トップ
>
籠
>
かご
ふりがな文庫
“
籠
(
かご
)” の例文
日あたりのいいヴェランダに小鳥の
籠
(
かご
)
を
吊
(
つ
)
るすとかして、台所の用事や、
拭
(
ふ
)
き掃除をさせるために女中の一人も置いたらどうだろう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(あさ)(買って来た魚のはいっている
籠
(
かご
)
やら、
角巻
(
かくまき
)
——津軽地方に於ける外出用の毛布——やらを
上手
(
かみて
)
の台所のほうに運びながら)
冬の花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
臙脂
(
えんじ
)
色の
小沓
(
こぐつ
)
をはいた片足は、無心に通路の中ほどへ投げだしてあつた。
葡萄
(
ぶどう
)
の
籠
(
かご
)
は半ば空つぽになつて、洗面台の上にのせてある。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そこで、私は机の上の
籠
(
かご
)
に入れてあったホテルの
用箋
(
ようせん
)
を取出して、
備
(
そなえ
)
つけのペンで、彼女が岩山から見たという海岸の景色を描いた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暗い納戸の中に、かなり大きな
籠
(
かご
)
の中に入つて、
精巧
(
せいかう
)
な車を廻して居る五匹の白鼠を見付けると、平次の好奇心は火の如く燃えます。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
黒塀
(
くろべい
)
、クレーンと
吊
(
つ
)
り
籠
(
かご
)
、ビール工場の高窓、箱詰め器械、それかち貨物駅と、これだけのものは次から次へとつながっているのだ。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
食卓
(
ターブル
)
の上には銀の
肉刺
(
ハーカ
)
や
匙
(
レーブル
)
が美しく置かれ、花を盛った瓶をところどころに配置し、
麺麭
(
ブロート
)
を入れた
籠
(
かご
)
や
牛酪容
(
ホートルいれ
)
などが据えられてある。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その室のすみに、ポリモスから
貰
(
もら
)
つたまゝになつてる蝙蝠が、
籠
(
かご
)
にはいつてゐました。
肥
(
ふと
)
つた男はその籠のなかをのぞきこみました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
自分は
直
(
ただち
)
に
籠
(
かご
)
の中に鳥を入れて、春の日影の
傾
(
かたむ
)
くまで眺めていた。そうしてこの鳥はどんな心持で自分を見ているだろうかと考えた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蟹は、この
期
(
ご
)
になってもまだじぶんの運命をなんとかして
打開
(
だかい
)
しようとでもいうように、せまい
籠
(
かご
)
の中をがさごそ
這
(
は
)
いまわっていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
宰領の連れて来た三疋の綿羊が
籠
(
かご
)
の中で顔を寄せ、もぐもぐ鼻の先を動かしているのを見ると、動物の好きなお
粂
(
くめ
)
や宗太は大騒ぎだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
籠
(
かご
)
川入りをして
扇
(
おうぎ
)
沢から爺(二六六九)の西南に当る棒小屋乗越を越し、棒小屋沢を下って黒部川に落ち合うのも一つの路である。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
籠
(
かご
)
は
上
(
うへ
)
に、
棚
(
たな
)
の
丈
(
たけ
)
稍
(
やゝ
)
高
(
たか
)
ければ、
打仰
(
うちあふ
)
ぐやうにした、
眉
(
まゆ
)
の
優
(
やさ
)
しさ。
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
はひた/\と、
羽織
(
はおり
)
の
襟
(
えり
)
に
着
(
つ
)
きながら、
肩
(
かた
)
も
頸
(
うなじ
)
も
細
(
ほそ
)
かつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこへ
弦
(
つる
)
のある
籐
(
と
)
の
籠
(
かご
)
にあかすぐりの実を入れて手に持った女中が通り掛かったので、それにこの家は誰が住まっているのだと問うた。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
そこは家具もない、なんの装飾もない、小さい部屋で、少しばかりの空き箱と
籠
(
かご
)
のたぐいが片隅にころがっているばかりであった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
それは、牛車の上にひとつの小さい
籠
(
かご
)
がのっていて、その中に、花たばと、まるまるふとった男の赤ん坊がはいっていたことです。
和太郎さんと牛
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
上のほうから蜜柑をいっぱい詰めた大きな
籠
(
かご
)
を背負った娘たちがきゃっきゃっといいながら下りてくるのに驚かされたりしました。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
少年も芝居へくるたびに必ず買うことに決めているらしい辻占せんべいと
