御苦勞ごくらう)” の例文
新字:御苦労
「はゝあ。寒山かんざんてをられますか。それはねがつてもことです。どうぞ御苦勞ごくらうついでくりや御案内ごあんないねがひませう。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
乳母 ほんに、御苦勞ごくらうでござったが、ま、しまはッしゃれ/\。してようもない「こと」になったのぢゃわいの。
先刻さつき大晦日おほみそかよる景色けしきるつてつたのよ。隨分ずゐぶん御苦勞ごくらうさまね。このさむいのに」と御米およねあといて、きよおほきなこゑしてわらつた。やがて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『あゝ、御寺内ごじないのおきやくさんだつかいな。孫右衞門まごゑもんさん、御苦勞ごくらうはん。』と、茶店ちやみせをんな愛嬌あいけういた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
へてれとらさぬ用心ようじんむかし氣質かたぎいつこくを立通たてとほさする遠慮ゑんりよ心痛しんつうおいたはしやみぎひだり御苦勞ごくらうばかりならばおよめさまなり舅御しうとごなり御孝行ごかうかう御遠慮ごゑんりよらぬはず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いだしてわたしければしやう三郎押戴おしいたゞきて段々だん/\御深切ごしんせつの上またかゝ災難さいなんまで貴公きこう御苦勞ごくらうあづか御禮おんれいは申つくがたしとて涙をなが打歡うちよろこびてぞかへりけり又おつねちう八はまんまと夷子棚えびすだなの二百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「おや、千助せんすけかい、おせいます。今度こんどまた格別かくべついそがしからう、御苦勞ごくらうだね。」
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御苦勞ごくらう御苦勞ごくらう。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
るせ、かなんかで、入口いりぐち敷居しきゐこしをかける、れいのがりてくつをぬがせる、ともいほどむつましいとふはれのこと旦那だんなおくとほると小戻こもどりして、おともさん御苦勞ごくらう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そんなら御苦勞ごくらうながら、そこへ御案内ごあんないねがひませう。」かうつて、りよつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「おや、元二げんじかい、おせいます。今度こんどまた格別かくべついそがしからう。御苦勞ごくらうだね。」
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うも御苦勞ごくらうさま。つかれたでせう」と御米およね小六ころくいたはつた。小六ころくそれよりも口淋くちさむしいおもひがした。此間このあひだ文庫ぶんことゞけてやつたれいに、坂井さかゐかられたと菓子くわしを、戸棚とだなからしてもらつてべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
與へて此寒このさぶいに御苦勞ごくらうなり此爐このろの火のぬくければしばらあたゝまりて行給ゆきたまへといふに寶澤は喜びさらば少時間すこしのまあたりて行んとやが圍爐裡端ゐろりばたへ寄て四方山よもやまはなしせしついで婆のいふやうは今年ことし幾歳いくつなるやと問ふに寶澤ははだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
師走しはすそら芝居しばゐみるひとるをとおみねはまづなみだぐまれて、まづ/\かぜさむきにておいでなされませ、と堅燒かたやき薄蒲團うすぶとん伯父おぢかたせて、さぞさぞ澤山たんと御苦勞ごくらうなさりましたろ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あゝ、先方さきかたがおうらやましい。そんなに御苦勞ごくらうなさるんですか。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かはねへと云ければ長八はハイとは云ど何の事やら一かうわからざれば私しはくづばかりでござりますと云に御前おめえまだとう四郎江戸なれねへと見えると笑ひしかば然樣さやうで御座ります此間國から出て參りましたと云ふに成程なるほどさうであらう今度又屑が有たらやるべし大きに御苦勞ごくらうと云れ長八は何卒なにとぞ御贔屓ごひいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一人はかならず手傳てつだはするとふてくだされ、さてさて御苦勞ごくらう蝋燭代ろうそくだいなどをりて、やれいそがしやれぞひま身躰からだ片身かたみかりたきもの、おみね小松菜こまつなはゆでゝいたか、かずあらつたか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御苦勞ごくらうでした。」
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御苦勞ごくらう。)
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のやうにおぼしめして御苦勞ごくらうなき御苦勞ごくらうやら我身わがみ新參しんざん勝手かつてらずおもとようのみつとめれば出入でいりのおひとおほくも見知みしらず想像さうぞうには此人このひとかとゆるもけれどこのみはひと心々こゝろ/″\なにがおそみしやらはでおもふは山吹やまぶきしたゆくみづのわきかへりてむねぐるしさもさぞなるべしおつゝしぶかさは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何時いつまで獨身ひとりこゝろかぞへるとし心細こゝろぼそこれほどならばなぜむかしことばそむいていとひしかれとれませぬはゝさまなしのおひとつに御苦勞ごくらうたんとけましてうへうへにもまた幾年いくねんこゝろやすめぬ不料簡ふれうけん不孝ふかうのおわび向後きやうこうさつぱりよしさまのことおもつて何方いづかたへの縁組えんぐみなれおほせに違背ゐはい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)