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矢先
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やさき
ふりがな文庫
“
矢先
(
やさき
)” の例文
私共も身体が弱いから
酷
(
ひど
)
い病気でも起らないかどうか、一遍お
逢
(
あ
)
い申して見て戴きたいと思うて居った
矢先
(
やさき
)
でございました
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ウンウン
藻掻
(
もが
)
いている
真中
(
まんなか
)
で、自分一人がグーグー眠れたらドンナにか愉快だろう……なんかと、そんな事ばっかりを、一心に考え詰めている
矢先
(
やさき
)
に
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それでなくてさえ、みんなは、なにか
珍
(
めずら
)
しい、
愉快
(
ゆかい
)
なことはないかと
思
(
おも
)
っていた
矢先
(
やさき
)
ですから、それをきくと、
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
つばかりにうれしかったのです。
白い雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いまや観光団が来るという
矢先
(
やさき
)
に、こんな大規模のハナショウブ園を新設するのは、このうえもない意義がある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
頗
(
すこぶ
)
る
失望
(
しつばう
)
して
誰
(
だれ
)
かに
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
はうと
思
(
おも
)
つてた
矢先
(
やさき
)
でしたから
兎
(
うさぎ
)
が
傍
(
そば
)
へ
來
(
き
)
たのを
幸
(
さいは
)
ひ、
低
(
ひく
)
い
怕々
(
おど/\
)
した
聲
(
こゑ
)
で、『
萬望
(
どうぞ
)
、
貴方
(
あなた
)
——』と
云
(
い
)
ひかけました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
探がし探がして探がし得ず、がっかりした
容子
(
ようす
)
は、主人の眼にも
笑止
(
しょうし
)
に見えた。
其様
(
そん
)
な事で弱って居る
矢先
(
やさき
)
、自動車に
轢
(
ひ
)
かるゝ様なことになったのだろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それに
自分
(
じぶん
)
でも
可成
(
かな
)
り
後悔
(
こうくわい
)
しかけてゐる
矢先
(
やさき
)
だつたのが、
反撥的
(
はんぱつてき
)
に、
夫
(
をつと
)
の
氣持
(
きもち
)
をあまのじやくにした。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
わたしはもう
逃
(
に
)
げ
道
(
みち
)
がなくなって、とうとう
二人
(
ふたり
)
の
武士
(
ぶし
)
の
矢先
(
やさき
)
にかかって
倒
(
たお
)
れました。けれども
体
(
からだ
)
だけはほろびても、
魂
(
たましい
)
はほろびずに、この石になって
残
(
のこ
)
りました。
殺生石
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
しかし口へ出していうほどの事でもないので、何か話題の変化をと望む
矢先
(
やさき
)
へ、自然に思い出されたのは長告が子供の時分の遊び友達でお
糸
(
いと
)
といった
煎餅屋
(
せんべいや
)
の娘の事である。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
親類
(
しんるい
)
の
顏
(
かほ
)
に
美
(
うつ
)
くしきも
無
(
な
)
ければ
見
(
み
)
たしと
思
(
おも
)
ふ
念
(
ねん
)
もなく、
裏屋
(
うらや
)
の
友達
(
ともだち
)
がもとに
今宵
(
こよひ
)
約束
(
やくそく
)
も
御座
(
ござ
)
れば、一
先
(
まつ
)
お
暇
(
いとま
)
として
何
(
いづ
)
れ
春永
(
はるなが
)
に
頂戴
(
ちやうだい
)
の
數々
(
かず/\
)
は
願
(
ねが
)
ひまする、
折
(
をり
)
からお
目出度
(
めでたき
)
矢先
(
やさき
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もう少し切り込みたいと云う
矢先
(
やさき
)
へ持って来て、ざああと水を
懸
(
か
)
けるのが中野君の例である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それもこれも、
今
(
いま
)
はもうきのうの
夢
(
ゆめ
)
と
消
(
き
)
えるばかり。
所詮
(
しょせん
)
は
会
(
あ
)
えないものと、あきらめていた
矢先
(
やさき
)
、ほんとうによく
来
(
き
)
てくれた。あたしゃこのまま
死
(
し
)
んでも、
思
(
おも
)
い
残
(
のこ
)
すことはない。——
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
所
(
ところ
)
が、
丁度
(
ちやうど
)
私
(
わたし
)
も
此
(
こ
)
の
節
(
せつ
)
、
暇
(
ひま
)
を
貰
(
もら
)
つて、
異
(
かは
)
つた
空氣
(
くうき
)
を
吸
(
す
)
ひに
出掛
(
でか
)
けやうと
思
(
おも
)
つてゐる
矢先
(
やさき
)
、
如何
(
どう
)
でせう、一
所
(
しよ
)
に
付合
(
つきあ
)
つては
下
(
くだ
)
さらんか、
而
(
さう
)
して
舊事
(
ふるいこと
)
を
皆
(
みんな
)
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
ひませうぢや
有
(
あ
)
りませんか。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
おほ神のいはへる國のますらをの
矢先
(
やさき
)
に向ふ
敵
(
あた
)
あらめやは (千種有功)
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
右大臣
(
うだいじん
)
は
待
(
ま
)
ちかねて、
自分
(
じぶん
)
でも
遠
(
とほ
)
い
海
(
うみ
)
に
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
して、
龍
(
たつ
)
を
見
(
み
)
つけ
次第
(
しだい
)
矢先
(
やさき
)
にかけて
射落
(
いおと
)
さうと
思
(
おも
)
つてゐるうちに、
九州
(
きゆうしう
)
