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御苦勞
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ごくらう
「はゝあ。
寒山も
來てをられますか。それは
願つても
無い
事です。どうぞ
御苦勞序に
厨に
御案内を
願ひませう。」
乳母 ほんに、
御苦勞でござったが、ま、しまはッしゃれ/\。して
見ようもない「
事」になったのぢゃわいの。
「
先刻大晦日の
夜の
景色を
見て
來るつて
出て
行つたのよ。
隨分御苦勞さまね。
此寒いのに」と
云ふ
御米の
後に
追いて、
清は
大きな
聲を
出して
笑つた。やがて
『あゝ、
御寺内のお
客さんだつかいな。
孫右衞門さん、
御苦勞はん。』と、
茶店の
女は
愛嬌を
振り
撒いた。
換へて
誰れと
知らさぬ
用心は
昔氣質の
一こくを
立通さする
遠慮心痛おいたはしや
右に
左に
御苦勞ばかり
世が
世ならばお
嫁さまなり
舅御なり
御孝行に
御遠慮は
入らぬ
筈を
出して
渡しければ
庄三郎
押戴きて
段々と
御深切の上
又斯る
災難まで
貴公の
御苦勞に
預り
御禮は申
盡し
難しとて涙を
流し
打歡びてぞ
歸りけり又お
常忠八はまんまと
夷子棚の二百兩を
「おや、
千助かい、お
精が
出ます。
今度は
又格別お
忙しからう、
御苦勞だね。」
免るせ、かなんかで、
入口の
敷居に
腰をかける、
例のが
驅け
下りて
靴をぬがせる、
見とも
無いほど
睦ましいと
言ふは
彼れの
事、
旦那が
奧へ
通ると
小戻りして、お
供さん
御苦勞
「そんなら
御苦勞ながら、そこへ
御案内を
願ひませう。」かう
云つて、
閭は
座を
起つた。
「おや、
元二かい、お
精が
出ます。
今度は
又格別お
忙しからう。
御苦勞だね。」
「
何うも
御苦勞さま。
疲れたでせう」と
御米は
小六を
勞はつた。
小六は
夫よりも
口淋しい
思がした。
此間文庫を
屆けてやつた
禮に、
坂井から
呉れたと
云ふ
菓子を、
戸棚から
出して
貰つて
食べた。
與へて
此寒いに
御苦勞なり
此爐の火の
温ければ
暫く
煖まりて
行給へと
云に寶澤は喜びさらば
少時間あたりて行んと
頓て
圍爐裡端へ寄て
四方山の
噺せし
序で婆のいふやうは
今年幾歳なるやと問ふに寶澤は
肌を
師走の
空に
芝居みる
人も
有るをとお
峯はまづ
涙ぐまれて、まづ/\
風の
寒きに
寢てお
出なされませ、と
堅燒に
似し
薄蒲團を
伯父の
肩に
着せて、さぞさぞ
澤山の
御苦勞なさりましたろ
「あゝ、
先方の
方がお
羨しい。そんなに
御苦勞なさるんですか。」
買ねへと云ければ長八はハイとは云ど何の事やら一
向解らざれば私しは
屑ばかりでござりますと云に
御前未とう四郎江戸
馴ねへと見えると笑ひしかば
然樣で御座ります此間國から出て參りましたと云ふに
成程然であらう今度又屑が有たら
遣べし大きに
御苦勞と云れ長八は
何卒御贔屓を
一人は
必らず
手傳はすると
言ふて
下され、さてさて
御苦勞と
蝋燭代などを
遣りて、やれ
忙がしや
誰れぞ
暇な
身躰を
片身かりたき
物、お
峯小松菜はゆでゝ
置いたか、
數の
子は
洗つたか
彼のやうに
思しめして
御苦勞なき
身の
御苦勞やら
我身新參の
勝手も
知らずお
手もと
用のみ
勤めれば
出入のお
人多くも
見知らず
想像には
此人かと
見ゆるも
無けれど
好みは
人の
心々何がお
氣に
染しやら
云はで
思ふは
山吹の
下ゆく
水のわき
返りて
胸ぐるしさも
嘸なるべしお
愼み
深さは
何時まで
獨身で
居る
心が
數へる
歳の
心細さ
是ほどならばなぜ
昔お
詞そむいて
厭ひしか
我れと
我が
身知れませぬ
母さまなしのお
手一つに
御苦勞たんと
懸けまして
上の
上にも
又幾年お
心休めぬ
不料簡不孝のお
詫は
向後さつぱり
芳さまのこと
思ひ
切つて
何方への
縁組なれ
仰せに
違背は