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漬
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つ
ふりがな文庫
“
漬
(
つ
)” の例文
ふと、ある日、菜の花のお
漬
(
つ
)
けものがございますかとAさんにお目にかかつたとき、
關西
(
かみがた
)
の郊外の話から、お訊ねしたことがあつた。
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
粗
(
ざつ
)
と
水
(
みづ
)
に
漬
(
つ
)
けて、ぐいと
絞
(
しぼ
)
つて、
醤油
(
しやうゆ
)
で
掻𢌞
(
かきまは
)
せば
直
(
す
)
ぐに
食
(
た
)
べられる。……
私
(
わたし
)
たち
小學校
(
せうがくかう
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
時分
(
じぶん
)
に、
辨當
(
べんたう
)
の
菜
(
さい
)
が、よく
此
(
これ
)
だつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼はここへ入りたければ御勝手にお入んなさい、御遠慮には及びませんからという度胸を
据
(
す
)
えて、また浴槽の中へ身体を
漬
(
つ
)
けた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは念のために、竹を拾って池の水に
漬
(
つ
)
け、そのこまかく切られた服の裏地をそっと引揚げたのです。これがそうです。
千早館の迷路
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
階下を
味噌
(
みそ
)
や
漬
(
つ
)
け物の
納屋
(
なや
)
に当ててあるのは祖父半六が隠居時代からで、別に二階の方へ通う入り口もそこに造りつけてある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
菓子は好物のうぐいす餅、
菜
(
さい
)
は
独活
(
うど
)
にみつばにくわい、
漬
(
つ
)
け
物
(
もの
)
は京菜の新漬け。生徒は草餅や
牡丹餅
(
ぼたもち
)
をよく持って来てくれた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ブラドン夫人は顔の半分を湯の中に
漬
(
つ
)
けたまま、片手と片脚を浴槽の
縁
(
ふち
)
にかけて、ちょうど湯から出ようとして
踠
(
もが
)
いている姿勢で死んでいた。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
大体染物は色に
浸
(
ひた
)
し
漬
(
つ
)
けるのが本式で、近頃流行の
捺染
(
なせん
)
のように上から色を置くのは、本筋の仕事ではないように思います。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
こうして風呂に
漬
(
つ
)
かっている此処の家が、すでに第二の妻を迎えた自分の新居であるような愚かしい空想が
湧
(
わ
)
くのであった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
漬
(
つ
)
けた
玉菜
(
たまな
)
や、ランプの
燻
(
いぶり
)
や、
南京蟲
(
なんきんむし
)
や、アンモニヤの
臭
(
にほひ
)
が
混
(
こん
)
じて、
入
(
はひ
)
つた
初
(
はじ
)
めの一
分時
(
ぷんじ
)
は、
動物園
(
どうぶつゑん
)
にでも
行
(
い
)
つたかのやうな
感覺
(
かんかく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
すので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
手桶からは湯気が立っている。
先
(
さ
)
っきの若い男が「や、
閼伽桶
(
あかおけ
)
」と叫んだ。
所謂
(
いわゆる
)
閼伽桶の中には、番茶が麻の
嚢
(
ふくろ
)
に入れて
漬
(
つ
)
けてあったのである。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
茄子
(
なす
)
を
糠味噌
(
ぬかみそ
)
へ
漬
(
つ
)
けるのに色を
善
(
よ
)
く出そうとして
青銭
(
あおせん
)
を糠味噌へ入れる人もあるが、あれは青銭から緑青が出てそれで茄子の色を善くするのだ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「とんびが染屋を出したかねえ。あいつはなるほど手が長くて染ものをつかんで
壺
(
つぼ
)
に
漬
(
つ
)
けるには持って来いだらう。」
林の底
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
郁太郎の泣き声にも驚かされたが、自分の
身体
(
からだ
)
の手の触るるところが、水で
漬
(
つ
)
けたような
汗
(
あせ
)
であるのにも驚きました。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「これは、
故郷
(
くに
)
から
送
(
おく
)
ってきた、らんの
花
(
はな
)
を
漬
(
つ
)
けたのだが、
飲
(
の
)
んでみないか。」と、
湯
(
ゆ
)
に
入
(
い
)
れて
出
(
だ
)
してくれました。
らんの花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、いいながら、私は、久しぶりで口に馴れたお前の手で
漬
(
つ
)
けた
茄子
(
なす
)
と
生瓜
(
