出迎でむか)” の例文
夕方ゆうがたになると、おじいさんはいつものとおり、しばをしょって山からかえってました。おばあさんはにこにこしながら出迎でむかえて
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
西町奉行にしまちぶぎやう荒尾但馬守あらをたじまのかみが、江戸表えどおもてから着任ちやくにんするといふので、三十與力よりきは、非番ひばん同心どうしんれて、先例せんれいとほ守口もりぐちまで出迎でむかへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そういった、はは言葉ことば調子ちょうしには、一しゅ安堵あんどがあらわれていました。さきは、って、木枯こがらしのなかあるいてきたおとうと出迎でむかえました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
珊瑚さんごえだつてゐた、焚火たきびから、いそいでつて出迎でむかへた、ものやはらかな中形ちゆうがた浴衣ゆかたの、かみいのをときは、あわてたやうにこゑけた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
町々の人は少年を歓迎かんげいし始めた。少年の姿を見ると目出度めでたいと言って急いで羽織袴はおりはかまうやうやしく出迎でむかえるような商家の主人もあった。華々はなばなしい行列で停車場へ送ったりした。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
翌日辰刻頃たつどきごろ出立古郷水呑村へぞ歸りける土産物みやげもの飛脚ひきやくにて先へ送りし事故伯父をぢ九郎兵衞女房お里も待居たる處なれば皆々出迎でむかひ悦びあふに九助は其足にて名主なぬし惣左衞門是は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やがてそれを、秀吉ひでよしのところへ知らせると、かれはもう心得こころえていて、福島市松ふくしまいちまつ出迎でむかえをめいじる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さてもかぬとてれほどの役廻やくまはりあるべきや、浮世うきよつとめめを一巡いちじゆんをはりて、さてもなほかヽるべき怠惰のらにてもあらば、如來樣によらいさま出迎でむかひまで此口このくちつるしてもかれず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
令息れいそくこゝろよ出迎でむかへられて、萬事ばんじ便誼べんぎあたへられ、人足にんそくにんさへばれたのであつた。
出迎でむかえながら、それとなくその顔色をうかがったが、友愛塾の精神を象徴しょうちょうするかのような、その平和であたたかな眼には、微塵みじんのくもりもなく、そのゆったりとしたものごしには
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
てらでも主簿しゆぼ御參詣ごさんけいだとふので、おろそかにはしない。道翹だうげうそう出迎でむかへて、りよ客間きやくま案内あんないした。さて茶菓ちやくわ饗應きやうおうむと、りようた。「當寺たうじ豐干ぶかんそうがをられましたか。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
出迎でむかえの自動車も来ていて、ぐとんで行ったのでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
はなが、上野駅うえのえきいたときに、彼女かのじょ心配しんぱいしたほどのこともなく、すぐに、出迎でむかえにきていたおくさまや、ぼっちゃんたちのにとまったのです。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
よくおぼえてはないが、玄關げんくわんかゝると、出迎でむかへた……お太鼓たいこむすんだ女中ぢよちうひざまづいて——ヌイと突出つきだした大學生だいがくせいくつがしたが、べこぼこんとたるんで、其癖そのくせ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
伏見ふしみから京街道きやうかいだう駕籠かごくだつて但馬守たじまのかみが、守口もりぐち駕籠かごをとゞめ、しづかに出迎でむかへの與力等よりきらまへあらはれたのをると眞岡木綿まをかもめん紋付もんつきに小倉こくらはかま穿いてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
はら目覺めざましくも又勇々敷ゆゝしくぞ見えたりけるかくて玄關に到れば取次の役人やくにん兩人下座敷げざしきまで出迎でむかへ案内して廣書院ひろしよゐんへ通せしを見るに上段にはみすおろし中には二でふだいの上ににしきしとねを敷て座を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
次郎が胸をどきつかせながら出迎でむかえると、先生は、まだくつもぬがないうちに言った。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いつも威勢いせいよきくろぬりくるまの、それかどおとまつたむすめではないかと兩親ふたおや出迎でむかはれつるものを、今宵こよひつぢよりとびのりのくるまさへかへして悄然しよんぼり格子戸かうしどそとてば、家内うちには父親ちゝはゝあひかはらずの高聲たかごゑ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これに出迎でむかへの村長そんちやう地主ぢぬし有志家等いうしかとう大變たいへん人數にんずである。
遠方ゑんぱうまでわざ/\出迎でむかへをけて、大儀たいぎであつた。何分なにぶん新役しんやくのことだから、萬事ばんじよろしくたのむ。しかしかうして、奉行ぶぎやうとなつてれば、各々おの/\與力よりき同心どうしんは、のやうにおもふ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「おばあさん、おかえんなさい。」と、いって、出迎でむかえました。それから、「おつかれでしょう。」と、いって、羽織はおりをぬがしてあげにかかると、やんまが、背中せなかにとまっていましたので
やんま (新字新仮名) / 小川未明(著)
古間木こまき東北本線とうほくほんせん)へお出迎でむかくだすつた以来いらいくち休屋やすみやかけて、三とまり。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
めづらしやおたかさま今日けふ御入來おいで如何どういふかぜふきまはしか一昨日をとゝひのお稽古けいこにも其前そのまへもおかほつひにおせなさらずお師匠ししやうさまもみなさまも大抵たいていでないおあんがな一日いちにちうはさしてをりましたとうれしげに出迎でむか稽古けいこ朋輩ほうばい錦野にしきのはなばれて醫學士いがくしいもと博愛はくあい仁慈じんじきこえたかきあに
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゝきて案内あんない申入ければ七右衞門の家内は夜中の事ゆゑ不審いぶかり何れのやしきよりの使にやいまだ夜のあけざるに來る事能々よく/\火急くわきうの用向ならんと思ひ尋ねければ郷右衞門はよんどころなき要用えうようにて罷越まかりこしたり七右衞門在宿ざいしゆくなれば面談めんだん申度と言入いひいれけるに七右衞門在宿に候と答へながら出迎でむかひ是は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「よく、きてくれました。」と、おばあさんは出迎でむかえました。
海のおばあさん (新字新仮名) / 小川未明(著)