八橋
(
やつはし
)
との
籠
(
かご
)
をぶら下げて、きわめて愉快そうに
徘徊
(
はいかい
)
している。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雁
(
がん
)
の卵がほかからたくさん贈られてあったのを源氏は見て、
蜜柑
(
みかん
)
や
橘
(
たちばな
)
の実を贈り物にするようにして卵を
籠
(
かご
)
へ入れて
玉鬘
(
たまかずら
)
へ贈った。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
フォーシュルヴァンがはいってきた時、ジャン・ヴァルジャンは壁にかかってる庭番の
負
(
お
)
い
籠
(
かご
)
をコゼットに示しながら言っていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そのうち夕方になると、彼女は背負い
籠
(
かご
)
を背にし、
露
(
あら
)
わな両腕を組み、少し前かがみになって、たえず談笑しながら立ち去っていった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
次の朝早く私どもは今度は大きな
籠
(
かご
)
を持ってでかけたのです。実際それを一ぱいとることを考へると胸がどかどかするのでした。
谷
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
何処から
尾
(
つ
)
いて来たのか、
籠
(
かご
)
をしょった、可愛い
伊太利亜
(
イタリア
)
少年が傍にいて、お雪が抱えきれなくなると、背中の籠へ入れさせた。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「うまいこと云ふ」と
呟
(
つぶや
)
きながら笑つて牧瀬は、すこし歳子に
躪
(
にじ
)
り寄り、
籐
(
とう
)
で荒く編んだ食物
籠
(
かご
)
の中の食物と食器を
掻
(
か
)
き廻した。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
例えば円座の如き、または小敷物の如き、または
籠
(
かご
)
類の如きにその材料と編み方とを適応したら、立派な作物が生れるであろう。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それから一週間たったあの夕方、治療に使う枇杷の葉を看護婦と
二人
(
ふたり
)
で切って
籠
(
かご
)
に入れていると、うしろからちょっとと一代の声がした。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「
綾小路
(
あやこうじ
)
さんがいらっしゃいました」と、雪は
籠
(
かご
)
の中の小鳥が人を見るように、くりくりした目の
瞳
(
ひとみ
)
を秀麿の顔に向けて云った。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ひも売り、花売り、ちまき売りなど、
筥
(
はこ
)
や
籠
(
かご
)
を、髪の上に、乗せていた。女たちが、物を頭へのせて歩く習慣は、見なれていた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして先生様の後姿をお見上げ申すとネ、
精神
(
こゝろ
)
が
鞏固
(
しつかり
)
して、
籠
(
かご
)
を出た鳥とは、此のことであらうと飛び立つ様に思ひましたよ——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
築山の草はことごとく
金糸線綉墩
(
きんしせんしゅうとん
)
の
属
(
ぞく
)
ばかりだから、この頃のうそ
寒
(
さむ
)
にも
凋
(
しお
)
れていない。窓の間には
彫花
(
ちょうか
)
の
籠
(
かご
)
に、緑色の
鸚鵡
(
おうむ
)
が飼ってある。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
貞時はさがしようもなく幾つかの女車を
遣
(
や
)
り過したなかに、
薄葉
(
うすよう
)
を
籠
(
かご
)
のようにふくらがし、元の方を扉に
結
(
ゆわ
)
えた女車があった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
態
(
わざ
)
と
卯平
(
うへい
)
へ
見
(
み
)
せつける
樣
(
やう
)
に
其
(
そ
)
の
夜
(
よ
)
塒
(
とや
)
に
就
(
つ
)
いた
時
(
とき
)
其
(
そ
)
の
鷄
(
とり
)
を
籠
(
かご
)
に
伏
(
ふ
)
せて、
戸口
(
とぐち
)
の
庭葢
(
にはぶた
)
の
上
(
うへ
)
に三
日
(
か
)
も四
日
(
か
)
も
置
(
お
)
いたのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『なるほど、なるほど。』豊吉はちょっと
籠
(
かご
)
の中を見たばかりで、
少年
(
こども
)
の顔をじっと見ながら『なるほど、なるほど』といって小首を傾けた。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
折から撃ッて来た拍子木は
二時
(
おおびけ
)
である。
本見世
(
ほんみせ
)
と
補見世
(
すけみせ
)
の
籠
(
かご
)
の鳥がおのおの
棲
(
とや
)
に帰るので、一時に上草履の音が
轟
(
とどろ
)
き始めた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
最後に
涼葉
(
りょうよう
)
十七句を調べてみた。「牛」が二頭いる。「
草鞋
(
わらじ
)
」と「
蓆
(