きゅうり
)
の新漬で
朝涼
(
あさすず
)
の風に吹かれつつ以前のとおりに
餉台
(
ちゃぶだい
)
に向い合って箸を取った。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
夥
(
おびたゞ
)
しい材木を
漬
(
つ
)
けた堀の縁を通つて、北側の庵室——北海庵の前に立つた平次は、あまりにも荒れ果てた樣子に、少なからずがつかりさせられた樣子です。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女の手にかかると、毎日の
漬
(
つ
)
けものの色にも水々した生彩があり、
肴
(
さかな
)
や野菜ものの目利きにも
卒
(
そつ
)
がなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
青物もやはり奥へゆけばゆくほど
堆
(
うず
)
高く積まれている。——実際あそこの
人参葉
(
にんじんば
)
の美しさなどは
素晴
(
すばら
)
しかった。それから水に
漬
(
つ
)
けてある豆だとか
慈姑
(
くわい
)
だとか。
檸檬
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
鮨
(
すし
)
でも
漬
(
つ
)
けたように船に詰込れて
君士但丁堡
(
コンスタンチノープル
)
へ送付られるまでは、
露西亜
(
ロシヤ
)
の事もバルガリヤの事も唯噂にも聞いたことなく、唯行けと云われたから来たのだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
大きな
酒樽
(
さかだる
)
にどっさり大根が
漬
(
つ
)
けられてあって、大嫌いな
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の臭いが鼻を襲って
逆吐
(
むかつ
)
きそうになった。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
けれども夜になると、どんな闇の夜でもその建物は
燐
(
りん
)
に
漬
(
つ
)
けてあったようにほの青白く光る。それはまったく風化作用から来たある化学的の現象かもしれない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
打製石斧は最初先づ
漬
(
つ
)
け物の重し石の如き物を
採
(
と
)
り、之を他の石と
打
(
う
)
ち合はせ數個の破片を作り、
其中
(
そのうち
)
より石斧とするに
適
(
てき
)
したる形のものを
撰
(
えら
)
み出し、
臺石
(
だいいし
)
の上に
乘
(
の
)
せ
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
あらゆる草の
香
(
かお
)
り、濃いソース、実質に富んだポタージュ、模範的なスープ肉、すばらしい
鯉
(
こい
)
、
漬
(
つ
)
け菜、
鵞鳥
(
がちょう
)
、手製の菓子、
茴香
(
ういきょう
)
とキメンとのはいってるパン、などがあった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一軒の小さな
八百屋
(
やおや
)
があって、
明
(
あかる
)
く
瓦斯
(
ガス
)
の燃えた下に、大根、
人参
(
にんじん
)
、
漬
(
つ
)
け
菜
(
な
)
、
葱
(
ねぎ
)
、
小蕪
(
こかぶ
)
、
慈姑
(
くわい
)
、
牛蒡
(
ごぼう
)
、
八
(
や
)
つ
頭
(
がしら
)
、
小松菜
(
こまつな
)
、
独活
(
うど
)
、
蓮根
(
れんこん
)
、里芋、
林檎
(
りんご
)
、蜜柑の類が
堆
(
うずたか
)
く店に積み上げてある。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
漬
(
つ
)
け大根 の 洗はれた のが 至るところ の 家根や 木々に かかる。
札幌の印象
(新字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
五〇
死助
(
しすけ
)
の山にカツコ花あり。遠野郷にても珍しといふ花なり。五月
閑古
(
かんこ
)
鳥の
啼
(
な
)
く頃、女や子どもこれを採りに山へ行く。
酢
(
す
)
の中に
漬
(
つ
)
けておけば紫色になる。
酸漿
(
ほほづき
)
の実のやうに吹きて遊ぶなり。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
小桶の水に
漬
(
つ
)
け置ける
綸巻
(
いとまき
)
取り出し、そろそろ用意を始む。鈎は、四
分
(
ぶん
)
なれば、其の太さ
燐寸
(
マッチ
)
の軸木ほどにて、丈け一寸に近く、屈曲の度は並の型より、懐狭く、
寧
(
むし
)
ろひょっとこに近く、怪異なり。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
「ただ
熱燗
(
あつかん
)
に
漬
(
つ
)
け物でも添えてもらえりゃ結構だ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
『
真雄
(
さねお
)
や、ことしは、
雪菜
(
ゆきな
)
がよう
漬
(
つ
)
かったぞよ』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「上海から今、
漬
(
つ
)
け物がとどきました」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
兄貴のフェリックスはいう——「おれが、とっとくよ。そいつで釣りに行かあ。とんでもねえ、母さんの血んなかへ
漬
(
つ
)
かってた針なんてなあ、申し分、この上なしだ。
捕
(
と
)
れるっちゃねえぞ、魚が!
