位置いち)” の例文
わたしが半分目がめて身動きすると、かれはただきつくなった自分のうでの位置いちを変えた。そして自分は動かずにすわっていた。
さうして學者がくしや文學者ぶんがくしやも、かならずしも上流社會じようりうしやかい人々ひと/″\ばかりでなく、かへってひく位置いちひとほう中心ちゆうしんうつつてるようになりました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あかりあかるき無料むりょう官宅かんたくに、奴婢ぬひをさえ使つかってんで、そのうえ仕事しごと自分じぶんおもうまま、してもしないでもんでいると位置いち
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この群島ぐんとうは、南緯なんい三十四度から、四十五度のあいだにあるもので、北半球でいえば、ちょうど、日本やフランスと同じていどの位置いちである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かような場合ばあひかへりみると、屋外おくがい避難ひなんしてなる場合ばあひは、わづか二三秒にさんびよう軒下のきしたはなれることが出來できるような位置いちにあるときにかぎるようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
じんをくずした小姓組こしょうぐみの者をいつのまにかとびこえたのであろう、木隠こがくれ白球はっきゅうを手に、菊池半助きくちはんすけ紅球こうきゅうを手にして、最初さいしょ位置いちに立っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この、おの/\の位置いちによつてえる樹木じゆもく種類しゆるい森林しんりんかたちとがことなつてゐるありさまづけて、『森林帶しんりんたい』または『森林植物帶しんりんしよくぶつたい』とひます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
たちなんかとはなしてゐると三人の位置いちひき玉にかんがへられたり、三つならんだちや碗の姿すがたおも白いおし玉の恰好かつこうに見※たりする。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
東京にいることになれば位置いちが低くても勉強ができる、なるべく非職ひしょくなどいう辞令じれいを受け取らずに、転任てんにんしたいものだ、めしくってすぐとでかけよう。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
くまと自分ははじめと同じ位置いちにもどったわけだ。すみのかべいた背中せなかをこすりつけて、立ったくまは、まるでまねきねこみたいなかっこうだった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
年級ねんきゅう生徒せいとでいるのはいい気持きもちだ——それはこの世できまった位置いちを作ってくれるからだ。しかし、一年生の生活にだって、時々いやなことがある。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
金魚鉢きんぎょばち位置いちから、にわかえでがくれではあるが、島本医院しまもといいん白壁しらかべえていて、もしそのかべあながあると、こつちをおろすこともできるはずである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
じぶんたちの位置いちを見て、三人はびっくりしました。いまちょうど、池のまん中にいるではありませんか。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
いまはそれ/″\適當てきたう位置いち配置はいちされて、すでに幾度いくたび作用さようをなした形跡けいせき歴然れきぜんえる。
しかし、仲間なかまはそれとさとると、すぐにくるまからりて、トロッコの脱線だっせんした場所ばしょあつまってきました。そして、ちからあわせて、やっとおもくるまをもとの位置いちにもどすことができたのです。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
住居ぢうきよ位置いちは、第一に飮用水いんようすいむべき泉、川、或は湖より程遠ほどとほからぬ所にして、次に食物しよくもつ獲易えやすき塲所、次に日當りき地をゑらびしなるべし。三つの條件じやうけんを充たす地には大部落だいぶらくそんせしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
もちろん定座には必ず同季の句が別に二句以上結合して三協和音のごとき一群をなすのであって、結局は春秋季題の插入そうにゅう位置いちを規定する、その代表者として花と月とが選ばれているとも言われる。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そらぜんたいの位置いちはそんなにわってもいないようでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしたちはほんとうにエジプトのある位置いちをよくは知らなかったが、それはぼんやりごくごく遠い海をこえて向こうのほうだと思っていた。
かういふふうに、土地とち高低こうてい位置いち相違そういによつて、さむあたゝかさがちがふにつれて、える樹木じゆもくもそれ/″\ちがふのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
が、それもこれもじきかれ疲労つからしてしまう。かれはそこでふとおもいた、自分じぶん位置いち安全あんぜんはかるには、女主人おんなあるじ穴蔵あなぐらかくれているのが上策じょうさくと。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たん一箇所いつかしよ觀測かんそくのみによつて震原しんげん位置いち推定すいていせられるのであるが、しかしながら身體しんたい感覺かんかくのみにてはかような結果けつかることは困難こんなんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
見物けんぶつはそういう内情ないじょうは知らない。ただ、床几席しょうぎせきに奉行のすがたが見えたし、検証けんしょう位置いち鐘巻一火かねまきいっかがひかえたので
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、ひく神樣かみさまあるひ位置いちたか人間にんげんから、神樣かみさままをげる言葉ことばが、次第しだいに、人間にんげんどうしのいひかけいひあはせる、かけあひの言葉ことばに、利用りようせられてました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
糟谷かすやが自分の周囲しゅうい寂寥せきりょうに心づいたときはもはやおそかった。糟谷ははるかに時代の推移すいいからのこされておった。場長じょうちょう位置いちのぞむなどじつに思いもよらぬことと思われてきた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「みな、まえのように受け持ちの位置いちについてくれたまえ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「やっとのことで」とかの女は言った。「あなたのものであるはずの位置いちに、あなたをくことができるようになりました」
イワン、デミトリチは昨日きのうおな位置いちに、両手りょうてかしらかかえて、両足りょうあしちぢめたまま、よこっていて、かおえぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
著者ちよしやさらすゝんで地震動ぢしんどう性質せいしつあぢはひ、それによつて震原しんげん位置いちをも判斷はんだんすることに利用りようしてゐるけれども、これは一般いつぱん讀者どくしやのぞべきことでない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
その間髪かんはつには、ふたりの頭脳あたまに、助かッたぞッ——という歓呼かんこがあがったであろうが、結果は同じことだった。ただ業火ごうか地獄じごくから八かん地獄じごく位置いちえたにすぎなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
糟谷かすやはついに東京に位置いちられないうちに、四月上旬じょうじゅん非職ひしょく辞令じれいった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
この地衣こけのために、いははいろ/\うつくしい模樣もようもんあらはしてゐます。日本につぽんでは木曾きそ御嶽おんたけこまたけはこのたい位置いちがよくわかります。このたい上部じようぶはそれこそ地衣こけもないはだかのまゝの岩石がんせきです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
たいこを打ちやめることなしに、広告屋こうこくや芝居小屋しばいごやの入口にともっている二つの大きなかがり火のまん中に位置いちをしめた。
以上いじようとほり、われ/\は内外ないがい活火山かつかざんをざつと巡見じゆんけんした。そのたがひ位置いち辿たどつてみるとひとつの線上せんじようならんでゐるようにもえ、あるひがん行列ぎようれつるようなふうにならんでゐる場合ばあひ見受みうけられる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
親方もわたしも二人とも刑務所けいむしょに入れられたら、犬やさるはどうなるだろう。わたしは自分の位置いち責任せきにんを感じていた。
ほかのものがかれの位置いちかれたのだったら、きっとわたしにそれをたずねたであろうけれども、カピはそんな無作法ぶさほうをするには、あんまりよくしつけられていた。