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縄
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なわ
ふりがな文庫
“
縄
(
なわ
)” の例文
旧字:
繩
黒いおじさんだって、女ひとりが
斯
(
こ
)
うして駆け込んで来た以上、いざ
縄
(
なわ
)
打
(
う
)
って代官所へなんて、野暮なことを云やあしないでしょう。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その時呼び笛の声が高く響き、もう一人の男が闇から現われて、その
閾
(
しきい
)
に足をかけた。裕佐は
縄
(
なわ
)
を持っているその手くびをつかんだ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
だからいろは屋文次はめったにお
縄
(
なわ
)
をしごかなかった。が、一度しごけば、それは必ず大きな
捕親
(
とりおや
)
として動きのないところであった。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「おかしいな、きのうかえってから、この松の木の根ッこへあんな太い
縄
(
なわ
)
でしばっておいたのに、どこへとんでッちゃったのだろう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その晩月が出るのを待って、三人は
八幡様
(
はちまんさま
)
へ出かけました。次郎七と五郎八とは
縄
(
なわ
)
を持ち、老人は
南天
(
なんてん
)
の木の枝を
杖
(
つえ
)
についていました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
小初は電球を
捻
(
ひね
)
って外出の支度をした。
箪笥
(
たんす
)
から着物を出して、
荒削
(
あらけず
)
りの
槙柱
(
まきばしら
)
に
縄
(
なわ
)
で
括
(
くく
)
りつけたロココ式の半姿見へ小初は向った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一同が
縄
(
なわ
)
をひくと! 見よ! たくたくたる
丈余
(
じょうよ
)
の灰色の
巨鳥
(
きょちょう
)
! 足はかたくしばられ、
恐怖
(
きょうふ
)
と
疲労
(
ひろう
)
のために
気息
(
きそく
)
えんえんとしている。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「どうしてどうして、お
前
(
まえ
)
なんぞに
手伝
(
てつだ
)
ってもらえるものか。
縄
(
なわ
)
をといてやったら、
手伝
(
てつだ
)
うどころか、すぐ
逃
(
に
)
げて
行
(
い
)
ってしまうだろう。」
かちかち山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
さっきの蕈を置いた処へ来ると理助はどっかり足を投げ出して
座
(
すわ
)
って炭俵をしょいました。それから胸で両方から
縄
(
なわ
)
を結んで言いました。
谷
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
するとある
時
(
とき
)
、ライオンが
猟人
(
かりうど
)
に
捕
(
つかま
)
つて
縛
(
しば
)
られたとこへ
例
(
れい
)
の
鼠
(
ねづみ
)
が
来
(
き
)
て「おぢさん、
待
(
ま
)
つといで」と
言
(
い
)
つて
縛
(
しば
)
つた
縄
(
なわ
)
を
噛切
(
かみき
)
つてやりました。
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
「あ、あの振子を、あのままにしておくのは、心配だ。振子が動きださないように、
縄
(
なわ
)
なんかでしばっておきたいが、縄はないかしらん」
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
次の間ではエピホードフが、箱に
縄
(
なわ
)
をかけている。舞台裏手で、がやがやいう声。百姓たちが、お別れに来ているのだ。ガーエフの声で
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それは
囚
(
とら
)
われの
縄
(
なわ
)
を解かれたような、
妄執
(
もうしゅう
)
がおちたような、その他もろもろの
羈絆
(
きはん
)
を脱したような、すがすがしく濁りのない顔に返った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただ学校の帰りらしい、洋服を着た子供が二三人、
頸
(
くび
)
のまわりへ
縄
(
なわ
)
をつけた茶色の子犬を引きずりながら、何かわいわい
騒
(
さわ
)
いでいるのです。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
橋の欄干がそこだけ折れていて、その代りに一本の
縄
(
なわ
)
が張られていた。私も自転車から降りて、人々の見下ろしている川の中を
覗
(
のぞ
)
いて見た。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
牛や馬のように、首玉へ
縄
(
なわ
)
を
結
(
いわ
)
えつけておいて、むざむざと
屠
(
ほふ
)
られるのだ。それはあまりに怖ろしい、あまりに人間性を
蔑
(
ないがし
)
ろにしたものだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
運命の
縄
(
なわ
)
はこの青年を遠き、暗き、
物凄
(
ものすご
)
き北の国まで引くが
故
(
ゆえ
)
に、ある日、ある月、ある年の
因果
(
いんが
)
に、この青年と
絡
(
から
)
みつけられたる
吾
(
われ
)
らは
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
和太郎さんは
縄
(
なわ
)
きれを持ったまま、とんでいって、おかあさんの手をつかむと、だまってぐんぐん家へひっぱってきました。
和太郎さんと牛
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