股
(
もも
)
みたいなでっけえやつ、気の毒だが、用心しろ!」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
解剖室からすこし離れたところに、
麻雀卓
(
マージャンたく
)
をすこし高くしたようなものがあって、その上に
寒餅
(
かんもち
)
を
漬
(
つ
)
けるのに良さそうな
壺
(
つぼ
)
が載せてあった。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
漬
(
つ
)
けた
玉菜
(
たまな
)
や、ランプの
燻
(
いぶり
)
や、
南京虫
(
なんきんむし
)
や、アンモニヤの
臭
(
におい
)
が
混
(
こん
)
じて、
入
(
はい
)
った
初
(
はじ
)
めの一
分時
(
ぷんじ
)
は、
動物園
(
どうぶつえん
)
にでも
行
(
い
)
ったかのような
感覚
(
かんかく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
すので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
大林檎一ツへ薄いゼラチンならば二枚位厚いのなら一枚位を水へ
漬
(
つ
)
けておくと柔になって火にかけると直きに溶けます。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかしこの
型染
(
かたぞめ
)
の他に、
糊引
(
のりびき
)
といって、布の上にじかに糊を絞り出しながら絵を描き、それを
藍甕
(
あいがめ
)
に
漬
(
つ
)
け、これに色を差してゆく方法があります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
圭さんは
臍
(
へそ
)
を洗うのをやめて、湯槽の
縁
(
ふち
)
へ
肘
(
ひじ
)
をかけて
漫然
(
まんぜん
)
と、
硝子越
(
ガラスご
)
しに外を眺めている。碌さんは首だけ湯に
漬
(
つ
)
かって、相手の臍から上を見上げた。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一人の体が満足には
漬
(
つ
)
からないくらい小さな釜の、周りの鉄の焼けて来るのが東京風のゆっくりとした木製の
湯槽
(
ゆぶね
)
に馴れた者には肌ざわりが気味悪く
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
夕餐
(
ゆうめし
)
には昨夜猫に取られた
泥鰌
(
どじょう
)
の残りを清三が自分でさいてご馳走した。母親が寝ているので、父親が水を汲んだり米をたいたり
漬
(
つ
)
け物を出したりした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
蕪
(
かぶら
)
の
鮨
(
すし
)
とて、
鰤
(
ぶり
)
の
甘鹽
(
あまじほ
)
を、
蕪
(
かぶ
)
に
挾
(
はさ
)
み、
麹
(
かうぢ
)
に
漬
(
つ
)
けて
壓
(
お
)
しならしたる、いろどりに、
小鰕
(
こえび
)
を
紅
(
あか
)
く
散
(
ち
)
らしたるもの。
此
(
こ
)
ればかりは、
紅葉先生
(
こうえふせんせい
)
一方
(
ひとかた
)
ならず
賞
(
ほ
)
めたまひき。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さあよし、やるぞ。ぼくはもう皮を十一枚あすこへ
漬
(
つ
)
けて置いたし、一かま分の木はもうそこにできている。こんやは新らしいポラーノの広場の開場式だ。」
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
さう言へば柳吉の前には、存分に血を吸つて
蘇芳
(
すはう
)
に
漬
(
つ
)
けたやうな、木綿物の座布團が一枚あります。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
七十を越した、兄の祖母で、勝子の曽祖母にあたるお
祖母
(
ばあ
)
さんが、勝子を連れて川へ茶碗を
漬
(
つ
)
けに行った。その川というのが急な川で、狭かったが底はかなり深かった。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
味噌納屋
(
みそなや
)
の前には
襷
(
たすき
)
がけ手ぬぐいかぶりで、下女たちを相手に、見た目もすずしそうな
新茄子
(
しんなす
)
を
漬
(
つ
)
けるおまんがいる。そのそばには二番目の宗太を抱いてやるお民がいる。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
風邪
(
かぜ
)
を引いて心臓が弱っている時に、熱い湯の中に長く
漬
(
つ
)
かっていたりするのが悪いのだ。
眩暈
(
めまい
)
を感じて卒倒したきり、ふたたび
起
(
た
)
ちえなかったのだろう。悲しむべき不注意である。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
東京の冬は何よりも
漬
(
つ
)
け
菜
(
な
)
の茎の色に
現
(
あらは
)
れてゐる。殊に
場末
(
ばすゑ
)
の町々では。
都会で
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五〇
死助
(
しすけ
)
の山にカッコ花あり。遠野郷にても珍しという花なり。五月
閑古鳥
(
かんこどり
)
の
啼
(
な
)
くころ、女や子どもこれを
採
(
と
)
りに山へ行く。
酢
(
す
)
の中に
漬
(
つ
)
けて置けば
紫色
(
むらさきいろ
)
になる。
酸漿
(
ほおずき
)
の
実
(
み
)
のように吹きて遊ぶなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
杯を
漬
(
つ
)
けた
迹
(
あと
)
のコンサントリックな
圏
(
わ
)
が泉の面に消えた。
杯
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
死屍室
(
しししつ
)
から出て来た伝染病科長は、廊下に
据付
(
すえつ
)
けの桃色の
昇汞水
(
しょうこうすい
)
の入った手洗の中に両手を
漬
(
つ
)
けながら独り言を云った。そこへ細菌科長が通りかかった。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
圭さんは何にも云わずに一生懸命にぐいぐい
擦
(
こす
)
る。擦っては時々、手拭を
温泉
(
ゆ
)
に
漬
(
つ
)
けて、充分水を含ませる。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
漬
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“漬”を含む語句
水漬
茶漬
漬物
塩漬
沢庵漬
湯漬
粕漬
漬菜
味噌漬
菜漬
新漬
鹽漬
柴漬
酢漬
砂糖漬
奈良漬
漬物樽
漬物桶
福神漬
山葵漬
...