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こころもち
ふりがな文庫
“
心持
(
こころもち
)” の例文
あなた
方
(
がた
)
もいずれはこちらの
世界
(
せかい
)
へ
引移
(
ひきうつ
)
って
来
(
こ
)
られるでしょうが、その
時
(
とき
)
になれば
私
(
わたくし
)
どもの
現在
(
げんざい
)
の
心持
(
こころもち
)
がだんだんお
判
(
わか
)
りになります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
子家鴨
(
こあひる
)
はみんなが
連
(
つ
)
れだって、
空
(
そら
)
高
(
たか
)
くだんだんと
昇
(
のぼ
)
って
行
(
い
)
くのを
一心
(
いっしん
)
に
見
(
み
)
ているうち、
奇妙
(
きみょう
)
な
心持
(
こころもち
)
で
胸
(
むね
)
がいっぱいになってきました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この混ぜ方が少しむずかしいので、パラパラと振りかけておいて、今のササラか
箸
(
はし
)
で極く軽く
柔
(
やわらか
)
にホンの
欺
(
だま
)
すような
心持
(
こころもち
)
で混ぜます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それだから大切にしなければならぬと言うのでは、親孝行もなんだかかんじょうずくになって、われわれの
心持
(
こころもち
)
とは、一致しない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
丁度
(
ちょうど
)
自分の学校から出た生徒が実業に
着
(
つい
)
て自分と同じ事をすると同様、
乃公
(
おれ
)
がその
端緒
(
たんちょ
)
を開いたと云わぬ
計
(
ばかり
)
の
心持
(
こころもち
)
であったに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
爾時
(
そのとき
)
は……、そして何んですか、
切
(
せつ
)
なくって、あとで
臥
(
ふせ
)
ったと申しますのに、
爾時
(
そのとき
)
は、どんな
心持
(
こころもち
)
でと言って
可
(
い
)
いのでございましょうね。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さあ、おまえも火のそばへ来て、よく
暖
(
あった
)
まって寝ろ。怖いのじゃあねえ、寒いのだ。よく
暖
(
あった
)
まって、
好
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
にぐっすり寝ろ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こういう田舎道を歩いて行きながら、深い谷底の方で起る蛙の声を聞くと、妙に私は
圧
(
お
)
しつけられるような
心持
(
こころもち
)
に成る。
可怖
(
おそろ
)
しい繁殖の声。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お君の話のテンポの遅さと、八五郎の
逢曳
(
あいびき
)
? を享楽する
心持
(
こころもち
)
に
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
られて、いつの間にやら
四半刻
(
しはんとき
)
(三十分)ほどの時間は
経
(
た
)
ちました。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
心持
(
こころもち
)
は今、私をだん/\と
宗教的
(
しうけうてき
)
な
方面
(
はうめん
)
に
導
(
みちび
)
かうとし、
反動
(
はんどう
)
のやうに起つて來た
道徳的
(
だうとくてき
)
な心は、
日光
(
につくわう
)
となつて私の胸に
平和
(
へいわ
)
の芽を
育
(
そだ
)
てます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
目覚すような学問の話などの出来る相手でもあれば、また格別ですがね。それこそ、いわば天へも昇る
心持
(
こころもち
)
になって……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
お
前
(
まえ
)
さんが、どこまで
出来
(
でき
)
たか
見
(
み
)
たいという。その
心持
(
こころもち
)
ァ、
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
から
察
(
さっ
)
してるが、ならねえ、あっしゃァ、いま、
人形
(
にんぎょう
)
を
塗
(
ぬ
)
ってるんじゃァねえ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
しかし、もはや、鬼のような
心持
(
こころもち
)
になってしまった年より夫婦は何といっても娘の言うことを聞き入れませんでした。
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
丁度
(
ちょうど
)
某氏
等
(
ら
)
が同じ夢を見た晩と同じ晩の同じ時刻に、その病人が『今、自分は、色んな人に
逢
(
あっ
)
て、色んな愉快な話をして来たので、
宜
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
になった』
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
もう何もかも行詰って
了
(
しま
)
って、動きの取れなかった二人は、丁度その頃世間を騒がせた大泥坊の、巧みなやり口を羨む様な、さもしい
心持
(
こころもち
)
になっていた。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
他山の石
以
(
もっ
)
て玉を
磨
(
みが
)
くべしという
教
(
おしえ
)
が世に伝えられているが、僕は各国人と交わり、各国人の長所を学びたい
心持
(
こころもち
)
する。例えば
某国人
(
ぼうこくじん
)
は
頗
(
すこぶ
)
る勤勉である。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
今お前さんのそうしてつくねんとしているところを見ると、わたしその連中を見た時のような
心持
(
こころもち
)
がするわ。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
癩病
(
らいびょう
)
病院に血痕のある木!