夏の夜はその入口に
筵
(
むしろ
)
を
吊
(
つ
)
って戸代りにしたが、冬はさすがに余りに寒いので
他家
(
よそ
)
から戸板を二枚
貰
(
もら
)
って来て入口に押しつけて
縄
(
なわ
)
で
縛
(
しば
)
りつけた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
青黒い
滑々
(
ぬめぬめ
)
したあの長細い
体
(
からだ
)
が、
生
(
い
)
き
縄
(
なわ
)
の様に眼の前に伸びたり縮んだりするのは、見て居て気もちの好いものではない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ある時は兄上や妹さんが、暗まって行く夕方の光に、なお気ぜわしく目を
縄
(
なわ
)
によせて、せっせとほつれを解いたり、切れ目をつないだりしている。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それを馬の背の真中へキチンと
据
(
す
)
えつけて、それを
縄
(
なわ
)
でほどよく結びつけておきますから、遠くから見ればお地蔵様が馬に乗ってござるようです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いつのまにか男の生徒が五、六人やってきて、
縄
(
なわ
)
のれんの向こうに顔をならべているのを見ると、大石先生は立ちあがらずにいられなかったのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そこで
更闌
(
こうた
)
けて抜き足をして、後ろ口から薄暗い庭へ出て、阿部家との境の
竹垣
(
たけがき
)
の結び
縄
(
なわ
)
をことごとく切っておいた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
樹
(
き
)
も
縄
(
なわ
)
を受けて始めて直くなるのではないか。馬に
策
(
むち
)
が、弓に
檠
(
けい
)
が必要なように、人にも、その
放恣
(
ほうし
)
な性情を
矯
(
た
)
める教学が、どうして必要でなかろうぞ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
杖
(
つえ
)
には長く
天秤棒
(
てんびんぼう
)
には短いのへ、
五合樽
(
ごんごうだる
)
の
空虚
(
から
)
と見えるのを、
樹
(
き
)
の皮を
縄
(
なわ
)
代
(
がわ
)
りにして
縛
(
くく
)
しつけて、それを
担
(
かつ
)
いで
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
葱嶺
(
そうれい
)
を
逾
(
こ
)
ゆるに毒風肌を切り、飛砂
路
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ、
渓間
(
けいかん
)
の
懸絶
(
けんぜつ
)
するに
逢
(
あ
)
へば、
縄
(
なわ
)
を以て
梁
(
はし
)
となし、空に
梯
(
はしご
)
して進む」
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
要するに、僕には、あまり興味が無い。ダンテは、地獄の罪人たちの苦しみを、ただ、見て、とおったそうだ。一本の
縄
(
なわ
)
も、投げてやらなかったそうだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そういうことに役に立てば
甚
(
はなは
)
だ満足ですといって、早速書生さんに
苞
(
つと
)
を拵えさせ、一匹ずつ入れて、両方に
縄
(
なわ
)
を附けて、
提
(
さ
)
げて持てるようにしてくれました。
幕末維新懐古談:57 矮鶏のモデルを探したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
アトリエが火事になったとき、あんたは、よいつぶれたまま
縄
(
なわ
)
でしばられていた。ぼくは、よろいびつの中にいたので、だれがしばったかわからないのです。
魔法人形
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私
(
わつち
)
アお
前
(
めえ
)
にりん
病
(
びやう
)
が
起
(
おこ
)
つても
直
(
ぢき
)
に
療
(
なほ
)
る
禁厭
(
まじなひ
)
を
教
(
をし
)
へて
遣
(
や
)
らう、
縄
(
なは
)
を持つて
来
(
き
)
な、
直
(
ぢき
)
に
療
(
なほ
)
らア。主人「はてな…へえゝ。弥「
痳病
(
りんびやう
)
(
尋常
(
じんじやう
)
)に
縄
(
なわ
)
にかゝれと
云
(
い
)
ふのだ。 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
魚屋で
鰺
(
あじ
)
を買う
内儀
(
かみ
)
さん、自転車に乗って急ぐ小僧、巷全体が物の臭いを立てながら傾斜している露地うらや空地の
侘
(
わび
)
しい明るさの中で、少女達が
縄
(
なわ
)
飛びしたり
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
夜は
縄
(
なわ
)
を
綯
(
な
)
い草鞋を編み、その他の夜綯いを楽しみつ、夜綯いなき夜はこの家を訪い、温かなる家内の快楽を
己
(
おの
)
がもののごとく
嬉
(
うれ
)
しがり、夜
深
(
ふ
)
けぬ間に
還
(
かえ
)
りて寝ぬ
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
今一つは
寒菊
(
かんぎく
)
の画でこれは寒菊の一かたまりが、
縄
(
なわ
)
によつて束ねられた処で、画としては簡単な淋しい画であるが、その寒菊が少し傾いて縄にもたれて居る工合は
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
はてな、殿は生きておられるのじゃないか、それ呼べ、というので呼んでみると、谷底からたしかに返事がきこえてきて、
旅籠
(
はたご
)
に
縄
(
なわ
)
を長くつけて下してよこせと言う。
