして分る事の
最
(
いと
)
難
(
かた
)
ければ思案に
暮
(
くれ
)
るに
最前
(
さいぜん
)
よりも部屋の外にて
二個
(
ふたり
)
が
問答
(
もんだふ
)
立聞
(
たちぎき
)
せし和吉は密と忠兵衞の
側
(
そば
)
へ差寄り
袂
(
たもと
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と——いうも
迂遠
(
うえん
)
な話で、すでに
最前
(
さいぜん
)
から小屋の外には、おびただしい人の足音が、なにかヒソヒソ
囁
(
ささや
)
きながら
嵐
(
あらし
)
の
先駆
(
せんく
)
のごとく、ひそかにめぐりめぐっていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最前
(
さいぜん
)
いうのん忘れましてんけど、家の方いは光子さんのお父さんのてかけはんのとこやいうて、笠屋町の電話番号
教
(
お
)
せときましてん、それいうたら、ほんまにおかしなことですねんけど
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私はもうあきらめて、
最前
(
さいぜん
)
から敷いてあった
床
(
とこ
)
の中にもぐり込みました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
碌
(
ろく
)
でなしの
和郎
(
わろ
)
めが!……(ロミオに對ひて)もし/\、
貴下
(
こなた
)
さまえ、
最前
(
さいぜん
)
も
申
(
まう
)
しましたが、
妾
(
わし
)
の
姫
(
ひい
)
さまが、
貴下
(
こなた
)
を
搜
(
さが
)
して
來
(
こ
)
いとの
吩咐
(
いひつけ
)
でな、
其
(
その
)
仔細
(
わけ
)
は
後
(
あと
)
にして、
先
(
ま
)
づ
言
(
い
)
うて
置
(
お
)
くことがござります
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
と言いつければ、
最前
(
さいぜん
)
より
慄
(
ふる
)
えて居りました藤助は
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
最前
(
さいぜん
)
の言葉を用いればこれらの人々は未来のために生きたのである。子のために存在したのである。しかして諸君は自己のために存在するのである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「また一事件もちあがった。わしはすぐに、行かねばならん。
最前
(
さいぜん
)
、頼んだものは、まだ書けぬか」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最前
(
さいぜん
)
用いた
難
(
むず
)
かしい言葉を使うと不体裁の感を抽出して、裸体画は見るべきものであると云う事に帰着します。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分が
最前
(
さいぜん
)
、
濠
(
ほり
)
のあなたへ、
忍
(
しの
)
びやかに吹いていた
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
が空をゆるく、
妙
(
たえ
)
に流れているあいだ、
酔
(
よ
)
えるように、しずかにこの
源氏閣
(
げんじかく
)
の上を
舞
(
ま
)
っていた
怪鳥
(
けちょう
)
のことを。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最前
(
さいぜん
)
細君と喧嘩をして
一反
(
いったん
)
書斎へ引き上げた主人は、多々良君の声を聞きつけて、のそのそ茶の間へ出てくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
卜斎は
最前
(
さいぜん
)
から、そこばかりをじっとにらんでいた。横目づかいの
白眼
(
しろめ
)
で——
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其所
(
そこ
)
へ
最前
(
さいぜん
)
の
仲働
(
なかばたらき
)
が、
奧
(
おく
)
から
茶
(
ちや
)
や
莨
(
たばこ
)
を
運
(
はこ
)
んで
來
(
き
)
たので、
宗助
(
そうすけ
)
は
又
(
また
)
歸
(
かへ
)
りはぐれた。
主人
(
しゆじん
)
はわざ/\
坐蒲團
(
ざぶとん
)
迄
(
まで
)
取
(
と
)
り
寄
(
よ
)
せて、とう/\
其上
(
そのうへ
)
へ
宗助
(
そうすけ
)
の
尻
(
しり
)
を
据
(
す
)
ゑさした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『だまれっ。——
最前
(
さいぜん
)
から、何を訊ねても、ただ
御尤
(
ごもっとも
)
で、御尤で、とばかり申し居って、それでは一向に
量見
(
りょうけん
)
が、わからんではないか。和解いたすのか、せぬ気か、はっきりとお答えせいっ』
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところへ書斎の掃除をしてしまった妻君がまた
箒
(
ほうき
)
とはたきを
担
(
かつ
)
いでやってくる。
最前
(
さいぜん
)
のように
襖
(
ふすま
)
の入口から
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
最前
(
さいぜん
)
から
噪
(
さわ
)
がしい声がいたしまする』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「君も賛成者のうちに名が見えたじゃないか」と
胡麻塩頭
(
ごましおあたま
)
の
最前
(
さいぜん
)
中野君を中途で
強奪
(
ごうだつ
)
したおやじが云う。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
最前
(
さいぜん
)
述べた、小説の興味の中心に影響してくる樣な
意見
(
オピニオン
)
になると、單なる
意見
(
オピニオン
)
では濟まなくなる。其の人物の
意見
(
オピニオン
)
が篇中人物の關係を動かして來なくてはならなくなる。
「額の男」を読む
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
音楽会の帰りの馬車や車は
最前
(
さいぜん
)
から
絡繹
(
らくえき
)
として二人を後ろから追い越して夕暮を
吾家
(
わがや
)
へ急ぐ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
君が正装をしているのに
私
(
わたし
)
はこんな
服
(
なり
)
でと先生が
最前
(
さいぜん
)
云われた時、正装の二字を痛み入るばかりであったが、なるほど洗い立ての白いものが手と首に着いているのが正装なら
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
瓦斯煖炉
(
ガスだんろ
)
の色のだんだん濃くなって来るのを、
最前
(
さいぜん
)
から注意して見ていた津田は、黙って書生の後姿を
目送
(
もくそう
)
した。もう好い加減に話を切り上げて帰らなければならないという気がした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(一)私は
最前
(
さいぜん
)
空間、時間の
建立
(
こんりゅう
)
からして、物我の二世界を作ると申しました。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
同時
(
どうじ
)
に
長
(
なが
)
い
廊下
(
らうか
)
を
踏
(
ふ
)
んで、
此方
(
こちら
)
へ
近付
(
ちかづ
)
く
足音
(
あしおと
)
がした。
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けた
男
(
をとこ
)
は
又
(
また
)
廊下口
(
らうかぐち
)
から
現
(
あら
)
はれて、
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まゝ
)
玄關
(
げんくわん
)
を
下
(
お
)
りて、
霜
(
しも
)
の
裡
(
うち
)
に
消
(
き
)
え
去
(
さ
)
つた。
入
(
い
)
れ
代
(
かは
)
つて
又
(
また
)
新
(
あた
)
らしい
男
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つて、
最前
(
さいぜん
)
の
鐘
(
かね
)
を
打
(
う
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“最前”の意味
《名詞・形容動詞》
一番前または先。
さっき。さきほど。
(出典:Wiktionary)
最
常用漢字
小4
部首:⽈
12画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
“最前”で始まる語句
最前列