岡本一平論:――親の前で祈祷 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
若し此所と決めれば赤シヤツも野だも両人の腕白の手に小付かれて嘸この欅の幹の石のやうな瘤に頭を打付けて痛がつた事ならんと痛快に思ふ。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット (旧字旧仮名) / ウィリアム・シェークスピア(著)
浮浪学生の話 (新字旧仮名) / マルセル・シュウォッブ(著)
永い間雪に包まれた人たちにとつては嘸かしこの見榮えのせぬさびしい花に心を惹かるゝことであらう。東京の植物園にも甘藷先生の碑のあたりに一本だかあつたとおもふ。
不思議な御縁によってあなたの許に嫁ぎ、新婚の一夜を過して、その翌日、実家へ戻って、そのまま、御そばに伺わぬ私の行いを、あなたは嘸かしお怒りで御座いましょう。
茶話:03 大正六(一九一七)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
次第によつたならば、少々位の狐肉は送つてくれるかも知れないと、気がついたからすぐ浅間山麓へ手紙をだし、千円の皮を残す銀狐は嘸かし肉もおいしからうとたよりしたのであつた。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)