の
方
(
ほう
)
へ
吹
(
ふ
)
き
流
(
なが
)
されて、
烈
(
はげ
)
しい
雷雨
(
らいう
)
に
打
(
う
)
たれ、その
後
(
のち
)
、
明石
(
あかし
)
の
濱
(
はま
)
に
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
され
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
町は
鼎
(
かなえ
)
のわくがごとく
流言蜚語
(
りゅうげんひご
)
が起こった。不正工事の問題が起こりつつあり、
大疑獄
(
だいぎごく
)
がここに開かれんとする
矢先
(
やさき
)
に役場に放火をしたものがあるということは
何人
(
なんぴと
)
といえども疑わずにいられない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
真ン中を
覘
(
ねら
)
って
矢先
(
やさき
)
に力あり
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
それにあちらへお
味方
(
みかた
)
に
上
(
あ
)
がった
武士
(
ぶし
)
の中で、いくらか手ごわいのはわたくしの
兄
(
あに
)
義朝
(
よしとも
)
一人
(
ひとり
)
でございますが、これとてもわたくしが
矢先
(
やさき
)
にかけて
打
(
う
)
ち
倒
(
たお
)
してしまいます。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
しかし口へ出して
云
(
い
)
ふほどの事でもないので、
何
(
なに
)
か話題の変化をと望む
矢先
(
やさき
)
へ、自然に思ひ出されたのは
長吉
(
ちやうきち
)
が子供の
時分
(
じぶん
)
の遊び友達でお
糸
(
いと
)
と
云
(
い
)
つた
煎餅屋
(
せんべいや
)
の娘の事である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
御米
(
およね
)
は
此頃
(
このごろ
)
の
夫
(
をつと
)
の
樣子
(
やうす
)
の
何處
(
どこ
)
かに
異状
(
いじやう
)
があるらしく
思
(
おも
)
はれるので、
内心
(
ないしん
)
では
始終
(
しじゆう
)
心配
(
しんぱい
)
してゐた
矢先
(
やさき
)
だから、
平生
(
へいぜい
)
煑
(
に
)
え
切
(
き
)
らない
宗助
(
そうすけ
)
の
果斷
(
くわだん
)
を
喜
(
よろこ
)
んだ。けれども
其
(
その
)
突然
(
とつぜん
)
なのにも
全
(
まつた
)
く
驚
(
おど
)
ろいた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
所
(
ところ
)
が、
丁度
(
ちょうど
)
私
(
わたし
)
もこの
節
(
せつ
)
、
暇
(
ひま
)
を
貰
(
もら
)
って、
異
(
かわ
)
った
空気
(
くうき
)
を
吸
(
す
)
いに
出掛
(
でか
)
けようと
思
(
おも
)
っている
矢先
(
やさき
)
、どうでしょう、一
所
(
しょ
)
に
付合
(
つきあ
)
っては
下
(
くだ
)
さらんか、そうして
旧事
(
ふるいこと
)
を
皆
(
みんな
)
忘
(
わす
)
れてしまいましょうじゃありませんか。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
このうたがいのとけぬ
矢先
(
やさき
)
に手塚はこういう報告をもたらした。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
そのうち
高丸
(
たかまる
)
も
田村麻呂
(
たむらまろ
)
の
鋭
(
するど
)
い
矢先
(
やさき
)
にかかって、
乱軍
(
らんぐん
)
の中に
討
(
う
)
ち
死
(
じ
)
にしてしまいました。
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
自分
(
じぶん
)
で
自分
(
じぶん
)
の
仕事
(
しごと
)
をして
見
(
み
)
たくてならない
矢先
(
やさき
)
へ、
同
(
おな
)
じ
科
(
くわ
)
の
出身
(
しゆつしん
)
で、
小規模
(
せうきぼ
)
ながら
專有
(
せんいう
)
の
工場
(
こうば
)
を
月島邊
(
つきじまへん
)
に
建
(
た
)
てゝ、
獨立
(
どくりつ
)
の
經營
(
けいえい
)
をやつてゐる
先輩
(
せんぱい
)
に
出逢
(
であ
)
つたのが
縁
(
えん
)
となつて、
其
(
その
)
先輩
(
せんぱい
)
と
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はいか
程
(
ほど
)
暖
(
あたゝか
)
い
日和
(
ひより
)
でも歩いてゐると
流石
(
さすが
)
にまだ立春になつたばかりの事とて
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
寒い風をよける
処
(
ところ
)
をと思ひ出した
矢先
(
やさき
)
、
芝居
(
しばゐ
)
の
絵看板
(
ゑかんばん
)
を見て、
其
(
そ
)
のまゝ
狭
(
せま
)
い
立見
(
たちみ
)
の戸口へと進み寄つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
三ヶ
月
(
げつ
)
ばかりして、
漸
(
やうや
)
く
都合
(
つがふ
)
が
付
(
つ
)
いたので、
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
御米
(
およね
)
を
連
(
つ
)
れて、
出京
(
しゆつきやう
)
しやうと
思
(
おも
)
ふ
矢先
(
やさき
)
に、つい
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
いて
寐
(
ね
)
たのが
元
(
もと
)
で、
腸窒扶斯
(
ちやうチフス
)
に
變化
(
へんくわ
)
したため、
六十日餘
(
ろくじふにちあま
)
りを
床
(
とこ
)
の
上
(
うへ
)
に
暮
(
く
)
らした
上
(
うへ
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
長吉はいかほど暖い
日和
(
ひより
)
でも歩いているとさすがにまだ立春になったばかりの事とて
暫
(
しばら
)
くの間寒い風をよける処をと思い出した
矢先
(
やさき
)
、芝居の絵看板を見て、そのまま狭い
立見
(
たちみ
)
の戸口へと進み寄った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
矢
常用漢字
小2
部首:⽮
5画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“矢”で始まる語句
矢張
矢
矢鱈
矢庭
矢立
矢絣
矢来
矢弾
矢筈
矢文