誰
(
た
)
れしもあまり
佳
(
よ
)
い
心持
(
こころもち
)
がしない、こんな場所だから昼間でも人通りが
頗
(
すこぶ
)
る少ない、
殊
(
こと
)
に夜に
入
(
い
)
っては、
甚
(
はなは
)
だ寂しい道であった。
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
ウイリイはちゃんと犬から教わっているので、ほかのかせより
心持
(
こころもち
)
色の黒いのをより出し、ポケットからナイフを出して、そのかせを二つにたち切ろうとしました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
此方
(
こっち
)
までが、人の
譏
(
そし
)
りも世間の義理も、見得も
糸瓜
(
へちま
)
もかまわぬ気になって、ただ
茫然
(
ぼんやり
)
と夢でも見ているような、半分痲痺した呑気な
心持
(
こころもち
)
になって、一日顔も洗わず
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
次から次に福太郎の眼の前の
曲線
(
カーブ
)
の継ぎ目の上に乗りかかって来ると、第一の
炭車
(
トロッコ
)
が、波打った軌条に押上げられて、
心持
(
こころもち
)
速度を緩めつつ半分傾きながら通過した。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先頃
(
さきごろ
)
我
(
わが
)
百首の
中
(
うち
)
で、少しリルケの
心持
(
こころもち
)
で作って見ようとした処が、ひどく人に
馬鹿
(
ばか
)
にせられましたよ。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
道は随分暑かッたが森へ来て少し休むと薄暗い奥の方から冷たい風が吹いて来ていい
心持
(
こころもち
)
になった
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
官憲の臨検に対する故意から
黒帽
(
こくぼう
)
をかぶらなければならんと考えたのであろう
心持
(
こころもち
)
も読める、——
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
マリちゃんは、すっかり
胸
(
むね
)
が
軽
(
かる
)
くなって、
兄
(
にい
)
さんがまだ
生
(
い
)
きてでもいるような
心持
(
こころもち
)
がして、
嬉
(
うれ
)
しくってたまらなかったので、
機嫌
(
きげん
)
よく
家
(
うち
)
へ
入
(
はい
)
って、
夕
(
ゆう
)
ご
飯
(
はん
)
を
食
(
た
)
べました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そういって辻永は、
心持
(
こころもち
)
顔色を
蒼
(
あお
)
くして説明をした。それによると、彼がいまよじのぼった塀の外は「ユダヤ
横丁
(
よこちょう
)
」という俗称をもって或る方面には聞えている場所だった。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうかして好い
心持
(
こころもち
)
になりたいと思って、筆を
執
(
と
)
って画なり文章なりを作る人もあります。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
種々
(
いろいろ
)
な物を彫刻家が刻んだ時は、この
種々
(
いろいろ
)
な物が作者の
生々
(
いきいき
)
した
心持
(
こころもち
)
の
中
(
うち
)
から生れて来て、譬えば海から
上
(
あが
)
った
魚
(
うお
)
が網に包まれるように、芸術の形式に包まれた物であろう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
あなたにはこの本当のことをいう誰はばからずそのままのことを高い声でいう、この喜びこの
心持
(
こころもち
)
よさは分らないでしょう。僕は僕の頭の中で考えた通りのことをいうだけです。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
一体
(
いったい
)
夏菊という花は、そう
中々
(
なかなか
)
萎
(
しお
)
れるものでない、それが、ものの二時間も
経
(
へ
)
ぬ
間
(
あいだ
)
にかかる
有様
(
ありさま
)
となったので、私も何だか一種いやな
心持
(
こころもち
)
がして、その日はそれなり
何処
(
どこ
)
へも出ず
過
(
すご
)
した
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
ところが娘はそうは云うものの両親も一度はそれを許してもみましたが、
最早
(
もう
)
年頃でもあるし同じ
朋輩
(
ほうばい
)
が
皆
(
みんな
)
丸髷
(
まるまげ
)
姿に変るのを見ると親心にもあまり
良
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
もしない、実は
密
(
ひそ
)
かに心配をしていたのだ。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
又「
大
(
おお
)
きに
酩酊
(
めいてい
)
致した、あゝ
好
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
だ、ひどく
酔
(
よ
)
った」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これもバターが多過ぎてならず
寡
(
すくな
)
くってもなりませんが先ず紙十枚位の厚さに塗るという
心持
(
こころもち
)
で
遣
(
や
)
っていると自然と覚えられます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
『
今日
(
きょう
)
も
又
(
また
)
お
目
(
め
)
にかかって
来
(
こ
)
ようかしら……。』
