“上:のぼ” の例文
“上:のぼ”を含む作品の著者(上位)作品数
小川未明62
泉鏡花39
吉川英治35
夏目漱石30
芥川竜之介25
“上:のぼ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)10.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語8.3%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行3.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
上靴スリッパーかかとを鳴らして階段はしごだんを二つのぼり切った時、敬太郎は自分の部屋の障子を手早く開けて、
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
道理こそ昨夕は楷子段はしごだんをむやみにのぼったり、くだったり、仕掛しかけうちと思ったはずだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しまいには足が痛んで腰が立たなくなって、かわやのぼる折などは、やっとの事壁伝いに身体からだを運んだのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
普通と云うと結構なようだが、普通のきょく平凡の堂にのぼり、庸俗の室にったのはむしろ憫然びんぜんの至りだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やがて月はのぼりて桂の川の水烟みづけぶり、山の端白はしろ閉罩とぢこめて、尋ぬる方は朧ろにして見えかず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
これは五百いおが抽斎に聞き、保さんが五百に聞いた所を、頃日このごろ保さんがわたくしのために筆にのぼせたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おい邪魔じやまになるとわるいよと北八きたはちうながし、みちひらいて、見晴みはらしのぼる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると為朝ためとものために大島おおしまわれた役人やくにんがくやしがって、あるときみやこのぼ
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
今だにほりの跡が依然として残つてゐるといふことを村長から聞いた時には、紳士の顔にはある深い感動の表情がのぼつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
が、近松の作の人物があまねく知られているは舞台にのぼせられて知られたので、その作が洽く読まれているからではない。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
それも、山の下までは、仏を馬の背にのせて行けばよいのであった。ただけわしい山道だけ、武蔵が仏を背負ってのぼった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——他日、近く旗を京都にのぼせ、諸州の群雄どもをしずめ、かみ御宸襟ごしんきんをやすめ奉った上には、心ゆくまで
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慎太郎はその時まざまざと、今朝けさのぼりの三等客車に腰を落着けた彼自身が、頭のどこかにうつるような気がした。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼はまだ朝日のささない内に、女たちと一しょに水を浴ぶべく、遠い上流まで熊笹の中を、分けのぼる事もまれではなかった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
危いとも思わずにずっとかかる、少しぐらぐらしたが難なく越した。向うからまた坂じゃ、今度はのぼりさ、ご苦労千万。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕らは危怪きかいな蛸の単調を破るべく、鶏魚いさきすずき黒鯛くろだいの変化を喜こんでまた岸にのぼった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先生と父とは、まるで反対の印象を私に与える点において、比較の上にも、連想の上にも、いっしょに私の頭にのぼりやすかった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我々は夕暮の本郷台ほんごうだいを急ぎ足でどしどし通り抜けて、また向うのおかのぼるべく小石川の谷へ下りたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
向うを見ると、田のはてがだらだら坂ののぼりになって、それを上り尽した土手のふちには、松が左右に長く続いていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それがれて、日にされるとき、地面からも、屋根からも、春の記憶を新にすべき湿気がむらむらと立ちのぼった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は何の気もなく三階にいつものぼっていたのであるが、あそこは犯人と少くとも死んだ所長とがねらっていたのに相違ない。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私たちは、家の前の石段から坂の下の通りへ出、がけのように勾配こうばいの急なみちについてその細い坂をのぼった。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
……たまり兼ねた黒吉は、誰にも知れぬように、こっそりと床を抜け出すと、音を忍ばせながら高い小屋の天井へのぼって行った。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
なにをするのかと見ていると、のぼり線とくだり線との両道を機関車は二列に並んで、二人の怪人に迫ってゆくのでした。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自ら責めるよりほかは無かったが、自ら責めるばかりで済むことでは無い、という思が直にむねの奥からせまのぼって、
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と何んだか云う事はちっとも分りません、可笑おかしいのものぼせて居りますから気が付かず茂之助は夢中で居ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さきに脛をおけるところに頭をむけて毛をにぎり、そのさまのぼる人に似たれば我は再び地獄にかへるなりとおもへり 七九—八一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
世界のともしび多くのことなる處よりのぼりて人間にあらはるれども、四の圈相合して三の十字を成す處より 三七—三九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
またわがいへる圓のうちの弓形ゆみがたのぼる處にて彼に續くは、まことくひによりて死を延べし者なり 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
縁の翼そらを裂く響きをききて蛇逃げさりぬ、また天使等は同じ早さに舞ひのぼりつゝその定まれる處に歸れり —一〇八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かくて志士しし仁人じんじんに謀りて学資の輔助ほじょを乞い、しかる上にて遊学ののぼらばやと思い定め