むしろ
)
」と「
藁
(
わら
)
」、それから少しちがった意味としても「
籠
(
かご
)
」と「
駕
(
かご
)
」がある。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
黙然
(
もくねん
)
と聞く武男は
断
(
き
)
れよとばかり下くちびるをかみつ。たちまち
勃然
(
ぼつねん
)
と立ち上がって、病妻にもたらし帰りし
貯林檎
(
かこいりんご
)
の
籠
(
かご
)
をみじんに踏み砕き
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ちらりと見たお見舞の果物の
籠
(
かご
)
に赤葡萄の房のあったことをおぼえてた私が 今度は赤いほうを と注文しておいたのを
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
本邦
(
ほんぱう
)
石器時代遺跡
(
せききじだいいせき
)
より出づる
石輪中
(
せきりんちう
)
にも或は
同種
(
だうしゆ
)
のもの有らんか
繩
(
なわ
)
、
籠
(
かご
)
席
(
むしろ
)
の存在は
土器
(
どき
)
の
押紋
(
おしもん
)
及び
形状
(
けいじやう
)
裝飾
(
そうしよく
)
等に由つて充分に
證明
(
しやうめい
)
するを得べし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
相当の
籠
(
かご
)
の中に入れて、その
周囲
(
まわり
)
をまだ新しい、特にこの子を捨てなければならないために手製したと思われる小さな
蒲団
(
ふとん
)
をしいて、その上に
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そう心の中で思うと、信一郎の心は、
籠
(
かご
)
を放れた
鳩
(
はと
)
か何かのように、フワ/\となってしまった。彼は思い切って云った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
狭いけれども宅には庭がありますから、右の矮鶏を、
掩
(
ふ
)
せ
籠
(
かご
)
を買って来て、庭へ出して、半月ばかり飼って置きました。
幕末維新懐古談:57 矮鶏のモデルを探したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
こしらえて
可愛
(
かわい
)
い子には与えたのだが、最初はそれもただ親たちの実用品のやや小形のもの、たとえば小さな
籠
(
かご
)
とか
桶
(
おけ
)
とか、
箒
(
ほうき
)
や農具の
類
(
たぐい
)
が多く
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
籠
(
かご
)
に飼われた小鳥と同じく容易に逃げていなくなる気づかいはないと思っていたのは、もとよりこちらの不覚であった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
荷物炭は、艀から、本船へ、長い
歩
(
あゆみ
)
板をかけ、その上を登り降りして、振りわけにした
担
(
にな
)
い
籠
(
かご
)
で、積みこむのが通常だ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
数年前には
台湾
(
たいわん
)
より多量のバナナが日本の内地に輸入せられ、大きな
籠
(
かご
)
に入れたまま、それが
神戸港
(
こうべこう
)
などに
陸上
(
りくあ
)
げせられた時はまだ緑色であった。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
籠
(
かご
)
や
厩箒
(
うまやぼうき
)
やマットの製造、トウモロコシ炒り、リンネル紡績、製陶がこの土地に栄えて、荒野をバラのごとく花咲かせ
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
縦縞の長ばんてんに
継
(
つ
)
ぎはぎだらけの
股引
(
ももひ
)
き。竹
籠
(
かご
)
をしょい、手に長い
箸
(
はし
)
を持って、煮しめたような手拭を
吉原
(
よしわら
)
かぶり。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
より江は何かしらとおもって走ってゆきますと、
昨夜
(
ゆうべ
)
のおじさんが、バナナの
籠
(
かご
)
をさげて板の間へ腰をかけていました。お母さんはにこにこ
笑
(
わら
)
って
蛙
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
私のコンサートが終ったら、三人の囚人が
籠
(
かご
)
を捧げて私のところにやって来ました。非常に楽しい音楽を聴かせて下さって誠に有難うございました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
浪「いつもの
婆
(
ばゞあ
)
がまいりました、あの大きな
籠
(
かご
)
を
脊負
(
しょ
)
ってお芋だの大根だの、
菜
(
な
)
や何かを売りに来る婆でございます」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“籠”の解説
籠(かご、en: basket バスケット)とは、(竹、、柳、針金 などを)編んで作った入れ物で、短冊状ないし細い「ヒゴ」状の素材を組み合わせた容器の総称である。
(出典:Wikipedia)
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“籠”を含む語句
引籠
塗籠
燈籠
口籠
立籠
閉籠
旅籠
魚籠
籠居
籠中
尾籠
籠城
手籠
高燈籠
旅籠屋
蛇籠
妻籠
山籠
目籠
馬籠峠
...