-
トップ
>
-
ごくらう
「
先刻大晦日の
夜の
景色を
見て
來るつて
出て
行つたのよ。
隨分御苦勞さまね。
此寒いのに」と
云ふ
御米の
後に
追いて、
清は
大きな
聲を
出して
笑つた。やがて
『あゝ、
御寺内のお
客さんだつかいな。
孫右衞門さん、
御苦勞はん。』と、
茶店の
女は
愛嬌を
振り
撒いた。
危いとも
思はずにずつと
懸る、
少しぐら/″\としたが
難なく
越した。
向ふから
又坂ぢや、
今度は
上りさ、
御苦労千万。
往て
参りました。主「
大きに
御苦労だつた、早く
牡丹餅を食べな。小「へえ、
有難う
存じます、アヽ
此所なら
誰も知りやアしない
桶で
蓋をしてあるから
気が
附かない。 ...