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
しかも、馭者のその狂暴な無鉄砲さは、主人の顔に阻止の色を浮べさせたり、脣に制止の言葉をのぼさせたりすることがなかった。
だが、悪い時には悪いもので、海は華族学校の先生達に当てつけたやうに、松魚といつては一ぴきも網にのぼせなかつた。
皿の物をかちかち突つきながらたてのフライのやうな新しい書物の講釈から、時事問題などが話題にのぼされるのだ。
医師の村尾氏は、春の夜の漫談会の席上で、不老長寿法が話題にのぼったとき、極めて真面目な顔をして、こう語りはじめました。
血友病 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
大陸の方で砲火を交へて居る最中に、それがたゞちに芝居に仕組まれて舞台にのぼるといふことは、妙に私の旅情をそゝつた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「もう、あのたかい、いただきまでのぼったろうね。」と、したでは、子供こどもらがはなしをしていました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、よるくらかったから、だれも、気味悪きみわるがってのぼっていくようなひともありませんでした。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに太陽たいようひがしそらのぼると、もはやにわとりわかれをげなければなりません。
ものぐさなきつね (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あれほど、植木台うえきだいのぼってはいけないというのに、いつもあすこへいって、おまえはいたずらをしている。」
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、その大葬を機として、呉の抑えとして、南の境にいた司馬懿しばい仲達が取るものも取りあえず都へのぼって来た。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此時このときリスボンには津浪つなみ襲來しゆうらいし、こゝだけの死人しにんでも六萬人ろくまんにんのぼつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
この峠から普賢へのぼるためには、ここからまた左へ落込おちこんでいるあざみ谷の渓谷を下らなければならなかった。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
私達はここでサンドウィッチなどをひろげた上、そこからまた細い山道を伝わって、八町ののぼりに過ぎない妙見へ上って行った。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
草山を登り詰めて、雑木ぞうきの間を四五段のぼると、急に肩から暗くなって、踏む靴の底が、湿しめっぽく思われる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こう云う小屋の間を縫って、きずにのぼって行くと、今度は石崖いしがけの下に細長い横幅ばかりの長屋が見える。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
十七字は詩形としてもっとも軽便であるから、顔を洗う時にも、かわやのぼった時にも、電車に乗った時にも、容易に出来る。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見下みおろす顔を、斜めに振仰いだ、蒼白あおじろい姉の顔に、血がのぼって、きっとなったが、寂しく笑って、
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
落人おちうど両人の者は夜分ひそかにその艀船はしけに乗り移り、神奈川以東の海岸からのぼる積りに用意した所が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その気持ちを代表したねむそうな薄笑いがそうした場合の女性の鼻の表現にのぼってはいまいかと想像し得る位の事であります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
石段をけてのぼって、境内けいだいにちらほらとある、青梅あおうめの中を、もすそはらはらでお君がくぐって。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たきいはほに、いしだんきざんでのぼると、一面いちめん青田あをた見霽みはらし
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わが一の圓き孔の口より天のひゆく美しき物をうかゞふをうるにいたるまで、彼第一に我は第二にのぼりゆき 一三六—一三八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
自分はなぜ東京にのぼったか、またいつ来たか、今どうして暮らしているか、これらのところを尋ねて見ようとしてよした。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その心掛を自分に体得したいと思つて、里恭はわざわざ窮屈な淀の夜船を選んでのぼくだりをしたものと思はれます。
かれみみけるようにあつくなって、きゅうのぼってかお赫々かくかくとなりました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白鳥はくちょうつかれるとながれのほとりり、つばさやすめて、またたびのぼりました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おまえがたは、あのくるみののぼってもいいけれど、けっして、あかくなったにつかまってはならぬぞ。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、ちかくにせまるふか溪谷けいこくからは、けむりのように、しろきりがたちのぼっていました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
その松明たいまつの光がここへのぼってくる頃、丹左は、沢庵から道を教えられて——今度は丘の道を下へ降りて行った。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
栄一が帰ってきたのは、予報の日取よりも遅れ遅れて、もはや誰も忘れたように、うわさにさえのぼさなくなったころであった。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
「それがしはこのごろのぼった者じゃで、都の案内はよう存ぜぬが、見るところ烏帽子折りであろう。頼まれてくれぬか」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
また自分の未熟なところを発表するようだが、実を云うと汽車賃の事は今が今まで自分の考えにはごうのぼらなかったのである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私にはそれが何の意味だか解りませんでしたが、別に聞き返す気も起らずに、とうとう天辺てっぺんまでのぼりました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし島田夫婦が彼の父母として明瞭めいりょうに彼の意識にのぼったのは、それから間もないあとの事であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何だか広い原にただ一人立って、はるかの向うから熟柿じゅくしのような色の暖かい太陽が、のっとのぼってくる心持ちがする。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたくしは今これを筆にのぼするに至るまでには、文書を捜り寺院をい、また幾多の先輩知友をわずらわして解決を求めた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
