をどり)” の例文
箆棒べらぼう、そんなことされつかえ、をどりなんざああと幾日いくかだつてあらあ、今夜こんやらつからかねえつたつてえゝから、他人ひとはれつとはあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
昨夜さくやちらしおきたる苧幹をがら寸断ずた/\をれてあり、これひとさんじてのち諸神しよじんこゝにあつまりてをどり玉ふゆゑ、をがらをふみをり玉ふなりといひつたふ。
池をめぐるのは粗末な幾軒かの日本建築の喫茶店、芸妓げいしやの手をどり、越後獅子を初め、錦絵、小間物、日光細工、楽焼、饅頭屋、易者などの店である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
火事の時分に、大阪地方ではへらへらをどりと云ふ手踊の興業が流行はやつて居ました。赤い頬かぶりをしてはかま穿いた女が扇を持つて並んで踊をするのです。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
すなはち、ぐら/\とえて、蝦夷えぞゆき板昆布いたこんぶをかぶつてをどりをどるやうなところを、ひよいとはさんで、はねをばして、あつゝとあわてて、ふツといて、するりと頬張ほゝばる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
張上はりあげ遂にはすてゝこをどりやかつぽれと醉に乘ぜし有樣は何時果べきとも見えざりけり然るに伴建部の兩人は先代よりの用役ゆゑ兎角とかくけぶたく思に付此酒宴しゆえんの席へ呼ざるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その女の人が、両腕をひろげ、片足を思ひきりたかく蹴上けあげて、お得意のをどりををどつてゐるのです。
一本足の兵隊 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「クンカンぢやありません。カンカンですよ。あれはタンゴをどりなどと一緒に最新の流行ですが、もう日本に来てるとは驚きましたね。この次に往つたら是非見せていたゞきませう。」
白衣はくえはかま股立もゝだちを取つて、五しきたすきを掛け、白鉢卷に身を固めて、薙刀なぎなたを打ち振りつゝ、をどり露拂つゆはらひをつとめるのは、小池に取つてむづかしいわざでもなく、二三日の稽古けいこで十分であつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「人をおどかすやうな、をどりを踊るやうな、背が高くなつたり低くなつたり——」
それから小林君が、舞妓まひこをどりを所望した。おまつさんは、座敷が狭いから、唐紙からかみけて、次ので踊るといと云ふ。そこで椿餅つばきもちを食べてゐた舞妓が、素直すなほに次の間へ行つて、京の四季を踊つた。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
スペインのお祭のをどりの歌、アフリカの沙漠さばくの隊商の歌……。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
四五人に月落ちかゝるをどりかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
白き道化がひとをどり…………
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ステップ地方の鳥のをどり
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
地震なゐをどりいうなれば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
をどりながら周圍しうゐつて村落むら女等をんならつゝうて勘次かんじ容子ようすてはくすくすとひそか冷笑れいせうあびけるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
昨夜さくやちらしおきたる苧幹をがら寸断ずた/\をれてあり、これひとさんじてのち諸神しよじんこゝにあつまりてをどり玉ふゆゑ、をがらをふみをり玉ふなりといひつたふ。
私はお師匠さんに何年程をどりを習つて居たのでせう、それとも幾月と云ふ程だつたのでせうか。舞扇まひあふぎを使ひ壊して新しく買ふことはかなり幾度もありました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
そして、をどり……をどり歸途かへり……着崩きくづしたところては、往路ゆきではあるまい。踊子をどりこだらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
来会者の中から舞台に出て色色いろいろの歌やをどりが演ぜられた。会員には英国人以外に仏蘭西フランス諾威ノウルエエ丁抹デンマルク西班牙スペインなどの人人も加はつて居るので世界的の隠し芸が演ぜられるのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そしてテイブルの上には、せんと同じ仲間が、ちやんとそのまゝそろつてゐました。をどりの女の人はやつぱり同じやうに入口の石段の上に立つて、両手をたかくさしあげて、一本足で踊つてゐました。
一本足の兵隊 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
をどりんだかこゑもなし。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をどり周圍しうゐにはやうや村落むら見物けんぶつあつまつた。混雜こんざつして群集ぐんしふすこはなれて村落むら俄商人にはかあきんどむしろいて駄菓子だぐわしなし甜瓜まくはうり西瓜すゐくわならべてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
五ばんにをどりの者大勢花やかなる浴衣ゆかたに(正月なれど人勢に熱喿あつくてゆかた也)色ある細帯ほそおびをなし群行むらがりゆく里言りげんにこれをごうりんしやうといふ、こは降臨象こうりんしやうなるべし。
金右衛門さんの指図で、私等はやつと山を下りることになりました。蜜柑畑へ更に伴はれるのです。酒宴さかもりの所でをどりを見せたりして居たお政さんも一所に行くことになりました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なんの、はし欄干らんかんこゑす、えんじゆくしやみをすべいなら、うろこひからし、くもいてをどりをどらう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
下宿人は多勢おほぜい居るが家族と一緒に食事をするのは僕の外に四人の美しい娘だけだ。この家の細君が余程よほど変つて居てがあればピアノにむかふか、でなくばをどりの真似をして高い声で歌つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「これもみんなあの黒鬼がさせたことだ。ほんとにあいつはひどいやつだ。あのをどりの女の人と二人で乗つてゐるのなら、この暗がりがこの二倍暗くても平気なんだけれど。おつと、あぶない。おゝ、もう少しで引つくりかへるところだつた。」
一本足の兵隊 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
しめきん七十圓なゝじふゑん——もしそれわたしをして幹事かんじたらしめば、たちまちにおぼん軍用ぐんようてようものを、軍規ぐんき些少いさゝかてきにかすめざる瀧君たきくんなれば、こゝろざしはうけた——あるひ新築しんちくいはひあるひをどり一手ひとて祝儀しうぎ
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことなれたるをどりのけいご、かの水とりらもそのほどを見てむこに三こんいははせ、かの手桶の水を二人して左右よりむこかしらたきのごとくあぶせかくる。これを見て衆人みな/\抃躍てをうちてめでたし/\といはふ。
まるく輪をく子供のをどり
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
れがおくなりなすつて、母樣おつかさまが、女紅場ぢよこうばへいらつしやつて、をどりやなにか、遊藝いうげい師匠ししやうあそばして、手一てひとつで、貴下あなたをおそだてなさります時分じぶんは、かげながらおかほましたくらゐなもの。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二タおし三おしにいたればいかなる人もあつきこと暑中のごときゆゑ、堂のほとりにある大なる石の盥盤てうづばちに入りて水をび又押に入るもあり。一ト押おしてはいきをやすむ、七押七をどりにてやむさだめとす。
をどりを知れる肉なれば。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
をどりといふもをけうちいもあらふがごとし。ゆゑに人みな満身みうちあせをながす。第七をどり目にいたりて普光寺ふくわうじ山長やまをとこ耕夫さくをとこの長をいふ)手にさゝらもち、人の手輦てぐるまのりて人のなかへおし入り大音だいおんにいふ。
神秘なをどりえず舞ふ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)