土の中からの話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そして、大女の女優が、真先になって、追掛けた後、かえって自分が湖水の中へ、転落する。それを
皆
(
みな
)
が寄ってたかって救助にかかる。投げ込んだ
縄
(
なわ
)
に女優が
掴
(
つか
)
まる。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
やがて
大
(
おおい
)
なる
古菰
(
ふるごも
)
を拾ひきつ、これに肴を包みて上より
縄
(
なわ
)
をかけ。
件
(
くだん
)
の弓をさし入れて、
人間
(
ひと
)
の
駕籠
(
かご
)
など扛くやうに、二匹
前後
(
まえうしろ
)
にこれを
担
(
にな
)
ひ、金眸が洞へと急ぎけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
その
瞳
(
ひとみ
)
には、むしろ敵意さえ感じられました。ちょッと
縄
(
なわ
)
を
緩
(
ゆる
)
めてからパッと引くと訳ないのですが、それをやると、ひどく皆から
怒
(
おこ
)
られ、
何遍
(
なんべん
)
でも
遣
(
や
)
りなおしです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そないにいうと今度はさすがに
萎
(
しお
)
れ返って、うつむいたまま
縄
(
なわ
)
のように
捻
(
ね
)
じくったハンカチをぐるぐる指に巻きつけながら、思わせぶりに涙ぐむような風して見せて
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また時として登りかけた坂から、腰に
縄
(
なわ
)
をつけられて後ざまに引き
下
(
おろ
)
されるようにも思われた。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
切られた枝を
縄
(
なわ
)
でゆわえるもの、ゆわえられた
束
(
たば
)
を薪小屋に運んで整理するもの、とだいたい五つの班にわかれていたが、管理部の人員の割り当てに、多少の誤算があり
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「なにがきたのだろうね。きっとおもちだろうよ。」と、
母親
(
ははおや
)
は、
小包
(
こづつみ
)
の
縄
(
なわ
)
を
解
(
と
)
いて、
箱
(
はこ
)
のふたを
開
(
あ
)
けました。すると、はたして、それは、
田舎
(
いなか
)
でついたもちでありました。
飴チョコの天使
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
痕
(
あと
)
はまったく驚くほど正確にあらわれていた。その動物の首のまわりには
縄
(
なわ
)
があった。
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
あの
艶
(
あで
)
やかな雪之丞が、真白な肉体を
剥
(
む
)
き出しにされて、
鞭
(
むち
)
で打たれ、
縄
(
なわ
)
で絞め上げられているありさまを想像すると、その光景がまざまざと目に浮かんで来て、一種異様な
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
写真でも撮らせたり、ひどく元気よくはしゃいでいるのが怪しいということである。いったい死ぬほどに
意気銷沈
(
いきしょうちん
)
したものなら首くくりの
縄
(
なわ
)
を懸けるさえ大儀な気がしそうである。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
按
(
あん
)
ずるに
古
(
いにしえ
)
は麦・稲の穂を
扱
(
こ
)
くに、二つの
小管
(
こくだ
)
を
縄
(
なわ
)
を通して
繋
(
つな
)
ぎ、
之
(
これ
)
を握り持ち
挟
(
はさ
)
みて穂を扱きしなり、秋収の時に至れば、近隣の
賤婦
(
せんぷ
)
孀婆
(
そうば
)
是が為に
雇
(
やと
)
はれ、
以
(
もっ
)
て
飽
(
あ
)
くことを得たり。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
連帯の責任者として、
縄
(
なわ
)
付きのまま引き立てられるところであったとも笑わせる。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なお硝子戸の引いてある
手摺
(
てすり
)
に
靠
(
もた
)
れて、順々に荷物の積まれるのを見ていたが、小池の
采配
(
さいはい
)
ですっかり積みこまれ
縄
(
なわ
)
がかけられるのを見澄ましてから、
煙草
(
たばこ
)
を一本取り出して
喫
(
ふか
)
しはじめ
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
南屋の
普請
(
ふしん
)
に
懸
(
かか
)
って居るので、ちょうど与吉の小屋と往来を隔てた
真向
(
まむこ
)
うに、小さな普請小屋が、
真新
(
まあたらし
)
い、
節穴
(
ふしあな
)
だらけな、薄板で建って居る、
三方
(
さんぽう
)
が囲ったばかり、編んで繋いだ
縄
(
なわ
)
も見え
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
青葡萄
(
あおぶどう
)
』という作に、自分は
鞭
(
むち
)
と
縄
(
なわ
)
とで弟子を薫陶するというような事をいってるが、門下の中には往来で
摺違
(
すれちが
)
った時、ツイ
迂闊
(
うかつ
)
して
挨拶
(
あいさつ
)
しなかったというので群集の中で呼留められて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
“縄(ロープ)”の解説
ロープ(en: rope)とは、索具(cordage)の一種。一般には縄や綱などがロープにあたる。日本語では索と訳される。
天然繊維や合成繊維をより合わせたファイバーロープ(繊維索、繊維ロープ)と、鋼線を用いたワイヤーロープ(鋼索)がある。
(出典:Wikipedia)
縄
常用漢字
小4
部首:⽷
15画
“縄”を含む語句
縄張
麻縄
墨縄
赤縄
捕縄
注連縄
縄梯子
縄切
準縄
縄取
縄目
荒縄
縄手
火縄銃
縄張内
標縄
手縄
縄括
縄張中
繋縄
...