神辺かんなべに宿つてゐて菅茶山の筆にのぼせられたのは三十二歳即歿前二載、田能村竹田に老母を訪はれたのは歿後七載であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
と思っているうちにも、スピードはぐんぐんのぼって行くらしかった。いまにも吹き飛ばされそうな風圧が加わって来た。
地図にない島 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
おどろいたことは、いつの間にえつけたか、エレベーターが十台ばかり並んで、しきりにのぼりしている。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
場所は——前記のは、桂川かつらがわのぼる、大師だいしの奥の院へ行く本道と、渓流を隔てた、川堤の岐路えだみちだった。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小学校は全市で百九十六校あったのが百十八校まで焼け、り災した児童のすうが十四万八千四百人にのぼっています。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
答へて曰ふ。我等は定まれる一の場所におかるゝにあらず、のぼるも𢌞めぐるも我これを許さる、われ導者となりて汝と倶に 四〇—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
のぼくだりに五十体ずつ並んで、それはまことに美事みごとなもので、当寺の五百羅漢と並んで有名であります。
生れて唯の一度も運を掴んだ事のない掌面だけに、指も普通あたりまへよりはずつと短かつたので、虱は直ぐと指先にのぼりきつた。
酒井藩では処分に困り、とうとう新徴組に解散を命じ、それぞれ帰国しろと厳達したのであるが、多くは脱走して再び京都へのぼった。
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
れにもかゝはらず朝参あさまゐりの男女は本堂の階段をのぼる前にいづれも手を洗ふめにと立止たちどまる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ある夕焼ゆうやけのうつくしい晩方ばんがたわたしどものれは、いよいよたびのぼりました。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さまがひがしもりからおのぼりなさって、西にしもりしずみなさるまでちょうど一にちかかる。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
たかやまのぼったり、ふかたにくだったりして、眼薬めぐすりになるくさ
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんどくおもって、さかのぼるときに、そのくるまあとしてやりました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ペンキのはいったかんをぶらさげて、たか屋根やねのぼるのは容易よういなことではありませんでした。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
脱いだ合羽を片腕に垂らして、お米のほうへ目をくれながら、自然石じねんせきの石段をのぼって、向うの役宅の庭へ廻って行った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はこの子供のような、いやと云う返事の身ぶりを見ると、我知らず微笑が唇にのぼって来ずにはいられなかった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
肥っていて呼息いきが短いので、坂をのぼるときおかしいほど苦しがる彼は、まるで帰りを忘れたような事を云った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ボースンは発育不良な、旅芸人のジョーカー見たいな格好で、マストにとりつけてある梯子はしごのぼって行った。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
蜜を含んで針を吹く隣りの合奏も忘れた、蟻の灰吹はいふきのぼった事も、はすの葉に下りた蜘蛛くもの事も忘れた。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
空中へのぼるのは西洋の魔法使もする事で、それだけ永い間修業したのだから、その位の事は出来たことと見て置こう。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
壽永三年三月の末、夕暮ゆふぐれちかき頃、紀州きしゆう高野山をのぼり行く二人の旅人たびびとありけり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
貴族或は貴族主義者が思ひ切つてうぬぼれられないのは、彼等もまたわれら同様、かはやのぼる故なるべし。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ただおぼろげに覚えてゐるのは、山にはびこる若葉の中を電車でむやみにのぼつて行つた事だけである。
忘れられぬ印象 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
と死物狂いの声で呶鳴どなり立てゝ、ピン/\と鼻へ抜けて出る調子で、精神たましいはもう頭へのぼって居ます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
平安な時あらゆる人に絶えず附けまとはる自己広告の衒気げんきほとんど意識にのぼる権威を失つてゐる。
艇長の遺書と中佐の詩 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あるときおとうさんは、よんどころない用事ようじ出来できて、京都きょうとのぼることになりました。
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
みち此処こゝで二すぢになつて、一すぢはこれからぐにさかになつてのぼりもきふなり
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平三は祠への階段をのぼりながら無暗むやみに怒鳴った。そして彼は階段を上りきると、そこの赤い鳥居へ力任せに身体を打ち付けた。
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
城は公園を出る方で、其処そこにも影がないとすると、吹矢ふきやの道をのぼつたに相違ない。で、あとへ続くには堪へられぬ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
表梯子おもてはしごのぼれば猿蔵さるぞう染五郎二人ににんの室あり家橘栄三郎これに隣してまた鏡台を並ぶ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
太綱ふとづな一端いつたん前齒まへばくはへてする/\と竿さをのぼりてたゞち龍頭りうづいたる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちょうどこのとき、うまくるまかせ、いしんでさかのぼりかけているおとこました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)