私
(
わたくし
)
としてはただそれ
位
(
ぐらい
)
のあっさりした
心持
(
こころもち
)
で
出掛
(
でか
)
けたまでのことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
所が私は自分でも他人でもその血の出るのを見て
心持
(
こころもち
)
が
善
(
よ
)
くないから、刺胳と云えばチャント
眼
(
め
)
を閉じて見ないようにして居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その憂欝になっていたのが、ここで
斯
(
こ
)
うして一杯飲んだら、胸がすうとして、急に
朗
(
ほがら
)
かになって……。ああ、
好
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
だ。トテモ愉快だわ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
心持
(
こころもち
)
が悪くなった反対なんだから、私の姿を見ると、それから心持が
善
(
よ
)
くなった——事になる——
可
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
になさい、馬鹿になすって、」
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昔の大人は自分も単純で隠しごとが少なく、じっと周囲に立って
視
(
み
)
つめていると、自然に
心持
(
こころもち
)
の小児にもわかるようなことばかりをしていた。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
チャイコフスキーの
弱気
(
よわき
)
は徹底的で、
喝采
(
かっさい
)
に好い
心持
(
こころもち
)
になるなどはもってのほかのことであり、自分に集まる人気や讃辞さえも極度に恐れる風があった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
柘榴口
(
ざくろぐち
)
から
流
(
なが
)
しへ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
春重
(
はるしげ
)
の
様子
(
ようす
)
には、いつも
通
(
とお
)
りの、
妙
(
みょう
)
な
粘
(
ねば
)
りッ
気
(
け
)
が
絡
(
から
)
みついていて、
傘屋
(
かさや
)
の
金蔵
(
きんぞう
)
の
心持
(
こころもち
)
を、ぞッとする
程
(
ほど
)
暗
(
くら
)
くさせずにはおかなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
眺
(
なが
)
めて居ると
少年心
(
こどもごころ
)
にも
哀
(
かなし
)
いような
楽
(
たのし
)
いような、
所謂
(
いわゆ
)
る
春愁
(
しゅんしゅう
)
でしょう、そんな
心持
(
こころもち
)
になりました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私は直接談判はしませんでしたけれども、その話を間接に聞いた時、変な
心持
(
こころもち
)
がしました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
という句があるが、コウいう
心持
(
こころもち
)
でおれば、至る所に
青山
(
せいざん
)
ありで、
善
(
よ
)
い心持がしようと思う。
己
(
おの
)
れを
欺
(
あざむ
)
くのかも知れないが、
幾度
(
いくど
)
ダマされても、私はこの心持でおりたいと思う。
人格を認知せざる国民
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
只今
(
ただいま
)
のあなたの恐しくお思いあそばす、そのお
心持
(
こころもち
)
が、丁度昨晩のわたくしの心持と同じなのでございますよ。丁度只今のあなたのように、昨晩はわたくしが恐しく存じましたの。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
が
丁度
(
ちょうど
)
その間四五
町
(
ちょう
)
ばかりというものは、実に、一種何物かに襲われたかのような
感
(
かんじ
)
がして、
身体
(
からだ
)
が、こう
何処
(
どこ
)
となく
痳痺
(
まひ
)
したようで、とても言葉に言い現わせない
心持
(
こころもち
)
であった、しかし
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
自分は何となく気抜けした
心持
(
こころもち
)
で、昼過ぎに訪問した友達の家を出た。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と健策は眼を丸くして
腮
(
あご
)
を撫でた。黒木は
心持
(
こころもち
)
得意らしくうなずいた。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おお
可哀想
(
かわいそう
)
に、可哀想にと、あたしを心からあわれんで泣いていたのよ。……人間の目の中には、その人の一生涯のことが書いてあるわね。まして、たった今の
心持
(
こころもち
)
なんか、初号活字で書いてあるわ。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
といって例の尖った口先を
心持
(
こころもち
)
此方
(
こちら
)
に向けて頼んだ。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから暑い処をセッセと帰って参りますと宅では冷した
珈琲
(
こーひー
)
を拵えておいて出しますがそれを飲む時の
心持
(
こころもち
)
は何ともいえないそうです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“心”で始まる語句
心
心配
心地
心算
心細
心得
心底
心臓
心許
心遣